Alisato's 本買い日誌*

2002年 12月 上旬

更新日: 2004/01/01

2002年12月 [ 上旬 / 中旬 / 下旬 ]

1997年〜1999年2000年2001年
2002年 [ 01| 02| 03| 04| 05| 06| 07| 08| 09| 10| 11| 12]

2002年12月 ( 上旬 / 中旬 / 下旬 )[前月] [次月]
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Topics

01 (日)
[book] ライノベ作家度チャート分類改訂: 12/01
[book] エンタメ小説属性マトリックス: 12/01
[book] 小説ジュニア短編新人賞データ: 12/01
02 (月)
[な] 中野 不二男『デスクトップの技術』,ISBN4-10-603516-2: 12/02
[ソ] ロバート・J.ソウヤー『イリーガル・エイリアン』,ISBN4-15-011418-8: 12/02
03 (火)
[out] 県立図書館でヤングアダルトを調べる: 12/03
[book] 『現代用語の基礎知識』とヤングアダルト: 12/03
04 (水)
[book] 「ヤングアダルト」という用語について: 12/04
[book] ヤングアダルト語源調査:項目項目: 12/04
[購入DVD]『ロード・オブ・ザ・リング』: 12/04
05 (木)
[う] 上橋 菜穂子『虚空の旅人』,ISBN4-03-540270-2: 12/05
[book] 『現代用語の基礎知識』の「ヤングアダルト」 1998-2002: 12/05
06 (金)
[net] 国内SFファン度調査: 12/06
[net][url] 各種ファン度調査: 12/06
[book][url] コバルト関連: 12/06
07 (土)
[diary] 『ロード・オブ・ザ・リング』SEE 鑑賞中: 12/07
[ト] ジェニファー・トス『モグラびと』,ISBN4-08-773264-9: 12/07
[購入漫画]赤美 潤一郎『妖幻の血 1』(エニックス),\552,: 12/07
[購入漫画]今 市子『いとこ同士』(ムービック),\562,: 12/07
[購入本]岡野 玲子『陰陽師 11』(白泉社),\886,: 12/07
[購入本]金 蓮花『枷椰琴打鈴』(集英社コバルト文庫),\419,: 12/07
[購入本]前田 珠子『鬱金の暁闇 2』(集英社コバルト文庫),\419,: 12/07
[購入本]瀬名 秀明『ハートのタイムマシン!』(角川文庫),\619,: 12/07
08 (日)
[url] 著者インタビュー:飛浩隆: 12/08
[url] 瀬名秀明 - 日本ロボット学会講演会: 12/08
[url] ず・ぼん全文記事: 12/08
[url] スタジオ・ポット: 12/08
[購入漫画] 赤美 潤一郎『妖幻の血 2』(エニックス),\552,: 12/08
[購入本]早見 裕司『自律世界の愛しい未来』(富士見ミステリー文庫),\540,: 12/08
[購入本]須賀 しのぶ『砂の覇王 9』(集英社コバルト文庫),\533,: 12/08
[購入雑誌]『このミステリーがすごい! 2003年版』(宝島社),\667,: 12/08
[購入雑誌] 『Cobalt 2002年12月号』,\533,: 12/08
09 (月)
[diary] 雪の日の読書三昧: 12/09
[は] 早見 裕司『自律世界の愛しい未来 Mr.サイレント 2』,ISBN4-8291-6182-5: 12/09
[ま] 前田 珠子『鬱金の暁闇 2』,ISBN4-08-600191-8: 12/09
[き] 金 蓮花『枷椰琴打鈴』,ISBN4-08-600201-9: 12/09
[す] 須賀 しのぶ『砂の覇王 9』,ISBN4-08-600182-9: 12/09
10 (火)
[diary] 小掃除: 12/10
[book] ヤングアダルト関連: 12/10
[book] ティプトリー: 12/10
[net] ファンタジーファン度調査: 12/10

[Top]


2002.12.01 (日)

◆[book] ライノベ作家度チャート分類改訂

[ライノベ作家度チャート]の分類を少し変更してみました。
文庫と新書、単行本と単行本の文庫化はひとつにまとめ、絵付き文庫の絵なし文庫化は書下ろしとみなすようにしました。

ライトノベル度版型別分類表
版型      単行本
絵付き
文庫/新書
絵付き
文庫
競作集
文庫/新書
書下し
単行本/
文庫化
児童文学 ライノベ度
大←――――――――――→小

乙一の妙なところは、単行本がでてもまだスニーカー文庫で新刊が出ることですね。

◆[book] エンタメ小説属性マトリックス

今度は、ライノベ度の分類に加えて、ジャンル分類を加えたマトリックスを作ってみました。分類が微妙なのは、中間にプロットするということで。
世の中にはSF設定のミステリー/ホラーやファンタジー設定のホラーもありますが、未来とか宇宙が舞台だったらSF、異世界が舞台だったらファンタジーとみなす方向で。
《ブギーポップ》あたりは微妙ですけどね。

	エンタメ小説属性マトリックス
	 
	    |SF|FT|ホ|ミ|他
	−−−−+−+−+−+−+−
	単行本 |         
	文庫新書|         
	競作集 |         
	絵付文庫|         
	児童書 |         
	

作品の属性をプロットしたものを作家単位で集めて重ねあわせると、その作家の作品傾向がなんとなく見えてきます。

	エンタメ小説属性マトリックス:乙一
	 
	    |SF|FT|ホ|ミ|他
	−−−−+−+−+−+−+−
	単行本 |     一   
	文庫本 |   一ニニ一  
	競作集 |    ニ一   
	文庫(絵)| 一  一 ニ  
	児童書 |         
	

一箇所だけ、むちゃくちゃ濃くなる作家もいます。

	エンタメ小説属性マトリックス:妹尾ゆふ子
	 
	    |SF|FT|ホ|ミ|他
	−−−−+−+−+−+−+−
	単行本 |         
	文庫新書|         
	競作集 |  三一     
	絵付文庫|  ■      
	児童書 |         
	

◆[book] 小説ジュニア短編新人賞データ

11/12に国際子ども図書館でメモってきた小説ジュニア短編新人賞データのデータ。
(メモの字がとても汚いので、写し間違いがあるかも)
(2002/12/02追記:打ち間違いありました。直しました。)

第一回短編小説新人賞
入選 多島恵「雪中夜」 (1981年4月号掲載)
佳作 岡田ひろみ「恋のミラージュ」 (1981年2月号掲載)

月間優秀作品
1981年2月号 岡田ひろみ「恋のミラージュ」
1981年3月号 竹内志麻子「愛はどこから」
1981年4月号 多島恵「雪中夜」
1981年5月号 山崎路子「まるで恋人同士のように」
1981年6月号 佐川昭彦「ベアパニック・イン・四畳半」

第二回短編小説新人賞
入選 七瀬川明子「無口な月」(1981年11月号掲載)
佳作 狐崎美春「にゃあ!」(1981年9月号掲載)

月間優秀作品
1981年7月号 和田由美「中学生・ワンディぶるうす」
1981年8月号 松下浩美「雨の日はファンタスティクラブ」
1981年9月号 狐崎美春「にゃあ!」
1981年10月号 松井忍「海への手紙」
1981年11月号 七瀬川明子「無口な月」
1981年12月号 茅上菜穂子「君にも見えるウルトラの星」

第三回短編小説新人賞
入選 長崎涼子「やさしいなんていわないで」(1982年3月号掲載)
佳作 西篠恵子「セプテンバア」(1982年2月号掲載)
佳作 竹内志麻子「幻想ポイザニング―夢中毒」(1982年1月号掲載)

1982年1月号 竹内志麻子「幻想ポイザニング―夢中毒」
1982年2月号 西篠恵子「セプテンバア」
1982年3月号 長崎涼子「やさしいなんていわないで」
1982年4月号 森高雅人「プヨンプヨン」
1982年5月号 徒生時呼「リタときみお」
1982年6月号 大上三ツ子「アルファルファ」

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2002.12.02 (月)

■[な] 中野 不二男『デスクトップの技術』,ISBN4-10-603516-2

中野 不二男『デスクトップの技術』(新潮社 新潮選書,2002.9,\1,100+税, ISBN4-10-603516-2)読了。
鈴木輝一郎】さんのホームページで知って購入。

などなど、一見とても便利そうなんだけど、私には実行できなさそうなことばかり書いてある。唯一実行可能だったのが、文具入れに必要文具を入れておくことだけですが、それは既にやってるし。

100円ショップで手ごろなホワイトボードを売っているというので探したのですが、我が家の近所では見つかりませんでした。仕方ないのでプラスチックのカード入れに白い紙を挟んだものをクリップボードに挟んで使ってます。あんまり使い勝手は良くないなぁ。

人によっては役に立つと思うので、面白そうだと思ったら読むと吉。

購入ガイド
 ISBN4-10-603516-2 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(02222681)

■[ソ] ロバート・J.ソウヤー『イリーガル・エイリアン』,ISBN4-15-011418-8

ロバート・J.ソウヤー/内田 昌之訳『イリーガル・エイリアン』(早川書房 ハヤカワ文庫 SF 1418,2002.10,\940+税, ISBN4-15-011418-8)読了。

地球にやってきたエイリアンと無事ファースト・コンタクトを果たしたのはいいけれど、地球人の科学者が殺されエイリアンのひとりが犯人として逮捕されちゃったから、さあ大変。前代未聞の裁判が始まる。

つまらなくはなかったですが、ものすごく面白いかというと、うーん……。
法廷物としては割と面白かったんですが、ラストとエピローグを読んだら力が抜けてしまいました。へなへなへな〜。私はもうSF読めないカラダなのかも。

購入ガイド
 ISBN4-15-011418-8 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(02233009)

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2002.12.03 (火)

◆[out] 県立図書館でヤングアダルトを調べる

天気も良かったので、県立図書館まで出向いて「ヤングアダルト」の来歴について調査。ネットで下調べして調査する本をリストアップしていったので、サクサクと作業が進みました。

というわけで、『現代用語の基礎知識』に出ていたオタク系の「ヤングアダルト」について判明。掲載されていたのは1987年版で、ページ下の欄外に「最新SF話題学」というコラムがあって、そこに「ヤングアダルトSF」の項目がありました。執筆者は、牧真司さんと大森望さん。執筆者を見たときには、やっぱりこの人かっ、とココロの中でツッコミいれてしまったです。詳しくは次の項で。

図書館用語のヤングアダルトについても調べましたので、それも別項で

◆[book] 『現代用語の基礎知識』とヤングアダルト

今回調査したのは『現代用語の基礎知識』1985年〜1990年版。

1987年版には「ヤングアダルトSF」という語が登場。
ただし通常の項目ではなく、ページ下欄外の「最新SF話題学」というコラムの一項目。このコラムについての解説は以下のとおり。

====引用開始====
最新SF話題学 スペースオペラ物からヤングアダルトSF、バイオレンス物まで、最近のSF作品はますます多様化し、他のジャンルとの境界がなくなってきている。そこでこれらSF文学の最新話題や生活の中でたびたびお目にかかるSF用語、それに加えて内外のSF界の動き、映像分野のSFの動き、あるいはテレビゲーム、SFマンガからSFトイまでエンターティメントとしてのSF最新情報をあつめてみた。本書読者のレスト・ルームとしてお読みいただきたい。執筆者はSF評論家 牧真司、大森望。
(『現代用語の基礎知識 '87』p.564-565)
====引用終了====

どうも1987年ごろというのは「SFの夏」の時代だったので、『現代用語の基礎知識』にまでこういうコラムが登場したらしい。(どんな項目があるかもメモってきましたが、長いのであとで別ページにでも入れておきます。)

さて、問題の「ヤングアダルトSF」について。

====引用開始====
SFの浸透と拡散によって、ジャンルが細分化され、中高生を対象としたSF小説も大きな市場を持つようになってきている。夢枕獏の〈キマイラ〉シリーズで当てたソノラマ文庫、新井素子を育てたコバルト文庫などがその中心といえる。
(『現代用語の基礎知識 '87』p.655)
====引用終了====

中高生を対象とした本はヤングアダルト本、中高生を対象としたSFはヤングアダルトSF。で、ソノラマ文庫やコバルト文庫にはそういうヤングアダルト向けSFが多いよといっているのですね。間違ってませんね、図書館用語的にも。
イラスト入りであるとか漫画的であるとかそういった意味のことは全然書いていないんですが、いつからそういう意味まで含んでしまったのやら。
なお、「ヤングアダルトSF」が掲載されているのは1987年版だけでした。

ちなみにこの1987年版には、現代文芸用語として、「ジュニア小説」という用語が登場します。

====引用開始====
ジュニア小説  吉屋信子らの活躍した大正から昭和初期、富島健夫や佐伯千秋らの活躍した昭和三〇〜四〇年代と、ジュニア小説にも歴史があるが、ここ数年来のブームには無視できぬ様相がある。書き手の第一人者氷室冴子の「ジャパネスク・アンコール」が象徴するように、日本語は記号と化している。一〇年来の少女マンガで育てられてきた世代の心を掴んでいるスリリングな内実は、考慮する必要があると憂慮する説がでている。氷室のほか正本ノン、久美沙織、田中雅美らが代表的書き手。
(『現代用語の基礎知識 '87』p.655)
====引用終了====

解説の執筆は小田切秀雄。「日本語は記号と化している」とか「考慮する必要があると憂慮する説」とか意味不明ですが。1988年版まではこの解説のままのはずです。
いつまでこういう解説が載っているのか調べてこなかったので、調査継続のこと。

1988年版〜1990年版には「外来語・略語」のページに「ヤングアダルト(young adult)」が掲載されています。ただ、その説明というのが……。

====引用開始====
直訳すれば「若いおとな」だが、一般的には若さを保持しているおとなの意味。現代は脱年齢、つまりおとなと子どもの区別のない時代で、それを象徴して年齢不詳のおとなが多くなった。
(『現代用語の基礎知識 '88』p.1221)
====引用終了====

「ヤングミセス」という語や20代前半の人間を対象にした『これだけは知っておきたいヤングアダルト情報源』にひっぱられましたかねといった解説。

2001年版の〔外来語年鑑2001年〕に掲載された「ヤング・アダルト(young adult)」の解説は、「10代後半の若者。20代前半を含む場合もある。」です。
〔現代文学〕の項目には、「ヤングアダルト本(Young Adult Book)」が、「13歳から19歳までのための本」という意味で掲載されています。

『現代用語の基礎知識』を出している自由国民社は、1994年に赤木かん子の本を出していますので、そのあたりで図書館用語の「ヤングアダルト」に意味が変わっているのではないかと思っています。調査続行のこと。

図書館用語からきた「ヤングアダルト」という用語については、2002/12/04 [「ヤングアダルト」という用語について]を参照のこと。

[Top]


2002.12.04 (水)

◆[book] 「ヤングアダルト」という用語について

「ヤングアダルト(Young Adult)」は、そもそもは第二次世界大戦後のアメリカの図書館界で使われだした13歳から19歳までの「若い大人」の利用者を意味する言葉。

半田 雄二/半田雄二論文集編集委員会編『ヤングアダルトサービス入門』 (教育史料出版会 ,1999.6,\1,800+税, ISBN4-87652-363-0)の「ヤングアダルトサービス私史」によると、日本の図書館界では、半田雄二氏が1980年に『図書館界』にヤングアダルトサービスについての論文を掲載し、本格的にヤングアダルトサービスに取り組みはじめたとのこと。

図書館界でヤングアダルトサービスが始まるのとほぼ同時期の1979年には、出版界でも晶文社など中高生以上の年代を対象に出版活動をしている版元がヤングアダルト出版会を組織して、フェアを開催したりといった活動をはじめたようです。
2001年夏のフェアの参加出版社:青山出版社・あすなろ書房・偕成社・花風社・河出書房新社・国土社・旬報社・晶文社・地湧社・草思社・大日本図書・大和書房・東京書籍・童心社・西村書店・日本放送出版協会・白水社・評論社・福音館書店・ほるぷ出版・めるくまーる・立風書房・リブリオ出版・理論社(24社50音順))

1980年からは、「ヤングアダルト」「YA」を冠した叢書やヤングアダルト文学を翻訳したシリーズも出てきました。
岩波書店の《あたらしい文学》、 晶文社の《ダウンタウン・ブックス》《ヤング・アダルト図書館》、集英社の《コバルトY.A.シリーズ》、大和書房の《ヤングアダルトブックス》などです。

岩波書店の《あたらしい文学》、 晶文社の《ダウンタウン・ブックス》《ヤング・アダルト図書館》、集英社の《コバルトY.A.シリーズ》は、ティーンエイジャーが抱えた問題を描くプロブレムノベルのシリーズで、あんまり日本では受け入れられなかったようです。(需要がなかったわけではなく、日本においては、少女マンガがこの手の小説の役割を果たしていたからじゃないかと思うんですが。)

大和書房の《ヤングアダルトブックス》は、ノンフィクションも含んだ日本作家のシリーズ。
晶文社《ヤング・アダルト図書館》は、ミッキー・スピレーンが入っていたりして、なんだかよく分りません。アメリカのヤングアダルト向け叢書をそのまま持ってきたのかも。

1982年ごろから毎年『ヤングアダルト図書総目録』(ヤングアダルト図書目録刊行会)という目録が刊行されているんですが、発行元のヤングアダルト図書目録刊行会が、出版界の業界団体であるヤングアダルト出版会に関連しているのか、あるいは図書館関連の団体なのかは不明。調査続行します。前者のような気がするのですが。

毎日新聞読書欄でヤングアダルト特集が組まれるのが1987年(?)7月1日。
朝日新聞の日曜版で赤木かん子氏と金原瑞人氏が1987年4月から「ヤングアダルト招待席」というティーンズ向けの本の紹介コラム開始。

この頃でも「ヤングアダルト」はまだ耳慣れない言葉だったようで、金原瑞人氏が当時を振り返って、次のように書いています。

====引用開始====
新聞社側としては「ジュニアの本棚」というタイトルを考えているときいて、幹子が大反発。「ジュニアって、小学生じゃん! ヤングアダルトでいこうよ!」。出原さんは、むむ困ったという顔。当時、「ヤングアダルト」という言葉はまだ市民権がなく、なんとなくいかがわしい響きがないでもない……というのが新聞社側の意見だった。しかし出原さんがうまく調整してくれて、「ヤングアダルト招待席」という本の紹介欄が誕生した。いくつかの出版社が、「ヤングアダルト」という言葉を使ったことをとても喜んでくれた。いちばん嬉しそうだったのは、晶文社だったような気がする。社長がヤングアダルト出版会の会長をやっていて、とくに若者向けの本を出すことに力を入れていたから。
児童文学評論あとがき大全 6
====引用終了====

なお、赤木かん子、金原瑞人の「ヤングアダルト招待席」のコラムの一部は、【児童文学評論】で読むことができます。
メニューから「評者→あ→赤木かん子」と辿ると『赤木かん子のヤングアダルト・ブックガイド』でコラム一覧が表示されます。
「評者→か→金原瑞人」と辿ると金原瑞人氏の執筆したコラム一覧が表示されます。
書名を見れば分りますが、児童文学、マンガ、絵本、一般向け小説、ノンフィクションといろいろ入ってます。

「ヤングアダルトSF」という言葉が登場する『現代用語の基礎知識 '87』の刊行は1987年1月(実際は1986年末か?)なので、執筆は1986年のはず。
ただし[『現代用語の基礎知識』とヤングアダルト]でも書いたように、これはヤングアダルト向けSFの意味であって、イラスト付き小説のことではありません。
(なお、大森望さんの【毎日新聞書評欄SF時評[90年6月〜92年3月]】には、「ヤングアダルト向け書き下ろし本」(毎日新聞書評欄SF時評 #03 90年08月)、「ヤングアダルト向け書き下ろし文庫・ノベルズ」(毎日新聞書評欄SF時評#12 91年05月)という表現は出てきても、「ヤングアダルト=イラスト付き小説」みたいな書き方はしていませんね。)

朝日新聞の書評コラム「ヤングアダルト招待席」で「ヤングアダルト」という言葉が一般に定着し始めようとする頃に、サンマーク出版から『これだけは知っておきたいヤングアダルト情報源』が出ました。大学生をメインにした若者向け情報リストですが、これが売れました。
その結果、ややこしいことに「ヤングアダルト」という言葉に「13歳から19歳までのティーンエイジャー」という意味のほかに「20代前半の若者」という意味まで加わってしまいました。

晶文社系の出版社は、「ヤングアダルト≒ヤングアダルト文学=プロブレムノベル」という使い方を続け、一方、SFファンダムの一部は、スニーカー文庫などのイラスト付き小説を「ヤングアダルト」と呼びはじめ(【林哲矢】さんの【雑記 1999年12月 5日】以降を参照)、非常に混沌とした状況に。

現在(2002年末)はというと、こんな感じ。

YOMIURI BOOKSTANDジュニア館: 「児童書卒業」の10代ターゲットヤングアダルト小説が元気!

ヤングアダルト=ティーンエイジャーの意味ですね。
1999年に「ヤングアダルト」を話題にしたときには、用語が揺れていたような気がしますが、森絵都の人気が出たりしたせいで認知度があがったんでしょうか。

◆[book] ヤングアダルト語源調査:項目項目

『現代用語の基礎知識』1980版〜2002版で以下の言葉がどのように扱われているか調査。

ヤングアダルト図書目録刊行会とは、どのような団体か。

以下の本および記事の実物調査

赤木かん子と半田雄二が出会ったという仙台の図書館大会は何年のことか。

□[購入DVD]『ロード・オブ・ザ・リング』

amazonで予約しておいた
『ロード・オブ・ザ・リング ― スペシャル・エクステンデッド・エディション』
が届く。今回は宅配便だったので、雨の中に放置されることもなく無事入手できた。

封入されていた「中つ国パスポート」は人間族用の青色。どうやら種族によって表紙の色が違うらしい。ホビットは赤のようだ。エルフは緑でドワーフは茶色かな?

本編は約30分の未公開映像を追加収録され、特典映像は6時間以上あるのだ。見るのが大変。

amazon

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2002.12.05 (木)

■[う] 上橋 菜穂子『虚空の旅人』,ISBN4-03-540270-2

上橋 菜穂子作/佐竹 美保絵『虚空の旅人』(偕成社 偕成社ワンダーランド 27,2001.8,\1,500+税, ISBN4-03-540270-2)読了。

新ヨゴ皇国の皇太子チャグムは、、隣国サンガルの新王戴冠の儀式に帝の名代として参列することになり、その開放的な国柄に魅了される。だがその頃、サンガル王国を狙うタルシュ帝国は、サンガル支配下の島々の島主と結び、儀式にむかけての陰謀を張り巡らしていた。

『精霊の守り人』に登場する皇子チャグムが主人公の外伝。でも読んでいるうちに、ル・グィンの『ゲド戦記』シリーズの一冊を読んでいるような気分に。本のサイズや文字組みや文体が『ゲド戦記』に似ていて、さらに島の描写や「ハヤブサ」という言葉が出てきたせいかもしれません。

皇太子としての責任と人としての想いにゆれるチャグムはたいへん魅力的ですが、それ以上に印象的かつ魅力的だったのが、サンガル王家の女性たちでした。王国の要として、徹底的に教育を受け、王家支配下の領主のもとに嫁いだ後も、王家と領地の結びつきを強め「正しい道をみいだす」ために働きつづける「賢い妻」たち。国のためには、罪のない民も自分の夫も見殺しにするその冷酷さ。

フランク・ハーバードの《デューン》シリーズに登場するベネ・ゲセリットの女性たちがこんな感じでしたが、日本の児童文学でこういうキャラクターが出てくるのは画期的なことでしょう。

購入ガイド
 ISBN4-03-540270-2 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(02049511)

◆[book] 『現代用語の基礎知識』の「ヤングアダルト」 1998-2002

近所の図書館で、1998年版から2002年版までの『現代用語の基礎知識』に「ヤングアダルト」が掲載されているかどうか調査。

「ヤングアダルト本」は、1998年 1999年から掲載されていました。
(2003/01/19訂正:1999年からの掲載でした。)

[『現代用語の基礎知識』の「ヤングアダルト」]

ついでに以下の本をリクエスト。どの本も県内の図書館に所蔵されているのが判明したので、そのうち届くでしょう。

ヤングアダルト図書目録刊行会は、トーハン内にあるようです。
ヤングアダルト出版会の協力で『ヤングアダルト図書総目録』を作っているという位置付けでいいのかな。
問い合わせるにしても、どこにどう問い合わせていいのか分らないのです。

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2002.12.06 (金)

◆[net] 国内SFファン度調査

国内SFファン度調査

300作品中68作品読了。

	・『傀儡后』(02) 牧野修
	・『グラン・ヴァカンス』(02) 飛浩隆
	・『アイオーン』(02) 高野史緒
	・『サムライ・レンズマン』(01) 古橋秀行
	・『アラビアの夜の種族』(01) 古川日出夫
	・『虹の天象儀』(01) 瀬名秀明
	・『かめくん』(01) 北野勇作
	・『三人のゴーストハンター 国枝特殊警備ファイル』(01) 我孫子武丸/牧野修/田中啓文
	・『イリヤの空、UFOの夏』(01) 秋山瑞人
	・『山尾悠子作品集成』(00) 山尾悠子
	・『西城秀樹のおかげです』(00) 森奈津子
	・『M.G.H.楽園の鏡像』(00) 三雲岳斗
	・『タツモリ家の食卓』(00) 古橋秀行
	・『八月の博物館』(00) 瀬名秀明
	・『ぼくらは虚空に夜を視る』(00) 上遠野浩平
	・『月の裏側』(00) 恩田陸
	・『レキオス』(00) 池上永一
	・『猫の地球儀』(00) 秋山瑞人
	・『BH85』(99) 森青花
	・『蘆屋家の崩壊』(99) 津原泰水
	・『スカーレット・ウィザード』(99) 茅田砂胡
	・『チグリスとユーフラテス』(99) 新井素子
	・『カニスの血を嗣ぐ』(99) 浅暮三文
	・『オルガニスト』(98) 山之口洋
	・『カブキの日』(98) 小林恭二
	・『ブギーポップは笑わない』(98) 上遠野浩平
	・『風車祭(カジマヤー)』(98) 池上永一
	・『ソリッドファイター』(97) 古橋秀行
	・『天夢航海』(97) 谷山由紀
	・『架空の王国』(97) 高野史緒
	・『炎都』(97) 柴田よしき
	・『人獣細工』(97) 小林泰三
	・『百鬼譚の夜』(97) 倉阪鬼一郎
	・『光の帝国 常野物語』(97) 恩田陸
	・『西の善き魔女』(97) 荻原規子
	・『異形コレクション』(97) 井上雅彦監修
	・『星界の紋章』(96) 森岡浩之
	・『MOUSE』(96) 牧野修
	・『ブラックロッド』(96) 古橋秀行
	・『カント・アンジェリコ』(96) 高野史緒
	・『玩具修理者』(96) 小林泰三
	・『ムジカ・マキーナ』(95) 高野史緒
	・『エイダ』(94) 山田正紀
	・『聖域』(94) 篠田節子
	・『姑獲鳥の夏』(94) 京極夏彦
	・『東亰異聞』(94) 小野不由美
	・『戦争を演じた神々たち』(94) 大原まり子
	・『くるぐる使い』(94) 大槻ケンヂ
	・『パプリカ』(93) 筒井康隆
	・『雨の檻』(93) 菅浩江
	・『タイム・リーパー』(93) 大原まり子
	・『吸血鬼エフェメラ』(93) 大原まり子
	・『朝のガスパール』(92) 筒井康隆
	・『戦争の法』(92) 佐藤亜紀
	・『十二国記』(92) 小野不由美
	・『エイリアン刑事』(92) 大原まり子
	・『都市に降る雪』(91) 波多野鷹
	・『バベルの薫り』(91) 野阿梓
	・『天才えりちゃん金魚を食べた』(91) 竹下龍之介
	・『メルサスの少年』(91) 菅浩江
	・『絹の変容』(91) 篠田節子
	・『サラマンダー殲滅』(90) 梶尾真治
	・『ハイブリッド・チャイルド』(90) 大原まり子
	・『アクアリウムの夜』(90) 稲生平太郎
	・『残像に口紅を』(89) 筒井康隆
	・『クラインの壺』(89) 岡嶋二人
	・『夏の魔術』(88) 田中芳樹
	・『ノーライフキング』(88) いとうせいこう
	

◆[net][url] 各種ファン度調査

いろいろある。ブックリストとしても使えるので、「100の質問」よりも意味があると思う。

この手の調査は、ラインナップの妥当性が一番の問題か。お遊びであってもそれなりの根拠は欲しい。書籍や雑誌のベストリストからある程度データを拾ってきたものは見ていても安心できるが、あまりに恣意的なリストだとやる気が失せる。

収集データは、【ライトノベルファン度調査】のように上手く使えば、いろいろ面白いことができるだろう。

一人当たりの平均に関しては、投票し忘れた作品をあとから再投票する人のデータの扱いをなんとかしないと正確な情報は出ないんじゃないかと思う。所詮お遊びなんだからそこまで厳密にしなくてもいのかもしれないけど。

投票後もチェックリストとして使えるように、チェックした項目だけ表示して、投票はしないという機能が欲しいと思う。

国内SFファン度調査
開催中。作者紹介までついているのが便利。
ライトノベルファン度調査
調査終了。【ライトノベル世界地図】【ライトノベル・ベクトル計算機】【私的ライトノベル分布表 作成支援】など、有用な派生物が多かった。
翻訳SFファン度調査
開催中。チェックしたリストが表示される機能が便利だった。
リストは【SF属性調査】に流用された。
本格ミステリファン度調査
調査終了。この手の調査の先駆け。
チェックリストとして利用可能な【続・本格ミステリファン度調査】にデータが引き継がれている。
メフィスト賞作家ファン度調査
調査終了。
偽コミックファン度調査
開催中。個人的な趣味で選ばれたリストなので、ラインナップの妥当性は微妙。ただ、男女別で分けるというのはいい考えかも。

◆[book][url] コバルト関連

【たかはし】さんの2002/12/05付の日記でコバルトYAシリーズについて反応あり(【ヤングアダルトの名のついた叢書】)
そういう宣伝文句でしたか。

で、たかはしさんが発見した雑誌『Cobalt』の目次ページ。わたしも感動。

神山君の本棚】の【Cobaltのページ

遠田緩って、「阪神大震災を舞台に、被災した家屋でケーキを焼く話」を書いた人だったのか。なぜか読んでます。「『Cobalt』ってこんなの載るんだ〜!?」と思ったので、印象に残ってます。
『Cobalt』は、雑誌掲載の作品は荒削りな問題作(←問題提起作の意味)も結構あるような気がする。でもそういうのって、本にまとまるときにエンターティメント指向の作品に書きかえられちゃうんですよね。小沼まり子『Rude Girl』[→感想] を読み比べてみて分った。
もったいないというべきなのか、仕方がないというべきなのか。

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2002.12.07 (土)

◆[diary] 『ロード・オブ・ザ・リング』SEE 鑑賞中

DVD『ロード・オブ・ザ・リング ― スペシャル・エクステンデッド・エディション』(通称SEE)を鑑賞中。

6時間以上ある特典映像ディスクは大変に興味深いのだが、観ても観ても終わらず、結局三日がかりで観終わった。アラン・リーやジョン・ハウを映画製作に引き込んだピータ・ジャクソンの情熱はたいしたもんだと思う。隅々まで手を抜かない裏方さんたちの仕事もしかり。
実に細かくデジタルで色補正をしているというのも知った。ただ、スクリーンでは美しく見える色補正も、DVDでは環境によってはどぎつくなってしまって裏目に出ているんじゃないかと思うのだが、どうだろう。私はPS2で再生して観ているのだが、色がヘンだ。(エルロンドの会議は黄色すぎるし、夜の場面では、 アラゴルンの唇が不自然に赤い)

■[ト] ジェニファー・トス『モグラびと』,ISBN4-08-773264-9

ジェニファー・トス/渡辺 葉訳『モグラびと ニューヨーク地下生活者たち』(集英社 ,1997.1,\1,990+税, ISBN4-08-773264-9)読了。

ニューヨークの地下道に住んでいるホームレスたちの記録。
ニール・ゲイマン『ネバーウェア』[→感想] や浅暮三文『夜聖の少年』[→感想] など、地下生活者を扱ったSFやファンタジーはいくつかあるが、これはノンフィクション。

自分とは別世界の話として読めば、ファンタスティックな驚異の世界なのだが……上野公園や新宿中央公園で見た青いテントが頭に浮かんできてしまって、しんどかった。でもこれを別世界の話として切り捨ててしまってはいけないとも思うし。

購入ガイド
 ISBN4-08-773264-9 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(01429924)

□[購入漫画]赤美 潤一郎『妖幻の血 1』(エニックス),\552,

□[購入漫画]今 市子『いとこ同士』(ムービック),\562,

□[購入本]岡野 玲子『陰陽師 11』(白泉社),\886,

□[購入本]金 蓮花『枷椰琴打鈴』(集英社コバルト文庫),\419,

□[購入本]前田 珠子『鬱金の暁闇 2』(集英社コバルト文庫),\419,

□[購入本]瀬名 秀明『ハートのタイムマシン!』(角川文庫),\619,

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2002.12.08 (日)

◆[url] 著者インタビュー:飛浩隆

Anima Solaris】:【著者インタビュー:飛浩隆

Webマガジンに掲載された著者インタビュー。小説外のお仕事がお忙しいようですが、次回作は……!? 他にも著者インタビューがいろいろありました。

著者インタビュー一覧

Anima Solaris】はWebマガジンのようですが、有料コンテンツもあったらしいのに、どういうところがやっているのかよく分らない。SFの人なら説明なしでも分るのかしら〜? 

◆[url] 瀬名秀明 - 日本ロボット学会講演会

【レポート】瀬名秀明氏「ロボットは人間を夢見ない?」- 日本ロボット学会講演会(3)

◆[url] ず・ぼん全文記事

ず・ぼん全文記事
『ず・ぼん――図書館とメディアの本』のバックナンバーの記事
この雑誌は、【ヒラマド】さんが以前話題にしてましたね。
スタジオ・ポット】のサイト内にあります。

児童書は本当に売れなくなっているのか?】ず・ぼん6 1999.12.18
インターネットをレファレンスツールとして】ず・ぼん6 1999.12.18

◆[url] スタジオ・ポット

スタジオ・ポット

興味深いコンテンツいろいろあり。

ず・ぼん全文記事
デジタル時代の出版メディア・考
レズビアン& ゲイブックガイド2002

□[購入漫画] 赤美 潤一郎『妖幻の血 2』(エニックス),\552,

□[購入本]早見 裕司『自律世界の愛しい未来』(富士見ミステリー文庫),\540,

□[購入本]須賀 しのぶ『砂の覇王 9』(集英社コバルト文庫),\533,

□[購入雑誌]『このミステリーがすごい! 2003年版』(宝島社),\667,

□[購入雑誌] 『Cobalt 2002年12月号』,\533,

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2002.12.09 (月)

◆[diary] 雪の日の読書三昧

朝起きたらば雪景色。外の寒さが窓ガラスから「放射」されてくるようなので、カーテンを閉め切って、コタツにもぐり込んでコバルト文庫三昧。

■[は] 早見 裕司『自律世界の愛しい未来 Mr.サイレント 2』,ISBN4-8291-6182-5

早見 裕司『自律世界の愛しい未来 Mr.サイレント 2』(富士見書房 富士見ミステリー文庫,2002.10,\540+税, ISBN4-8291-6182-5)読了。

林晋一郎は事故で両親と声をなくし、今は家に引こもってネット三昧の日々を送る17歳の少年。幼馴染で手話通訳兼話し相手の真理香は、ネット探偵のサイトを開き、晋一郎を巻き込む。

前作[→感想]は、作者の実生活での恨み言めいた記述があって「なんだかな〜」という気がしましたが、今回は普通に面白いです。ちゃんと前向きでタイトル通り「愛しい未来」な話が多いし、中高生への啓蒙という面でも役立つかな。(イラストは前回の方がよかった)
三話目の「ライヴがはねたら」が良かったです。

大河内聖信の体育会系無神経さの描写にはめまいがするんですけど、第三弾があるとまた出てくるんでしょうか。

購入ガイド
 ISBN4-8291-6182-5 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(02236705)

■[ま] 前田 珠子『鬱金の暁闇 2』,ISBN4-08-600191-8

前田 珠子『破妖の剣6 鬱金の暁闇 2』(集英社 コバルト文庫,2002.12,\419+税, ISBN4-08-600191-8)読了。

破妖刀・紅蓮姫を持って浮城を出奔し、ガンディア王室にかくまわれるラエスリール。紅蓮姫を奪還すべく、浮城から破妖剣士たちが派遣された。

話が進んでんだか、進んでないんだか……。同じようなネタで話を引っ張るのは止めて、さっさと本編終わらせてから外伝で遊べばよろしいと思うのだが。
文章はかなり持ちなおした。ラスと闇主、リーヴと邪羅の仲は微妙に進展中。

購入ガイド
 ISBN4-08-600191-8 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(02252107)

■[き] 金 蓮花『枷椰琴打鈴』,ISBN4-08-600201-9

金 蓮花『玄琴打鈴』『枷椰琴打鈴』(集英社コバルト文庫)読了。

仙境のにある茶屋「銀葉亭」に仙女や精霊たちが訪れ、かつて人間だった頃の身の上話をするというコリアン・ファンタジーの銀葉亭茶話シリーズの新作。
9月に出た『玄琴打鈴』の続編が『枷椰琴打鈴』

「銀葉亭」を訪れたひとりの老いた尼僧は、死出を旅立ちを汚そうとする者から柳一葉を守るため、茶店にやってきたという。尼僧が語りだす、一葉の数奇な運命。
名門柳家に生まれた一葉(いるようぷ)は、幼いころから神童と呼ばれ、弟の一樹(いるす)は聡明な兄を敬愛していた。だが一葉の陰にかすむ一樹の心には、兄を疎む気持ちも微かにあった……。

父親の放った一言が、幼い弟の心に毒を落とし、その積み重ねがやがて……といったエピソードの語り方が巧いなぁと思います。
それに追放されていく一葉に同情した官吏が自分の外套を与えるシーンなんて、泣けちゃって泣けちゃって。

そういう細かい心理描写が上手い反面、話の組み立て方というか伏線の張り方がいまひとつだと感じます。たとえば尼僧がなぜああいう行動を取ったのか、その正体がなぜアレなのか、唐突すぎて納得できないんです。『玄琴打鈴』の第一章に関係あるのかもしれないけど、それだったら、もう少しなにか書いてあってもいいんじゃないかと。
兄弟の確執と蒼姫との悲恋、尼僧の正体がきっちり組み上げられていたら、大傑作だったのに。

文章はグレード高いです。もはやコバルト文庫の域は越えている。普通の文芸書の装丁で出しても違和感を感じない文体だと思います。
『玄琴打鈴』の巻末に掲載された緋鯉の精の物語「溟州打鈴(めいしゅうたりょん)」は、短編ながら傑作。

というわけでおすすめ。
銀葉亭茶話シリーズはどれも良いんですが、他のも読んでみようと思う方は、デビュー作の『舞姫打鈴』、蝶々の精と楓の精の切ない恋を描いた傑作『蝶々姫綺譚』が特におすすめ。

購入ガイド

■[す] 須賀 しのぶ『砂の覇王 9』,ISBN4-08-600182-9

須賀 しのぶ『流血女神伝 砂の覇王 9』(集英社 コバルト文庫,2002.11,\533+税, ISBN4-08-600182-9)読了。
エティカヤ編の最終巻。近所の本屋2軒まわっても見つからず(配本が少なくてすぐ売りきれちゃうらしい)、3軒目でようやくゲット。

「流血女神伝」の名にふさしく、人が流血して死ぬ死ぬ。登場人物が多すぎて覚えきれなくなりました。「この人、誰よ?」というキャラ多数。
ジィキとヒカイのエピソードは、たいへんワタクシ好みなのですが、この作者が描くと色気と情感が抜け落ちちゃうのね。同じネタを金蓮花に描いて欲しー。
ラストは……。私、あのキャラ嫌いなんだよなぁ……。

購入ガイド
 ISBN4-08-600182-9 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(02239549)

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2002.12.10 (火)

◆[diary] 小掃除

冷蔵庫の中を掃除し、換気扇を掃除。毎日少しづつやっていけば、大掃除しなくても済むだろう。大掃除は手順を考えるだけで厭になってしまうのだ。

本の感想を書いていたら、時間がなくなり、指輪DVDは見れず。
色がヘンなのは、テレビの色温度の問題かも……ですか。調整できるのかな。いいや、面倒だから我慢しよう。でもアラゴルンの赤い唇は違和感〜。

◆[book] ヤングアダルト関連

ヒラマド】さんから12/9付けの日記で、『ヤングアダルト図書総目録』についての情報が。ヤングアダルト出版会が関係しているのは間違いなさそう。要するに出版界側が作っている目録ということですね。図書館界の人が作っているのか、出版界の人が作っているのか知りたかったので、とても参考になりました。

今は「ヤングアダルト」より「YA」という略語(?)を使うことが多いんでしょうか。やっぱり「アダルト」という言葉のイメージが悪いせいなのか。

「ヤングアダルト」という言葉に関しては、友人からこんなメールを貰いました。

====引用開始====
ところで「ヤングアダルト」(笑)
完全に門外漢の私には、やっぱりいかがわしくひびきますね、今でも。
「アダルト」のせいで風俗的なイメージがあるし、
あとこのカタカナの組み合わせが、どうも、イカモノというかキワモノという印象。
====引用終了====

この人は、古典文学は読んでもエンタティメント系はほとんど読まない(ボーイズ系はたまに読むらしい)人で、一般的な感覚としてはこんなものかと。
ネットで検索しても「ヤングアダルト」を和製英語だと思っている人がいるみたいだし、いちいち定義を説明するんだったら、半端にイメージが沸く言葉よりも、一見意味の分らない「YA」を使ったほうがいいのかもしれません。

◆[book] ティプトリー

日本SF大賞(祝!『アラビアの夜の種族』『傀儡后』ダブル受賞!)の情報を探しにいった2CHのSF板で、ふとティプトリーのスレッドを覗いて見たらば、びっくり、【未知谷】から。メアリー・H・ブラッドリー(ティプトリーの母)の『ジャングルの国のアリス』が刊行だというんですな。
確認しにいったら、本当でした。

未知谷『ジャングルの国のアリス』(http://www.michitani.com/books/ISBN4-89642-066-7.html)】

ティプトリーファンで、未知谷に詳しそうな【ニムさんの掲示板】にメモも兼ねて(こらこら。人様の掲示板をメモ代わりに使わないように)書きこんだら、11/15付けの「偶然の国のアリス」 が、それのことだったんですね。書きこみのリンク先を見れば分ったんでしょうが、「またアリスネタのSFが出るんだ〜」と思って、読み飛ばしてたですよ。

でもティプトリー・スレなんて今まで一度も読む気にならなかったのに、なぜ急に読む気になったのか自分でも不思議。
版元から買うと送料無料(代金は郵便局から払込)なので、注文してみようかと思ってます。

◆[net] ファンタジーファン度調査

うたたねこや】さん経由で【ファンタジー小説ファン度調査

ファンタジー読みを自認する以上、これはがんばりたいのだが……。
結果、352作品中109作品。既読率31%。
[ライトノベルファン度調査の結果]が、300作品中80冊で、既読率26.6% だったので、ファンタジー読みとしての面目は保たれたというか。

既読リストは長いので、別ファイルにしました。
[有里のファンタジー小説ファン度調査 既読リスト]

ファン度調査のリストは、ファンタジー系レーベルの本だけでなく、児童文学、幻想文学、SF、古典などなどから幅広く採られているようです。岩波文庫が多いところをみると、モトネタは、『幻想文学1500』(国書刊行会)あたりかな。
他のファン度調査と違い、古典がやたらと含まれてますが、それを外すとリストが成り立たなくなってしまうのよね、ファンタジーって。刊行点数少ないし。

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有里 (Alisato Akemi)
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