diary Alisato's 本買い日誌
1999年10月前半 *


1999年
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10月前半

10月前半の話題
10月後半の読了本


1999.10.01(金)

 9月後半の日記を更新しました。ちょっとだけ追記があります。
 ダブリ本の希望者締め切りました。希望リストはここ

■倉阪鬼一郎『百鬼譚の夜』

 倉阪鬼一郎 『百鬼譚の夜』(出版芸術社)読了。
 「赤い羽根の記憶」「底無し沼」「黒い家」「百鬼譚の夜」の4編から成る連作短編集。「黒い家」と「百鬼譚の夜」が、とてもいいです。

 特に「黒い家」は、傑作です。家に入ってからが、すんごいんですわ。 恐ろしくも美しい様式美の世界とゆーか。
 後日譚の『赤い額縁』(幻冬社)を先に読んでしまったので、「百鬼譚の夜」のオチは分かっているんですが、ホラーの場合は「来る、来る」と思うところに「来る」のもまた良いもので……。

 倉阪センセイの作品は、恐怖じゃなくて怪奇の美学を追求したもの方が面白いと思います。『異形博覧会 トロピカル』収録の短編とか。

 それから、「百鬼譚の夜」は『百鬼夜行抄』の今市子がマンガ化したらいいんじゃないかと思いましたです。 「百鬼」つながりというわけではなくて、絵柄や雰囲気が合っているんじゃないかなぁと。 (『百鬼夜行抄』の元ネタはM.R.ジェイムズが多いそうです。) 角川あたりで、やらないかなぁ。

■寺田とものり・水無瀬むつみ『エンジェルスリンガー』

 寺田とものり・水無瀬むつみ『エンジェルスリンガー』(プランニングハウス) 読了。
 表紙の黒髪の美剣士カルバインにひかれて読んでみました。おっーほほほ、想像どおりイイ性格してますわ、カルバイン。私好み。

 「天使」と呼ばれる超生命体に支配されている未来世界を舞台にした、「エンジェルスリンガー(天使を吊るす者)」と呼ばれる「天使」を狩る者たちの物語。 「エンジェルスリンガー」たちは「天使」の肉を喰らって、天使と共生関係を結び超常の力を身に付けたという設定らしい。

 前田珠子の《破妖の剣》シリーズの「妖魔」を「天使」に置き換えたみたいな雰囲気ですね。話の方向性もそんな感じ。コバルト文庫かスニーカー文庫ぽいです。体言止めが多いのがシナリオのようで少々気になるけど、前田珠子と同じくらいに面白いです。上等のライトノベルが読みたい人向き。
 第二部のアスナの話が面白かったです。

 作者のホームページは【おたべ屋】。
 カルバインや色っぽい「天使」のキルシェ様のイラストを見ることができます。


1999.10.02(土)

浅草へ遠足

 おばさんたちを引き連れて浅草へ遠足。号令かける役を買って出てくれた人のおかげで、思ったよりは楽でした。
 浅草までは、日の出桟橋から水上バスに乗って川上りをする予定だったので、JR線を乗り継いで総勢18人を浜松町駅まで連れて行くのが大騒ぎ。なにしろ、移動手段に車を使っている人が多いうえ(←イナカだから)、東京へはめったに出ないおばさんがほとんどで、乗り換えのときが一番大変でした。

 メンバーに聴覚障害者が何人かいるので、目印に小旗をもって歩くことにしました。 小旗はブックファーストの青い袋を三角に切り取って、針金ハンガーを利用した旗竿に取り付けた手作りのもの。 旗持ちはちょっと恥ずかしかったですが、聴覚障害者は視覚だけが頼りなので、大勢の人がいるような駅構内では目印が必要なんですね。

 だらだらと歩くグループを、旗を持った私が先導し、もうひとりが最後尾で取りこぼしがないかどうか確認しつつ、なんとか日の出桟橋に到着。船に乗せて、浅草まで行ってしまえば、あとは自由行動なので、ほっと一息。

 天気がよかったので、隅田川を上っていくのは気持ちよかったです。

 浅草では、ちらし寿司を食べて、扇子とハンカチを買って、浅草寺にお参りして、舟和でクリームあんみつを食べて、 くずもちを買って帰りました。
 舟和は、前回いったときよりも空いていて、 ウェイトレスも前回とは打って変わった対応の良さ。いったい、どうしたんだ? 平日の方が込むのでウェイトレスの気が立っていたのだろうか?

新刊書店

 帰宅してから食料品の買出しに。
 新刊書店で以下の本を購入。

・牧野修『リアルヘヴンへようこそ』(廣済堂文庫)
・ダン&ドゾワ 『不思議な猫たち Magicat II』(扶桑社ミステリー)
・金蓮花 『月の系譜 凍てゆるむ月の鏡 二』(集英社 コバルト文庫)
『プチフラワー』


1999.10.03(日)

カロリーオフ

 本日は、【あおき】さんの呼びかけによるオフ、通称・カロリーオフの開催日。集合時間10分前に新宿紀伊国屋に着いて、2階の幻想文学売り場で『ぱふ 活字倶楽部』を購入し、待ち合わせ場所の1階テント前へ急ぐと、いました、いました、怪しげな集団が。集団の中にダサコン2バナーですっかりおなじみになってしまった【u-ki総統】の顔を発見したので、間違いないと声をかけましたです。やっぱりこういうときは、口にだせるハンドルが便利。(笑)

 初対面のあおきさん、ヒラノマドカさん、雪樹さん、りなりなさんと、ご挨拶。なんとなーくロングヘアーをイメージしていた雪樹さんは、ボブカット(きれいに揃う髪でうらやましい)でした。 お人柄はページのイメージそのまま。ヒラノさんはひと目で分かりました。やっぱりページイメージそのまんまなんですもの。

 人数が集まったところで、会場の「MAMA’S Diner」へ移動。
幹事のあおきさんが用意した、参加者それぞれのサイトのトップページのカラーハードコピー(←すばらしいアイデア! 幹事の鑑!)で、各人のハンドルを確認しあっているところへ、ボーイッシュな女性が颯爽と登場。これがまこりんさんでありました。 なんとなくおっとりした若奥様風の方を想像していたので、ちょっとびっくりーっ。「名札をつければ? シールを買ってくる」とすばやく行動されたのが印象的。
 【Bookchase!】編集担当の三根さんと、運動会帰りでちょっと遅れたニムさんも到着して、自己紹介ならぬ他者紹介を行いました。

 あおきさんが三根さんを紹介し、三根さんが【知恵市場】の本担当・Terashima "TJ" Jun-ichiさん(Bookchase!で書店業界コラムを連載中です。)を紹介、Terashimaさんが【安田ママ】さんを紹介し、 安田ママさん→ 【まこりん】さん→ 【りなりな】さん→ 【ヒラノマドカ】さん→ 【溝口】さん→ 【ニム】さん→ 私→ 【雪樹】さんと続きました。 自分の番が終わったとたん、どういう順番だったか忘れてしまいましたが(苦笑)、【谷田貝】さん、【かわかみ】さん、【kanazawa】さん、【RIKI】さん、【u-ki総統】の紹介も終わって、最後にu-ki総統によるあおきさんの紹介で一巡しました。けっこうドキドキしましたけど、こういう紹介も面白くっていいですね。

 参加者紹介のあとは、雑談タイム。
 お店の都合で、丸テーブル3つの席になってしまったので、多少の席替えの結果、u-ki総統を筆頭とするダサコニスト組と、溝口さん・ニムさん・雪樹さん・ヒラノマドカさん・有里の古本交換組と、あおきさんをはじめとするBookchase!組に分かれてテーブルごとに別の話題で話をしました。

 SFセミナーのころより精悍になった溝口さん(半年後には、もっと精悍になっている予定)はやっぱりブック・オフでの収穫をみせびらかしたのでした(笑)
溝口さんが「溝口大人」と呼ばれるのはイヤだというので、これからは「溝口少年」と呼ぼうかとニムさんと相談したり。

 ということで溝口少年、例の本をご希望なら連絡先をメールしてちょ。

 ダブリ本配布で希望が重なった『六番目の小夜子』と『メルサスの少年』は、ヒラノさんがもう一冊づつ提供してくださることになって、めでたしめでたし。kanazawaさんも、わざわざ『六番目の小夜子』をもってきてくださってのに、また持ち帰ることになってしまって、すみません。
 で、秋里和国による『六番目の小夜子』の表紙を見て、【RIKI】さんの 「この表紙だったら、絶対に買わなかった!」という言葉が印象的でした。
 うーん、少女マンガ絵、そんなにダメですか?

 5時半からはパブタイムなので、いったん清算してからコース料理を頼むことに。ついでに席順もバラバラに。あおきさんが、実に手際よく幹事役をこなすのに感動。でもって、ヒラノさんも実にテキパキと動くので感動。

 今度の私のテーブルは、雪樹さん・かわかみさん・三根さん・谷田貝さんのどちらかといえばミステリ寄りの人のグループになりました。このテーブルでは、『ハサミ男』の話をしたり、ミスコンの話をしたり、ネットの怖い話(掲示板荒らしとか悪意あるリンクとかメール爆弾とか)をしたり。 ネットでの悪意は、ある日突然理由もなく襲ってくるのではないかという話について、かわかみさんはもう少し何か話したそうでしたが……。
 かわかみさんは、ボトルキャップを集めた後に残ったペプシコーラで料理を作るというワザを披露してくださいました。うーむ、まさか男性からコーラ煮について伝授されるとは……。

 その後、雪樹さんとお話しているうちにオーダーストップの時間となり、 また別の店へ。

 ここでは、女性ばかりのグループで嫁姑問題(!)の話をしたり、東海村の事故の話をしたり。この時、話題になった、【麻弥】さんのページで紹介されていた原発事故に備えるサイトが、【原発事故サバイバルハンドブック】です。

 私はちょっと早めに退出。あおきさん、駅まで送ってくださってありがとう。それから幹事役、ほんとにお疲れ様でした。

 ほーんと、楽しかったです。昨日の疲れが吹っ飛んでしまいました。

 ところで、「MAMA’S Diner」には香取慎吾似のウェイターがいたのに気が付きましたか? (似ているといえば、Terashimaさんは『X-file』のモルダー似だと一部でささやかれていたのであった)


1999.10.04(月)

『トルネコ2』不思議のダンジョンクリア!

 【我孫子武丸】サンも綾辻行人サンもハマっている【チュンソフト】のPSゲーム『トルネコの冒険2』
 入る度に形の違うダンジョンの奥底にもぐっていくRPGタイプのゲームで、モンスターを倒せばレベルが上がるけれど、死んだらダンジョンからたたき出されてレベルが1に戻ってしまうという過酷なゲーム。 『チョコボの大冒険』に似ていますが(というより、あっちがマネ)、あれよりも断然面白いです。

 毎回ダンジョンの形が違うから何度でも遊べるのですが、一応のクリア基準というのが決まっていまして、あるダンジョンのある階で大ボスを倒すと一応のエンディングを見ることができます。で、エンディングを見た人は、ソフトに同梱されている応募シールをハガキに張り、表示されるパスワードを書いて、チュンソフトに送ると抽選でペンケースがもらえたりするらしい。

 で、ようやく「一応のエンディング」(クリアした後もまだまだオマケがある)を見ることができました。外出前にちょっと時間があるからと、なにげなーく潜ったのですが、ドラゴンシールドを持っていたのが効果あったのでしょう。最後はうっかり変化の杖を使ったら跳ね返って自分が爆弾岩に変身してしまい、その姿のまま体当たりするしかないという情けない状態でしたが、HPがレッドゲージの状態で辛くも勝利。

 出かける時間が迫っているのにエンディングが始まってしまい、ちょっとばかし焦りましたです。
 エンディングがけっこう感動的でした。とはいえ、なにしろ主人公がDQのトルネコですからねぇ。「そのプヨプヨしたおなかで、よくぞ……」なんて誉められているのがとっても可笑しい。オヤジでもヒーローになれるという、たいへん夢のあるゲームですね。

 まだまだオマケのダンジョンをクリアしていないので、睡眠不足はつづくのです。

『別冊ぱふ 活字倶楽部』

 (金蓮花インタビューと上遠野浩平インタビューについて書く予定

■金蓮花 『月の系譜 凍てゆるむ月の鏡 二』

 金蓮花 『月の系譜 凍てゆるむ月の鏡 二』(集英社 コバルト文庫) 読了。

 鬼の姫君が主人公のオカルト学園物(?)のシリーズ最終話の第二巻。今回は女子校が舞台で、とってもツボ。もっと現代日本を舞台にした作品を書いて欲しいと思います。女子校物をもっとプリーズ。『シンデレラは床みがき』の続編プリーズ。


1999.10.05(火)

本の読み方

 カロリーオフで話をしていて、面白かったのが皆さんの本の読み方についてでした。

 たとえば、同じ作家を集中的に読んでいく人と作品単位で読んでいく人。ジャンルを集中して読んでいく人と、いろんなジャンルに手と出す人。どこで本を読むかとか、本のどの部分にこだわりをもつかとか。

 私は、同じ作家の作品を集中的に読んでいくタイプです。気に入ったら、それこそデビュー作から最新作まで全部読まないと気が済まない。【ニム】さんや【ヒラノマドカ】さんもそういうタイプだとお見受けします。だいたい作家単位の紹介ページを作っている人はこのタイプですね。
(1999/10/06 追記)
 【青木みや】さんも作家にハマるタイプらしい。って、青木さんの作成した柴田よしき作品の感想ページの詳しさを見れば一目瞭然ですよねぇ。(笑)
 一方、【雪樹】さんや 【溝口】さんは、作品単位で読んでいくタイプのようです。 一応ハマる作家はいるけれど、全作品を読もうという気は起こらないらしい。

 今回集まった中にはひとつのジャンルだけを読む人というのは、ほとんどいなかったんじゃないかと思います。 ダサコニストが多かったせいだと思います。基本的にはSFあるいはミステリあるいはファンタジーが好きだけど、 そのジャンルの境界線上にいて各方面に手を伸ばしている人たちというのが、ダサコニストなんじゃないかなぁと思うわけで。

 【かわかみ】さん、雪樹さんと、【MYSCON】の話をしていたときに話題に出たのですが、ミステリーを読む人はそれこそミステリーしか読まない人が多いらしいです。しかも、海外ミステリーしか読まない人と日本の新本格ミステリしか読まない人とに分かれてしまう。ミステリファンといいつつエラリー・クィーンもアガサ・クリスティもを読んだことがない人がいると。(まあ、クィーン警視のこともマイクロフト・ホームズのことも忘れていたミステリ評論家もいることですし、不思議はないか。) ミステリーは出版点数が多いですから、自分の守備範囲を読むだけでも手いっぱいなのかもしれませんが。

 SFやファンタジー読みの人は、ミステリーは読まなくてもホラーとか文学、あるいはノンフィクションを読んでいることが多いのでは? 少なくともカロリーオフに集まった人たちはそんな感じでした。

 雪樹さんはもともと海外ミステリーとファンタジー中心に読んでいたのですが、WWWをはじめてからSFにハマったとか。
 どういう作品からSFに入ったのかと尋ねてみましたら、
・ハインライン『夏への扉』(ハヤカワ文庫SF)
・アーサー・C・クラーク『幼年期の終り』(ハヤカワ文庫SF)……わーはは、私は読んでないぞ。
・ホーガン
の順に読んで、ハマったのだそうです。SF布教者の皆さん、参考にしてください。

 ホーガンは、SFをあまり読まないうちの夫も好きだし、司馬遼太郎なんぞが好きなかつての上司も読んでいましたから、SF入門としては一番いいのかもしれません。

 どこで本を読むかという質問に対しては、通勤電車の中という人が多かったです。自転車通勤しているニムさんは、お昼休みにお弁当を食べながら本を読んでいるらしい。溝口さんは、現在、WWWを自粛して読書にいそしんでいるそうです。そりゃま、山のように未読本があるもんねぇ。

 私はぐーたらな専業主婦なので、家事が一段落した午後の時間が読書タイムです。コバルト文庫くらいの厚さと内容の本だったら1時間で読み切れます。長編は一気に読み切ってしまいますが、短編集やアンソロジーは、一作品読む毎に休息をいれるので、結果として読むのに時間がかかります。
 コミックスは1冊20〜30分で読めます。

■大野香織子『翠天回帰』上下

 大野香織子『翠天回帰』上下(プランニングハウス)読了。

 (ここにあらすじが入る予定

 太陽を金烏、月を玉兎と呼ぶ世界観はとっても好きなのだけど、 押しの強い主人公のリュシオンがどうも好きになれず、ちょっと読むのが苦しかったです。アイゼンシュタイン『氷の城の乙女』のときもそうだったんですが、私はこの手の押し付けがましい男が嫌いなんです。
 ぶっきらぼうな物言いをするヒロインのフレインはとても可愛い。『星界の紋章』のラフィールが好きな人にはお勧めかも。金烏市長と首席秘書官は、もう少しうまく使って欲しかった気がします。


1999.10.06(水)

マイカー出勤

 夫は今、醤油の町にある某社のお仕事をしている。我が家から醤油の町へ電車で行くには、何度も乗り換えをしなくてはならず、たいへん時間のロスが大きい。面倒だから車で出勤すると夫がいい出したので、ナビゲーターとしてくっついていくことにした。 実は醤油の町へ行く途中のターミナル駅の銀行に用があったのだ。
 夫は地図を自分で見なくて済むし、私は電車賃も少しだけ節約できる。一石二鳥。

 駅から離れた場所にある工場が多い地域なので、車出勤の人は多い。幹線道路は混んでいるというので、裏道を通ったのが良かったのか、電車で2時間以上かかるところを1時間半弱で到着。途中混んでいる場所がなければ、もっと早く着くと思うんだけど。楽っていえば楽だけど、疲れているときは大変だと思う。安全運転しろよぉ。>オット

春日部市立図書館

 醤油の町から春日部へ出て、春日部市立図書館へ行く。
 ここは『翻訳の世界』を所蔵しているので、井辻朱美関係の記事をチェックする。

 今は図書館でもかなりの数の文庫を所蔵するようになってきている。安田ママさんの掲示板で話題になったルーシャス・シェパード『緑の瞳』(ハヤカワ文庫SF)もあった。ハヤカワ文庫FTもかなりの数が所蔵されているのだ。 でも残念ながらサンリオ文庫は少ない。(あるだけでもすごいかも)

 角川ホラー文庫の新刊の情報が欲しくて、『これから出る本』をまとめたファイルがないかと尋ねてみたのだが、そういうものは置いていないらしい。「出版社に直接質問したほうがいいのではないでしょうか」といわれてしまった。 要するに新刊については、全然役立たずだということね、図書館は。

 市民でないと利用券を作れないので、館内で本を読んでいこうと思ったのだが、私は図書館内では小説を読むことができないことが判明した。だいたい、いつもソファにでれっと横になって本を読んでいるから、行儀良く座って本が読めないのだ。

■牧野修『リアルヘヴンへようこそ』

 牧野修『リアルヘヴンへようこそ』(廣済堂文庫)読了。

 溝口さんもお勧めの森の中に作られた新興住宅地を舞台にしたホラー。あまり怖くなくて、面白かったです。おすすめ!
小型の『IT』といった感じかな。先行する作品がいろいろ入っているかな。なぜか「貞介」という登場人物のの貞の字が気になる〜。(笑)
注:先行する作品
……私が思い浮かべたのは『リング』と『殺人鬼』ですが、 まだあるのかもしれない。

 でろでろぐちょぐちょげろげろで汚物満載なので、食事中には絶対に読んではいけない。第十天に出てくるマンションのエレベーターの描写とか恐ろしいものがありますが、阪神淡路大震災ではあれに近い状態が各所で起こっていたらしい。
 汚物を書いていてもどこか美学を感じさせるのが、この作家の凄いところだ。

 第九天のクライマックスシーンが素晴らしい。こういうの読むと、牧野修は怪奇やSFの血より幻想文学の血の方が濃そうだけどなぁ。

(1999/10/10 追記)
 うーん、たしかにひどい読者かも(苦笑)>【青木みや】さん
 作家はあとがきなどで執筆時の意図を明かさない方がいいんじゃないのかなぁ。 ついつい逆らいたくなるへそ曲がりの読者(←あたしだ、あたし)もいることだし。


1999.10.07(木)

パソコン自粛

 ネットと『トルネコ2』のやり過ぎで、体調をくずしつつあります。夜更かししてコンピュータをいじるものだから、交感神経が興奮しすぎて寝付けないのです。その分、昼間寝てるんだが……。このままだと自立神経が壊れることは目に見えているので、パソコン自粛します。

 やりたいことはいろいろあるのですが、身体がついていかない。

 とりあえず、日記の更新回数を減らして、夜12時以降のアクセスは自粛する予定。 生活を朝型にもっていければ良いのですが。

 パソコンに触らないとやることがないので、去年編みかけで放り出していたセーターを引っ張り出して、また編み始めました。 編み物は単純作業なので、それほど神経は使わないようです。

新作アニメ

 『地球防衛企業ダイ・ガード』(テレビ東京 火曜日18:00〜18:30)と『リスキー☆セフティ』(WOWOW 7:00〜7:15)が面白そうです。

 『地球防衛企業ダイ・ガード』は、なんだかパトレイバーの企業版がエヴァパロやってるみたい。
 『リスキー☆セイフティ』は、死神のリスキーがものすごっくかわいいっす。


1999.10.08(金)

 編み物は、後ろ身ごろを編み終えるところまでこぎつけた。模様編みを何度も間違えたなり。おそろしいことに編み始めの段階で既に編み図の表目を裏目を読み違えていたことが判明したが、前身ごろも同じように編めば問題はない……はず。
 私はおっちょこちょいなので、こういうことは良くあります。洋服を作ろうとして、右袖を2枚裁ってしまうとか。

 富樫義博『HUNTER×HUNTER 6』を購入。『ヒカルの碁』は売り切れでした。

コバルト文庫のリスト

 パソコン自粛のはずが、コバルト文庫のリストを作りはじめてしまう。
 とりあえず99年度版の目録に載っている作家データは入力してしまう予定。 私が知りたいのは、文庫創刊からの作家の変遷なんですが。
 「集英社文庫 コバルトシリーズ」から「コバルト文庫」へ名称が変更になったのは、 1990年の9月か10月ごろらしい。このときに作家別整理番号が変更されたようです。
ISBNの採番基準は94年11月頃に、4-08-610xxx-*から4-08-614xxx-*へ変更された模様。 文庫内での通番のようですね。


1999.10.09(土)

AV修理とブックオフ

 ビデオの修理のためパナソニックのサービスセンターへ。その後、MDプレイヤーの修理のためソニーのサービスセンターへ。
どちらも対応は普通

 その後、大宮のブック・オフと岩槻のブック・オフをまわる。
 コバルト文庫をチェックし、以下の本を購入。


・とみなが貴和『セレーネ・セイレーン』(講談社X文庫ホワイトハート)
・P.K.ディック『悪夢機械』(新潮文庫)
・都筑道夫『猫の舌に釘をうて』(講談社文庫)……大昔の黒い背表紙
・菅浩江『メルサスの少年』(新潮文庫)……また買ってしまった(笑)

コバルト文庫のリスト続き

 他の人は興味ないだろうけど、書いておかないと忘れるので、書く。
 コバルト文庫ではなくコバルトシリーズだった頃は、作家番号は日本作家も海外作家もお構いなしに刊行順に割り振られていたらしい。

001 富島健夫
002 佐伯千秋
 :
075 新井素子
088 久美沙織
 :
230 桑原水菜

 現在の作家番号は、作家名の最初の1文字+番号で区別されている。 しばらくは、旧作家番号と新作家番号が背表紙に併記されていた。
(1999/10/13追記 切り替わったのは、91年3月のスーパーファンタジー文庫創刊の頃らしい。)

あ1 赤川次郎
あ2 新井素子

 ISBNが変更されたのは、94年10月に 高遠砂夜『銀と黒のカノン』(ISBN 04-8-614003-9)が出た頃らしい。いきなり切り替わったのではなくて、シリーズ物はしばらく611***を使っていた様子。(詳細未確認)
 91年3月創刊のスーパーファンタジー文庫のISBNが 4-08-613***-* だったので、番号が足りなくなりそうだったからだと思われる。ちなみに、前田珠子『碧眼の少年 上』がISBN 4-08-613002-5でした。613001は、何だったか……後で調べよう。

 ISBNが採用される前から、国内用のコードは割り振られていたようで、その番号がそのままISBNでも採用されている。
 10月発行の金連花『月の系譜 凍てゆるむ月の鏡 二』が ISBN4-08-614646-0 なので、採番体系が変わってから10月までに約650冊刊行されていることになる。旧採番体系では、響野夏菜『女神の輪郭』がISBN4-08-611897-1というのがあるので、約1900冊ぐらい出ていたことになるのかな。 したがって1999年12月までのコバルトシリーズ&コバルト文庫の出版冊数は、約2千600冊ってことになりますね。

 全リストを作るのは大変そう。


1999.10.12(火)

なぜリストを作るのか

 と、問われたら、
「そこに欲しいリストがないからだ」
としか言えなかったりするのですが……。

 【安田ママ】さんの日記のご指摘の通り、基本的には「愛」です。特に作家別著作リストは「愛の証」です、私の場合。(笑)
 なにしろひとりの作家にハマると全作品集めなきゃ気が済まないから、気が付くと手元に本が集まってしまう。 それでいて「愛を語る」のは得意じゃないので、愛情の発露としてリスト作りに向かう。 データおたくというのは、女性には少ないタイプなのだそうで、 パロディじゃなくてリストに走るところが、ちょっとヘンかもしれません。

 同じフォーマットのものが規則正しく並んでいるのを見るのが好きなんでしょうね。 色違いのものが並んでいるのを見るの好きだし。本屋でもCDショップでもシリーズものが順番に並んでいないとついつい直してしまうし。
 リストも抜けなくピシッと値が並んでいるのを見ると落ち着くんです。
 ちょっとビョーキかも。

 *-*-*-*-*-*

 ハヤカワ文庫FTや角川ホラー文庫などの叢書の刊行順のリストは、誰かが残しておく必要があると思うから作ってます。 現物が残っているうちにリスト作っておかないと、そのうちデータそのものがなくなりそうな気がして……。
 刊行順リストは資料的な価値が高いんです。特に文庫のラインナップには世相が反映されるから、眺めるだけでもいろんなことが分かります。

 ハヤカワ文庫FTのリストを作ったときに思い知りましたが、叢書の刊行順のリストなんていうのは、まず出版社はアテにできません。早川書房みたいに過去の資産を再利用しようという気のあるところは、総目録を出してくれたりもしますが、 基本的に文庫は消耗品だと思っている出版社がほとんどでしょうから。
 図書館も無理でしょうね。体系的に集めているわけじゃないし。
 古本屋は、金になるもの以外は面倒みてくれないでしょう。

 ってことで、読者が作るしかないんですが……。 ああ、どうしてみんなリストを作ってくれないの? いや、凄い人は凄いリストを作っているんだけど。
 でも、角川ホラー文庫のリストを私が作るというのは、なんか間違っているぞ。 ホラーな人や怪奇な人の中にリスト者はおらんのか?
 (リスト者は、SFとミステリ方面の人が多いですね。)

 そのうち、どうやってリストを作るかについてまとめますから、みなさんリスト作ってくださーい。

コバルト文庫のリストが欲しい理由

 今は発作的にコバルト文庫のリスト作ってます。っていうか、まだ資料集めの段階ですけれど。
 私が欲しいのは、刊行順のリストです。そもそもは、和製ファンタジーがいつ頃発生したのかが知りたかったのです。 私のカンでは、ターニングポイントは前田珠子とひかわ玲子の登場なんですが、それを検証しようにもマトモなデータがないので、 仕方ないからデータ集めから、自分でやろうと。
 【お気楽読書倶楽部 日々是好日! 】には、かなりがんばっているリストがあるんですが、作者別の上、CSV形式ではないので私の欲しい情報が得られないのです。

 コバルト文庫だけじゃなくて、大陸書房のノベルズのリストも必要になりそうです。そっち先にやればよかったかなぁ。

コバルト文庫関係のブックマーク

 コバルト文庫のリストを作るときに参考になりそうなページ。

 【Books.or.jp】はISBNで検索できるのが便利なんだが、ここ数日ホストがつぶれているらしく、全然つながらない。(と思ったら、つながった)


1999.10.13(水)

図書館でコバルト文庫のチェック

 コバルト文庫の整理番号をチェックしに図書館へ行った。コバルト文庫の場合、整理番号は目録に掲載されていないので、現物のカバー背表紙を調べるしかないのだ。
 93年ごろのコバルト文庫は十数冊所蔵されていた。が、なんてことだ、分類記号を記載したシールが背表紙の整理番号の上に張ってある! おまけにビニールのシールみたいなので表紙全体を覆ってあるから、カバーを外して光に透かすこともできやしない。

 仕方なくあきらめてISBNだけメモして、他に資料はないかと探してみたら、『便利な文庫の総目録’93』(文庫の会)という本をみつけた。文庫を作者別、書名別、文庫別で検索できる索引である。文庫別索引には整理番号も掲載されている。確かに便利。

 ハヤカワ文庫の整理番号も掲載されているので、【】さんが探している整理番号を調べてみたが、残念ながら欠番になっていた。解説目録をもとに作成した資料だから、解説目録以上に詳しい情報は載っていないのだな。

山田ミネコ

 【青木みや】さんのページに、漫画家の山田ミネコさんの近況が。
 そうですか、京極にハマって同人誌ですか。好きなことやって、お元気ならそれでいいや。

 山田ミネコ作品リストは、ニフティの漫画フォーラムの特設会議室が出来たときに作ったデータがあるので、 HTML化すればすぐ出来るんですが、現在ちょっと情熱が薄れているので、そのうちに……。

和製ファンタジーのルーツ

 山田ミネコさんも小説を書いていた、今は亡き大陸書房から出ていた大陸ノベルズのリストは、 【goo】の書籍検索で「Tairiku novels」をキーにして検索すると217件ヒットします。これが全部かどうかは、わからないけど、私の知りたいことはだいたい判明。

 ひかわ玲子『グラフトンの三つの流星』の出版が88年12月。伊東麻紀『宝剣物語』の出版が89年7月。
 コバルト文庫の前田珠子のデビューが87年上期なんですが、デビュー作は一応「SF」。 ファンタジーは1988年の『イファンの王女』が最初なんじゃないかな。
 ハヤカワ文庫FTでは、エディングスの《ベルガリアード》の1巻が出たのが1988年1月ですね。

 ということで、やっぱり1988年はターニングポイントだと思います。
 いったいこの年になにがあったんだろうと、『SFマガジン』1990年10月号掲載の「SFマガジン年表」を見てみたら、 第十九回星雲賞のノンフィクション部門を矢野徹『ウィザードリィ日記』が受賞してます。 どうも『ドラクエ3』や『ウィザードリィ』といったRPGが市民権を得たのがこの年だったのではないかという気がしています。
 さて、ゲームの発売年を調べるのって、どうやればいいのだろう?

 ちなみにサンリオSF文庫の休刊が1987年末。
 1989年の第15回「ハヤカワ・SFコンテスト」(最終選考発表『SFマガジン』1989年11月号)は、コンテスト始まって以来の「該当作なし」。
 1988年というのは、SFの夏の終わりでありファンタジーバブルの始まりだったのではないかという気がしています。


1999.10.14(木)

新刊書店でコバルト文庫のチェック

 新刊書店に行って、コバルト文庫の整理番号のチェック。まだ不明のところが多いです。古いものについては、ブック・オフでチェックするか、コバルト関係の掲示板で質問するかでしょうか。

 本屋でこそこそとメモを取る姿は、いささか怪しげだったかも。

 以下の本を購入。
・須賀しのぶ『帝国の娘』上下(集英社 コバルト文庫)
・秋月こお『慕情恋情 大正青夢譚』(講談社 ルピー文庫)

■久美沙織『修道女マリコ』

 久美沙織『修道女マリコ』(扶桑社文庫)読了。

 男子禁制の修道院付属女子寮で起きたレイプ殺人事件に修道女マリコが挑む。
とはいえ、このマリコ=小原麻利子、アンジェラ会の修道女にして、聖華大学心理学部助教授の肩書きを持ち、ジーンズ姿でミニ・メイフェアを運転するようなお方。さらには、「過去」があり、修道女っていうより、反ファミニズムな人間から「魔女」呼ばわりされるような人でありますね。
 ややフェミニズム入ってます。

 寮内の人間模様は面白かったけど、ミステリーとしての解決方法は、う〜ん……。 あの坊さまは、いったい何者?
 被害者のキャラクターが非常に興味深いです。そういうところは、さすがは久美沙織。

 大人版コバルトミステリーといった感じでしょうか。続きが気になるので探します。

■とみなが貴和『セレーネ・セイレーン』(講談社X文庫ホワイトハート)

 とみなが貴和『セレーネ・セイレーン』(講談社X文庫ホワイトハート)読了。
 愛に目覚める人間型ロボットのお話ですな。タニス・リー『銀色の恋人』(ハヤカワ文庫SF)の性別と視点を入れ替えた話というか、清水玲子というか。
 ボディがダッチワイフ用ロボットを改造した女性タイプでも男性タイプでもないものだったり、ケアリーという医者が出てきてああいう展開になるあたりが、ホワイトハート的というべきか。

 ちょっと長かったかなぁ。もう少しシェイプアップしてもよかったかもしれません。
 ラストは感動的。注目すべき作家だと思います。

■須賀しのぶ『帝国の娘』

 須賀しのぶ『帝国の娘』(集英社 コバルト文庫)読了。
 帝政ロシアを思わせる架空の国・ルトヴィア帝国を舞台に、皇子アウゼリウスの身代わりとして他の3人の皇子と帝位をめぐって競い合うことになった少女カリエの運命を描く。

 一気読み! 面白かった〜!!! 超おすすめ! 読め!

 美形山盛りの上に男装の麗人グラーシカ王女までついてきます。
 グラーシカさまぁぁぁぁぁっ!
 超ツボ押しです。



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