不純粋科学研究所】の管理者 林さんからいただいたメールからの抜粋です (1999/10/19)
※ご本人から許可をいただいて転載しています。

Date: Sat, 16 Oct 1999 Subject: 和製ファンタジーについて 架空書評以外でははじめまして。林@不純粋科学研究所です。 (中略) 和製ファンタジーのルーツを翻訳系、TRPG系、CRPG系に わけて考えるのは面白い見方ですが完全に切り分けるのは 難しいですよね。 <エターナル・チャンピオン>シリーズを日本に紹介し、 サイエンスファンタジーを根づかせた張本人、安田均は、 Wizardry(アップル版)とD&Dを日本に紹介した最初期 の一人でもあります。これからすると、すべては安田均か ら始まっていると言えたりします。 日本のドラクエ型RPGはすべてWizの、ということはD&Dの 子孫ですからね。 和製ファンタジーというと少女マンガの系譜を無視する わけにはいきませんね。有里さんも、中山星香の名をあげ てらっしゃいますが、和田慎二のピグマリオ、めるへんめ ーかーの一連の作品など、少女マンガでは、ファンタジー 小説が一般に受け入れられるより早くから、ファンタジー が一般的だったという印象が有ります。 僕の感覚はこんな感じです。 (1)→→→↓ ↓ (2) ↓ ↓+SF ↓ ←←←(3) (4) ↓ ↓ ↓→(7)(5) (6) ↓→→→→(8) ↓ (9) (10) (1)神話・伝承・妖精譚(:太古(笑):) (2)冒険小説・ゴシックロマンス(:19C〜20C初頭:60年代?) (3)ヒロイック・ファンタジー(コナンなど:20〜50年代:70年代半ば) (4)異世界ファンタジー(指輪物語など:50年頃、60年代以降:80年代初頭) (5)和製ヒロイックファンタジー(グインなど:70年代末:同) (6)ファンタジー系少女マンガ(:70年代末:同) (7)RPG(D&D:70年代末:80年代半ば) (8)コンピュータRPG(Wizardry:80年代初頭:80年代半ば) (9)初期少年向け和製ファンタジー(ロードス島戦記:86年〜:同) (10)少女向け和製ファンタジー(:88年頃:同) 注:(代表(先駆)的作品:登場時期:国内での登場時期) 男の子ファンタジーはRPGの子、女の子ファンタジーは 少女マンガの子という。 コンピュータRPGは、作品が受容される下地を作ったという功績は あるけど、作品の方向性に影響を与える効果は無かったような。 # もちろん、久美沙織『小説 ドラゴンクエスト』のような例外は # ありますが。 (後略)
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有里からの返信(一部抜粋)
「すべては安田均から始まっている」っていうのは、鋭い意見ですね。 「男の子ファンタジーはRPGの子、女の子ファンタジーは少女マンガの子」 というのもなるほどと思いました。 ただ、女の子ファンタジーは、「子」じゃなくて「姉妹」かもしれません。

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