diary Alisato's 本買い日誌
1999年9月後半 *


1999年
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9月後半

9月後半の話題
9月後半の読了本


1999.09.15(水)

 本日はメモモード。
 季節の変わり目のせいか、なんか身体の調子が悪いです。眠い……。
 花郁悠紀子のページの更新作業完了。
 森博嗣『人形式モナリザ』を読み始める。調子がでません。

 【あおき】 さんのところにも精神年齢鑑定結果一覧があります。柴田よしきさんたちの名前も。
 昨日の精神年齢鑑定一覧のかんちゃんさんの精神年齢を転記し間違えました。正しくは34歳です。
詳しくは【ニムさんの掲示板】で。

『星界の紋章』のビデオ

 『星界の紋章』のビデオを見る。
 ラフィールの父ちゃんの声が塩沢さんだ。
 一緒に見ている夫にアーヴについての説明をしてみたりするが、意外にこれが難しい。アーヴには親が一人しかいないっていうことを伝えるだけでも大騒ぎ。 まあ巻を追ううちに、ビデオでも出てくるのでしょうが。

 それにしても絶世の美男美女のアーヴのみなさんと、地上人としてはいい線いっているはずのジント君と、ふつーの人のジントの友人君の容姿の差がそれほどでもないというのは、やっぱりちょっと……。

『てなもんやボイジャーズ』

 『てなもんやボイジャーズ』のビデオを見る。
これは面白いっすよ。オープニングが『ゲバゲバ90分』のテーマ曲。お若いかたは知らないでしょうが、大昔そういうギャグTV番組があったのよ。

 宇宙の彼方の私立校に赴任したのはいいけれど、経営破綻で学校は閉校、路頭に迷う新任女性教師と同じく路頭に迷う特待生の女の子。 そこへ落ちてきたのはロボットに乗った女の子。どうやら星間警察の手入れから逃げ出してきた星間ヤクザの関係者らしい。
 こうしてであった3人が、有り金はたいて地球行きの船の出る星までの星間列車(←ちょっと『銀河鉄道999』)のチケットを買ったはいいが、星間ヤクザからの刺客に追われ、星間警察にも追われるハメに。 いろんな犯罪を重ねつつ、TVCMでも使われていた「ああ〜、オチてゆくわたし〜」という新任女性教師の聞いている方が脱力しそうな叫びを残して、物語は次の巻へ。

 広島県警から星間警察に出向してきた(というのは表向きで本当は左遷された)凶暴な女刑事が好き。

■ マイク・レズニック『一角獣をさがせ!』

 マイク・レズニック『一角獣をさがせ!』(ハヤカワ文庫FT)読了。
伏線の張り方がイマイチで、あまり私好みではない。 まあ、私立探偵物ってだいたいそうなんですけどさ。カラザース大佐がかっこいい。(「カラザース」って、ここに出てきたのね。)


1999.09.16(木)

 明日は実家に帰るので、日記更新はお休みです。
 大宮、川口方面に大型書店がいくつかできたらしいので、そこを回る予定。 北与野のブックデボ書楽とか。書泉とジュンク堂もあるはずなので、これから調べます。

■芝田勝茂『夜の子どもたち』

 芝田勝茂『夜の子どもたち』(福音館)読了。(読み終わったのは、9/4)
 登校拒否の5人の子どもたちのカウンセリングを受け持った正夫とルミ。彼らは他人がみな表情をなくし、石のようになるのを見たのだという。 彼らの心を解放しようとする二人は、やがて街全体を覆う奇妙な習慣と伝説を知る。伝説のカレルピーとは? そして、Kプランとは?

 半分までは、カウンセラー正夫が殻を脱ぎ捨てて子どもの目線に降りてくる話。そこから先は、伝説と国家的陰謀が混ざり合った少年探偵団的展開。 でもラストまで行ってもまだ謎は解明されないというか、謎がさらに謎を呼ぶというか……。 最後まで読者を安心させてはくれない。

 わたしの読んだ福音館版では、「31 遊園地(8月8日)」という章があるのだが、パロル舎版では、この章は存在しないらしい。 でも私にとって、一番衝撃的だったのは、この章だったりする。TDLに行ったとき、この本のシーンが頭に浮かんできてしょうがなかった。 テーマパークについて、作者の言いたいことは分かる。ただ、子どもたちには別の言い分があるかもね。

 ファンタジー仕立てのせいか『星の砦』より読みやすかった。 ファンタジーだと「気持ちに逃げ場がある」(←ワタクシ的用語。うまく説明できない)ことができるけれど、あんまりリアルに描かれるとしんどくってたまらない。 だからリアリズム小説嫌いなんです、私。

■荻原規子『これは王国のかぎ』

 荻原規子『これは王国のかぎ』(理論社)読了。
 失恋して最低最悪の気分の中で15歳の誕生日をむかえた「上田ひろみ」は、気がつくとアラビアン・ナイトの世界の魔神族(ジン)になって、王国のお家騒動に巻き込まれていた!

 ファンタジーの世界で失恋した女の子が自己セラピーする物語。氷室冴子『シンデレラ迷宮』(集英社コバルト文庫)とか、三岸せいこ「夜汽車にのって……」(少女マンガです。もしかしたら単行本未収録?) なんてのと同じようなお話。こういう物語には傑作が多いです。実感こもっているからかなぁ。 この作品も面白いです。主人公が元気よくてけなげで可愛い。登場人物のハールーンもラシードもアズハルも可愛い、可愛い。 語り口は女の子の一人称ですが、ちゃんと文章の書ける人が書いているからあぶなげがないし、多分作者自身の内部言語に近い言葉だからうそ臭くもない。

 コバルト文庫とハードカバーの児童書の間に位置するジュヴナイルというか、正しいYAだと思います。  ほんとはこういう本はハードカバーじゃなくてソフトカバーで出して欲しいんだけど、そういうサイズの本があんまり定着しないみたいですね。 新書よりちょっと大き目の、スニーカーブックスのサイズが一番ふさわしい気がする。

 荻原規子は、ずっと気になっているのに手をだしかねていた作家だったのですが、これならOK。『西の善き魔女』、いくぞー!


1999.09.17(金)

横浜の実家へ帰る

 やっぱり雨だー。どうして、私が出かける日は雨なのだ?
 インターネットで、これから寄る予定の本屋の場所を確認。


ジュンク堂書店大宮店 大宮 大宮ロフト7F
ブックデポ書楽 北与野 アルーサ内
書泉ブックドーム 川口

 うーん、北与野駅(埼京線)と川口駅(京浜東北線)の両方に寄るのは無理みたい。 となると本命はブックデポ書楽ですね。

 今回の目的は、『トルネコの冒険2』(プレステ用ゲーム。念のため)と倉阪鬼一郎の本とパロル舎の本を買うことですね。 って、書いとかないと忘れちゃうんだよ。
では、いってきまーす。

ブックデポ書楽

 といって、やってきたのは埼京線北与野駅近くにあるブックデポ書楽である。大宮のジュンク堂にも寄るつもりだったけど、雨が降っていたので、やめたのだ。
 ブックデポ書楽は、北与野駅ホームからすぐ見えるところにある。というより、ホームからはそれしか見えない。

 いままで私のお気に入りの書店は神保町の三省堂書店本店だったのですが、これからはブックデポ書楽です。 いやもう、すっばらしいです。私の理想の本屋です。こういう書店が埼玉にあることを世界に誇りたいです。
 特に異様なまでに充実した幻想文学の棚は一見の価値がありますパソコンでの書誌情報検索では棚番号まで出てくるし、店員の対応も丁寧だし、 新聞雑誌の書評に取り上げられた本はまとめて展示してあるし。 要するに私が8月19日の日記で書いた書店と書店員に望む点は、ほとんど満たしています。その上、店内のいたるところに椅子がおいてあるし、自動販売機コーナーもあるし、喫茶店やレストランも入っている。 何時間いても飽きません。すばらしい。

 『季刊 幻想文学』のバックナンバーは揃っているし、なんと三一書房版の中井英夫全集も全巻揃っていました。これは、アトリエOCTA出張所(?)のお膝元だというのが、関係しているのかもしれません。幻想文学に比べるとSF関連は弱いようです。 SFマガジンのバックナンバーも揃っていました。ミステリマガジンの方は見当たりませんでしたが。小説すばるのバックナンバーなどもあったようです。

 2階のコミック売り場では、複製原画のカラーコピーを展示して、花郁悠紀子フェアをやっていました。 ただ、このコミックス売り場、レストランからの匂いが流れてくるのが、ちょっと……。

 購入したのは以下の本。

・倉阪鬼一郎『百鬼譚の夜』(出版芸術社)
・芝田勝茂『ふるさとは、夏』(パロル舎)
・森下一仁『現代SF最前線』(双葉社)
・ウォルター・デ・ラ・メア『なぞ物語』(フレア文庫)
・鐸木能光『インターネット時代の文章術』SCC
・竹本健治『入神』(南雲堂)


1999.09.18(土)

 実家で一泊。ノソノソと起床して、横浜駅近辺で買い物。『トルネコ2』買いそこねました。(涙)
 夫は新米を手土産に夜中に横浜に到着。そのまま実家で一泊。

横浜で本を買う

 以下の本を購入。

・波津彬子『雨柳堂夢咄 其の七』(朝日ソノラマ)
・軽部華子『くみちゃんのおつかい』(朝日ソノラマ)
・今市子『あしながおじさん達の行方』(花音コミックス)
・大野香織子『翠天回帰』(プランニングハウス)

『剣魔界』

 『剣魔界』というのは、1980年代に活動していたヒロイック・ファンタジーの同好会です。その会が発行していた同人誌が『剣と魔法』で、Vol.5まで出ていました。 わたしはここで描いていた根本ひかるさんという人のファンで、Vol.2、Vol.3、Vol.5号を買ったりしていたのです。

 さて最近、【ここ】であの小谷真理さんが『剣魔界』のヒトだったと知り、実家で『剣と魔法』を掘り出してきました。 読み返してみるとすんごいメンバーが描いている。なにしろあのひかわ玲子さんが漫画を描いてる。 あのファミコン版ウィザードリィのイラストの末弥純さんが「ファンタジーのお仕事ください」なんて書いてる。(笑) 漫画家さんでは、根本ひかるさんとか松本霊古さんとか小野和子さんとか鯨岡千慧さんとか。もちろん小谷真理さんもペンネームでイラスト載せてるしぃ。

 そうかそうか小谷真理さんというのは、こーゆーヒトだったのか。(イメージ再構築中)

 ファンタジーについての座談会記事なども載っているので読みふけってしまいました。 で、分かったことがひとつ。一口にファンタジーファンといっても、ひかわ玲子さんや小谷真理さんのようにヒロイック・ファンタジーを基本にしているのと、 私のように児童文学を基本にしているのとでは、明らかに立っている場所が違うということ。 立っている場所が違うから、ファンタジー観も違う。ということで、この話はそのうちワタクシ的ファンタジー論へ続くのだ。多分。

■森博嗣『人形式モナリザ』

 森博嗣『人形式モナリザ』(講談社ノベルス)読了。
 白樺湖周辺の美術館で起こった盗難事件と殺人事件に巻き込まれた瀬在丸紅子たち。

 今年の夏に私も行ってきた白樺湖周辺を舞台にしているものの、架空の美術館やテーマパークが舞台なので、臨場感はあまりない。 もともと情景描写で見せる作家ではありませんしね、森博嗣は。

 このシリーズは、犀川&萌シリーズと比べると妙に読みにくいのですが、ようやくその理由がわかりました。 登場人物が誰一人として本当の自分を見せていないから、感情移入ができないんです。みーんな謎だらけ。紅子や保呂草はいうまでもなく、 一見単純そうに見える香具山紫子や小鳥遊練無ですら、読者に見せている顔が本当の彼らかどうかは分からないわけで。


1999.09.19(日)

 横浜の実家を出発して、スカイラークガーデンのビュッフェで朝食をして、お昼ごろ埼玉へ戻る。くたびれたので、そのまま昼寝。

旦那が本を持ってきた

 夫が土曜日に自分の実家から運んできたという本を見せてもらう。松本零士とかあしべゆうほとかホーガンとか豊田有恒とか平井和正とか。 松本零士は、けっこうレア物も混ざっているような気がするので、ブック・オフに持っていくのは少し待ってもらって古本パティオにリストを流すことにする。

「あとアンドレ・ノートンとかムアコックとかがあるんだよね」というので、
「太陽の女王号(ソーラー・クィーン)?」ときいてみるのだが、きょとんとしている。
「松本零士の挿し絵?」と改めて尋ねると、
「そうだ」という。
「まさかC.L.ムーアはないよねぇ」ときいてみると、
「ある」というんだな、これが。
 わーーははは、わかりやすすぎっ! オヌシ、松本零士の挿し絵で本を買ってただろーっ! 私もそうだっ!(笑)
 そういえば、持ってきた本の中にタニス・リー『闇の城』(ハヤカワ文庫FT)とかジェイン・ヨーレン『夢織り女』(ハヤカワ文庫FT)なんてのがあって、変だなぁと思っていたのだが、 これも挿し絵が天野喜孝なのだ。やっぱり挿し絵で買った本に違いない。

 ということで、ある年代のSFファンの行動パターンを示すオハナシでした。
 ある時期までは、アニメファンとSFファンってのは重なっていたんですよねぇ。


1999.09.20(月)

家のメンテナンス

 家の外壁に苔がはびこってきたので、業者の人にクリーニングを頼む。ブラシでこすったぐらいじゃ取れないんで、特殊な薬品で駆除するらしい。
 2時間ほどで、外壁はぴかぴかになった。でも、ン万円かかった。まあ、安いほうだとは思いますが。

 この間は浄化槽のモータを替えて排水管を掃除してもらったし、家のメンテナンスというのは、なにかと物入りなのだ。

 やれやれと思って、夜の手話講習会に出席して、戻ってきてから夕飯を食べていたら、エアコンから妙な音がっ! なんだなんだと思ったら、送風口から水があふれてる〜〜っ! 旦那が一緒だったのでよかったものの、私ひとりだったらパニック起こしていたかも。

 ともかくエアコンを止めて水を拭き取り、明日点検と修理を頼むことに。
 ああ、またお金が……。


1999.09.21(火)

 エアコン修理は24日。家の中を片づけないと。
 台湾地震。波津彬子ファンのHANAさんは大丈夫だろうか……。

◆竹本健治『入神』

 竹本健治『入神』(南雲堂)は、ミステリ作家竹本健治による書き下ろし囲碁漫画。
 漫画家から小説家になった人はけっこういるけれど、小説家が漫画家デビューするのは、めったにないことでしょう。 小説家の多くは漫画を描いていたことがあるみたいですが、ストーリーはともかく絵のほうが問題になるんでしょうね。

 で、竹本健治ですが、絵柄は大昔の石ノ森章太郎というか竹宮恵子というか坂口尚というか作画グループというか……。 25年ぐらい前の線ですね。絵柄って描いていると変わっていくんだけど、描かないとそのまんまなんだよねぇ。 (【フクさん】のところで、小山田いくに似ているという説を発見。いわれてみればたしかに。)
 一歩間違えると古臭い絵と切り捨てられかねないところを、アシスタント千人針という荒業で乗り越えるあたりが、さすがはウロボロスシリーズの作者というか。 錚々たるアシスタントの名前一覧を見るためだけでも、本を買う価値はありますね。

 個人的には京極センセの水木点描と水木文字の「パヒョーン」(『メフィスト』p.484参照)を期待してたんですが、点描はあったけど「パヒョーン」はなかったです。って、あったら変だよねぇ、やっぱり。

 ストーリーは、十七歳で史上最年少の本因坊となった若き天才囲碁棋士・牧場智久と彼のライバルであるもうひとりの天才・桃井雅美との命を削るような攻防線を描く本格囲碁漫画。 囲碁を知らなくっても、それなりに面白かったです。

 ワタクシ的には、オスカー顔の植島君とクールな氷村さんがかっこよく描けているコマがあったので、どんな欠点があってもすべて許す。


1999.09.22(水)

 『エンジェルスリンガー』を読もうと思ったら見つかりません。いったいどこに……。
(99.09.24 車の中に落ちてました)
 倉阪鬼一郎『百鬼譚の夜』を読んでます。「黒い家」は、前評判どおりの傑作。

 『トルネコ2』が買えないので、悔しくて『風来のシレン』をひっぱり出して遊ぶ。『シレン2』は、ニンテンドー64で出るらしい。こんなことせずにハヤカワ文庫FTのページとか、リンクページとか、更新せねばならないんですが、なかなか進みません。

■森岡浩之『月と炎の戦記』

 森岡浩之『月と炎の戦記』(角川スニーカーブックス)読了。
 お笑い日本神話。でもファンタジーまがいじゃなくて、「ワタクシ的に正しい」ファンタジーだと思う。 根性悪のツクヨミ様がすばらしい。登場人物全員がスポール様な性格なんだよなぁ。

(1999/10/01 追記)
 どこら辺が「ワタクシ的に正しい」ファンタジーかというと、まず、神々が、コスプレしている現代人ではなく神格をもった存在として、描かれている点。お笑い日本神話のどこに「神格」があるのかといえば、「神々にとっては人も蝶もおなじようなものだ」というところですね。
 次に、正しく「神話」である点。これは最後まで読めばどういうことか分かります。
 それから、ファンタジーの命である描写力の点でもしっかり合格。『星界の紋章』を読んでいるときは気がつきませんでしたが、こーゆー人だったんですね、森岡浩之。さすがは《星界》シリーズに、『ペガーナの神々』を持ち込んだだけのことはあります。

 ファンタジーファンは読んでみるべし。

◆軽部華子『くみちゃんのおつかい』

 軽部華子『くみちゃんのおつかい』(朝日ソノラマ)読了。
 この作家のカルトな作風は筆舌に尽くし難いので、ぜひとも書店で実物をご確認ください。A5版の本です。

(1999/10/01 追記)
 どういうオハナシかというと……。
「くまたん
 あのね くみね
 これからお買い物なの
 お母様のレバニラのためなの」
 女王様なボンデージスタイルのお母様のためにレバーを買いにいったくみちゃん。
 まっすぐ行けば着けるはずのシュウイチ君のお家にいくまでに迷いの森で迷ってしまって、堕天使様に道を聞きました。 (そこで何があったかは誰も知らない)
 その頃、肉屋のシュウイチ君は人肉解体の真っ最中で、愛しのくみちゃんのために自分自身の最高級のレバーを差し出しました。  くみちゃんは、くまさんの中にシュウイチ君のレバーを詰め込んで、無事にお家につきましたとさ。

……。やっぱり変な話だ。鬼畜なヒトもいろいろ出てくるので、そーゆーの好きな人にはお勧め。

桜草色の髪の乙女

 タニス・リーの『闇の公子』に「桜草色の髪」のというのが出てくるんですが、この間まで私はこれがピンク色だと思っていました。 「ピンク色の髪??? 変だなぁ?」と思いながら。でも、どうやら原文は primrose、 サクラソウ はサクラソウでも、濃い桜色の「桜草」じゃなくて「西洋サクラソウ」「キバナサクラソウ」「プリムラ」のことらしいんですね。 ピンクじゃなくて明るい黄色なんですわ。だったらプリムラ色って書いてくれよー。

(99.09.25)
 もちろん「プリムラ色」がだめだってのは分かっているし、他に選択肢がないってのも分かっているんですが、でもやっぱり……う〜。

 なお小学館の『色の手帖』には、桜色はあっても桜草色ってのはないですね。

 そういえば、「青銅」というのもイメージが混乱する言葉です。bronzeの訳なんでしょうが、どうしても緑青色のことを思い浮かべてしまう。 だから、青銅色の髪というと「緑色の髪? 『グリーン・レクイエム』ですか?」と……。 「赤銅」だったらまだイメージが湧くんですけどね。『色の手帖』によれば、「紫金」「烏金」という言葉があるそうなので、そういうのを使ってくれればいいのにと思います。
 だだの「銅色」ならOK。十円玉の色ですからね。


1999.09.23(木)

大学の同窓会

 大学の同窓会のため、渋谷に出る。電車の中で、本多勝一『日本語の作文技術』を読む。

 渋谷についたのが待ち合わせ時刻より1時間も前だったので、ブックファーストに寄ることにする。

 時間がきたので、待ち合わせ場所へ。同窓会は大学キャンパスで開かれていて、まるで中年のための学園祭みたいな雰囲気。(と、去年も書いた気がする) 今回の目玉は、母校の教員になった友人の研究室を見せてもらうことである。 研究室に行く途中で、同窓会入場券についていた券で福引きをやり、私は3等賞のせんべい詰め合わせセットをゲットする。 せんべいじゃなくてクッキーの方が良かったんですが。

 友人の研究室では、研究費で買ったばかりというメビウスノートを見せてもらう。 その後、学食でラーメンとジャンボプリンを食べる。ン十年前と変わらない味……かな? 昔のクラスメイトともばったり会うが、私はさっぱり名前が思い出せない。向こうは私たちのグループ4人全員の名前を覚えていたというのに!

 その後、公開授業というのに出席して、クッキーを買って、お茶して解散した。

渋谷ブックファースト

 はじめて行った。渋谷には年に1回ぐらいしか行かないからなぁ……。文化村通りを東急本店に向かっていくとあるんですねぇ。 おしゃれな大型書店。

 1階は新刊と雑誌コーナー。おしゃれなレイアウトです。

 2階が文学コーナー。海外文学は国別の棚になっています。充実してます。書楽、負けてるかも。 でも渋谷と北与野の立地条件を考えると、こんなもんでしょう。書楽には椅子があるから、その点は勝ち。
 上りエスカレーターの正面が新刊コーナーで、その裏が幻想・伝奇のコーナー。書楽に負けないくらい充実してますが、ラインナップはホラー寄り。 私としては、比較的児童文学寄りの書楽の棚の方が好きです。
 本多正一『彗星の日々-中井英夫との四年半-』をみつけて購入。これ、自費出版の本だったらしい。

 3階は専門書、4階はビジネスと語学のコーナー。5階がコミックと児童書のコーナーで、コミックのコーナーはしっかり隔離されている。 平台で波津彬子と名香智子の本を集めて置いてあるのを発見。おそらく書店員の趣味でしょう。 八房龍之介『宵闇眩燈草紙』(電撃コミックス)を発見し、購入。A4版の本です。

『トルネコ2』だっ!

 さくらやでPS用ゲーム『トルネコの大冒険2』を買う。ニフティのゲーム仲間はしっかり15日の発売日に手に入れて、盛り上がっているのに、仲間に入れなくてさびしかったのだ。

 グラフィックやキャラクターは前作『トルネコの大冒険』を踏襲しているものの、「保存の壷」や「合成の壷」といった『風来のシレン』風のアイテムや店のシステムも加わっているらしい。 お金を貯金できて、買い物ができるシステムは嬉しい。 残念ながら私の得意技の銭投げは、ほとんどダメージを与えないようにシステムが変更されている。『風来のシレン』のギタン投げは強力でしたからねぇ。

 PSではオートセーブはできないので苦しまぎれか「中断の巻物」なんていうアイテムができた。 アイテムを失ってもリセットが効くようになってしまったのですねぇ。そーゆーのは、自ら禁じ手にしないと……。

 とりあえず潜って、サクっと火吹き山まで進む。アイテムの名前が確定されているから、とっても楽。目的の階が比較的浅いので、何も考えずにモンスターを殴っていれば辿り着けます。

リストが役にたつとき

 【大森Sci-Fi掲示板】でのギロンに角川ホラー文庫のリストが引用されたようで、こういうのはリスト作成者として大変に嬉しい。リスト作っているときって、こんなの誰が見るんだろうと、むなしい気分になることもありますからねぇ。

 一緒に引用されていた【芥川賞、直木賞、すばる賞のリスト】は、面白かったです。 ホラー大賞の受賞作リストもあるといいですねぇ。

■本多勝一『日本語の作文技術』

 本多勝一『日本語の作文技術』(朝日新聞社)読了。  読む側にとってわかりやすい文章を書くための技術を説明した本。とてもわかりやすくて役に立ちます。1982年刊行ですが、いまでも現役の本なんじゃないかな。もっとも私は古本屋で買いました。本多勝一が嫌いだから、印税なんかやりたくないのだ。

 誤解されにくい語順についてや句読点の打ち方、漢字とひらがなの配分、助詞の使い方などが載っています。 ついでに「無神経な文章」なんていう章もあります。

 作文技術の解説ついては別に文句ないんですが、使われている例文がなにやら意味深なのが気になります。 サブリミナル効果をねらってんじゃないかとか、普通の原稿に書くと編集者に削除要求を出されるから例文として出してやろうと思っているんじゃないかとか勘ぐりたくなります。 たとえばこんなの。

====引用開始====
戦争犯罪人・岸信介を総理大臣に選んだかなしき日本。
====引用終了====
(p.78)
====引用開始====
ケネディー大統領をダラスのパレード中に暗殺し、下山国鉄総裁を自殺とみせかけて暗殺する。これがアメリカ独占資本とその走狗のやりかただ。
====引用終了====
(p.96)

 作文技術についての本を読むつもりでいると、例文で著者の政治思想を読まされてしまうというのが、なんか厭。
 こういう一歩間違えば「トンデモ」系になってしまいそうな本多勝一の口調とやり方が私は嫌いなんです。

■本多正一『彗星の日々-中井英夫との四年半-』

 最後の助手・本多正一による中井英夫の最晩年を記録した写真集。
 壮絶な絆。

 素顔の中井英夫は、なかなかに困ったヒトであったらしいが、「伝説」すなわち伝え聞く説である限り、それもまた美しい。 コンピューターにも興味をもっていたという彼の人が、インターネットなんぞが普及していない時代に生きたことは読者としては感謝すべきことなのかもしれない。


1999.09.24(金)

 実は誕生日。いくつになったかは内緒だ。っていうか、本人も覚えていないのだ。

エアコン修理

 水が漏れるのは、排水用のパイプが詰まったせいだったらしい。
 新築時に付けてもらったエアコンなので、排水パイプが壁の中を通っているのだが、こういうタイプはパイプが水平になっている部分が長くて水垢が詰まりやすいのだそうだ。

 やってきた修理のおじさんは、先ずはちょいちょいと本体カバーをはずした。それから水の入ったヤカンを要求し、排水用の水受けに水をそそぎ、流れていかないのを確かめると、こんどはバケツとぞうきんを持ってこいという。 私がバケツを手渡すと、水受けの水を慎重にバケツにあけて、排水パイプをはずし力いっぱい息を吹き込んだ。で、元どおりパイプをつなぎ、ヤカンの水をそそいでみて排水されるのを確認して、カバーを付け直した。 これで修理完了。20分もかからなかった。

 あまりに簡単そうな作業に依頼人が不信感を抱くといけないと思ったのか、カバーを外したり付けたりするのは素人には難しいことを力説する修理のおじさん。はいはい、分かりました。これからも、ちゃんとプロにお願いします。
 これで修理費一万円なり。高いと思うけど、出張費込みだと、こんなもんなんだよね。

◆八房龍之介『宵闇眩燈草紙』(電撃コミックス)

 【林哲也さん】の日記で見かけて、ピンときて探しまわった本。てっきり小説だと思っていたら、マンガでした。 (99.09.25 見直したらちゃんと電撃コミックスって書いてあった)マンガでも好み。我ながら良い勘でした。

 邪悪な「雨柳堂」といった感じの骨董屋の女主人と、魔道使いの謎の東洋人ヤクザと、魔物になつかれやすい医者とがアヤシイ事件に巻き込まれる連作短編集。作者自ら認めるように内容の統一性は取れてませんが、面白いからいいじゃん。
 続刊にも期待。


1999.09.25(土)

ブック・オフ水海道店

 筑波ヘいくつもりだったが、気が変わって水海道へいくことに。途中で寄った洋食屋のぐちというオムライスとシチューの店が美味しかったので、また行こう。 (メモ:ランチはAM11:00〜PM2:00。夜は、PM5:00〜PM:10:00。久能交差点から北利根公園へ向かったところ)

 ブック・オフ水海道店では、以下の本を購入。

・柳田有里『魔性の郷』(講談社X文庫ホワイトハート)
・柳田有里『禁断のカノン』(講談社X文庫ホワイトハート)
・柳田有里『蝶の眠り』(講談社X文庫ホワイトハート)
・夢枕獏『キラキラ星のジッタ』(集英社文庫コバルトシリーズ)
・新川和江編『花の詩集』(集英社文庫コバルトシリーズ)
『SFマガジン 1990年11月号』怪しい日常 マジカル・リアリズム特集
『SFアドベンチャー 1992年3月号』
・MAYZON『夢見森のモーリス』(小学館PFコミックス)
・MAYZON『夢見森 猫地区の御神木』(小学館PFコミックス)

(1999/10/01 追記)
 『SFマガジン』は8冊ぐらい、『SFアドベンチャー』は12冊ぐらいが雑誌の棚においてあった。 どうやら同じ人が手放したものらしい。 『SFマガジン』はファンタジー特集の号が多かった。『夜想』の戯曲特集や『ユリイカ』も1冊づつあったところをみると、元の持ち主は演劇好きのファンタジー読みの人だったのか?


1999.09.26(日)

 ダブリ本譲ります。青木オフ参加者の方でご希望の方は、メールください。オフ会で手渡しします。


1999.09.28(火)

 メガンテを唱えることに失敗し、MP使い果たしたので寝る。ゲームじゃなくて現実世界の話ですが。
 『トルネコ2』は、「不思議のダンジョン」の16階が最高。森や山でアイテムを拾ってくるヌルい日々をすごしてます。


1999.09.30(木)

 なんとか復活。

QXエディタを導入

 【QXエディタ】というシェアウェアソフトのことを鐸木能光『インターネット時代の文章術』(SCC)で知った。 カスタマイズが容易で、縦書き入力も可能でルビ指定やフォント指定して印刷もでき、マクロによる拡張性も高いエディタらしい。 縦書きはともかく、CSVファイル入力マクロやHTML支援のマクロが便利だというので、試してみることにした。

 使ってみると、確かに便利。
 特に【ねこみみの世を忍ぶ仮のホームページ】で手に入るQX用のHTML支援マクロは、下手なホームページ作成ソフトなんぞより、よっぽど軽快かつカユイところに手がとどく仕様になっている。
 キーワードリストのファイルを用意すれば、タグは色付きで表示してくれるし(これはマクロじゃなくてQXエディタの仕様)、ページ内のアンカーへもクリック一発で飛べる。おまけに保存&ブラウザ更新もクリック一発。すばらしいっ。

 ともかくシェアウェア代金を払うことに決定。この日記もQXエディタで書いてます。快適、快適。

 目下、秀丸エディタ用に自作したマクロをQXエディタ用に移植する作業に没頭中。BASIC文法なので、秀丸よりもきめこまかな指定ができる。プログラミングもたまにやる分には楽しいです。

◆MAYZON『夢見森のモーリス』

MAYZON『夢見森のモーリス』『夢見森 猫地区の御神木』(小学館 PFコミックス)は、『プチフラワー』掲載の猫マンガ。 死んだ動物たちが転生するまでのあいだ過ごすという「夢見森」のエピソードが綴られています。

 ますむらひろしのマンガをヴィクトリア朝妖精物語風の絵柄で描いたみたいな感じで、オリジナリティには欠ける(なにしろヒデヨシのそっくり猫まで出てくる)けれど、中身はしっかりとファンタジーです。もはや少女マンガの枠を超えています。(それがいいことなのかどうかは分からない。営業的には不利だと思う)

 私はブラッキーという小猫が気に入っています。彼は生後3ヶ月なのに生まれたばかりの小猫ぐらいの大きさしかなく、成長できなかったために母猫に育児拒否されて心に傷を負った小猫。世界が恐くて「空気になって」いたけれど、スモーキーという英雄猫に出会ってだんだんと世界を受け入れていったという設定。ゲジゲジを抱えたりして、なにやら妙に可愛いの。

 2冊目の「猫地区の御神木」あたりになると、三原順並みにネームが多くなって話がわかりにくくなるので、1冊目のほうがおすすめ。



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有里 alisato@geocities.co.jp
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