diary Alisato's 本買い日誌
1999年10月後半 *


1999年
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10月後半

10月後半の話題
10月後半の読了本


1999.10.15(金)

和製ファンタジーのルーツ 再び

 10/13の和製ファンタジーのルーツについては、いくつかの反響がありました。

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 高橋征義さんは、1986年の角川の「ファンタジーフェア」をもって「ファンタジー元年」としている【新世紀ノベルへの道】を紹介してくださいました。

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 【日々是好日!】の管理者のなみおかさんが、アクセス解析をたどってこのページにいらっしゃいまして、和製ファンタジーのルーツについての興味深い考察のメールを送ってくださいました。(ご挨拶が遅れてすみません、なみおか様)
 タイムテーブルや図式入りの力作で、私ひとりで読むのはもったいないので、目下転載許可をお願いしているところですが、 キーワードだけまとめておきます。
1999.10.16 メール転載許可をいただきました。こちらがなみおかさんからのメールです。)

 なみおかさんは、和製ファンタジーのルーツを「翻訳ファンタジー」「RPG」「コンピューターRPG」の3つとし、 押さえておくべき作品として以下のものを挙げておいでです。
1999.10.16 少し修正しました。
私がうまくまとめられなかった部分もあるので、ぜひとも原文をお読みください。)

【翻訳ファンタジー】起源
栗本薫の《グイン・サーガ》
高千穂遥《美獣シリーズ》
竹河聖『風の大陸』(富士見ファンタジア文庫)
【RPG】起源
スティーブ・ジャクソン『火吹山の魔法使い』(社会思想社 現代教養文庫, 1984)
水野良『ロードス島戦記』(角川文庫, 1988)
【コンピューターRPG】
「ゼルダの伝説」発売(ファミコン)1986年2月
「ドラゴンクエスト」発売(ファミコン)1986年5月
『RPG幻想辞典』(ソフトバンク社)

 ひかわ玲子と前田珠子の登場は、和製ファンタジーの発表年代としてはやや後期で、女性読者層にファンタジー、特に異世界ファンタジーを持ち込んだ作家として認識しているとのこと。

 また【新世紀ノベルへの道】についての言及もあります。

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 【みのうら】さんの10月14日付の日記にも言及が。(はーい、読んでまーす。巡回ルートに入ってます)
 【1999年5月25日の日記】にも関連記述あり。あれはゲーム関連じゃなくて、小説関連の発言だったのですね。
 SFが衰退したのは、ファンタジーのせいではなく構造的な問題だという意見には、私も賛成です。でも、飽きられると廃れるという構造上の問題をクリアしたジャンルは、まだないのでは? 本格ミステリは衰退しきった結果、昔のことを知らない人間に目新しく思われただけのような気も……。

 【ロト三部作】は、しっかり紹介ページがあるんですね。DQ1が1986年、DQ3が1988年と。なるほど。
一般人が認識しているゲームとしては、ファミコン版のゼルダとDQとFFとWIZぐらいでよいのではと思っています。 しっかし、ファミコン版の情報って探しにくいですー。もう過去の遺物なのかな。

 みのうらさんも、押さえておくべきポイントしてゲームブックが挙げていますね。 『ウォーロック』ってのは、社会思想社の出していた雑誌でしたっけ。 手元の文庫はさみ込みチラシによると『ウォーロック』 THE FIGHTING FANTASY MAGAZINE 編集=S・ジャクソン I・リビングストン 日本語版監修=安田均とあります。残念ながらいつのチラシか不明なのですが、 『魔道師の杖』にはいっていたものなので、1989年頃のものでしょう。 この頃にはすでに20冊以上出ていたようですね。
 【社会思想社のホームページ】には情報が見あたらなかったので、詳細は不明。
(1999/10/18)
冒険企画局】の 【ウォーロック総覧】で 25号までの総覧を見ることができます。

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 その他の押さえておくべき情報としては、各種ライトノベル文庫の創刊時期と初期ラインナップと日本ファンタジーノベル大賞 についてでしょうか。
 少女漫画のファンタジー漫画の先駆者としては中山星香がいますが、あの人は登場がすごく早いのです。和製ファンタジーのルーツというよりは、むしろそれ以前のハヤカワ文庫FTなどの翻訳ファンタジーの浸透に一役買った人ではないかと思うので、和製ファンタジーの観点からは除外ですね。

 翻訳ファンタジーについては、ヒロイック・ファンタジーと『指輪物語』系列は分けるべきではないかなぁという気がしています。ヒロイック・ファンタジーはSFの流れ、『指輪物語』系列は神話・伝説・叙事詩からの流れにつながるような気がしています。
それから、もうひとつ、ルリタニア系列ってのがあります。A・ホープ『ゼンダ城の虜』(創元推理文庫)をルーツとする架空の国を舞台にした歴史冒険小説。田中芳樹作品は、ほとんどこれ。ルリタニア系列がファンタジーかっていったら、ファンタジーだろうけど、うーん……。

 SFとファンタジーの線引きというのも難しいものがありますね。
1999/10/17 言葉が足らなかったので、追加修正しました。)
少なくともグイン・サーガを書き始めたとき、栗本薫にはSFのサブジャンルとしての「ヒロイック・ファンタジー」を書いているという意識はあっても、いわゆるトールキン風の「(異世界)ファンタジー」を書いているという意識はなかったのではと思います。
 では、SFとは別ジャンルとしての「(異世界)ファンタジー」を意識して書いた最初の作家は……誰でしょう? 少女漫画家の中山星香にはそういう意識があったように思えますが。

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 1986年の角川ファンタジーフェアを「ファンタジー元年」とする説には異論はないです。
 でも1988年ターニングポイント説には未練があるので、第二のターニングポイントということにしましょう。(笑)

 私は翻訳ファンタジーそれもヒロイック・ファンタジーではなくて『指輪物語』とハヤカワ文庫FTからコバルト文庫へ流れていった人間で、1986年の角川の「ファンタジーフェア」については全然記憶にないのです。(この頃は女流海外ミステリーにハマっていたし。)
 私がDQにハマり始めたのは、89年9月でした。DQ2から始めてDQ3、WIZ、MOTHERとずるずるとハマっていったらしい。 (←日記をチェックした) 前田珠子にハマったのもこの頃。
 私は「一般人の典型」ではないけれどゲーム系に濃い人間でもなかったので、私がハマったということは、私以外の人も同じようにハマったのではないかと想像します。

 ということで、一般に和製ファンタジーが浸透したのは、1989年ごろではないかと……。


1999.10.16(土)

AV修理完了とブック・オフ

 修理に出していたビデオとMDプレイヤーの受け取り。
 ついでにブック・オフ白岡店に寄り、コバルト文庫の整理番号などをチェック。

和製ファンタジーのルーツ 大反響

 10/15の「和製ファンタジーのルーツ 再び」に対する反響メールが続々と。
(転載許可をいただいたので、【日々是好日!】のなみおかさんからのメールを転載しました。
URL:http://www2r.biglobe.ne.jp/~alisato/diary/etc/mail991015.htm

 【林 哲矢@不純粋科学研究所】さんからは、 「すべては安田均から始まっている」 「男の子ファンタジーはRPGの子、女の子ファンタジーは少女マンガの子」というご意見(林さんからのメール転載)、 【加藤@異次元を覗くHP】さんからは、 アニメでのファンタジー系作品(「聖戦士ダンバイン」とか)についての分析と三国志の影響を指摘するご意見(加藤さんからのメール転載)をいただきました。

 確かに、安田均、少女マンガ、三国志っていうのは、和製ファンタジーのキーポイントのような気がします。

 あいりさんからは『ウォーロック』についての情報をいただきました。
 創刊は85年12月ごろ編集長は多摩豊氏、その後近藤功司氏に編集長が変わり92年の3月に休刊したとのことです。 内容は、ゲームブックに関する記事の他にTRPGのリプレイ、ファンタジーの世界観や小説についての連載だったそうで、 神月摩由璃さんの「摩由璃の本棚」や、妹尾ゆふ子さんの書評も連載されていたそうです。
(1999/10/18)
冒険企画局】の 【ウォーロック総覧】で 25号までの総覧を見ることができます。

 文庫で出た、神月摩由璃『摩由璃の本棚』(現代教養文庫)は、私も読んでいます。とても好きな本です。
 このサイトの本についてのコーナーの名前が「有里の本棚」なのは、実は『摩由璃の本棚』を意識していたからなのでした。


1999.10.17(日)

話題騒然 和製ファンタジーのルーツ

 わぁぁ、なぜだか、あちこちで話題に〜。
 いろいろお返事したいのですが、火曜日まで動けないのでしばらくお待ちください。

 グイン・サーガについては、少々言葉が足りなかったので、追加訂正しました。


1999.10.18(月)

 ボランティアサークルの会合(昼)と講習会(夜)に出席したので、疲労してます。早くサークルやめたいです。


1999.10.19(火)

コバルト文庫リストの進捗状況

 巻末に1982年の総目録が掲載されている、佐藤愛子『たいへんだァ青春』(集英社文庫 コバルトシリーズ, 1982.03)というのをブック・オフで拾ってきたので、それをもとに旧著者番号100までの作家のリストを作成して、そのリストに対して著作情報を付け加えていくという方式で作業を進めています。ようやく45番の武田武彦まで来ました。

 いまのところ手元にあるのが、1982年総目録(著者書名のみ)、1983年目録(著者書名のみ)、1989年目録(著者書名のみ)、 1997年解説目録、1998年解説目録、1999年解説目録です。
 1986年の解説目録については、ある方からお借りすることができそうです。
 どうも4年ぐらいで、主力作家の入れ替えがあるようなので、1990年〜1996年にかけての目録も手に入れたいところではあります。解説目録をお持ちの方は、譲っていただけるかお貸しいただけると嬉しいです。(価格は相談、送料は負担します。)

 1980年以降に発行された本については、【TRC】で検索が可能なのがわかったので、なんとかなりそうな感じではありますが。

和製ファンタジー

 転載許可をいただいたので、 【林 哲矢@不純粋科学研究所】さんと 【加藤@異次元を覗くHP】さんからのメールを転載しました。

 ・林さんからのメール
 ・加藤さんからのメール

 メールや掲示板などを読んで思ったのですが、 書き手が何に影響されて書いているかと読み手が何に影響されて読んでいるかは、分けて考えなきゃいけないですね。 私はそのあたりを少々混同していたような気がします。

 掲示板での発言では、【ニムさんの掲示板】での、 「ひるまのや」さんの発言 「諸々 (1999/10/17 07:37:00)」が印象深かったです。
 DQ2が、第八回日本SF大賞(1987年)の候補作になっていたことを教えていただきました。 「帝都物語」とぶつかって逸したらしいです。

 とりわけ興味深いのが、この部分です。

===引用開始===
和製ファンタジーを読むとしばしば時代小説との類似性を感じてしまう。異世界チャン バラとでも言えばいいのか…。
===引用終了===
 私は似たようなことを感じることがあるんですよ。で、この件についてずーっと考えています。
 普通のエンタティメントの読者(いわゆる薄い人たち)が求める基本的なものは、ジャンルがどうあろうと変わらなくて、ただあまり長く同じ味付けだと飽きるから、時代劇風味、SF風味、ファンタジー風味、ホラー風味といった新しい味付けに飛びついているだけなんじゃないか……とか。

 でも単なる目新しさだけではブームになるはずはないので、ファンタジーというかRPGがブームになった背景には、何か時代の流れというか雰囲気というものが存在していたんだろうなとも思います。
「ここではない何処かへ」のあこがれとか、「今の自分ではない自分」へのあこがれとか。

 うー、まとまりません。ってゆーか、どんどん話が拡散していくような気がする。
 考える前にまず事実関係をリストアップしようってのが、最初の目論見だったのに。うー、初心にかえらねばー。


1999.10.20(水)

 急に寒くなったせいか、だるくて眠いです。冬眠開始?

■コバルト文庫の1986年の解説目録

 お借りしたコバルト文庫の1986年の解説目録を読んでいます。面白いです。
 コバルト創刊10周年記念の目録なので、創刊から1986年3月31日までの総目録です。

 初期は富島健夫、佐伯千秋、吉田とし、三木澄子、清川妙、佐藤愛子、川上宗薫といった、愛と青春の小説ばかりだったのが、 だんだんアニメ・ノヴェライズやら青春グラフティやらポエムやら占いやら、 ついでにSFやらミステリーやらも入るようになったようです。

 初期の小説の解説も面白いのですが、ノンフィクション系のラインナップが 特に面白いです。たとえば、こんなの。

吹上流一郎・編 『青春告白テープ 愛飢え体験』(集英社文庫 コバルトシリーズ, 1981)の解説。

カツアゲ、アンパン、同棲、中絶…ティーンのさまさまな体験を、インタビューと告白記で構成。 誰でもが無関心ではいられない歪んだ青春像に迫る衝撃のドキュメント!
(コバルト文庫の1986年の解説目録 p.134)

吹上流一郎 『K子の放課後』(集英社文庫 コバルトシリーズ, 1982)の解説。

「私の中に悪魔が棲んでいる」とK子は言った。平凡な女子高校生K子を売春に走らせるものは何か。 ひとりのルポライターがK子を通して迫った狂乱の青春の記録とは――。
(コバルト文庫の1986年の解説目録 p.134)

 1981年に17歳ぐらいだと現在は35歳ぐらいかな。こーゆーのに出てくる「ティーン」は、今何をしてるんでしょうね。


1999.10.22(金)

 親類に不幸がありましたので、これから出かけます。(80代の大往生なんですけどね。)
 コバルト文庫目録についてお申し出くださった皆様、ありがとうございます。のちほどお返事いたします。

和製ファンタジーの定義

 【青木みやさんの10月21日の日記】に「和製ファンタジーの定義とはなんぞやという点が非常に気になる」とあったのですが、とりあえずの広義の定義は、「日本人作家の手による”ファンタジー”と銘打たれている小説全部」ということになりましょうか。
 ただ、最初に私の念頭にあったは、コバルト文庫やスーパーファンタジー文庫、富士見ファンタジア文庫、角川スニーカー文庫などのいわゆる「ヤングアダルト」あるいは「ライトノベル」と呼ばれている小説の中の異世界を舞台にした作品ですが。

 なぜ”日本ファンタジー”あるいは”日本のファンタジー”ではなくて、”和製ファンタジー”かといえば、 ひとつには「日本を舞台にした」というようなイメージを避けたかったからですが、 日本人作家が書いたファンタジーには海外ファンタジーとはちょっと違った要素が含まれているような気がするからでもあります。具体的には加藤さんが指摘した『三国志』の影響や「ひるまのや」さんが指摘したチャンバラ要素などですね。
(三国志ブームは人形劇からというのも押さえておきます>みのうらさま)

 ワタクシ的見解からいうと「これはファンタジーじゃない」「ファンタジーと銘打ってないけどファンタジー」というものがあるんですが、それはそれで置いておいて、日本の作家と出版社がファンタジーと呼びたがっているものを”和製ファンタジー”とします。
 但し、宇宙を舞台にしたものや、ロボットやアンドロイド、タイムマシンといったどうみてもSF的ガジェットが出てくるものは、 「サイエンス・ファンタジー」「近未来ファンタジー」(例:『セレーネ・セイレーン』)と銘打ってあっても”和製ファンタジー”には入れません。(超能力テーマについては、保留。) そういった作品が「SF」ではなく「近未来ファンタジー」と呼ばれている事実は押さえておかないといけないと思いますが。

 なお、日本ファンタジー大賞受賞作のほとんどは、ワタクシ的には「奇想小説」であって「ファンタジー」とはちょっと違うんですけどね。あれも一応”ファンタジー”ということで。

ファンタジーの分類 覚え書き

 で、ワタクシ的に思い付いたファンタジーの分類ラベルとその定義をば。バクゼンかつモーローとしてます。

 以上がワタクシ的に”ファンタジー”とみなすもので、以下はワタクシ的”ファンタジー”とはちょっと違う。
このあたりになると、うまく定義ができないので例をあげます。


1999.10.23(土)

 イナカのお葬式は大変だ……。 お坊さまは若くてサラリーマンのような風貌の人でした。


1999.10.25(月)

 良い月夜です。

コバルト文庫リスト情報

 コバルト文庫のリストを入力中。
旧作家番号100番までの作家で、新番号に引き継がれなかった人の情報は、ほぼ入力できたので、 こんどは200番までの作家リストを作成。

 一時期、海外小説を翻訳したY.A.シリーズというのが出ていたのだが、それらの作品は訳者の名前で整理番号が割り振られているのに索引は原著者名によって作成されているという、ややこしい番号付けをされている。 その上、小説を書いている名前と翻訳用の名前が別でも同一の整理番号が振られていたりするので、情報を割り出すのがめんどくさい。 (逆にいえば、ペンネームをふたつ使っていても整理番号を見れば、バレバレってことですね。)

 コバルトシリーズは文庫で出る前(1972年ごろから?)は、「コバルト・ブックス」というシリーズで出ていたことを メールで教えていただきました。ひょっとして初期の作品は、コバルト・ブックスからの再録だったのでしょうか? 富島健夫なんて、月に2冊づづ毎月出てたりするんですよ。親本がなければ、こういうスピードでは出ないんじゃないかなぁ。

和製ファンタジーの定義ふたたび

 和製ファンタジーの定義について、ロボットといったどうみてもSF的ガジェットが出てくるものは除くと書いたところ、千葉暁《聖刻》シリーズや永野護『ファイブスター物語』はファンタジーだと思うというご意見をいただきました。

 いまやっていることは、和製ファンタジーの定義をするのが目的ではなく和製ファンタジーが出現するにいたるまでの事実関係を明らかにするのが目的ですので、 別にそれでも私は構いません。 もともと”和製ファンタジー”と”私定義のファンタジー”は別物だし。(^_^;)

 巨大ロボットが出ても「ファンタジー」だと思われてしまうあたりが、いかにも”和製”の”ファンタジー”ですね。 海外ファンタジーには巨大ロボットが出てくるものはないでしょう。少なくとも翻訳されているものに関しては。
 ただ、巨大ロボットが出てくる異世界の話でも、あるものが「ファンタジー」で、あるものが「SF」と みなされるのだとしたら、違いはどこにあるのか気になります。

 ワタクシ的には、永野護『ファイブスター物語』はファンタジーとみなしてもよいかなと思っています。巨大ロボットや生体アンドロイドといったSFガジェットをすべて吹き飛ばす、アマテラス様(ソープ)と三人の女神とトリックスターというわけの分からない超自然的な存在が出てきますから。作者も「おとぎ話」だと言ってるし。
 《聖刻》シリーズは読んでいないのでわかりませんが、 CLAMP『魔法戦士レイアース』のアレも自分の意志をもった魔法で動く鎧の一種(ストームブリンガーみたいなもんですな)だからファンタジーでOKね。

 で、目下、年表を作るための材料を収集中。


1999.10.26(火)

『幻想文学 56』

 ネット上ではすでに各所で話題にあがっている『幻想文学 56』ですが、直接購読している私のところにも届きました。 【幻想掲示板】で月曜日に石堂さんが、これから発送と書いていたので、届くのは水曜日ぐらいかとおもっていたのですが、早かったですね。

 で、噂の表紙ですが……
……すげーっ……。
思わず絶句の物凄さなので、ぜひぜひ皆さんご覧あれ。
特集の扉絵がまた……。

 でも内容はキワモノではなく、非常に良く出来てます。まだ全部は読んでいないのですが、同じような路線の52号の「特集 猫の妖、猫の幻」よりも面白いようにと思います。

 インターネットで募集した「件小説」は石神茉莉「Me and My Cow」と【深川拓】「器」。 どちらも面白かったですが、特に石神茉莉さんのが気に入りました。この人、ホームページはもっていないのかなぁ? 他の作品も読んでみたい気がします。
 また機会があったら投稿小説を募集してもらいたいものです。

 牛妖文学では、小松左京「牛の首」を読むことができてラッキー。コバルト文庫の豊田有恒編『ホラー小説傑作選』の解説に名前が出てきて(このアンソロジーには「くだんのはは」が収録されています)、読みたいと思っていたところだったのです。

 今回はレイアウトも良かったですね。

 石堂藍サンは、相変わらず書評ページでバッサリバッサリやってますが、ちゃんと誉めている作品もあるのよね。
幻想掲示板】でも同じような調子でしたが、評論家っていうのは喧嘩売ってナンボというようなところがあるから、まぁいいんじゃないかと思います。
私はもともと石堂藍ファンだから(どれくらいファンかというと、掲示板の石堂サンの書き込みをみて浮かれて飛び出て本名で書きこんじゃったくらいにファン)、ぜーんぜん気にしません。
 こういう絶対に提灯持ちをしそうにない辛辣な書評家もひとりかふたりは必要でしょう。 3人いたら多すぎる気がしますが。

 幻想掲示板の書き込みで石堂さんがスレイヤーズを好きだと書いていたのが嬉しかったです。別に私はスレイヤーズのファンじゃないけど。
 おそらくは書評家・石堂藍の高い高い基準をクリアしないせいで、『幻想文学』の書評にライトノベル系のファンタジーの名前が出てくることはほとんどないのですが(私が見たことあるのはひかわ玲子と小沢淳と金蓮花と今野緒雪ぐらい)、「ジュブナイルも楽しんで読める」んですね。
 いい年してジュブナイルを楽しんでいる身としては、ちょっと安心。

■北村薫『謎物語』

 北村薫『謎物語』(中公文庫)読了。
 「第十一回 見巧者の眼」や「第十四回 解釈について」が特に面白かった。
しっかり巻末に書名索引が載っている。さすが!
 J.H.チェイス『ミス・ブランディッシの蘭』が読みたくなりました。

コバルト文庫リスト テスト版

 ちまちまと入力しているコバルト文庫のリストですが、別に遊んでいるわけではないことの証明にテスト版を作ってみました。

 何の役にたつんだか……。でも、いいの。作るの楽しいから。
ご意見ご要望、情報は、掲示板【コバルトリスト情報局】まで。


1999.10.27(水)

■妹尾ゆふ子『グリム幻視 ―白鳥―』

 妹尾ゆふ子『グリム幻視 ―白鳥―』は、【ほん・まるしぇ】で購入することができる電子本です。

 グリム童話に題材をとった、村娘と白鳥の湖のほとりに棲む男との恋の物語。
 恋を夢見る農家の娘が本当の恋をしったとき、運命はどのように変わるのか。

 【りどる】さんの宝石のような挿し絵のついた美しい「本」は、 モニターの中でこそもっとも美しい姿をあらわすのはわかっているのだけれど、手に取って抱きしめられないのが悔しい、もどかしい。物語も装丁も涙が出そうにいとしい一冊。
 おすすめです。

 ニフティのIDをお持ちの方なら、ブラウザからダウンロードができます。

 続編もお待ちしてます。>妹尾ゆふ子さま


1999.10.28(木)

クロネコヤマトのブックサービスで本を注文

 【クロネコヤマトのブックサービス】で、以下の本を注文。

・水鏡子『乱れ殺法SF控』(青心社)
・妹尾ゆふ子『魔法の庭 3 地上の曲』(プランニングハウス)
・飯田雪子『リアライン』(プランニングハウス)

 【ファブリック・コレクション】にブックカバーを注文。新柄やペーパーバックサイズのものも入荷したようです。

■須賀しのぶ『帝国の娘』ふたたび

 【SFオンライン】の書評でも須賀しのぶ『帝国の娘』(集英社コバルト文庫)が取り上げられていますね。
 U-ki総統語調で叫んだ身としては大変に嬉しいです。

 須賀しのぶは前々から気になっていた作家ではあったのですが、『キル・ゾーン』のようなミリタリー風(?)な作品はあまり好みじゃないので、手を出しかねていたのですね。歴史物の『帝国の娘』が出たときも、「どうしようかなぁ〜」と迷っておりました。
 もうトシなので、新しい作家に手を出すには勇気がいります。
 最終的に私の背中を押したのはWEB書評でした。
うさぎ屋】さんのページを読んで「ふむふむ」と思い、 【みのうら】さんのページを読んで「チェックせねば」と思い、 【麻弥】さんのところでトドメの一発(笑)。 紹介してくださったみなさまありがとう。


1999.10.29(金)

『別冊ぱふ 活字倶楽部』’99秋号を買う

 近所の本屋で、奇跡的に『別冊ぱふ 活字倶楽部』’99秋号を発見。三村美衣さんによる『魔法の庭』三部作の書評が載っています。
 特集ページがカラーでなく、投稿イラストがカラーなのは、いつものことです。> ニムさん
 長野まゆみファンは自分の分しか買わないが、掲載された投稿イラストの作者は5冊買って友達に配るかもしれないという、営業上の理由によるものと思われます。

 読者の投稿を載せることで部数を稼ぎつつ、地道に面白い企画を立ててるなぁというのが、いつもながらの感想です。 特集が長野まゆみと澁澤龍彦で作家登場が真保裕一だもんねぇ。けっこうマニア。もっとも今はシブサワは高校生にも人気だそうですが。シリーズ「本をつくる」は、「編集者というお仕事」タイムリー(←なぜ?(笑))というか、勉強になりますというか。

うぁぁぁぁぁっ―知り合いに発見される

 お昼ごろ、夫から電話がありまして、
「オガワ君がホームページのURL教えてほしいって」
それだけなら良かったんですけど、
「昨日の夜、某掲示板に本名で書き込んだんだって? オガワ君が読んだといっていたよ」

うぁぁぁぁぁぁっ! あれを見てたのかっ!(血の気の引く音……)

 オガワ君っていうのは、夫の会社の同僚です。私は夫と同じ会社にいたので、私の知人でもあります。そーゆーヒトにネット上の所業を見つけられてしまうのは、なんだかとっても恥ずかしい。
 いや、まったくネットに本名を出したりするもんじゃありません。(汗)(汗)(汗)

 しょうがないんでURLを教えました。(私のメールアドレスとURLぐらい覚えておくように。 >夫)
 つーわけで、オガワ君、みてるー?

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 冷静になって考えてみれば、そんなにオビえる必要はないのかも。
 別に掲示板にもこのページにも、恥ずかしいこと書いてない……はずだし、変なこと書いてない……はずだし、 知り合いに読まれてまずいことも書いていない……はず。多分……。(←自分に言い聞かせている)

 オフラインでの私とネット上での私のイメージの差に驚く人もいるようですが、人格は変わってません。 ネット上のコレが基本型で、他人の前だと猫をかぶるだけです。思ったことをそのまま口に出したりしないようにしているだけ。

 でもこれで、別ハンドルを使わないとネットバトルができなくなってしまった。 夫が会社で「奥さん、ネットの掲示板で暴れてましたねぇ」なんていわれるのは、まずいもんねぇ。

 それにしても、どうしてあの掲示板見てたの? > オガワ君
 というのをFTPしようとしたら、メールが届いていた。
どうやら彼は、SF者でファンタジー読みでミステリも読んで、しかも古本屋通いをする人だったらしい。 って、まるっきり同好の士じゃん。知らなかった。会社じゃそういうこと、あまり話しませんでしたからねぇ。

中間報告1:コバルト文庫

 そもそもは、和製ファンタジーについて調べようとしたことから始まったコバルト文庫のリスト作りですが、面白くなってきたので文庫になる前のコバルト・ブックスのことも含めてまとめようと思うようになりました。目標は創刊から1999年12月刊行分までの総目録作りです。

現在、Kさんからお借りした86年の解説目録をもとに、旧作家番号100までの作家の作品リストが完成しています。

(ここの内容は、「コバルト文庫リスト作成中!」 へ移動しました)

中間報告2:和製ファンタジーのルーツ

 こちらはなぜかあちこちのページでも言及されている話題。
そもそもは”和製ファンタジー”がいつごろ発生したかが知りたかったのです。

この日記内での関連の話題は以下の通りです。
(この部分のリンクは「和製ファンタジーのルーツ リンク集」へ移動しました。)

 何が”和製ファンタジー”の定義であるかについては、踏み込まないことに決めました。うかつに定義して反論されようものなら、多分逆上しちゃいますから。「あんなのはファンタジーぢゃなぁぁぁいっ!」とかねぇ。
 というわけで、とりあえずの広義の定義として「日本人作家の手による”ファンタジー”と銘打たれている小説全部」を採用しておきます。

 当面は、”和製ファンタジー”が氾濫するに至るまでに、どんなことがあったのか事実を列挙する年表を作成することに目標を絞りたいと思います。まず事実関係を洗い出し、考えるのはそれからだっ! 資料さえあれば、誰かが考えてくれるだろうし。

 この話題の関連としては、以下のページを発見しています。
(この部分のリンクは「和製ファンタジーのルーツ リンク集」へ移動しました。)

 どうやら海外ファンタジーを読む人は和製ファンタジーをあまり読まないことが多く、ライトノベル系和製ファンタジーを読む人は海外ファンタジーを読まないことが多いみたいですねぇ。

 ほかにもありましたらタレコミよろしく。【コバルトリスト情報局】に書き込んでくださっても結構です。


1999.10.30(土)

ブック・オフ岩槻店と館林店

 所要で夫と岩槻に行ったので、ついでにブック・オフ岩槻店に寄る。何度も行っている店ですが、それなりに品は回転しているようです。

 購入本は以下のとおり。ポロッとサンリオ文庫があったりするのですね。超美本で100円。掘り出し物。
・ロバート・ブロック編 星新一訳『フレドリック・ブラウン傑作集』(サンリオSF文庫)
・早見裕司『夏街道[サマーロード]』(アニメージュ文庫 )……青背ではなく黒背のほうでした

 高速で館林に出て、文化会館の駐車場に車を置いてブック・オフへ。途中「古本市」の看板にひかれて、ちょっとだけ図書館に寄りました。残念ながら古本市が開催されるのは31日でした。
 館林の図書館には、サンリオSF文庫がかなりの数(棚1段分 50冊ぐらい)揃っていました。 『パヴァーヌ』は見あたりませんでしたが、貸出中だったのかも。

 ブック・オフ館林店では、コバルト文庫の棚をチェック。館林店には割と初期の本があります。 1980年以前のものの発行日をチェック。

 購入本は以下の通り。
『魔法使いの台所 まとめづくりと手早い料理』(婦人之友社)
・原田智子『グリフォン』(新書館 ペーパームーンコミックス)
・石津嵐・著 豊田有恒・原案『宇宙戦艦ヤマト』(ソノラマ文庫)
・神坂一『スレイヤーズ!』(富士見ファンタジア文庫)

 『宇宙戦艦ヤマト』(ソノラマ文庫)は、ソノラマ文庫についての資料として拾いました。 昭和53年(1978年)の本(発行は1975年)で、巻末に整理番号70までの既刊一覧が載っているんです。 光瀬龍『暁はただ銀色』や中尾明『黒の放射線』もソノラマ文庫で出てたのを知りました。
 夫も『宇宙戦艦ヤマト』はもっているそうで、ついでに巻末の既刊一覧を見て、「これとこれも持ってる!」と騒いでましたから、実家を発掘すればもっといろいろ出てくるかも。 うちの夫は薄いけど年期は入っているオタクなので、その気になればホームページ開けるくらいの資料はもっているような気がします。


1999.10.31(日)

ヤングアダルト

 【青木みや】さんからヤングアダルトについての定義の話題が……。
YAについてはこのへんで話題になっていましたが、結局ちゃんとまとめられなかったんでした。

 書店的には、14歳から19歳ぐらいまでの読者を対象とした本(小説とは限らない)ということになっているようです。 中学・高校生向けの本ですね。
 図書館的定義も同じようなものですね。児童書コーナーや大人向けコーナーに置くとしっくりしない本全部のことです。
 赤木かん子的定義だと、アダルトチルドレン的なテーマが入り込むようではあります。
 ワタクシ的な定義は、ここここ。出来のいい作品だけが「ヤングアダルト」。(笑)

 「児童文学」「ジュブナイル(juvenile)」よりも対象年齢が上の本という感じでしょうか。
 「少年少女」というのも外れてはいないと思いますが、それだと小学生・中学生向けという感じがするかな。
 「ライトノベル」というのは、NIFTY SERVE(というか@niftyというか)の方言だったようです。 「ノベル」っていうぐらいだから小説のみをいいます。 コバルト文庫、スニーカー文庫、富士見ファンタジア文庫に入っている小説全般の呼称ですね。 書き手の中には「軽い」の意味が含まれるのを好まない人もいるようですが。 (なお、私は「軽い」の意味を含めて使っています。)

 一般的な普及度はどうでしょう? 若い人向けっていう意味では比較的通じる言葉だと思いますけれど。

ファンタジー原理主義者

 【うさぎ屋本舗10月30日の近況】の「ファンタジー原理主義者」についての話題を最初に持ち出したのは私です。(苦笑)

 とある場所で見たドラクエパロディ風の「ファンタジーの定義」を読んで、こんなこと書きましたの。

読みに行きました。のけぞりました。
私はほんとうはファンタジー原理主義者なので、ああいうの見るとああいうの見ると…… フ、フ、ファンタジーを舐めんな……と
くぅぅぅぅ……(←耐えてます)

はあはあ……失礼しました。

「あんなのはファンタジーぢゃないっ!」という言動は なるべくしないようにしているんですけどね。
「ファンタジーのヒトは怖いから」という理由で 素晴らしいファンタジー作品を書く人に 「これはハッピーエンティング・ホラーですっ!」 っていわれるようになったら困るから。
でもねぇ、しかし……。

 もともとの定義を書いた人に対してうらみを持つとかそーゆんじゃないんですけどね、 ゲームで見かけたガジェットを突っ込んでファンタジー一丁あがりっていう安易な気持ちで 「ファンタジー」を書くなよなぁぁぁぁ! とは思います。

 「ハッピーエンティング・ホラー」は、うさぎ屋さんにウケていただけましたが、 ホラーの人(というか怪奇の人というか)が見たら怒るでしょうね。すみません、冗談ですから。

コバルト文庫解説目録について

 Kさんからお借りした88年の目録のほかにも資料をお借りすることができました。
 Oさんからは、90年の目録と新川和江編『愛の詩集』(コバルト・ブックス)をお借りしました。
 I.Mさんからは、95年の解説目録を譲っていただきました。また、88年の目録もお借りしました。
(お名前を出してよいかどうか分からないので、イニシャルで表記させていただきます。)

(ここの内容は、「コバルト文庫リスト作成中!」 へ移動しました)



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