1999.07.02

掲示板への書き込み:赤木かん子とYAとAC

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よそ様の掲示板への書き込みです。筆者以外の人にはあまり役に立たないと思いますが……。

1999.06.02(水)

赤木かん子とYAとAC

赤木かん子の使っている「ヤングアダルト」という言葉にたいする【ヒラマド】さんの疑問への返答として 【ニムさんの掲示板】に書き込んだもの。 オンライン書きしたのものもあるので、読み返すとちょっと変。

2003/10/08追記:
「北上次郎」の名前が出てくるのは、そもそもの発端が【ヒラマド】さんの1999年5月29日付けの日記「ヤングアダルトって……」が北上次郎が『本の雑誌』に書いた「ヤングアダルト」の定義に対する疑問から始まっていたからです。

1970年前後(中略)「大人が読む児童文学」に対してつけられた名称(『本の雑誌』1999.6,p16)

この件に関連するヒラマドさんの日記は以下。

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【タイトル】Re: ヤングアダルト文庫とヤングアダルト
【 名前 】有里 
【 日付 】1999/05/30 09:41:12

「ヤングアダルト」のもともとの定義は、英米児童文学評論の方からきています。
神宮輝夫先生が1980年代ぐらいには紹介していました。
タウンゼントとかそのへんの作品を指していっていました。
ジュヴナイルというものに対して「ヤングアダルト」と呼ばれるものがあるのだ
とかなんとか。
もともと社会的な問題をかかえた作品に対しての名称であったと思います。
かん子さんのそもそもの定義は、そこから出てきているはず。
(神宮先生の講義を聞いているはず)

アダルト・チルドレンの定義が出てきたのは、もっと後。

時間がないので続きは、こんど。

【タイトル】ヤングアダルトという名称の問題点について1
【 名前 】有里 
【 日付 】1999/05/31 00:25:07

"ヒラノさんの日記を拝見しました。
考えたらごちゃごちゃしてきたので、ポイントの整理。
以下のことを明確にしていけば、この名称についての問題点が
はっきりするのでは。

1.北上次郎の「ヤングアダルト」の定義
2.英米児童文学評論で「ヤングアダルト」の定義
3.英米図書館界での「ヤングアダルト」の定義
4.日本の図書館界での「ヤングアダルト」の定義
5.日本の児童文学評論での「ヤングアダルト」の定義
6.日本の書店での「ヤングアダルト」の定義
7.赤木かん子の「ヤングアダルト」の定義
8.ヤングアダルト文庫との関係
9.ヒラノマドカの「ヤングアダルト」の定義
10.(オマケ)有里の「ヤングアダルト」の定義

1の北上次郎の「大人が読む児童文学」というのは、結果的には正しくても、
定義的には間違いだと思う。あまり真に受けない方がよいと思うんですけどね。
あの手のオヤジな書評家の人って、評論用語の使い方が、かなりいい加減だと
思うんで。書いている内容も時々ウソだし。
(朝日新聞の書評で、『パラサイトイヴ』を<ウィルス>が人を襲う話だ
と書いている奴がいたぞ。)

(つづく)

【タイトル】ヤングアダルトという名称の問題点について2
【 名前 】有里 
【 日付 】1999/05/31 00:27:18

(つづき)
2と3は、ほぼ同じ物と考えて良いかと。英米児童文学は「客」がほとんど
図書館である(らしい)ので、児童文学評論と図書館との関係は密接なのでは。
で、この場合のヤングアダルトは対象年齢だけでなく、テーマも問題になります。
従来の「児童文学」では扱えなかったセックスの問題をもテーマも含めた作品
ってことで、『ふたり物語』の見返しの定義がこれですね。

で、日本の場合児童文学評論というのは無きに等しいので(いや、あるんだけどさ、
ちゃんと機能していれば、赤木かん子ひとりがこれほど持ち上げられることは
ないわけよ)、「ヤングアダルト」という言葉は、まず図書館界の方から
広がってきたと思われます。
その図書館界での定義は、「いわゆる青少年のための本」なんですが、
日本の場合はなぜかその客層に30代40代の女性までを含んでしまうのです。
図書館員の方はそういう意図はないのに、結果的に客層をみるとそうなってしまう。

で、その状況を見て「なんで?」と思った赤木かん子は、ある日気がついた。
日本においては「ヤングアダルト」というのは、年齢ではなく、「ある問題を
かかえた人たち」のことではないかと。
ここで、赤木かん子的な「ヤングアダルト」の定義は、青少年のための本
ではなくて、「ある問題をかかえた人たちが読む本」に転換するのです。

このあたりのことは、
『かんこのミニミニヤング・アダルト入門 パート1 図書館員のカキノタネ』
に出ているのですが、あんまりきっちり用語定義をしてはいませんね。

赤木かん子の問題のひとつは、はっきりと用語定義をしないまま、言葉を使ってしまう
ことにあるんじゃないかと思います。
まだ書くことはあるが、とりあえず、これで……。

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赤字にした、
>このあたりのことは、
>『かんこのミニミニヤング・アダルト入門 パート1 図書館員のカキノタネ』
>に出ているのですが、
っていうのは、私の勘違いで、一番ちゃんと出ているのは、講演会記録の『今どきの大人と子ども』でした。
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By 有里 alisato@anet.ne.jp
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