更新日: 2005/12/19
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東雅夫へんしうちょうが【オンライン書店bk1】とのコラボレーションでおくる出版情報ブログが始まりました! 末永く続くことをお祈りしてます。
ブログだからTrackBackも送れるんですよー。ということで、TrackBackを送ってみます。
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共用書籍DB【MM/本のメモ】に、2004年3月〜9月のコバルト文庫と角川ビーンズ文庫のデータを登録してみました。
URL欄は公式サイトの書誌情報ページ、メモ欄には作者読みの頭文字、作者名、シリーズ名、イラストレーターを記載しました。
ジャンルの値は、ishinaoさんがインポートしたこのライトノベルがすごい!(第1回)のデータのジャンル表示にあわせてあります。
こうしておけば、ライトノベルレーベルごとの感想がすぐに探せるのではないかと思います。
次回の「このライトノベルがすごい!」へのデータ提供も視野にいれています。何人かで担当レーベルを分けて登録するとよいのではないでしょうか。
とりあえず、少女向け文庫(コバルト文庫、ビーンズ文庫、X文庫、ウィングス文庫)のデータを登録しておこうと思います。
更新は思いついたときに何か月分かまとめてやるつもりなので、迅速さはあまり期待しないでください。差し支えがないんだったら、他の人とパスワードを共有してもいいんですけどねぇ。どうだろ、問題は起こらないかしら。
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金曜日も稲刈り。手伝う男手がいなかったため、猫の手であるところも私も出動を余儀なくされた。といっても稲刈り機やトラクターの運転はできないので(結構コツが必要で難しいらしい)、もっぱら藁用の稲わらを束にする作業とモミを入れた袋を動かすのを手伝うだけなんだけど。
わら束を作るのは機械ではできないので大変。(作れる機械もあるらしいが、とても高いらしい)
通常は実をしごきとったあと茎の部分を10センチぐらいに裁断して田んぼに撒いてしまうのだが、わら藁にする場合は裁断せずに田んぼにばら撒く。その茎を集めて、そろえて、束ねて干すと藁束になる。でも、その束ねる作業が大変なのだ。そろわないしうっかりすると手を切っちゃうし、乾いた茎の破片がチクチクするし。下手すると同じ重さの米より手間かかるかも。(米はほとんど機械化されているからね。)
だもんで、最近の農家ではほとんど藁は作っていないようだ。
畳用や飼料用の藁は、輸入してるとかいう話を聞いたことがある。で、検索してみたら、今は稲わらの輸入は安全性が問題だとかいう理由で制限されているらしい。で、稲わらの確保が大変らしい。「耕種・畜産の連携で国産稲わらを利用しましょう」なんてキャンペーンをやっているところもあるようだ。
ついでに『PORNO GRAFFITTI BEST BLUE'S 』も買っちゃいました。CCCDなんで、私のパソコンでは読めませんでしたが、CDプレイヤーではちゃんと聞けたからいいや。
CDを買ったのって『サクラ大戦「帝撃歌謡全集」』以来のような気がするんですが、あれ買ったのは、ええと、1997年のことです。うーん、7年ぶりか。
なんで買っちゃたかっていうと、【羽鳥】さんの2004/08/24の日記「妄想と暴走は自分では止められない所が良く似ていると思います」を読んでしまったからです。「巫女姫とその護衛官の恋」が私のツボを直撃。妄想エンジン全開で楽しそうで羨ましい……。
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【MM/本のメモ】に登録するのに必要なので、ライトノベル系公式サイトの書誌情報ページのURLを調べていたんですが、これをひとつのフォームにまとめてみることにしました。
ISBN欄にハイフン付ISBNを放り込んで検索ボタンを押すと、ISBNから出版社を自動判定して、公式サイトにある書誌情報を検索します。
メディアワークス(電撃文庫)、角川書店、富士見書房、集英社、講談社などなどの書誌情報が検索できます。
検索できないのは、MF文庫J、ファミ通文庫、EXノベルズ。これらの公式サイトは一応個別の書誌情報ページはあるので、変換テーブルを作ってやればなんとかなるんですけどね。どうしようかな。
角川系やMF文庫Jなどの公式サイトの書誌情報はなかなか充実してますね。イラストや帯の画像もあったりして、楽しいです。
古橋 秀之/鋼屋 ジン原作『斬魔大聖デモンベイン 機神胎動』(角川書店 角川スニーカー文庫 ,2004.8, \620, ISBN4-04-427808-3)読了。
189X年、謎めいた大富豪・覇道剛造を追う新聞記者エイダは、導書アル・アジフの主として鬼械神アイオーンを駆る魔術師と遭遇した。
ゲームの『斬魔大聖デモンベイン』【amazon】(なぜかアダルトゲーム)/『機神咆吼デモンベイン』【amazon】の前日譚らしい。
復讐にもえる魔術師や高飛車な物言いの少女の形をとる魔導書の化身は、私好みのキャラクター造詣なんだけど、あと数ミリというところで私のツボからズレていて、たいへんに惜しい。もうちょっとで、ツボ直撃なのにって感じ。
口絵ではエロいコスチュームで頑張っているエイダちゃんですが、本文では「潜水ゴリラ」みたいな形状の装甲服着てジタバタしてるだけドジっ娘なのが残念。ほかの作品にもこういう娘は出てきたので、多分作者の好みなんだと思いますが。
「今行きます!」
「私が、そこを……照らします!」
「今行きます……今…………今……!」
っていう叫びはカッコいいいんだけどなぁ。
あと、にゃるらーな人がブラックメイ(ネタばれにつき以下略)。
『BL小説パーフェクト・ガイド』(雑草社 別冊活字倶楽部 ,2003.09, \980 ,)読了。
こういうものが出ていたんですね。さすがは『活字倶楽部』。
ボーイズラブ系作家紹介と作品ガイドと座談会から構成されたガイドブック。
作品分類が面白くて、「学園もの」「職業別社会人もの」「ジャンルもの」「シチュエーション別」とあって、「職業別社会人もの」には「攻家政夫」「受家政夫」、「シチュエーション別」には「ドナドナ」(借金のカタに売られる)なんてキーワードも。
主従関係があんまり載ってなかったのが残念。王子様と侍従物とかなら読めるんじゃないかと思ったんだけどなぁ。
座談会が面白かった。私はボーイズラブはほとんど読まないので(大昔には第一期の『JUNE』を買ってたけど、以後は合わないのでやめた)、未知の世界でありました。
男同士という設定だと、ちょっと距離を置けるぶん、単純にうっとりできるのです。
(中略)
男女のキャラだと自分自身に置き換えちゃうことがありません? 気持ちをトレースできてしまうというか。それでウッとなることがあるけど、その点男同士だったら、単純にフィクションの部分だけで楽しめるんです。
(p.6)
このあたりは、【1976腐女子】にでてくる「腐女子がドリーム小説になじめない理由」につながるのかなという気がします。
まとめると、BLファンには先天性と後天性があって、傾向としては先天性の人は匂い好き、後天性の人はストレート表現好き。BLアイは持っている人と持っていない人がいるが、訓練で持つことができる、と。
(p.7)
うーん、そうなのですか。
寮生活というのは、多くの読者にとって、わかりそうでわからないという微妙なラインをつく設定なので、リアルとドリームが共存しやすい黄金設定だと思います。
(p.69)
現実的な設定に非現実な世界を描き出す、というのはBL作家に求められる創作上の技術力なんです。学園ものはその力がはっきりわかる設定なんじゃないでしょうか。
(p.69)
「リアルとドリームの共存」ってのがポイントみたいですね。
少女小説が衰退したのは「リアルとドリームの共存」ができなくなったからだと思いますね。
購入ガイド
bibid=02357742 【bk1(02357742)】
阿島俊 『漫画同人誌エトセトラ'82-'98 状況論とレビューで読むおたく史』(久保書店 ,2004年9月,2200円, ISBN4-7659-0048-7)読了。
「縮小再生産」という言葉を使いたがるような奴は、すべからく読むべし。とても貴重な資料。
(でも追加した部分は誤植が多い。p.16の4段目 鈴木光秋→鈴木光明、p.20上段 白坂冬香→白沢冬香とか。一番悩んだのがp.319に出てくる「未来少年コナン」。1998年なんだから「名探偵コナン」じゃないのかな?)
前半の同人誌事情は懐かしい。
1983年ぐらいまでの同人誌なら、数が少なかったこともあって固有名詞もほとんど分かる。
私がコミケに行ったのは川崎市民プラザから。それ以前から即売会に行っていた友人に同人誌を買ってきてもらったりしていたので、デビュー前のめるへんめーかーの個人誌をもっていたりする。
もっとも私がいたのは今では絶滅危惧種になってしまった創作同人なので、アニパロの動向はいまひとつ分からない。
(ちなみに最後に行ったのは1988年の夏コミ。最後に参加した即売会は1989年2月のMGM。1990年末には同人誌から足を洗った。でもその後すぐにパソコン通信に足をつっこんでしまうのである。)
興味深いネタはいろいろ。
1996年(最後の晴海コミケの年にしてエヴァブームの年)あたりを境に何かが変わってきたようで、そこらへんも興味深いのだが。
中野 晴行『マンガ産業論』(筑摩書房 ,2004.7, \1680 , ISBN4-480-87346-5)読了。
年表があればもっとよかったのに! 年表欲しい!
マンガはベビーブーマー(団塊の世代)と共に発展し、凋落していきつつあるってことね。
同じようにライトノベルは、団塊ジュニアとともに発展してきた。だから多分マンガと同じようなことが起こるんだと思うんだけど。
そういえば漫画家12年周期説ってのがあったっけ。24年組の次は35年組なんだよね(正確には1959〜60年生まれが豊作)。1959年生まれといえば綾辻行人をはじめとする新本格作家がそのあたりの生まれなのだ。当然24年組の影響も受けている。
1963〜1964年も小説家・漫画家が豊作か。菅浩江、水野良、恩田陸、京極夏彦、江國香織、よしもとばなな。青山剛昌、吉住渉、萩原一至、藤島康介。
で、その次が1972年生まれの団塊ジュニアなんだけど、Wikipediaで探せる漫画家は、山咲トオルと『シャーマンキング』の武井宏之、『行け!稲中卓球部』古谷実、山田南平ぐらい。1973年生まれが『ふたつのスピカ』の柳沼行。なんか地味〜。
売れている人っていうと、『テニスの王子様』の許斐剛が1970年、『鋼の錬金術師』の荒川弘が1973年、『NARUTO』の岸本斉史が1974年、『ONE PEACE』の尾田栄一郎が1975年生まれ。長編一作勝負な人が多いな。
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http://d.hatena.ne.jp/otokinoki/20040906#p2
コミケに行くようなオタク第1世代は、24年組とポスト24年の作品を追いかけてマンガ雑誌読むので忙しかったと思うけどな。
私が中学高校で読んでいたのは、『別冊少女コミック』『プリンセス』『ビバプリンセス』 『花とゆめ』『LaLa』『りぼんデラックス』『ぶ〜け』『月刊セブンティーン』。これだけ買ったら、一ヶ月分の小遣いの大半はぶっとびますな。
『JUNE』も創刊号(最初は『COMIC JUN』だった)から休刊号まで買ったし、『OUT』の最初のヤマト特集号も買ったし、『ランデブー』創刊号も持ってる。
『SFマガジン』は時々買った。『奇想天外』も時々買った。『SFアドベンチャー』は平井和正を読むために買いつづけた。
そのあとは『プチフラワー』『grape fruit』『デュオ』。
そういえば、『ぱふ』も『だっくす』だった頃から買っていた。
オタク女(という言葉は当時はなかったんだけど)が読んでたのは『夜想』じゃなくて『月刊OUT増刊アラン』では。(休刊した『June』の代わりとして読んでいた人が多い)ゴスな記事も載っていたので、そこから『夜想』へ行った人はいると思うけど。
かつての私は本当にマンガをよく読んでいたなとつくづく思う。
自分はずっとマンガを読みつづけるんだと思ってた。まさかマンガ雑誌をまったく買わなくなる日がこようとは思わなかった。(コミックスも月に数冊しか買わないしね。)
そういえば、ファンタジー小説のことも中山星香ファンクラブで教わったんだっけ。
2004/09/07追記:
24年組関連といえば新書館の『ペーパームーン』もあった。同人誌文化に与えた影響はとても大きいと思う。
そういえば「For Ladies(フォア・レディース)」シリーズって復刻したんだっけ。1960年代に人気だったとは知らなかった。なぜか今の「乙女」なお嬢さんたちに人気があるようで。
参考:
【少女漫画の方舟】
【戦後ジュヴナイルSF出版年表】
【 毎日新聞 2004年6月2日東京夕刊:少女本:よみがえったフォア・レディース 寺山修司と宇野亜喜良さんの3冊セット】
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夫の綿100%の肌着がなんとなく黄ばんできたので、煮洗いしてみた。
こんなこともあろうかと、セールで980円のホーロー鍋を買っておいたのだ。
固形の純せっけんをチーズおろしで削ったものと酵素系漂白剤を鍋に入れ、熱湯を注ぎ、肌着を入れて10分ぐらい煮る。鍋から取り出して水ですすいで、最後にクエン酸を入れた水でリンスして軽くすすいで、洗濯機で脱水して干す。
新品同様というわけにはいかないけれど、白くふわふわになった。綿100%だからこそできるワザだけど。面白いので、これからも時々こうやって洗おう。
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このサイトがある【パルフェネット】の契約更新をした。
年間3150円なり。あんまり負荷のかかるCGIは置けないけど(2ちゃんねる型掲示板等は不可)、個人でほそぼそとやっている分には問題ないんで。
振込みは新生銀行からサクっと完了。楽だな〜。まあ、そのために口座を作ったんだけど。
夏の疲れが出たのかな、冷えたのかな。胃の動きが弱っている感じ。
それなのに消化の悪いものや冷えたものばかり食べるのが、いけないんだけど。
うー、食事作るのがだるい。
沖原 朋美『待つ宵草がほころぶと』(集英社 コバルト文庫 ,2004.9, \460 , ISBN4-08-600481-X)読了。
相変わらず情景描写の多い古風な文体だが、古臭いという感じはしない。前にも書いたように、今は逆に新鮮。
今回は、作者があとがきで書いているとおり、ラブストーリーではなく「中学生日記」。とても良かった。身体の不自由な姉の世話ばかりで自分を構ってくれない母親への不満を押し殺して"えらい"子を演じつづけ、幼馴染みのお兄さんへの思慕を押さえつけて、気持ちが同じところをぐるぐる廻って今にも爆発しそうになっている思春期の少女がいじらしく、いとおしい。
舞台となっているのは日本の田舎町(あとがきによると九州のどこからしい)なんだけれど、こういう場所って存在するのかな。
以前【土踏まず日記】に五十嵐大介 『リトル・フォレスト』に出てくる集落に「あまりリアルがない」という感想がのっていたんだけれど、それと同じような意味でこの田舎町にも「リアルがない」ような気はする。田舎にありがちな「悪意」がないんだよね。でもこの作品においては、それは悪いことではないと思う。
そこでは大人はしっかり”迷いのない大人”をやっている。だからこそ、主人公の思春期の心のゆれを、読者は安心して読むことができる。
こういう本を必要としている子は今でも(今だからこそ?)いるはずなので、そういうところにちゃんと届いてほしい。
こんなに地味で大丈夫なのかなと心配になるけど、ひょっとするとこの作風、結構受けているんじゃないかな。デビュー作は2003年度の読者大賞で、同期デビューの中で2冊も本が出ているのは、この人だけ。三作目の出版も決まっている様子。
世間でも純愛ブームなんていわれているし、これからは古風な少女小説の時代なのかも。
クライマックスのシーンの挿絵はイマイチ。あそこは挿絵なしのほうがよかったと思うけどな。
Yahoo!に登録されたり、本家からのアプローチがあったりと、いろいろ大変な【このライトノベルがすごい!】ですが、せっかくのデータをもう少し活用し易くするために、マップと感想の索引を作りました。
このライトノベルがすごい! 近道マップ
このライトノベルがすごい! 作家別索引
ファイルを固めた圧縮版(map.lzh)も作りました。差し上げますので、もしよろしければ解凍してhttp://maijar.org/sugoi/の下に置いておいてもらえると嬉しいです。>極楽トンボさん
レイアウトが気に入らなかったら、直しちゃってください。
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「2004年度ロマン大賞最終選考発表!!」(『Cobalt』2004年8月号)より
入選 :該当作品なし
佳作 :中村幌『クラウディア』
佳作 :小林フユヒ『ラベル』
最終予選通過作品:
『クラウディア』―― 中村幌(32歳)
『死者は誰よりも優しく』―― 夏坂翠(32歳)
『アストライアの判決』―― 名妙歌野(23歳)
『ラベル』―― 小林フユヒ(21歳)
選考委員:井沢元彦、大岡玲、瀬名秀明、田中雅美、眉村卓、唯川恵
応募作品数:562編
【Yahoo!Booksで著者名「中村幌」を検索】
【Yahoo!Booksで著者名「小林フユヒ」を検索】
瀬名秀明の『クラウディア』選評が「小説」と「ライトノベル」との違いを語っていて興味深い。コバルトの新人賞のこれからの方向性も示している発言なので、少し長いけれど引用しておく。(強調部分は原文では傍点がついている)
だが小説の世界観をいかに掴み、物語に入ってゆくかという点について、今回は考えさせられた。私は本作を読み始めてすぐに、現実世界に少し架空の設定を織り交ぜたアニメ、例えば映画『カリオストロの城』の絵柄を思い浮かべた。作品の方向性がみえてくれば、全体の世界観が統一されている限り多少の瑕瑾にも目を瞑ろうという気になる。私はアニメというメディアの持つ表現形式を世界観の一部として取り込みつつ、この物語に浸り、楽しんだ。しかしこういった方法論の「転換」と「補完」が困難だった委員は、本作の致命的な設定ミスやご都合主義的キャラクターに強い違和感を覚え、否定的評価を下したのである。
いわゆる「ライトノベル」といわれる小説の中には、自然とこのようなメディアの「転換」を読者に促すものも多い。だが他の委員と意見を交わすうち、少なくともこの選考会では「小説」として読者を持ってゆくものを送り出すべきなのかもしれない、と感じた。
『Cobalt』2004年8月号,p.330
直木賞作家や山本周五郎賞作家を輩出している老舗のコバルトとしては、下手に流行の「ライトノベル」の方向を目指すより、「小説」の賞であり続けるほうを選んだってことでしょうね。賢明な選択だと思う。
(でも、コバルトの賞って、投稿者からは「読んだこともないおじさん、おばさん作家ばっかりが選考委員をやっている」と評判はイマイチだったりするみたい。それを補完する意味でノベル大賞には、読者――といっても作家志望者が多いみたいだけど――が選考する読者大賞が併設されているんだけどね。)
ちなみに瀬名秀明は、2003年度ノベル大賞でも、他の年配の委員が評価に悩んでいた小池雪『夢で遭いましょう』をあっさり「最近流行の『ひきこもり系純文学』ととらえた」と評していて、『ファウスト』をはじめとするライトノベル系小説もちゃんと押さえているらしいことをうかがわせた。(まあ、瀬名秀明ならきっちり資料も集めていそうだ)
▼『夢で遭いましょう』は最近流行の『ひきこもり系純文学』ととらえた。つまりこの作品の文体や展開は、一見個性的なようで、実はよくあるタイプに留まっており、まだこの作者は本当の個性を発揮できていないということである。ただしこの作品が孕む感覚は、ある種のリアルだと思う。
『Cobalt』2003年12月号,p.316
最近の『Cobalt』の選評は面白いので、作家志望者は読むといいと思う。特に【花村萬月】が選考委員になってからの短編小説新人賞の選評は必読だ。
海原 零『ブルー・ハイドレード 融合』(集英社 集英社スーパーダッシュ文庫 ,2004.6, \600 , ISBN4-08-630191-1)読了。
ブルー・ハイドレード(集英社スーパーダッシュ文庫) 海原零〔著〕 |
途中で放り出していたので、読了するまでに結構時間がかかった。最後の方で面白くなるという噂を聞いていなかったら、読むのを再開せずに投げてしまっていたかも。
「体言止が多くて、文章が読みにくい」とか「 つっこみどころの多い世界設定」とか「おまいら簡単に反乱おこしすぎ」とか「DQN山盛り」とかネットで目にした感想にいちいち同意してしまう。でも、つまらなくはないんだけどね。
だらだらと世界設定やらなにやらを説明していくよりも、プロローグに出てきた少女と反乱をおこした士官候補生8人が出会って逃げ出すところから始めたほうがよかったんじゃないかと思う。ライトノベル読者は世界設定なんて読み飛ばすし、SF読者は細かいツッコミいれてくるだけなんだから。
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有里 (Alisato Akemi)