1998年 |
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隣町の大きい本屋(郊外型大型書店ってやつですね)で、『COMIX BOX』5月号(株式会社ふゅーじょんぷろだくと)と
いしいひさいち『女(わたし)には向かない職業』(東京創元社)を買う。
あと、『新潮文庫解説目録 1998年4月』と『東京創元社文庫解説目録 1998.1』をゲット。
夫には、「ま〜た貰ってきたの?好きだねぇ」と呆れられましたが、だって、好きなんだもん。タダだし。読んでて飽きないし。(笑)
いしいひさいち『女(わたし)には向かない職業』(東京創元社は、朝日新聞で連載中の「ののちゃん」に出てくる藤原瞳先生(小学校の先生で後に推理小説家)が出てくる4コママンガ集。 発売元が東京創元社なので、どこの売り場に置いてあるのかわからず、ずっと探していたのですが、この本屋ではちゃんとマンガ売り場にありました。 確か『創元推理』には藤原瞳先生のデビュー作が載っているとかいう情報があったのだけれど、 『創元推理』も、どの売り場にあるのかわからなくて、見つけられなかったんです。
『COMIX BOX』5月号の特集は、「97〜98年まんが総決算」。
でも購入の決め手になったのは、p.28〜29の伊藤有壱のクレイアニメの特集なのでした。
「ポケットビスケッツ」「ブラックビスケッツ」のプロモーションビデオが伊藤有壱の仕事だというのは、知っていましたが、
「日テレ営業中」もそうだったとは知らなかった。
前にも書いたけれど、伊藤有壱は高校の後輩で、
高校時代に「アニメ作ります」とクラスメイトやら先輩(私だ、私)やら後輩やらを巻き込んでセル・アニメを作り
(まさか完成するとは思わなかったが、完成した)、しっかり本職のアニメ作る人になってしまった。
だもんで、『吸血鬼美夕』の提供をしていた某アニメーション学院のCMに出てくる「アニメーターになりたいだと?世の中そんな甘いもんじゃないぞ」という先生を見るたびに、
彼のことを思い出し、「本気でやれば世の中十分甘くなるんじゃないの?」と思う私なのでした。
学生時代から「漫画家になる」「イラストレーターになる」と言っていた私の友人たちも、
(売れているかどうかは別として) みんな漫画家やイラストレーターになってるしね。
もっともイトー君は、芸大に一発で合格する画力の持ち主でしたし、他の人も、絵は巧かったですけどね。
『COMIX BOX』には、奥付けにEメールの宛先とホームページのURLが載っている。 他の雑誌も見習ってもらいたいものだと思う。しかし、まんがベストのアンケートの回答者の平均年齢が40歳を越えてるってのは、なんだかなぁ……と思ってしまう。 これって、執筆者が全員30代という『SFマガジン』よりコワい状況なのでは。 △
漫研時代の友人 藤木ゆりこがついに、パソコンを購入。Eメールアドレスも取得して、ネットサーフィンにいそしんでいるそうです。 めでたいことです。 私より同人誌歴はずっと長い人なので、そのうちホームページ作りにも乗り出してくるでしょう。楽しみ、楽しみ。
パソコン通信を始めてからずっとお世話になっていた横浜の草の根ネットシェフネット・ジャパン (URL:http://www.cnj-main.co.jp/)が、ついにインターネットに対応。 WWWブラウザで、パソコン通信の掲示板が読めるようになって嬉しい。
この間から作成中の山田ミネコ作品リスト暫定版をNIFTYの山田ミネコ会議室にアップする。
どこにもデータがない(ファンクラブにはあるのかもしれないけど)から、自分で作るしかないのね。
漫画家の作品リストを作っていて、一番欲しいのは、雑誌の目次データです。
『プチフラワー』は、創刊17年記念で、総目次の連載をやってくれて、とってもありがたかったです。
あれを電子化してくれるともっとありがたいんだけど。(創刊号から何年分かのデータは、WWW上にあったはず。)
『グレープフルーツ』『LaLa』あたりも、目次データがあればいいのになぁと思いますね。
(マニアの多い24年組が載っていた雑誌データっていうのは、需要が多い)
誰かやってくれないだろうか...。(って、【萩尾望都作品目録】の永井さんも書いていた)
(1999.07.06付記 【GRAPE FISH】(url:)に、『グレープフルーツ』の総目次が掲載されています。)
どこかで、有料でいいから、いろんな雑誌に載った資料(総目次とか年間出版データとかですね)をダウンロードできるサイトを作ってくれないだろうか。 どうせ今は、入稿データって電子化されてるんでしょ? そのまんま圧縮しておいて、1ダウンロードごとに500円とかできないもんでしょうか。 (1年分で500円でも10年分で5千円。ちょっと痛い。でも図書館いってコピーしまくるよりは安いかも。検索も楽だし。) タダなら、もっといいけどねぇ。
そうそう、朝日ソノラマのサンコミックスの総目録があるサイトをみつけました。 Bizarre Books Overdrive !!(URL:http://www.angel.ne.jp/~wata/index.html) です。サンコミックスの他にもコミックス一覧リストがいろいろあります。 コミックスもどんどん廃刊になるので、こういうデータが貴重なのです。
【書物の帝国】の別館(?)で、小説の書き出しを当てる 【金色の階段の彼方へ】という企画が始まった。 哀しいかな『ムジカ・マキーナ』と『風のガリアード』しか判別できない。 読んでいないのか、書き出しを忘れたのか、まだ解答篇を見ていないのでわからないが。
カードの『消えた少年たち』については、感動した人が不安になるといけないので(苦笑)、ちょっと補足。
どんなにすばらしいワインでも、体調が悪かったり、アルコールにアレルギーのある人が飲むと吐いてしまうことがあるように、
『消えた少年たち』も題材が題材だけに、すばらしいと思う人がいる反面、小説の出来とは関係なく、受付けない人がいるってことなのです。
(実際、本国ではかなり批判されたらしい。)
私の「勝手に感動してればぁ」っていう感想は、実は『SFマガジン』98年3月号の書評(p.160)に向けたものです。
クリスマスの晩に読んだ方がいいなんて、うっかり勘違いする紹介の仕方はやめていただきたかったですね。
これって、結局のところ、連続少年失踪事件とその殉教者をネタにした小説なんですから。
私の不満は結局のところ、延々とうっとぉしい私小説みたいな文章を読まされたあげく「彼」が殉教者に仕立て上げられる物語なんか読みたくない、
ということなんです。
小説としての出来というより、題材と料理に仕方に拒否反応がおきてしまうんですね。ラストの部分だけの短篇だったら、我慢できたかもしれません。もしかしたら、感動すらしたかも。
(まるで本格ミステリを期待して『虚無への供物』を読んで怒っている新本格ファンのようだと自分でも思う。(笑))
ときどき、こういう本があるんです。他の人がものすごく誉めてるし、小説としての出来がいいのも解る。 でも、私には受付けられない本っていうのが。(『氷の城の乙女』もダメでしたねぇ。) 私が、トラウマ・サヴァイヴァー(別名 アレルギー性質(笑))だからかもしません。
アキフ・ピリンチ『猫たちの聖夜』(ハヤカワ文庫NV)読了。探偵も被害者も猫という猫ミステリ。 それがなぜ、NVで出たかというと、それには、深ーいわけがある。半分ファンタジーなんですよ、これ。 なんせ、猫がパソコンを使ってしまうんだから。猫版『ルーフワールド』という趣のある作品。 面白いけど猫嫌いは読まない方がよいかも。アンソロジー 『魔法の猫』が気に入った人なら、読んで損はないです。 解説は久美沙織さんですが、この方、解説には向かないと思います。
【金色の階段の彼方へ】の解答を見る。
『異次元を覗く家』や『帝国の娘』は、読んでいるんだけど書き出しを覚えていなかった。
一番悔しいのは『妖女サイベルの呼び声』。ああいう書き出しだったとは!すっかり忘れていた。
反対に読んだ事がないのになぜか確信があったのが、『六番目の小夜子』。文体だけで、作者がわかるってことは、恩田陸って凄い人なのかも。
【SFオンライン】のバックナンバーを見ていて、カードの『消えた少年たち』の書評をみつける。 短篇の方はもっと毒がきついらしい。私には、あわなかったかも。本の紹介としては、堺三保氏のこの書評の方が妥当だと思う。 私は、書評というのは、読み手が自分に合った本を選ぶ手助けをするだけでなく、自分に合わない本をパスするためにも機能すべきだと思う。
【うさぎ屋本舗】を見にいったら、リニューアルされていた。
(とってもケルトしていて美しいので、まだ見てない人はご覧になってください)
実は、実家に帰った折にうさぎ屋さんこと妹尾ゆふ子さんが10年前に発行した同人誌『ORIGIN』を発掘してきたので、その旨をメールしたら、
「あれは自分で売っていたんですよ」というお返事をいただいた。
どうやら御本人と直接お目にかかっていらしい。でも、10年前のことなので、私もよく覚えていないのだった。
実は、実家には、めるへんめーかーさんのデビュー前の同人誌(これは、友人に買ってもらった)だの、末弥純さんやひかわ玲子さんの漫画が載っている『剣魔界』だの
田村由美さんの個人誌だのも転がっているのであった。
『ORIGIN』を買ったのは、最後にコミケにいったときだったらしい。もう少し長くコミケにいっていたら、あと何冊か妹尾さんの同人誌が手に入っていたかも。
残念。
J.グレゴリィ・キイズ 『神住む森の勇者』上(ハヤカワ文庫FT)を読了。
『水の都の王女』の続編というよりは、後編といってもよいぐらい、前作と密接な関係があるので、
絶対に前作から読みはじめなくてはダメ。
軽い感じのあった前作とは打って変わって、ハードな展開。ちょっと『指輪物語』の二つの塔あたりを思わせる。
私が前作でとても気に入っていた、図書館館長のガーンと暗殺者ゲーが重要な役まわりで登場するのが嬉しい。
夫が夜11時に寝てしまったのを幸いに、こそこそとNIFTY-SERVEの萩尾望都会議室の定例チャットに参加する。
(チャットは直前まで参加できるかどうかわからないので、いつも飛び入り)
会議室では、5月31日にLOFT/PLUS ONEであった萩尾望都×夢枕獏×佐藤嗣麻子のトークライブの話題で盛り上がっているのだが、
チャットでもさらに詳しい話を聞けた。ド・マニアな観客がいて、結構迷惑した話なども聞いた。
山田ミネコ会議室では、LaLaの目次一覧情報とSFマガジンの総目次情報について教えてもらった。
ちなみにミステリマガジンは、創刊500号記念特大号(1997年11月号)に、掲載作品総目録が載っている。
オールタイムベストをやったSFマガジンとどっちが良かったかというと、私としては、ミステリマガジンだったりする。(^_^;)
なんせ、ミステリマガジンは買った(あまり読んでない)けど、SFマガジンは買わなかった(立ち読みはした)もんね。
西村しのぶ『一緒に遭難したい人 1』(主婦と生活社)を買う。
おしゃれで貧乏な美女ふたりと、真面目でやさしい年下の公務員という設定がいいですね。
マキちゃん、お人よしだけど、決して優柔不断ではないのね。「守ってくれる甘いぬるま湯」うーん、いいなぁ...。
西村しのぶも関西の人らしく、バブリーなようで、実は根はものすごく真面目だったね。
夫が自分の実家から「こんなの読む〜?」と、本を取ってきた。
A.E.ヴァン・ヴォクト『スラン』(ハヤカワ文庫SF)、豊田有恒『タイムスリップ大戦争』(角川文庫)、
カトリーヌ・アルレー『呪われた女』(創元推理文庫)、大原まり子『金色のミルクと白色の時計』(角川文庫)という謎の組み合わせ。
大原まり子『金色のミルクと白色の時計』は、大原まり子の3冊目の短篇集である。
つい最近、SFセミナー関係のホームページでこういう本があることを知ったのだが、それがいきなり目の前に出てくるとは。
本屋で見かけていれば覚えているはずなので、多分とってもレアな本なんだと思う。物持ちのいい夫を持って良かった。
夫によれば、豊田有恒『タイムスリップ大戦争』は、「すっごく面白かった」そうだが、
あとの2冊は読んだ記憶がないとのこと。
夫「『スラン』ってどういう話だったけ?」
私「超能力者の話」(正確にはミュータントの話ですね)
夫「どうしてそんな本買ったんだろう?」
私「『超人ロック』の影響じゃない?」
最も謎なのは、カトリーヌ・アルレー『呪われた女』である。ちなみに1984年初版。
カトリーヌ・アルレーっていったら『わらの女』に代表される悪女物の作者。なんでそんなの買ったんだろう?
オカルト物と間違えたのか?
TVの「発掘!あるある大辞典」では、自立神経失調症の特集をやってました。
自立神経失調症傾向のテストで、私は見事に要注意。当たり前か。
自立神経のためには、規則正しくだらけることが大切なことを再確認する。
私の場合、パソコンとファミコンに向かい過ぎか。いえ、最近はゲームしてないんですけどね。
あんまりリラックスできない性格なので、意識して脱力せねば〜と思ってます。
J.グレゴリィ・キイズ 『神住む森の勇者』下(ハヤカワ文庫FT)を読了。
傑作でした。久々に手放しで誉めることができる作品が出てきてくれて嬉しい。
『ゲド戦記』の1巻目と2巻目と『指輪物語』の「二つの塔」の良いエッセンスを掬い上げて、
アニミズム世界観をもった物語に流し込んだような作品でした。
ラストでのゲーの存在の意味に、『指輪物語』を思い浮かべたのは私だけ?
朝日新聞のミニ時評に「『サイバー』書評」つまりWWW上の書評についての記事が載っていた。 何を今さら偉そうにという内容だった。
最近「書評」ってなんの為にあるんだろうねぇ、ということを考えはじめて、
どうやら以下のような目的のためにあるらしいと思うようになった。
(1)本の存在を知る
(2)本が私にとって面白いか否かを知る
(3)本の「読み方」を知る
(4)自分の読み方が他の人とどう違うか、あるいは同じかを知る
で、一番重要なのは、(2)なんですが、これのためには評者の傾向と対策がわかっていないと意味がないんですよね。
どんな傑作だろうが、私に合わなきゃそれはつまんない本なの。
というわけで、面白そうな本をさがすなら新聞の書評欄より個人のホームページの方が向いているということになります。
だって、たいていの書評ページには、評者が面白かった本が並んでいて、評者がどういうキャラクターの人なのか判るもの。
評者がベスト10あるいはベスト5をあげる『このミス』形式の書評誌が売れているのは、
読者がそれぞれ自分と似た傾向のお気に入りの評者を探すことが出来るからなんじゃないかと思う。
(私は大津波悦子さんと赤木かん子さんがお気に入りです。)
私のようなシロートの書いた読書日記でも、(1)の役には立つだろうから、
せめて書名と出版社名ぐらいは正確に記述しようと思う今日このごろ。
(3)の目からウロコの「読み方」を示唆する書評としての最近のヒットは、
【大森望さんの1月13日の日記】の中の森博嗣『夏のレプリカ』についての以下の一文ですね。
=====引用開始====
森博嗣のミステリィにつきまとう違和感は、たぶん本書が典型的に示すように、オブジェクトレベルのトリックより、メタレベルのトリックに焦点があるからじゃないかって気がする。
=====引用終了====
これ読んで以来、森博嗣を読むときの腰がぴたっと決まるようになったというか、安心して森ミステリを読めるようになって、大変嬉しい。 やっぱりプロの書評家だったら、これぐらいやってくれないと。
大原まり子『金色のミルクと白色の時計』(角川文庫)読了。 後の「メンタル・フィーメル」や「ハイブリッド・チャイルド」の原型となる短篇が入っていた。 私は、この頃の短篇が好きだ。
サミュエル・ディレイニー『アインシュタイン交点』(ハヤカワ文庫SF)を読みはじめる。
私は、キーワードや固有名詞をトリガーに、いきなり記憶の自動検索が始まるアタマを持っているので、こういうタイプの小説は嬉しくってたまらない。
読みはじめていきなりジョイスの『フィネガンズ・ウェイク』なので、ちょっと身構える。
「アインシュタイン」も「交点」も出てこないファンタジーのような冒頭にとまどう。リンゴとオルフェウスの固有名詞をアタマに刻み込む。
p.57の「PHAEDRA」が引っかかるが、義理の息子に懸想した女という情報しか出てこない。
が、p58の「宙返り(レプタルエス)」でついに自動検索のトリガーが入る。そっか、ミノタウロスの迷宮だぁ〜!
というわけで、なんとなく構造が飲み込めてくる。
ジェイムズ・ジョイスの『ユリシーズ』でやったこと(「意識の流れ」じゃなくて、「物語に神話を重ねる」の方)のSF版であるらしい。
映画『黒いオルフェ』のSF小説版といった方がいいのかも。
引き続き、『アインシュタイン交点』に挑戦。最後まで読み、英和大辞典とオヴィディウス『転身物語』
(人文書院, 1981)で、
気になっている固有名詞を調べる。
その結果は、読後コメントの方に載せておく。
丸一日考えてもよくわからないので、とりあえずこの本はこれで読み終えたことにしておく。
本棚をチェックしていて、レイ・ブラッドベリ『刺青の男』(ハヤカワ文庫NV)をちゃんと持っていることに気付く。 まあ、中学高校とブラッドベリにハマって、たいていの本は読んだから、あって当然なんだけど。 でも「万華鏡」は全然覚えてなかった。
【ふるほん文庫やさん】の文庫三昧を読みにいく。
通販は手間がかかって大変だとか、谷口社長、泣きが入っている。気の毒に。
それにしても、本を手放す人あっての古本業だということを理解していない人が多いというのには驚かされる。
メールで、山崎浩一「危険な文章講座」(ちくま新書)という本のことを教えてもらった。 ちょっと心惹かれるので、今度本屋でチェックしてみようと思う。
【書物の帝国】の掲示板で見かけた、
『アインシュタイン交点』を「ポルノとして読む」という誘惑に抗しきれず(笑)、3回目を読む。
あらゆるメタファーを性的に読み替えていくと...、ふーむ、意外にもこれが一番しっくりくる読み方だったりする。
しかも面白い(笑)。
どんな風に読んだかは、『アインシュタイン交点』読後コメントをどうぞ。
図書館で有栖川有栖『海のある奈良に死す』(双葉社)、イタロ・カルヴィーノ『魔法の庭』(晶文社)、城戸光子『青猫屋』(新潮社)を借りる。
途中まで読んで放っておいたジャック・ダン&ガードナー・ドゾワ編『魔法の猫』(扶桑社文庫)を読み終わる。
フリッツ・ライバー「跳躍者の時空」、コードウェイナー・スミス「鼠と竜のゲーム」などは、さすがに名作といわれるだけあって面白いが、
一番私の気に入った作品は、R.シルヴァーバーグ&R.ギャレット「ささやかな知恵」だった。わたしって、結局ミステリの人なのかも。
ほかには、キング「魔性の猫」やリゲット「猫に憑かれた男」、ウェルマン「魔女と猫」など。
うーん、猫が人間に勝つ話ばっかりだ。(笑)
綾辻行人と京極夏彦の対談の載っている『IN POCKET』1998年6月号を買う。
綾辻行人監修のゲーム「YAKATA」の話が面白い。モンスターが<アトポス><てっそのおり><哲学者の密室>で、最強アイテムが「エラリィの剣」だって。(笑)
これは買わねばならないかもしれない。
綾辻行人は『十角館の殺人』(講談社文庫)しか読んでいないのだが、他の新本格といわれる作家たちの中ではかなり巧い人だというのが分かったので、
もう少し読んでみても良いかもしれない。なにしろ『十角館の殺人』で、犯人が名乗ったときに思わず「えっ?」を前のページを繰ってしまったのは確かなのだし。
『名探偵コナン』の原作にしか見えないというのは、綾辻行人が悪いんじゃないんだし。
講談社ノベルズの人たちって、京極夏彦と森博嗣を別にするとどうも割高感があって...。
読み終わったときに、「ああ、いいもん読んだ〜」っていうより、「あ〜あ、こんなにかさばる高い本読まされちまったぃ」になりそうな気がしてなかなか手が出ない。
リサイクル系本屋で探そう。
夏目房之介『マンガはなぜ面白いのか その表現と文法』(NHKライブラリー)も買う。 マンガの絵の表現方法を「形喩」「音喩」「間白」といった造語で説明していくのが面白い。
有栖川有栖『海のある奈良に死す』(双葉社)読了。この人の一番の傑作はその華麗なペンネームなんじゃないかと思う。 名前から、華麗な文体のエラリー・クィーンを期待していただけに、作品の野暮ったさ(特に『海のある奈良に死す』は、題名も文体もトリックも野暮ったい)がとっても残念。 早く名前負けしない作品を書いて欲しいものです。
「アインシュタイン交点」で検索をかけて、訳者の伊藤典夫氏のインタビューの載っているページをみつける。
「ほら貝:SF ディレイニーとの交点 −−伊藤典夫氏と語る」(URL:http://www.win.or.jp/~horagai/sf/ito.html)
伊藤氏の読みでは、書くことと読むことの寓話となるらしい。
翻訳やあとがきでは「寓話」という単語は出てこなかったから、あえてこの訳語を避けたと思っていいのだろうか?
【大森望さんの日記】から【THATTA ONLINE】の水鏡子氏のページを見にいって、ハマる。
本阿弥さやか嬢について見にいったんだけど、前田珠子や若木未生、氷室冴子についての納得できる評価が出ていたので、そのままのめり込む。
本格的にSFな人は、少女小説なんて馬鹿にする気がしていたので、意外。
なぜかコワイヒトというイメージを持っていたのが、コバルト文庫をちゃんと評価できて、少女マンガもいろいろ読んでいることがわかって、いいヒトかもしれないと思うようになる。(笑)
榛野なな恵のあまりにも的確な評に笑ってしまう。
面白かったので、そのまま大森望さんのホームページにある【水鏡子みだれめも 1987-1994】をブラウザのキャッシュに詰め込んで、
オフラインで読みはじめる。
水鏡子氏が三原順ファンであることがわかった時点で、水鏡子ファンなることを決意する。(←決意しないとなれないのか?)
いろいろおもしろい発見があった。
先ず、ずっと気になっていたハヤカワ文庫FTが白背から今の橙背になった時期が、判明した。
「同じくハヤカワFT『ベルガリアード物語』、三巻目から背表紙を色染めした。」(【水鏡子みだれめも1988】)
という記述があり、ベルガリアードの2巻はFT109で、私の持っているFT110「異教の女王」初版(1988年4月発行)が橙背だから、FT110以降が橙背になったことがわかる。
ティプトリーとカレン・ブリクセンの関係についても面白い事が出ていた。 ティプトリーことアリス・ブラッドリーとアイザック・ディーネセンことカレン・ブリクセンはアフリカでの知り合いで、 ブリクセンの小説家としての成功がティプトリーに影響を与えたのではないかというのだ。 (「●ティプトリー拾遺 アイザック・ディーネセン」【水鏡子みだれめも1989】) ティプトリーについては、早いとこ評伝(評論ではなく!)が出てくれないかと思っているので、 とても興味深かった。カ−レン・ブリクセンは、『運命綺譚』(ちくま文庫)が未読のまま、転がっている。 読まねば。
『ミス・メルヴィルの後悔』(早川書房 ミステリアス・プレス文庫)のイヴリン・E.スミスがSFを書いていたというのもびっくり。
(【水鏡子みだれめも1989】)
このシリーズ、2作目までは、とっても面白いです。
そういえば、ケイト・ウィルヘルムもいつの間にかミステリ作家になってましたっけ。でもつまんなかったです、『炎の記憶』(創元推理文庫)。
もともと、面白い作家だったのかどうかも今では疑問。『鳥の歌いまは絶え』(サンリオSF文庫)の終末の風景は良かったと記憶していますが、他のは重いし暗いし...。
ミステリはやや軽くなったとはいえ、やっぱり暗かった。
そのほか、「伸たまきは三原順の匂いがする」(【水鏡子みだれめも1992】)とか、
「たぶんこのラインのままいってたら、氷室冴子は、三原順であったかもしれない人で、死んじゃってたかもしれない。」
(【水鏡子みだれめも1988】)とか、なるほどねぇと...。
氷室冴子の『シンデレラ迷宮』『クララ白書』(1・2)『アグネス白書』(1・2)なんかの評価が低いのは、
私と違って、水鏡子氏が男性で、氷室冴子を実用書として読んだりしないからでしょう。
『シンデレラ迷宮』と橋本治『恋愛論』(講談社文庫)は、女の子が失恋したときの特効薬なんですけどね。
あと、目録だの著書一覧だのを見てうっとりするリスト好きという人種が間違いなく存在することを確認する。(笑)
ということで、カ−レン・ブリクセンは、『運命綺譚』(ちくま文庫)を読みはじめる。 あとがきを読んで驚いた。アイザック・ディーネセン(イサク・ディーネセン)って『バベットの晩餐会』を書いた人だったのだ。 本は読んでいないけど、映画は名作だった。そうかぁ...、『バベットの晩餐会』の原作者かぁ。『バベットの晩餐会』、どこかの古本屋で見かけた。 パスして失敗した。今度見かけたら、買うぞ!
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