diary Alisato's 本買い日誌
1999年5月後半 *


1999年
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5月後半の話題
5月後半の読了本


1999.05.15(土)

神保町で友人たちと会う

 中学時代の友人の なかにしやすこ がグループ展を開いているというので、もう一人の友人の ヒグチヒロコと 神保町の書泉グランデのハヤカワ文庫の前で待ち合わせして訪ねることに。 私はちょっと早めに神保町に行って買い物をした。

書泉ブックマート

 おたく御用達の書店。一階には、SFとファンタジー、ホラー、ミステリ、ライトノベルズ等の文庫と新書が置いてある。 上に行くほどディープな世界が現れるはずだが、私はあまり足を踏み入れたことがない。

・妹尾ゆふ子『魔法の庭2 天界の楽』(プランニングハウス)……めざせ店内売り上げベスト入り!
・飯田雪子『再生のとき』(プランニングハウス)……紺野キタのイラスト目当て
・コードウェイナー・スミス『シェイヨルという名の星』(ハヤカワ文庫SF)

三省堂本店

 私の愛する書店。最近、棚の作りがイマイチな感じですが、何かあったんでしょうか?
 推理・SFコーナーでは、吸血鬼本のフェアを開催中。アン・ライスと小野不由美中心なのはわかるけど、『屍鬼の血族』がない! 三省堂本店ともあろうものが、けしからんじゃないかっ、と思ったら、棚の端の方で一冊だけ発見。どうやら在庫がなくなったので、フェアのコーナーから外された模様。 ちなみに『屍鬼の血族』は、うちのご近所に2冊も配本され、一冊は既に売れたらしい。
 『季刊 幻想文学』のバックナンバーを買おうと思っていたのだが、コニー・ウィリス『ドゥームズディ・ブック』(早川書房)を見つけてしまい、逡巡の末、コニー・ウィリスを取る。 勢いついたときでないと買えませんから。なんせ3500円。漬物石の代わりになりそうなほど分厚くて重い。 (『屍鬼』上下、『屍鬼の血族』、『ドゥームズディ・ブック』で漬けた漬物ってすっごくイヤ。って、使うなよ、そんなことに)

・コニー・ウィリス『ドゥームズディ・ブック』(早川書房)
・小林泰三『人獣細工』(角川書店)

 ここには『季刊・幻想文学』バックナンバーだけでなく、『SFマガジン』『ミステリマガジン』のバックナンバーも置いてありました。

書泉グランデ

 書泉ブックマートより大人向けの書店。毎月(?)デザインの変るブックカバーやしおりで差別化を図っている。 ブックカバーは魅力だが、棚の作りはイマイチだと私は思う。換気悪いし。

・ハリィ・タートルダヴ『精霊がいっぱい!』上下(ハヤカワ文庫FT)
・中井英夫『黒鳥譚』(創元ライブラリ)

 待ち合わせの時間を15分過ぎても、友人は現れない。さては、迷ったなと直感する。念のため、彼女の自宅に電話してみるが、留守電が応答するのみ。 やっぱり迷ったに違いない。仕方がないからグループ展が開かれている画廊で待つことにする。
 待ち合わせ時間から30分後、ようやく 友人登場。書泉グランデを探してすずらん通り(書泉グランデの裏を通っている道)を何度も往復したらしい。 なかにしやすこは、別の友人と昼食の約束があるというので、残ったわれわれ二人は昼食と買い物に出る。

三省堂本店 再び

 昼食をとってから、再び三省堂本店へ。
 コミック売り場で、スコラの本の在庫分を売っているのを発見。岡野玲子/夢枕獏『陰陽師』が白泉社『メロディ』で連載再開というのを知る。 『メロディ』ってのは、一昔前の『花とゆめ』の読者をターゲットにした、白泉社版『プチフラワー』みたいな雑誌ですな。『スケバン刑事』のパラレルワールド物が載っていたり、今市子が描いていたり、なんでもあり〜な雑誌ですね。
 で、そこで友人に岡野玲子『妖魅変成夜話』をおすすめしたところ、おもむろに立ち読みを始めてしまった! 忘れてた、こいつは中学時代からこーゆー奴だ。 読み終わるまで絶対動かないんだ。仕方がないので、売り場を徘徊。
美術工芸コーナーで、日本の文様に関する本を買う。

 結局立ち読みで一冊読んでしまったらしい友人を伴って、文庫本売り場へ。 時間を決めて、自由行動することにする。最初からそうすればよかったね。

・さくらほりきり編『日本の文様 伝統の色と型』(クレオ)
・森博嗣 『黒猫の三角』(講談社ノベルズ)
・別役実 『もののけづくし』(ハヤカワ文庫)
・テオフィル・ゴーチエ 『吸血女の恋』(社会思想社 現代教養文庫)

「こだまのあとだま」のせいで、『もののけづくし』を買ってしまった人は多いと思うぞ(笑)
 【社会思想社】の現代教養文庫には、他にシュペルヴィエル『沖の少女』なんていうのも入っている。 昔は、ハヤカワ文庫NVで出ていたのだが、ものすごく面白い幻想短編集なので、見かけたらゲット。三省堂には在庫がありました。

ホイリゲ古瀬戸

 画廊に戻ってうだうだとしたあと、なかにしやすこは、グループ展の撤収作業。
 その後、ホイリゲ古瀬戸(神田神保町1-15 杉山ビル地下1階 日曜休業)というワインとビールと大皿小皿料理という店で飲む。  私もイケルクチですが、あとの二人は酒豪とザル。3人でワインを2本開けましたが、経済事情が許せばもっと1本いったかも。(結局、なかにしやすこの奢りだった。多謝!)
 私とiMacを買ったなかにしやすこは、ヒグチヒロコに「早くパソコン買え!」と迫り、 私はあとの二人に『ゼノギアス』を遊ぶようにと迫られ、なかにしやすこは残りの二人に『ブギーポップは笑わない』を読むようにと迫られる。 しかしなぁ、ナイスミディパスで旅行に行ける年齢の女3人が集まって話題がこれだっていうのは……。

元SF読みの言い分

 さて、ワインを飲みながら話していて、話題がSFセミナーのことからSFへと向かいましたのです。
 なかにしやすこは、中学時代から日本SFを読んでいた人間で、私は筒井康隆も平井和正も幻想と怪奇関係の本もエリナー・ファージョンもみーんな彼女から教わりました。 で、そのなかにしやすこが、言うのですね。
「小松左京とかさ、最近本を見ないけど何かあったの?」
何かあったのって、私に聞かれても……(^_^;)。
「SFは売れないってことで、出版社が出してくれないらしいよ。」と答えると
「そりゃそうだろうね。私だってもうSFは読まないもの」と言うのです。

 こりゃ日記のネタになるじゃん、とばかりに、その言い分を聞いてみますと、
「日本のSFの主なものは全部読んでしまった。新作はもう魅力がない。現実の方がずっとSFだもの」 ということらしい。
「あ、でも『リング』は読んだよ」とのことです
ついでに『太陽風交点』と『星は、昴』は面白かったらしい。でも日本SFに疎い私はそういわれてもパッと反応できないのであった。 (誰が作者かも知らなかったので、調べました。『太陽風交点』は堀晃作、1979年刊行。『星は、昴』は、谷甲州作、ハヤカワ文庫JA。)

 どうも彼女の考えるSFってのは、小松左京あたりを中心とした未来の社会を描いた作品なんですね。 だから現実がこんなに閉塞した状況ではSFなんか読みたくないと……。
 でもそーゆー理由だと、SFがサイなんとかに名前を変えても結果はおんなじような気がする。ってゆーか、名前が覚えにくくてカッコ悪い分、不利かも、サイなんとか。

 もう一人の友人ヒグチヒロコは、主に海外ミステリを読んでいて、SFはあまり読まないらしいけれど、 なぜか『ブキーポップは笑わない』を読んでいたりする。通信もしていないのに、いったいどこから情報を仕入れるんだろう?


1999.05.16(日)

■妹尾ゆふ子『魔法の庭2 天界の楽』

 妹尾ゆふ子『魔法の庭2 天界の楽』(プランニングハウス)読了。
 アストラがなぜ南方王国から追われているか、氷姫の庭で何があったかが判明する。

(例によって、ネタバレと思われる個所はあぶり出し)
アストラ君ってば、南方王国にいるときには、こんなにかっこいいヒトだったのね。 (それが、なぜ北方王国へ来るとあんなに……以下略(笑)) 今回のお話は耽美小説コーナーにおいても違和感がないですね。(笑) もう少しヨコシマな展開でもよかったかもと、やおいの血が入っていない私でさえ思うので、やおいな人はもっと思うでしょう。 いや、そーゆー話ではないのは、分かっているんですけどね。

 今回一番印象深かったのは、アストラのおかあさん。 北方王国に心を奪われた夫と暮らしていて、果たして彼女は幸せだったんだろうか? と前作を読んだときから気になっていたんです。
実は、私はてっきりアストラ君のお父さんが、イザモルド様の想い人だと思っていたので、 予想がハズれた〜と思ったです。でもアストラのお母さんが、夫を北方王国に取られたも同然っていうのは、間違いないわけで。
多分それなりに幸せだったんだろうな、と思うことにしました。 たとえ自分が夫のあこがれる北方王国の一部に過ぎないとしても、自分の存在を丸ごと受け入れてくれる人の側にいられるというのは、彼女が初めて掴んだ平安のはずだから。 しかし、この人も苦労しますな。息子が出世して一安心と思ったら、ああいう展開で……。 お国で辛い目にあっていないといいんですが。
それにしても、私って、なんで脇役にばかりこだわるんだろう?

 緑の館の主は、もしやシリエンのお姉様? でも、この方、死んでるみたいに思えますが〜。 いったい過去に何が……。


1999.05.17(月)

やけど

 料理の不手際(自業自得なんだけど)で、左手と口元にやけどを負う。必死で冷やしたので、それほど酷くはならないと思うが。 (99.05.19 口元のやけどはカサブタになり、一見すると、「電車の中で化粧してたら急ブレーキかけれて口紅がはみだした」ような顔に見える。 恥ずかしいので買い物に出られないんである。)

■森博嗣 『黒猫の三角』

 森博嗣 『黒猫の三角』(講談社ノベルズ)読了。
管理人さんの代わりに名香智子のレディ・ギネヴィアが出てくる『めぞん一刻』。違うか。 でも瀬在丸 紅子(なんと「瀬在丸」一発変換!「小鳥遊」はだめでした。)は、絶対レディ・キネヴィアのイメージだと思うぞ。


1999.05.18(火)

ふたたび台湾の漫画について

 送信者の月さんの許可をいただいて、4月15日付けの日記の台湾の漫画について感想メールを転載しました。
中国語サイトを見るときの字化け対策についてのページや台湾の漫画家さんのページも教えていただきました。
中国語表示法
ciw電脳口座--中国語文字化け対応
やっぱり中国語フォントをインストールしないとだめなんですね。

素蘭的漫画魔法殿堂
 台湾の漫画さんも、絵、巧いなぁ。

■山田正紀『宝石泥棒』

 山田正紀『宝石泥棒』(ハルキ文庫)読了。
 甲虫を守護神に持つ戦士ジローは、恋する従姉妹ランへの思いをとげるために、女呪術師ザルアー、”狂人”チャクタとともに「月」を求めて旅立つ。という、ヒロイック・ファンタジーの雰囲気をたたえたSF。 ラストは間違いなくSFですが、この作品の「世界」の描写の素晴らしさの前には、ジャンル分けにこだわることなど無意味に思えてしまいます。 ファンタジー読みはさっさと本屋に走って、冒頭のむせ返るような熱帯雨林とそこに跋扈する幻獣たちの描写、第二章の草原の中にある奇妙な街の描写を堪能すべし。 女呪術師ザルアーの描きかたは、ヒロイック・ファンタジーのお約束という気がしないでもないですが、まあいいでしょう。
続編もあるそうですが、私はあんまり読みたくない気がします。

■小林泰三『人獣細工』

 小林泰三『人獣細工』(角川書店)読了。
 表題作は、動物からの臓器移植を繰り返し、自らのアイデンティティを喪失していく少女の物語。 グロテスクな物語なのにタイトルの「人獣細工」に示されるようなどこか硬質な美しさを感じさせるのが、この作者の不思議なところ。
 「吸血狩り」は、美しい従姉妹を吸血鬼の手から救い出すため、ひとり闘う少年の物語……かな? 作中に出てくるひらがなの固有名詞の意味がわからなくて、某MLで原典を教えてもらいました。「玩具修理者」とネタは同じでした。 「えいぜいとうとふ」って、「永世尊父」じゃなかったんですね。(^_^;)
 この作品集の中で最大の問題作は巻末の「本」でありましょう。私は、読むのむちゃくちゃ早くて、一字一句ないがしろにせずに読むということができない性分なので、もうダメでしょう。 私の場合、インストールは失敗してると思います。でもいくら成功したって、折れた指にコンパスぐりぐりは、嫌だぁ。
 それにしてもこのヒロイン(?)ってば、信じられねー女ですね。よだれくらい拭け!(笑) 私だったら、そんなに汚い本をそのままベッドに持ち込むようなことしませんが。汚れを拭き取るなり、カバーかけるなりすると思うんだけどなぁ、フツー。


1999.05.19(水)

小さな不幸の連続

 腰痛になったり、指を切ったり、やけどをしたり、小さな不幸が続いているが、今度は眼鏡が壊れた。 洗面所で、どうも右側がよく見えないので、レンズを拭こうとしたら、カチャーンという音とともにレンズが外れた。 フレームを止めている小さなネジが緩んでいたらしい。あわててネジを探したが、排水溝から流れてしまったのか、見つからない。 仕方なく、一世代前の眼鏡を引っ張り出すが度が合わないので、度入りサングラスをかけることにする。 黒縁にブラウンのレンズがはいっているやつで、おっきなリボンをしたら、香山リカ先生に似るような気がする。


1999.05.20(木)

 眼鏡のフレームのネジを発見。めでたくフレームを直して、夜なのにサングラスという怪しい生活にピリオドを打つ。

■コードウェイナー・スミス『シェイヨルという名の星』

 コードウェイナー・スミス『シェイヨルという名の星』(ハヤカワ文庫SF)読了。
「クラウン・タウンの死婦人」も「帰らぬク・メルのバラード」も良かったけれど、表題作のシェイヨルの住人たちのイメージのすさまじさには圧倒される。

 それにしても、コードウェイナー・スミスがダメなSFファンっているんでしょうか? いるとしたら、そういう人はどういう作品を読んでいるんでしょう?

■上遠野浩平『夜明けのブキーポップ』

 夫が東京方面で、上遠野浩平『夜明けのブキーポップ』(電撃文庫)を入手。 まだ読み終わっていないから貸さない、といっていたのを隙を見て奪い取って、読了。 これぐらいの厚さの本なら1時間半もあれば読めますから

 『ブキーポップは笑わない』の前日譚に当たる短編も含まれた短編集。 何本もの作品を読み進むにつれ、まるで万華鏡を回したかのように、自分の知っていたはずの「真実」が、別の「真実」の形に変る。
霧間凪がいっぱい出てきて、嬉しい。そろそろどこかのページで、ブギーポップの人物一覧とか登場人物行動表とか出てきそうですね。


1999.05.21(金)

LYCOS JAPAN リニューアル

 【LYCOS JAPAN】というインターネット検索ページがあるんですが、 そこが5月14日に全面リニューアルしたんだそうです。で、うちのコンテンツもいろいろ登録されているそうなので、覗いてきました。
 リンク集として、すんごく使えるページになってます。【hosokin's room】は、しっかりSFに分類されてます。
 ちなみに私のところで、登録されたのは以下のページです。(^_^)

花郁悠紀子〜花に眠れ〜
エンターテイメント > 漫画・アニメーション > 漫画家ファンサイト > 少女マンガ家
波津彬子ファンページ 〜波津パラダイス〜
エンターテイメント > 漫画・アニメーション > 漫画家ファンサイト > 少女マンガ家
赤木かん子著作リスト
芸術と人文科学 > 文学 > 児童文学
井辻朱美著作リスト
芸術と人文科学 > 文学 > 短歌
芸術と人文科学 > 文学 > SF・ホラー・ファンタジー > あ行の作家
ハヤカワ文庫FT総目録
芸術と人文科学 > 文学 > SF・ホラー・ファンタジー

 で、さっき【うさぎ屋本舗】(当然ここも【LYCOS JAPAN】に登録されている)を読みにいったら、 かっこいい「LYCOS SELECTION」の画像が貼ってあって、いいなぁ、私も欲しい〜、とライコスから届いたメールを良く見たところ、ちゃんと画像のことが書いてありました。 というわけで、これから画像を貼ります。


1999.05.22(土)

古本屋めぐり

 旦那と久々のブック・オフ巡り。大宮のブック・オフへ行くつもりで、その前にちょっと所用で岩槻のあたりを通ったら、新しい店舗ができていた。 元は洋服屋だった店。少なくとも2月に通ったときには、ありませんでした。この不況で、店舗整理が進んでいるようで、元気なのはブック・オフだけなのかなぁ?

ブック・オフ大宮店


・瀬名秀明『パラサイト・イヴ』(角川ホラー文庫)
・ダグラス・アダムズ『宇宙クリケット大戦争』(新潮文庫)
・林望『ホルムヘッドの謎』(文春文庫)
・小林恭二『悪夢氏の事件簿』(集英社)
・山田ミネコ『黄金の幻 白銀の夢』(フロム出版)

ブック・オフ岩槻店

 オープンしたばかりらしく、ブック・オフの本部から余っている本をもってきて並べたようなで、同じ本が何冊も並んでいる。 こういうのを見ると、どういう本がベストセラーとして「消費」されているのかが良く分かる。西村京太郎なんて棚二つ分を占拠していた。 すげー。コミックスなどは、揃いの巻が並んでいたりするので、なかなかよろしい。
・橋本治『青春つーのはなに?』(集英社文庫)
・名香智子『白面貴公子』(朝日ソノラマ サンコミックスストロベリー)
・名香智子『パールパーティ 4』(小学館 フラワーコミックス)
・TEAM猫十字社『幻獣の国物語 15』(宙出版 ミッシィコミックス)
・明智抄『死神の惑星』(集英社 EYESCOMICS)

眼鏡が仕上がる

 前のより小さくて軽くていい感じ。


1999.05.23(日)

エアコンの掃除

 夫がいるとインターネットできないので、仕方なく掃除を始める。エアコンの冷却フィンを掃除するスプレーというのを買ってきたので、試してみるがあんまり効果はなさそう。 問題なのは、冷却フィンじゃなくて送風ファンのようです。スプレーに付属していた柄付きスポンジでちょっと送風ファンをこすってみたところ、鳥肌が立つほどの汚れが……。 スポンジでかき出すしかないようなので、地道に作業。
 ところで、ふと思ったんですが、この日記って、掃除の話題って多いような?

 日記に見出しをつける作業を行う。


1999.05.25(火)

SFセミナーレポートのことなどなど

 【SFオンライン】が更新されていたので、読みに行く。
おお、SFセミナーレポートのページからうちのセミナーレポートリンク集にリンクが張られている。やったね。 さっさとリンク集作りに名乗りをあげた甲斐があったというものです。やっぱりインターネットって早い者勝ちだよなと思ったことです。

 ところで、小浜徹也さんの特別エッセイの「サイト主宰者同士の情報交換にとどまらない発信ができるはずだ。」というのは、ダサコンな人間だけで固まるなって意味なんでしょうか? うーん、SFのえらいひとがいっぱいいるような場所で、ダサコニストに何をしろと? 薄くてお気楽だからこその第三勢力だと思うんですけどね、私は。

 SFセミナーの昼の部で、ネット者ではないらしい女性とエレベータに乗り合わせて、「私、SFセミナー初めてなんです」「あ、私も初めてなんです」なんて話をしたんですが、 「どちらのご関係で?」という質問の「ワークショップです」と回答されてしまって、さあ大変。ワークショップって何だろう、と思いながら「私たち、インターネット関係なんです」と答えたら、そっから先が話が続かない。 真のSF者の人たちは、こういうコミュニケーションギャップをいかにして乗り越えていらしたのでしょうか?

■篠田節子『弥勒』

 篠田節子『弥勒』(講談社)読了。
とても凄い。傑作。でもベストには入れたくない気が。

 ヒマラヤ地方の架空の王国の文化に魅せられた男が、「革命」の起こったその国にうかうかと足を踏み入れ、収容所まがいの「村」に連行されるというお話。 革命政府の村では、完全なる平等を目指して僧や知識人を虐殺したり、むちゃくちゃな農法を取り入れてみたり、集団強制結婚をやってみたり、子どもを完璧な兵士に育てたりと、 どこかで見たり聞いたりしたことがあるような「政治実験」が繰り広げられていて、不潔で食べ物もなくて病気も蔓延し、人は死んだり殺されたり、もはや人間といえない状態で生きていたりするのだが、 それでも第一章で描かれた清潔で豪華な日本の風景よりも、こちらの世界の方がずっと充実して見えるのはなぜだろう。 悲惨なのに、突き抜けちゃったような爽快感がある。最後はビルマの竪琴だったり。

 なぜこの作品がSFセミナーで何度も言及されたかは謎。SF的ガジェットは全然出てこないのに。 そりゃ、ルリタニア・テーマ(架空の国を舞台にした冒険物)はSFだっていわれたらSFでしょうが……。


1999.05.26(水)

ファンの仕事

 井辻朱美のページと花郁悠紀子のページのレイアウトを変更。一応マメに手をいれているんですけど……。
 やっぱり、作品リストをきちんと整備するのはファンの仕事だと思うんですよね。作品をきちんと仕上げるのが作家のお仕事。作品を読者の手にきちんと届けるのは、出版社と編集のお仕事。 優れた作品を見つけ出して他の人や後世に伝えるのが、書評家や評論家のお仕事。 好きな作品を愛をこめて他の人や後世に伝えるのが、ファンのお仕事。(^_^)

■飯田雪子『再生のとき』

 飯田雪子『再生のとき』(プランニングハウス)読了。
 肝試しに行った古い病院で見た女性の幽霊。彼女の悪夢に取り付かれた中学生の果奈は、友人たちとともに真相を探るが……。
 冒頭のモノローグを読んだときには、「あちゃ〜」と思いましたが(←ライトノべルにはよくある手で、いささか食傷気味だった)、そこそこ上手くまとまっていました。 主人公の果奈になついているのが、幼なじみの弟の小学生というのが、ちょっと白泉社系漫画?って気がします。 でも、どっちが兄でどっちが弟か、わからなくなったりしたので、名前の付け方がまずかったなぁと……。 兄が翔太で、弟が洸二なんだけど、 翔一と洸二だったらわかりやすかったのに。 あ、でもフツーは、「○太」っていうのは、長男につける名前なのかな? 私のイメージだと、「○太」ってのは半ズボンの男の子なので、混乱したんですよ。 だって、ショタコンっていうぐらいだし……、ねぇ。


1999.05.27(木)

 波津彬子のページのレイアウト変更に着手。

■ニコラ・グリフィス『スローリバー』

 ニコラ・グリフィス『スローリバー』(ハヤカワ文庫SF)読了。
 誘拐され、無一文で放り出されて富豪の娘が、身の代金を出さなかった親の所へも帰れず、ハッカーの女性のとこに身を寄せつつ、生活を再構成し、誘拐事件の真相を解いていく。 これだけだったら、ただのミステリだけど、人々がIDチップで識別され、主人公の女性がバイオテクノロジーを駆使した下水再生場で働いているというのが、SFなところ。

 主人公がハッカー女性と別れて、偽IDでまっとうな生活を始めようとしているのが”現時点”で、誘拐直後からの話や主人公の幼少からの話がカットバックで挿入される。 こういう構成は読みにくいので、私はあんまり好きではないです。まあ、誘拐事件の真相を知ることで、主人公の再生が完了するので、こういう形になるのは仕方ないのかとは思うんですが。
 下水再生場で事件が起こったりするのは、サスペンスフルで面白いです。

 SFだけど、女探偵物を読んでいるのと同じような感じ。作者がレズビアンのせいか、ベッドシーンがほとんど女×女なのがちょっと変な感じ。 いや別にいいんだけど、男と女が出てくると当然のごとく恋愛関係になだれ込む小説と同じような感覚で、女と女が出てくると当然のごとく恋愛関係になだれ込むというのが、 なんか妙に感じただけです。


1999.05.28(金)

 給料日が過ぎていたのに気づき、お金をおろしにいく。
新刊書店で、本を買う。萩尾望都絶賛(笑)のマイク・レズニック『キリンヤガ』(ハヤカワ文庫SF)があった。 表紙は割といい感じ。ライトノベルの新刊の隣に置いてあっても違和感ないし。
・北村薫『謎物語』(中央公論新社)
・田中聡『名所探訪 地図から消えた東京遺産』(詳伝社文庫)
・綾辻行人『時計館の殺人』(講談社文庫)……おお、初めて新刊書店で買った。


1999.05.29(土)

 『幻想文学 55号』が届く。

ブック・オフ館林

 ブック・オフ館林店へ行く。大バーゲン中で、文庫が50円引き、少女漫画セット物が半額。 日渡早紀『ぼくの地球を守って』(花とゆめコミックス)全21巻を買う。
文庫もいろいろ買う。お耽美小説雑誌『DEEP』の5巻揃えがあったのだが、ちょっと手を出しかねてしまった。 名香智子も描いているし「巨匠・大原まり子」(と、背表紙に書いてあった)も書いているんだけどねぇ。

 文庫の100円コーナーで拾ったのが、以下の本。
・ラストベーダー『夕映えの戦士』(ハヤカワ文庫FT)
・ポーラ・ヴォルスキー『騒乱の国ヴォナール3 再生の幻影』(ハヤカワ文庫FT)
・野田昌宏『新版 スペース・オペラの書き方』(ハヤカワ文庫JA)……単行本はもっているし、文庫もあるかも。
・ブラッドベリ『恐竜物語』(新潮文庫)
・波多野鷹『都市に降る雪』(ハヤカワ文庫ハィ!ブックス)
・かんべむさし『ポトラッチ戦史』(講談社文庫)……この方、最近見ない気がしますが。
・ウインスローエ『制服の処女』(角川文庫)……赤いチェックの装丁のやつ
『IN・POCKET』1996年11月号……翻訳ミステリベスト10

 半額本の棚で見つけたのが、
・赤江瀑『夜叉の舌』(角川ホラー文庫)
『夜叉の舌』は、「編集協力/東雅夫」だそうで、ふぅむ……。

それから漫画コーナーで、高永『梵天変 1』(MOVIC)をゲット。おそるべしブック・オフ、入手不可能かと思われたこんな本まであっさり手に入るとは。


1999.05.30(日)

『幻想文学 55号』

 『幻想文学 55号』を読む。
おや、巻末の「幻想倶楽部」の籾山某さんは……(笑)。この人、『幻想文学』のコレクターなんですよね。どうも石堂藍ファンでもあるみたいですね。 掲載されて喜んでいるんじゃないでしょうか。

 巻頭傑作短編と銘打たれた山尾悠子「夜の宮殿と輝くまひるの塔」は、看板に偽りなしの名品。読み終わってから、自分がどこにいるのかわからなくなる作品って凄いよぁって思います。 幻想文学というのは、言葉の力で、そこにないものを生み出すもので、やはり多くの人が認めるように山尾悠子は最強の「言葉使い師」かと。

 「ミステリ作家が選ぶ<幻想ミステリ>この一冊」には、私の好きな作品がいろいろ挙げられていて嬉しい。 鮎川哲也「絵のない絵本」は知らなかった。探してみましょう。

 笠井潔が何をいっているのか、おぼろげながらも分かったのは、今回が初めてかも。 摩耶雄嵩は、『翼ある闇』を挫折したんですが、どうも読み方を間違えていたようですね。 『メルカトルと美袋のための殺人』あたりを、本格ミステリじゃなくて、お笑い幻想小説として読むべきだったんだな、きっと。

■コードウェイナー・スミス『ノーストリリア』

コードウェイナー・スミス『ノーストリリア』(ハヤカワ文庫SF)再読完了。
昔の読書記録を見たら、1987年のマイベストになっていました。でもエリナーの運命以外はぜーんぜん、内容を覚えていなかった。(笑)
ラストにゾクッとしました。ああ、もしかして、私がハッピーエンドだと信じていた短編のラストも、これと同種のコワイものなのかも。 気が向いたら、短編集をまた読み直します。


1999.05.31(月)

ホームページの更新作業

 波津彬子ファンページの更新作業。
雨柳堂夢咄の紹介ページを作ってます。久々に読み返して、人物紹介表を作ったりするのが楽しい。

 【ニムさんの掲示板】で、赤木かん子とYAとACのことが話題になっていたので、突貫工事で赤木かん子のページも更新。 ヒラノマドカさんの【ざぼん】の日記ページにも関連記述があります。



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