2002年7月 ( 上旬 / 中旬 / 下旬 )[前月] [次月] | ||||||||||||||||||||||||||||||
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古川 日出男『アビシニアン』(幻冬舎 ,2000.7,\1,400+税, ISBN4-344-00007-2)読了。
少女は白檀の香りとともに過去を捨て去り、制服のまま公園の森でアビシニアンと暮らす。少女の中から文字が喪われる。猫は死に、少女は森を出る。そして、出会う。彼と。彼女と。
ジャメヴュの物語。
文字を持たないということは、外部記憶を持たなということなのだな。すべてを追体験し自分の中に蓄えておかねばならないということ。
『幻想文学 60号』に古川日出男のインタビューが掲載されている。作品読む前はなんのことだかさっぱりわからなかったが、作品読了後にインタビューを読み返してみて納得。
この作品を読んで、石堂藍が古川日出男の食べ物の描写をしきりに誉めていた理由がわかった。空腹のときに読むのなら、カップスープぐらいは準備しておいたほうがいい。
おすすめだけど、読む人を選ぶかも。たぶん倉橋由美子あたりが好きな人向け。
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ISBN4-344-00007-2 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(01890098)】
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ホワイトハート大賞受賞作リスト作成中。あと少しで完成です。
今野 緒雪『マリア様がみてる パラソルをさして』 (集英社 コバルト文庫,2002.7,\438+税, ISBN4-08-600136-5)読了。
『レイニーブルー』[→感想]の続きなので、かならず前の巻から続けて読むこと。
なぜ祐巳ちゃんがこのシリーズの主人公を張っているかがよくわかりますね。個人的にはシイタケとキクラゲのくだりが最高だ。(笑)
シリーズ最高傑作の『ウァレンティーヌスの贈り物』[→感想]に劣らぬ出来映えだと思います。
『レイニーブルー』の感想に書いた私の希望が叶って嬉しゅうございますわ。(笑) おまけにp.159のイラストがぁ! あの方のお姿を再び目にすることができて感激です。
茶色い傘のあの人の今後も気になるところではあります。
ああ、それから瞳子が祐巳ちゃんの妹になるのは、ぜーーーーーーったいに厭っ!
購入ガイド
ISBN4-08-600136-5 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(02192501)】
リンクをクリックすると、詳細画面を直接表示するのではなく関連情報つきの画面を表示するようになったようです。便利というべきなのか、余計なお世話というべきなのか。
最近は書誌情報表示にはもっぱら【Yahoo!Books】をつかってます。表示に関しては、速いしレイアウトも美しいし言うことなし。
でもデータ内容に関しては、「アトリエOCTA」が「アトリエOCT」になっていたりと、ちょっと怪しい。
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【アサヒ軽金属工業(株)】のディナーパンが届いた。
新聞の折込広告で見て、半年以上買おうかどうか迷っていて(だって価格が一万円)、思い切って申し込んだら注文殺到とやらで1ヶ月以上待たされていたのだ。
いままで使っていたT-FALのフライパン(テフロンが剥げてきて焦げ付くので引退)に比べると、厚みが倍ぐらいあって重いが、片手で持ち上げられないほどではない。柄が金属製で料理中に熱くなるのが難点だが、これは古タオルとデニムの布でハンドルカバーを作ることで解決。
蓋はガラス製でどっしりしていて、ツマミではなく金属製の取っ手がついている。この取っ手は使いやすい。
●ゆで卵をゆでてみた。
卵をディナーパンに入れて、水カップ1/2を加える。
ふたをして、強火で加熱する。我が家のガスレンジだと一分強で水が沸騰して蒸気が出てくる。
蒸気が出てきたら弱火で3分。半熟が食べたかったので、そこで取り出す。固ゆでの場合は余熱で5分。
白身は外側はしっかり固まっている。内側半分は半熟。黄身も固まっていないが、火はとおっているようで生っぽい感じはしない。なべで茹でたものより味が良いような気がする。(気のせいかもしれない)
私の好みは白身は完全に固まっていて、黄身がどろっと半熟のものなので、次は弱火で4分加熱してから取り出してみようと思う。
なべで水から茹でたよりも時間が短くてすむし、殻が割れたりもしないのが良いところか。味についてはもう少し食べてみないと判らない。
●サヤインゲンを茹でてみた。
洗ったサヤインゲンを卵をディナーパンに入れて、水カップ1を加える。
ふたをして、強火で加熱する。蒸気が出るまで約2分。
蒸気が出てきたら弱火で6分。そのままザルにあけて冷ます。
これは美味。野菜の甘味があってそれでいて歯ごたえも残っている。塩もつけずにそのまま食べても美味しい。
短時間で蒸煮ができるのは、ムラなく熱が伝わるという材質と重いガラス蓋のせいだろう。蒸気が出てくると鍋内の圧力が上がり高温で加熱できるのだと思う。
●適温計を使ってみた
ディナーパンには適温計というのがついてくる。金属の筒の中にバイメタルが入っているらしいのだが、それをディナーパンにのっけて火にかけると、適温(油なしで、くっつかず、きれいに焦げ目がつく温度)になったときにパチッという音がするというもの。
使ってみたら、パチッというかわいい音じゃなくて大きなバチッ!という音がするのでビックリした。いくら音だけとはいえ、怖いよ、これ。
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[ホワイトハート大賞入選作一覧] を作成しました。第1回('94年)から第9回(2002年発表)までのデータを記載しました。
「第4回 恋愛・青春小説部門('97年1月発表) 」の詳細が不明です。詳しいことをご存知の方はいらっしゃいませんでしょうか?
受賞作一覧だけではつまらないので、おまけで受賞作家の【Yahoo!Books】での著作一覧へのリンクをつけました。賞を取るのがゴールじゃなくて、そこから先が大変なんですね。
面白かったので、次に作るつもりのコバルト・ノベル大賞も同じような形式で作ろうかと思っています。
漫研時代の友人の【藤木ゆりこ】さんが指輪物語本を作るというので、私も参加させてもらえそうです。同人誌原稿なんて何年ぶりかしら。ネタはやっぱりジジィとかジジィとかジジィとかでしょうか。
私が書いた感想を読んで指輪物語予告編のために『ダヴィンチ』7月号も購入したそうで、ゆりこさんの感想は【藤木ときどき日記7月1日(月)〜7月2日(火)】に。
で、津原泰水作品だったら、最初は『蘆屋家の崩壊』(集英社文庫,2002.3,\533+税)【bk1/amazon/Yahoo!】がお勧め。豆腐好きの主人公・猿渡と「大宮の伯爵」と呼ばれる怪奇小説家が豆腐を食べ歩きしているうちに美女と怪異な事件に遭遇するは連作短編集。私は主人公が猫背の女にストーカーされる「猫背の女」が大変好きです。>ゆりこさん
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今日はニュースサイト風?
以前【風野ドクター】のページで紹介されていた(2001/11/24,2001/12/19)ロシアのおたく少女・【Itsuki】ちゃんって来日中なんですね。
ワールドカップの日本・ロシア戦のときに彼女の存在を思い出して、来日計画はどうなったのかなーなんて気になっていたのです。歌は聴いていないけど、なんか可愛くてね。
【Itsuki JAPAN TOUR Official Homepage】
ニュースソースはSOKEさんの日記(*1)
この体験が彼女にとってプラスになりますように!
『金枝篇』『オシアン』『死霊の恋・ポンペイ夜話 他三篇』などなどが7/9に重版されるようです。(【積読人生 2002年7月2日(火)】経由)
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『九年目の魔法』【bk1/amazon/Yahoo!】を読んで『金枝篇』に興味を持った人は要チェック。5冊セットで3500円だそうですが。ちなみに東京書籍から出ている『図説金枝篇』【bk1/amazon/Yahoo!】は本体価格4,661円。
『金枝篇』と『オシアン』は持っているけど、『死霊の恋』って持ってたっけなぁ。本棚をチェックしないと。
【岩波書店】のオンラインショップは使い難いです。
実際に書籍を選んでユーザー情報の入力までしないと「購入方法の選択」の説明が出てこなくて、書店受け取りなのか宅配なのかすら判らないのですよ。(指定所定での受け取りとブックサービスでの宅配が可能らしいが。)そんな気持ちの悪い店で買い物する気になんてなれない。
【復刊ドットコム】で【金枝篇全5冊セット予約】ができるので、予約したい人はそっちを使ったほうがいいかも。ちゃんと判りやすく送料・手数料の説明も載ってます。
小林恭二『カブキの日』[→感想1999/5/11]がついに文庫化。(4-10-147812-0)
表紙だけ見てるとそうは思えないでしょうが、少女・蕪と美少年・月彦が、保守派と改革派の役者の勢力争いが続いている巨大な歌舞伎劇場世界座三階の楽屋に迷い込むという、『千と千尋の神隠し』の歌舞伎座バージョンみたいな話なんですよ。超お勧め。
近所の本屋に買いに行ったらまだ入荷してなかったので、文庫版の実物は見ていないんですけど。
【Web新潮新刊紹介:『カブキの日』】
【第11回三島由紀夫賞発表】
【小林恭二著作リスト】
[『真世の王』登場人物一覧(ネタバレコメント付き) ]を完成させ、[『真世の王』感想リンク集]にリンクを追加。
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回った店は、ブックオフ太田高林店・太田新井店・50号桐生西店・桐生相生店。
探している本は見つからず。
太田市はブラジル系の人が多いので、ポルトガル語(だと思う)の看板とブラジルの国旗を掲げた店も結構あります。ワールドカップのときはさぞや大騒ぎだったことでしょう。
文真堂という漫画と雑誌とライトノベル文庫ばかりの新刊書店に《ファンタジーの森》シリーズが残っているのを発見。きれいな本でしたが、もうダブりで何冊も持っているからなぁ……。
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読了記録特集。
『幻想文学 64』(アトリエOCTA ,2002.7,\1,500+税, ISBN4-900757-64-0)を読む。特集は、「幻獣ファンタスティック」。
『ハリー・ポッター』や『指輪物語』の映画化による「ファンタジー・ブーム」を横目でにらんでのファンタジー特集。でも、ボルヘス『幻獣辞典』+各国幻想文学必携幻獣篇といった感じで、要するに「いつもどおり」の『幻想文学』でした。
建石修志の表紙は、いかにも『幻想文学』らしいけど、ちょっと地味。
ひかわ玲子のインタビューがとても面白かった。できればあと3回ぐらい違うテーマでインタビューして、連載してくれればいいのにと思った。
「幻の獣、に絶滅モノを入れてよいものだろうか」と始まる井辻朱美「骨のある獣の物語 私的幻獣論」は、骨格という観点から見た幻獣論。恐竜はともかくキマイラ獣の骨についての考察が怖すぎ(笑)。
小谷真理「幻獣変化 SF&ファンタジーのなかの幻獣たち」は、『ひかりの国のタッシンダ』に始まりなぜかCLAMP『ちょびっツ』で終わるユニークな幻獣論。
でもいくらなんでも「ちょびっツ」のパソコンを「セイレンの子孫」として幻獣に分類しちゃうのは無理があるような。ファム・ファタールの一種だってのは認めますけれども。
読んでいて一番楽しかったのは高山敦子「幻獣食物散歩」。それから、いつかは特集しないものかと思っていた「植物幻想」のブックガイドがあったのも嬉しかった。
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ISBN4-900757-64-0 【bk1/amazon/Yahoo!】
通販なら【アトリエOCTA】に直接申し込むのが手っ取り早い。
朝松 健〔ほか〕/東 雅夫インタビュー『ホラーを書く!』(小学館 小学館文庫,2002.7,\657+税, ISBN4-09-402836-6)の読了記録を付け忘れていた。
東雅夫が10人のホラー作家にインタビューする。その10人とは、朝松健、飯田譲治、井上雅彦、小野不由美、菊地秀行、小池真理子、篠田節子、瀬名秀明、皆川博子、森真沙子。ときどき編集のフカサワ女史が乱入し話はミョーな方向へ……という、ちょっと変わったノリの一冊。
ファンから送られてきたやおい同人誌のことを嬉しそうに語る皆川博子さんが非常にキュートでチャーミングです。
ビレッジ・センター出版局から出ていたものに若干の改定をほどこし、作家プロフィールを刷新、瀬名秀明・飯田譲治の両氏は「文庫化にあたって」のコメントを追加、「日本ホラー小説年表」も大幅に増補。
岩井志麻子の「ほめごろし」解説は一読の価値あり。
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ISBN4-09-402836-6 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(02182186)】
ダイアナ・ウィン・ジョーンズ作/野口 絵美訳/佐竹 美保絵『トニーノの歌う魔法』(徳間書店 大魔法使いクレストマンシー,2002.3,\1,700+税, ISBN4-19-861488-1)読了。
魔法の呪文作りで名高い二つの家が反目しあう、イタリアの小国カプローナ。両家の魔法の力がなぜか弱まって、他国に侵略されそうな危機の中、活路は失われた〈天使の歌〉をふたたび見出すしかない。だが両家の大人たちは、互いに相手方を責め、クレストマンシーの「危機は邪悪な大魔法使いのせいだ」という忠告にも耳をかさない。そんなとき、両家の子どもたちトニーノとアンジェリカが「呼び出しの魔法」に惑わされて行方不明に。(表紙裏あらすじより)
反目しあうふたつの名家、カーサ・モンターナとカーサ・ペトロッキと聞けば『ロミオとジュリエット』を思い出さずにはいられませんが、あんなロマンチックなお話ではなくスリル満点で大騒ぎな物語。もちろんお約束の展開もあるわけですが。
ダイアナ・ウィン・ジョーンズには珍しく、かなりマトモなお父さん、お母さんが出てきます。あんまり保護者として役に立ってない感じはするけれど。
モンターナ一族とペトロッキ一族の魔法歌合戦や人形にされたトニーノとアンジェリカの逃避行、そしてラストの合唱と見せ所満載。『魔法使いハウルと火の悪魔』よりこっちの方が、ジブリ・アニメには向いていたと思いますけどね。
物語の中では重要な役割を担う「パンチ・アンド・ジュディ」の人形劇ですが、日本人の私にはなじみがないので、いまひとつイメージが掴めないのが残念。ブラウン神父シリーズなどにも出てくるんですけどねー。
というわけで【「パンチ・アンド・ジュディ」の画像をGoogle】してみました。
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ISBN4-19-861488-1 【bk1/amazon/Yahoo!】 ()
枡野 浩一『君の鳥は歌を歌える』 (角川書店 角川文庫,2002.2,\590+税, ISBN4-04-359402-X)読了。
特殊歌人・枡野浩一が、小説や漫画や映画を評論しつつ短歌化していく一冊。
【bk1】では書評が8本ぐらい付いてました。人気あるのね。
著者近影を見てびっくり。こんなに若い人だったのか! 1968年生まれですか。それより10歳ぐらい上の人かと思っていた。
『子どものための哲学入門』が面白そうだったので、注文してみることにした。
短歌では銀色夏生『詩集 散リユク夕ベ』の中の一編を短歌化した
正しさの中にいるからあなたには
ここから先は理解できない
と、高見広春に捧げられた
あの夏の数かぎりない君になら
殺されたっていいと思った
が、好き。
こんな二篇を選んでしまうのは、私が退屈に疲れているからかもしれない。
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ISBN4-04-359402-X 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(02133876)】
今野 裕一〔ほか〕『ペヨトル興亡史 ボクが出版をやめたわけ』(冬弓舎 ,2001.7,\2,000+税, ISBN4-925220-04-7)を読んだ。
『夜想』『銀星倶楽部』などを出していたペヨトル工房の創立から解散に至る軌跡と主宰の今野裕一氏による解散日記などから構成されている。
感想を書こうと思ったが、まとまらないのでヤメ。
ペヨトル工房を必要としてる人間は確かにいたし、今もいる。でもそれが今野裕一氏が思うほど多くなかったというだけの話だと思う。
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ISBN4-925220-04-7 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(01973851)】
中島 らも『人体模型の夜』(集英社 集英社文庫,1995.11,\429+税, ISBN4-08-748403-3)読了。(読んだのはずいぶん前)
「首屋敷」と呼ばれる廃屋に忍び込んだ少年が地下室で見つけた人体模型。その胸元に耳を押し付けて聞いた、12の物語。
怪奇譚ではあるものの、どこか落語のような雰囲気のある作品が多い。「骨喰う調べ」オチなんて馬鹿馬鹿しくって大笑い。超自然の存在の出てくる話より、そんなものが出てこない家族の話の方が怖い。
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中井 由希恵『サン・フロリアヌスの騎士 白い花舞う村』 (集英社 コバルト文庫,2002.5,\495+税, ISBN4-08-600113-6)読了。
13世紀のイタリア、フィレンツェの豪商の5人目の子供で読書好きのおてんば娘ヴィオナは、自分の結婚話が勝手に進められているのを知り、家出を敢行する。御者のディーノ爺さんと旅をする途中に襲われ、騎士団の青年に助けられるが……。
「堅信礼」や「フランドル人」「ロンバルディア人」にカッコ書きで注釈がついている冒頭ですでに興ざめ。教科書じゃないんだから……。
登場人物を地の文の語り手と同時代人のような感覚で書いているくせに、「中世ヨーロッパの道路事情は、とても厳しかった。」(p.26)とか書かれるのも萎え。
じゃじゃ馬娘のキャラクターは悪くないが、途中で騎士団の青年の方に視点が移動していまうので、どうにもちぐはぐな印象を受ける。
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ISBN4-08-600113-6 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(02164856)】
松井 千尋『めざめる夜と三つの夢の迷宮』 (集英社 コバルト文庫,2002.6,\514+税, ISBN4-08-600126-8)読了。
奇妙な噂のある娘と辺境を治める王子とその護衛の物語『辺境王の帰還』、化け物が棲む迷宮を守る孤独な魔女とその迷宮に迷い込んだ少女の物語『小さな夢の迷宮』、文字が存在しない国の伝声官の物語『トリシテの伝声官』、微妙につながりあった3つの物語から構成される短編集。
『犬が来ました ウェルカム・ミスター・エカリタン』『ハーツ ひとつだけうそがある』の松井千尋のファンタジー風の新作。今まで読んだこの人の作品のでは一番面白かった。
書出しが上手いなと思う。たとえば、『辺境王の帰還』の冒頭。
====引用開始====
リシという名だ。
小柄な、灰色の目と髪の、唇をかたく結んだ娘である。
「決まった人がいるの」
かならず、そういう。
微笑すらしない。
十七だが、すでにひとつ、破れた夢を持っている。
(p.6)
====引用終了====
『犬がきました』でもそうだったけれど、ドキっとするような新鮮な表現がある一方、設定や登場人物の心理にはアラが見える(特に第一話)。感覚で書いている人なのかなぁ。
私が好きなのは2話目の『小さな夢の迷宮』。孤独な魔女が心情を吐露する場面がいい。あと、あまりにワガママ娘なのでてっきりカタキ役だとおもったら、しっかり最後まで主役だったロタが印象的。ちょっぴり意地悪でかつ魅力的なキャラを描けるというのは財産だと思いますね。
味わいはどの話もほんのりビター。おすすめ。
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ISBN4-08-600126-8 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(02180545)】
Webをまわっているうちに私のアンテナに引っ掛かった本たち。買いたいんだけど、経済的理由で「あとで買う本リスト」に入ったままなのだ。
小説関連
漫画と画集
ノンフィクション
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井田 真木子『ルポ十四歳 消える少女たち』読了。ちゃんと感想を書きたい。
【bk1】で【特集 〜東雅夫の世界〜 「幻想文学」創刊20周年特別企画】が始まりました。
【INTRODUCTION】
【特別対談 皆川博子×東雅夫】
【東雅夫とは何者か?:南條竹則「同好の士 東氏との仕事」】
【東雅夫とは何者か?:高原英理「怪奇と幻想という神に跪く人」】
【東雅夫とは何者か?:長山靖生「折り目正しい快楽主義者」】
【東雅夫とは何者か?:小池壮彦「『季刊幻想文学』に出会った頃」】
【東雅夫年譜】
『ホラー小説時評 1990−2001』も予約受付中。予約特典で「ホラー小説時評 in FANGORIA」が付きます。
おほほ、もちろんワタクシは予約済みです。
特別対談の構成を担当した【タカザワケンジ】さんの06/27の日記によると「原稿にまとめられるのはほんのわずかなエッセンス」ということなので、もっと長いのを次の『幻想文学』に掲載ってのはいかがでそ。
年譜は幼少期が特にツッコミどころ満載で楽しい。「変な感想文ばかり書いてたヒガシ君」として小学校の同級生や先生の記憶に残っているのかも。
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……『GOTH リストカット事件』と『死なないでいる理由』がセットで到着。すごい組み合わせだが、銀と黒『GOTH』と白い『死なないでいる理由』の組み合わせは合うような気が。
駒崎 優『黄金の拍車』(講談社 講談社X文庫 White heart,2002.7,\550+税, ISBN4-06-255623-5)読了。
《足のない獅子》シリーズの続編。
騎士になり領地までもらってしまったリチャードですが、荘園経営も楽ではなさそう。書類の山にまみれていると、地下牢の奥の部屋から死体が出てきて……。
新キャラが出てこないせいか、《足のない獅子》とあんまり雰囲気が変わりませんですね。
新しくやってくるはずの書記のキャラに期待かな。
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ISBN4-06-255623-5 【bk1/amazon/Yahoo!】 【bk1(02195100)】
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有里 (Alisato Akemi)