diary Alisato's 本買い日誌
1997年 11月 *


1997年 [ 01| 02| 03| 04| 05| 06| 07| 08| 09| 10| 11| 12]

▽ Last [前へ] [次へ]

1997年 11月

読了本一覧

Ganerated by nDiary version 0.9.0

1997.11.01 (土)

 小野不由美『悪夢の棲む家』上下(講談社X文庫ホワイトハート)とJ.グレゴリィ・キイズ『水の都の女王』(ハヤカワ文庫FT)を買う。水の都ねぇ…金蓮花ですか?っていいたくなるタイトルですね。(^_^;)

『SFマガジン』97年12月号はジェイムズ・ティプトリー・ジュニアの特集。思わず買ってしまう。前回の特集(1989年12月号。表紙が萩尾望都だ)も買ってますね。ティプトリーとの最初の出会いは、「接続された女」でした。1975年のヒューゴー賞特集号。女性だなんて知らなかった(当時は誰も!)けど、二人称による独特の語り口はいつまでも記憶に残るものでした。後々、短篇集を読んで、その作品の作者がティプトリーだったと知りました。中身はまだ読んでいないんですが、高野史緒さんがティプトリーのベスト3を挙げているのが嬉しい。

ハヤカワ文庫FTの新刊は、ロバート・ジョーダン「竜王物語」だそうです。5冊出るらしい。ってことは、他の作家の本が出ないということね。それにしても、新しいファンタジー作家が出てくるたびにトールキンの名前を引き合いに出すのはいい加減に止めて欲しい。トールキンの亜流じゃトールキンは越えられないんだってっば。

[Top]


1997.11.02 (日)

 ふるほん文庫やさんに『夜の翼』『最後のユニコーン』『魔法がいっぱい』の注文を出してみたところ、『魔法がいっぱい』のみが届いた。あとの分は、探求書の方に回ったらしい。どうも料金体系がややっこしくてよくわからないので、メールで問い合わせてみることにする。
届いたライマン・フランク・ボーム『魔法がいっぱい』は、カバーの破れなどを和紙で補強してあった。丁寧な仕事に頭が下がる。

ジグソーハウスには、『ウィンターズ・テイル』『霜の中の顔』『幻獣の森』を探求書として出してある。なかなか出ない本なので、なくてもともと、あれば儲けものと思っている。(後日、探求書のメールが届いていなかったことが判明した。)

[Top]


1997.11.03 (月)

つくば 本買いツアー再び

 つくば市までドライブ。目的は古本屋めぐり。今回も大漁でした。

小野不由美『悪夢の棲む家』

小野不由美『悪夢の棲む家』上下(講談社X文庫ホワイトハート) 読了。


翠親子は、ようやく念願のマイホームを手に入れた。だが、そのときから彼女たちの周りで怪現象が起こりはじめる。調査に乗り出した渋谷サイキック・リサーチだが…。

ピンクの表紙の講談社X文庫ティーンズ・ハートで出ていた『悪霊がいっぱい!?』シリーズの続編。前のシリーズの登場人物が勢揃い…らしいのですが、読んでいないからよくわからない。

下巻の一番怖いところで夫に部屋の明かりを消され(操作ミスだったらしい)、悲鳴をあげる。とっても怖かった。なんせ、悪霊のせいで電気が消える家の話ですからね。

怖かったです〜(涙)。ホラーは苦手なのですが、小野不由美だからと思って読みました。面白かったけど、怖かった。怖すぎて、あらすじを書くのもいやなんです〜。思い出したくないんです〜。(涙)

[Top]


1997.11.04 (火)

久美沙織『石の剣』

久美沙織『石の剣』(新潮文庫)読了。 ヨーレンの『光と闇の姉妹』と同じくらい面白い。


14歳の魔女見習いのジリオンは、はじめての旅の途中、剣の形をした貴重な魔法石サイトシリンを、青狼の毛皮をまとった男に奪われてしまう。石を取り戻すため、ジリオンの孤独な旅が始まる。

というイントロ部分を読むと、タニス・リーの影響バレバレといった感じですが、オリジナリティにはいささか欠けるものの、作者名を隠してハヤカワ文庫FTに入れたら、違和感なく納まるぐらいの、日本では珍しいしっかりとした本格ファンタジーになっています。 (サリー・マクミンとかいう著者名でハヤカワ文庫FTに入っていたら絶賛したかもしれない。(笑) )

ただ、敵役の魔女の喋り方がヤクザの情婦のようでいまひとつ凄みがなくて、雰囲気を壊しているのが残念。ディズニー映画に出てくる魔女のような感じで、滑稽ですらあります
解説は、風間賢二氏。ちょっとヨイショしすぎの感がありますが、ハヤカワ文庫FTのファンなら、古本屋で掘り出してくる価値はあります。

久美沙織『青狼王のくちづけ』

久美沙織『青狼王のくちづけ』(新潮文庫)読了。

《ソーントーン・サイクル》の3巻目なのだけれど、これが出た頃には前の2冊は品切れになっていたという…。困ったもんです。
というというわけで、冒頭にはいままでの話のあらすじが出ています。

主人公だったはずの少女の姿がなく、塩の平原を舞台にしたガルシア=マルケスみたいな話がつづく。どうなることかと思ったが、ちゃんと最後は主人公の少女の話に戻っていた。(笑)
そうなると、構成の上からいうと塩の平原の話が邪魔になるのだが、実はここが一番すばらしいのだ。
解説の大森望氏いわく「ファンタジー小説の真髄もまた描写にある」。全く、同感。

尻すぼみとか甘いとかいう評が出そうなラストも、三部作をまとめるという意味では良かったと思う。私は最後にいきなりスケールがでかくなる話って好きじゃないのだ。(「サクラ大戦」とかさ〜)

久美沙織の作品は、以前から知っているのだが、華麗だけれどリアリティが感じられない文章を書く人としか思えなかった。(『精霊ルビス伝説』あたりまで、ずっとそうだった)それが、ここへきて大化けしてしまった! キャリアのせいもあるけれど、やはり夫君の波多野鷹氏と山奥へ引っ越して、本物の自然と暮らすという経験をしたのが最大の理由だろう。めでたいことである。

大森望氏の名解説は、氏のホームページで見ることができるので、興味のある方は一読をお薦めする。

[Top]


1997.11.06 (木)

Nifty 萩尾望都会議室

 NIFTY SERVEの漫画フォーラム 作家・作品館(FCGAMEA)の萩尾望都会議室(MES 8)にハマっている。 10/26のオープンで、既に発言数は300を超える。
他の人の発言に刺激されて、私も『トーマの心臓』『イグアナの娘』などを読み直している。

未読の「金曜の夜の集会」を読むために、小学館文庫版『半神』も買ってしまい、収録してある「真夏の夜の惑星」に泣いた。雑誌掲載時はなんとも思わなかったのに、どうしてだろう。疲れてるのかなー。
ついでに樹なつみ『八雲立つ』(白泉社コミックス)の新刊も買った。

永井さんのホームページ「萩尾望都作品目録」を参考に、萩尾望都作品一覧を作成してフォーラムにアップしているので、このホームページの更新がなかなか進まない。

[Top]


1997.11.07 (金)

ティプトリー

 ティプトリーの文庫本を引っ張り出してきた。結局、作品集は4冊全部持っているようです。でも内容は、「接続された女」と「たったひとつの冴えたやり方」と「愛はさだめ、さだめは死」以外は、ほとんど忘れている。
『SFマガジン』12月号の、高野史緒さんが書いた「ヒューストン、ヒューストン、聞こえるか」の批評に大笑いしたので、「ヒューストン…」を再読。ちなみに、その批評ってのは、こういうのです。(高野さんの書いた文章っていうのは、するっと頭に入る。)

====引用開始====
リーダーもいないし分担もはっきりしないまま、何時間もお喋りしながら非能率的に作業したり(しかし最後には何故か男性より収拾がついている) (中略)居心地は良いけれど時々ひどくうんざりする、必ずしもユートピアではないけれども何となくうまく運営される、女たちの世界。 (p.91)
====引用終了====

女の世界ってのは、まったくその通り。
「ヒューストン…」みたいなのを読んだ後だと、男性への対応が荒くなります。(苦笑)

[Top]


1997.11.08 (土)

 貞本義行『新世紀エヴァンゲリオン』4(角川コミックス・エース)と、菅浩江『末枯れの花守り』(角川スニーカーブックス)を買う。
『新世紀エヴァンゲリオン』4のシンジは、アニメのシンジと違い、まっとうに少年している。少年漫画は、こうでなくっちゃね。アニメと違い、読者を救ってくれるだろうか?

菅浩江『末枯れの花守り』

菅浩江『末枯れの花守り』(角川スニーカーブックス) 読了。
カバーと挿絵が波津彬子さん。内容も波津作品を意識している。菅浩江は、こういう和モノの様式美の作品を描かせると上手いですね。知識が、付け焼き刃じゃないからなぁ。


心の闇に付け入り、人を花に変えて異界へ連れ去ろうとする闇の姫君たち。その前に立ちふさがるのは、花守りの青年 青葉時実。
菅浩江が波津彬子と組んで贈る、日本の様式美に満ちた妖かしの世界。

闇の姫君たちをも翻弄する(笑)元気なおばあさんの出てくる「老松」が、一番評判がいいようですが、私は「寒牡丹」「山百合」が面白かったです。
「寒牡丹」は、タカビーな女優志望の少女の話。最後の啖呵がカッコイイ。
「山百合」は、ようやく自分がアダルト・チルドレンだと自覚した菅浩江(いままで、知らなかったの?)が、AC(アダルト・チルドレン)の狡さといやらしさをめいっぱい描き出します。私自身、多少ACの傾向があるので、「うんうん、わかる、わかる」という感じでした。(笑)

カバー裏の解説がちょっと間違っているのが残念。百花の王は百合じゃなくて牡丹。

[Top]


1997.11.09 (日)

 凄い人からメールを戴きました。ハヤカワ文庫FT237冊完全揃えまで、あと12冊というコレクターの方。目録作成を手伝ってくださった高橋さんもすいぶんもっていらした様子なんですが(詳しく尋ねたことはない)、こちらの方も凄いですね。私もFTを集めているので、いわばライバルなんですが、あと12冊と聞くと、同じ本を狙っていたら譲ってあげたくなっちゃうような。

二十歳の花郁悠紀子ファンの方からもメールいただきました。15年経っても花郁悠紀子さんの作品が新しい読者に受け入れられているってことがが判って嬉しい。まだどこかで傑作集が出るといいんですけどね。

[Top]


1997.11.10 (月)

 キャッシュにため込んだ、1年分の"裏"日本工業新聞!!(URL:http://www.asahi-net.or.jp/~WF9R-TNGC/nikko.html)を読む。さすがに4ヶ月分ぐらい読むと、くらくらしてくる。(かなりの量だものね。) 日記のページは、アニメネタが多いです。半分くらいなら判る。アミューズメント総合学院がどういうところなのか、よくわかった。(笑)
ついでに、皆川博子「死の泉」(早川書房、2000円)、高野史緒の新刊「架空の王国」(中央公論社、2200円)の情報もキャッチ。タニグチリウイチさんは、SF者というけれど、読む本の趣味は、C.L.ムーアからSFに入った人(私だ、私!)みたいな感じで、かなり幻想寄りって感じがします。SF履歴がどっかに載っているかしら?

[Top]


1997.11.11 (火)

 MOE特別編集『少女まんが ゆめ王国』(白泉社) 1700円+税を買う。少女漫画展のカタログらしい。
萩尾望都のインタビューが良く出来ている。1994年のMOEに載った記事の採録らしい。

[Top]


1997.11.12 (水)

 風邪気味なので、ベッドに萩尾望都作品集を持ち込み一気読み。が、それが悪かったのか熱が上がる。

[Top]


1997.11.13 (木)

 ひたすた眠りつづけて12時間、熱も下がったところで、放り出しておいたマカヴォイの The Belly of the Wolf を読みはじめる。
Cantonの港町でヴェロンニャ国王ルドフの訃報を聞いた、ナズュレットとその娘はその夜、刺客に襲われる。船でCantonを後にした二人だが、船上で決闘で有名な画家 Dianos伯爵と知り合うことになる。船長との争いに巻き込まれ、救命艇で脱出した3人は、伯爵の館へと辿り着く竄辜iズュレットに気があったらしい伯爵を残し、ナズュレットと娘はRezhmiaへと向かう。ここまでで、全体の半分弱。間が空いているので、ナズュレットが何をしに、どこへ向かっているのかわかんなくなりました。

[Top]


1997.11.15 (土)

 篠田真由美『原罪の庭』(講談社ノベルス)、 内田春菊『悪女な奥さん』(メディア・ファクトリー)、CLAMP『X』(角川ASUKAコミックス)を買う。
『悪女な奥さん』は、いいですよ。すごく元気が出る漫画。嫌いな人もいるだろうけどね。

篠田真由美『原罪の庭』

篠田真由美『原罪の庭』(講談社ノベルス)
夜中になっても読み終わらなくて、旦那が寝付いたスキに布団の中で懐中電灯付けて読んでしまいました。(笑) スプラッタな話でした。


桜井京介と「蒼」が出会った事件がついに明かされる。
密室状態の温室の中に切り刻まれた死体が三つ、そして言葉をなくした子供がひとり。果たして残虐な殺人の犯人幼い少年なのか?

母と子の関係、愛という名の束縛と暴力というテーマはわかるんですけど…うーん…。
なにしろ、深春サンと漫才をやっているあかるい蒼くんを知っている身としては、この悲惨な経験をした少年と蒼くんが同一人物とは思えない。
人間は、案外タフなものだし、まして子供は柔軟性に富んでいるっていわれてしまえば、それまでですが。

内田春菊『悪女な奥さん』

内田春菊『悪女な奥さん』(メディア・ファクトリー)

結婚しても「悪女」でいられるためというテーマのマンガとエッセイ。「悪女な奥さん」っていうのは、英訳では、Charming Wife となっております。反「良妻」+「魅力的な女」というわけで。『とらばーゆ』に連載されたらしいですが、転職情報だけじゃなく、こういうのも載っていたんですね。

マンガ部分は、共働きの風貴ちゃん夫婦の生活(『とらばーゆ』だから、会社でのシーンが多い)マンガとそれに対しての内田春菊さんの解説マンガから構成されています。
この風貴ちゃんとその旦那さんがとってもステキなんです。精神的に自立した対等なふたりが、お互いいたわりあって無理をしないで自然に暮らしていて、ああいいなぁ、うちもこんな風になりたいなぁなんて思います。

内田春菊さんの解説マンガには、春菊さんの最初の結婚のことも出てきて、これがソーゼツ。小説に書かれたような少女時代といい、最初の結婚といい、弱い人間なら壊れてしまうような経験をバネにしなやかにしたたかに生き抜いてきた彼女の強さには感服します。今は私生活もしあわせなようで、よかったですね。
春菊さんの言っていることは、すっごくまっとう。「なんで女でいるだけでサービスされて当然って人はいるのかなあ…」という台詞には、胸に手を当てて考えたりして…。こういう人が本当の意味での自立した女っていうんでしょうね。

ベンガルの解説は、なんでこんな人を起用したんだろうと編集部の良識を疑うほどの失礼なもの。(当人は、これをユーモアだと勘違いしてるのかもしれませんが。)肥大した自意識の持ち主だったら、ブチ切れちゃうだろうと思うような書き方をされて、それを内田春菊は一応「面白いもん」と書くわけで、人間としての格の差は歴然。
多分、内田春菊は並みと並み以下の男にとっては得体がしれない恐ろしい存在なのですね。だからこんな風に嗤おうとするんでしょう。それ考えると、春菊さんの旦那さんのおうくぼさんは凄い人ね。 (2001/01/18:といっていたら離婚してしまった。あらら。)

ふと、『嗤う伊右衛門』の民谷岩が、風貴ちゃんや春菊さんのようにしなやかな自立した精神を持っていたら、あんな悲劇は起らなかっただろうにと思ってしまいました。

[Top]


1997.11.16 (日)

 町のボランティア団体のバザーに売り子で参加。疲れた…。
女の集団は組織的に動けないから、大人数になるととっても非効率的なのです。

[Top]


1997.11.18 (火)

  The Belly of the Wolfの続き。
ナズュレットと娘は、ヴェロンニャで何が起っているかの情報収集をしつつ、Rezhmiaへと入る。情報は錯綜している。彼は王宮で、首長(ナズュレットの叔母に当たる人物)と会い、ノルウェス地方(本来ならナズュレットの領地)が国王に対して反乱を起こしていることを知る。ナーヴァは、単身ノルウェスへ発つ。ナズュレットもまた、真相を知るため、馬でノルウェスへと向かう。
途中狼と闘い、名も知らぬ遊牧民の村に寄り、ようやくノルウェスに辿り着いたナズュレットは、ルドフの死がルドフの息子Benarの指示によるものだと聞かされ、現在の国王であるBenarを殺すことを決意する。

[Top]


1997.11.19 (水)

マカヴォイ The Belly of the Wolf

ハヤカワ文庫FTで出ていた、ナズュレット3部作の最終巻。翻訳が出ていないので、仕方なく原書を読みました。 ようやく読了。

絶対に予想したエンディングにならないのだな、マカヴォイの作品は。(だから売れないのか。)内乱を防いだものの、大団円にならないのが、このシリーズの特徴。ちょっと物足りないような、物さびしいような…。
結局この話は、王となるだけの血筋も才能も人望も機会もありながら、決して王になろうとはしなかった男の物語なのですね。

あらすじを紹介しますと、

ナズュレットは55歳、娘と共にCantonという港町に住んでいる。 アーリンは既に亡い。
その街で、彼はヴェロンニャ国王ルドフの訃報を聞く。噂では毒殺されたのだという…。
ナズュレットとその娘はその夜、刺客に襲われる。
船でCantonを後にした二人だが、船上で決闘で有名な画家 Dianos伯爵と知り合うことになる。
船長との争いに巻き込まれ、救命艇で脱出した3人は、伯爵の館へと辿り着く
どうやらナズュレットに気があったらしい伯爵を残し、ナズュレットと娘はRezhmiaへと向かう。

ナズュレットと娘は、ヴェロンニャで何が起っているかの情報収集をしつつ、Rezhmiaへと入る。情報は錯綜している。
彼は王宮で、首長(ナズュレットの叔母に当たる人物)と会い、ノルウェス地方(本来ならナズュレットの領地)が国王に対して反乱を起こしていることを知る。ナーヴァは、単身ノルウェスへ発つ。ナズュレットもまた、真相を知るため、馬でノルウェスへと向かう。
途中狼と闘い、名も知らぬ遊牧民の村に寄り、ようやくノルウェスに辿り着いたナズュレットは、ルドフの死がルドフの息子Benarの指示によるものだと聞かされ、 現在の国王であるBenarを殺すことを決意する。

Benarは、身の潔白を主張し、ナズュレットとBenarとDianos伯爵は、内乱を止める為ノルウェスへと向かう。
辛うじて内乱をふせいだナズュレットは、ナーヴァとも別れ、ひとりノルウェスを後にするのだった。

正直いって、クライマックスに何が起こったのかよく分かんないんです(汗)が、最後はナーヴァの手記で結ばれています。ちょっと物悲しい…。

私はアーリンが大好きだったので、3巻目では、お亡くなりになっていて悲しかったです。まあ、時々出てくるんですけどね。

[Top]


1997.11.20 (木)

 ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『九年目の魔法』(創元推理文庫)読了。インターネットでよく行く書評ページの皆さんが口を揃えて誉めている作品でしたが、確かにその通り!面白かったです、HELENさん、三島さん!

名古屋在住のハヤカワ文庫FTファンの方からメールをいただく。今度は、パーフェクト揃えまであと2冊という方。やっぱり完全に揃えようとすると、集めるのに時間がかかるそうです。まだ、全部揃ってますという方からメールをいただいたことはないですが、きっとどこかにいるんですよねぇ。

有里の本棚のページと千代紙素材のページの更新作業。やっているうち泥沼にはまり込む。

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『九年目の魔法』

ダイアナ・ウィン・ジョーンズ『九年目の魔法』(創元推理文庫)


大学生のポーリィは、この9年間に実際にあったことと覚えていることが食い違っていることに気付く。まるで、過去が変えられてしまったかのように。彼女は、十歳の頃の記憶をたぐり寄せた。
近くの屋敷でお葬式があって、リンさんという男の人と友達になって…。あれは、本当にあったことなのだろうか?

失われた時を取り戻そうとする少女の愛と成長と闘いを描く、ホラー仕立ての魔法ファンタジー。
あらすじを説明すると、ネタを割ってしまうので、あんまり話せない。(^_^;)

私がよくいく書評ページの皆さんが、口を揃えて「面白い!」というだけあって、ものすごく面白かったです。(ただ、最後の論理がよくわからないんです(涙))

主人公のポーリィのところには、リンさんという男性からいろいろな本が送られてきます。 私が知っているのは、『ウィロビー館のオオカミ』『喜びの箱』『トムは真夜中の庭で』『木曜の男』『宇宙戦争』『『ペレランドラ』そして、『オックスフォード版バラード集』
なんとなーく読み流していた、これらの書名が実は非常に重要な意味を持っているのが、最後にわかります。

もう一度ゆっくり読み返したいと思っています。

[Top]


1997.11.21 (金)

里帰りという名の本買いツアー再び

 横浜の実家へ里帰り。私が出かけるとなるとなぜか雨なのだ。どうせ私は、雨女。

赤羽駅構内の古本の屋台で、各100円で以下の本をゲット。

『光のかけら』は、背表紙がぼろぼろだったが、めったに出ない本なので、手に入って嬉しかった。
どうやら、30代のSFファンが蔵書を売り払ったような感じで、平井和正、小松左京、星新一や、フィリップ・ホセ・ファーマー、ペリー・ローダン物等が散乱していた。C.L.ムーアの『大宇宙の魔女』(ハヤカワ文庫SF)もあった。どれもカバーが傷んでいるので、100円均一なのだが、あれもマニアから見ればお宝なんですけどねぇ。

池袋では、噂のジュンク堂へ行くつもりだったのだが、行けば判ると思ったのが甘かった。看板も見つからず、仕方なくBOOKSファントムへ行くことにする。
途中の古本屋光芳書店で、

を買う。解説が赤木かん子さんでした。
福武文庫のJOYシリーズは、なかなか面白い児童文学を出していたのですが、企画がポシャってしまったのですね。そのうち、目録をつくりたいものだと思っています。

BOOKSファントムでは、絶版文庫フェアもやっていました。持っている本ばかりだったので、そちらはパスして、迷った末に以下の新刊書を購入。

教養文庫の『アレール姫の指環』を買おうかどうか迷って、結局パス。(これが正解だった)

東急ハンズの方にあるというまんがの森を探したが見つからず、泣く泣く神保町へ行こうと山手線に乗る。新大久保にBOOK−OFFがあるのを思い出し、降りる。幸いホームに看板が出ていたので、それを頼りに新大久保駅の改札を出て、ガードをくぐる方向に歩く。遠くに「本」の看板を発見!

BOOK−OFFは、4階建てのビルだった。1Fが単行本、2Fがマンガ、3Fが文庫本。
1Fの100円均一コーナーに出ていた氷室冴子『銀の海金の大地』(コバルト文庫)に心惹かれつつ、エレベーターで、3Fへ。
文庫コーナーは、新刊書店で欲しくても経済的理由で、買えなかったがいっぱい。

ほくほくして2Fのマンガコーナーへ降りると、幸運はまだまだ続いていた。探していた波津彬子関係の単行本がほとんどあったのだ。

波津彬子さん関係のホームページに必要な資料ばかり。嬉しい。
でも、おかげで、資金が尽き、山田ミネコのマンガをあきらめる。別マ時代のマンガがジェッツコミックスで出てたんですねぇ。「空に消える風の音」とか、ラストが変っていたりして…。うーん、やっぱり買うべきであったか。

荷物が重くなったので、東京まわりで、実家へ帰る。
実家の近所の古本屋に寄るが、どうやらFT関係はわたしが買いつくしてしまったらしく、めぼしい本がない。仕方ないので、2冊100円のコーナーで、2冊ほど買う。
・マッキンタイア『星の海のミッキー』(ハヤカワ文庫SF)…誰も誉めていない(苦笑)。
・ポール・ギャリコ『ジェニィ』(新潮文庫)…50円ならお買い得。

[Top]


1997.11.22 (土)

横浜で買い物

 実家から、横浜イセザキ町へ。目的は映画『ラヂオの時間』を観ることなのだが、当然、本屋にも寄る。
有隣堂本店で、探していた本を2冊ほど購入。相変わらず店員の感じは良くないと思う。
・加門七海『東京魔法陣』(河出文庫)
・麻城ゆう『フェンネルは夢見る』(小学館キャンパス文庫)

ついでに『扶桑社海外文庫解説目録1998』『河出文庫解説目録'97〜'98』もゲット。特に、河出文庫は、橋本治とか稲垣足穂とか入ってるので、嬉しい。なんと最近では、寺山修司や山田風太郎も河出文庫に入っているらしい。昔は角川文庫に入っていたのにね。

オデオンビルの古本屋先生堂書店でも、あまりめぼしいものは見つからず。
仕方なく以下の本を買う。

『ラヂオの時間』を見る

三谷幸喜監督の映画『ラヂオの時間』は、すごく良かった。喜劇というのは、劇場で大勢の人と見るべきだと思った。あるいは、大好きな人たちと見るか。この映画を、ひとりでビデオで見るのはもったいないと思う。

音楽がいい。くるぞくるぞくるぞと盛り上げておいて、ドーンとキメの台詞がくる。劇場に笑いの波が広がる。隣の人が笑っているのを聞いて、安心して自分もさらに笑う。西村雅彦が頭をかかえ、唐沢が走り、鈴木京香がキレる。

館内が静まり返る場面、こんな映画で泣いちゃいけないぞと思いつつ、皆泣いてたよね? それともみーんな鼻かぜだったのかなぁ? 私もこっそり涙をぬぐってました。
ナレーター役の並木史郎が良かったです。いや、登場人物は全員良かったんだけど。この映画には、無駄なシーンも無駄な人物もないんです。最後まで無責任な笑顔の布施明は、最後の最後の最後のスタッフロールで大笑いさせてくれますから、席を立つ前によーく、曲の内容を聞いてね。

プログラムには、劇中劇「運命の女」の元のシナリオが収録されていますが、映画を見終えてから読んだ方がより楽しめます。
(後記:このプログラムには故 伊丹監督の文章も収録されているのだけれど、その文がとってもヘンなのだ。なーんか、その頃から問題があったんじゃないでしょうか)

[Top]


1997.11.23 (日)

 横浜から帰ってきたら、『季刊 幻想文学51』アンソロジーの愉楽のおしらせが届いていた。(良く見たら、年賀葉書だった(笑))11月20日刊行なのだが、横浜の有隣堂には並んでいなかった。やはり神田に寄るべきであったか。ニフティでも注文を受け付けてもらえるようになったらしい。(NIFTY ID=BYG03634) メールが使えるのはありがたい。しかし、アトリエOCTA(『季刊 幻想文学』を出しているところ)って、住所は山梨なのに、なぜか電話番号は浦和のような気がする。

ふるほん文庫やさんから、『ニッポン文庫大全』も届いた。コラムが面白い。

麻城ゆう『フェンネルは夢見る』

麻城ゆう『フェンネルは夢見る』(小学館キャンパス文庫) 読了。

大学生の狩矢晶は、表向きは生け花の講師、だが裏では花を使って悪を討つ葉守流のフローラルアートスクールに関わることになった。という話の3巻目。
今までとは、ちょっと趣向が違いますが、この展開では、それは仕方がないことかも。
どちらかというと、パソコン通信をつかったシンデレラ探しがメインストーリーですね。

モールズワース『かっこう時計』

モールズワース『かっこう時計』(福武文庫)

老婦人ばかりの家に預けられた少女が、かっこう時計のかっこうと共に、不思議な冒険をし、最後には現実の友達を得る物語。

書かれたのが1877年なので、昔から日本で翻訳が出ているのかと思ったら、なんとこれが初訳でした。
学生時代の赤木かん子さんのために訳者の夏目道子さんが訳したものが、出版されたということらしいです。
今読むと、「昔の童話」です。
同じような子ども向けの本ならバーネットの『秘密の花園』の方が現代向けでしょうね。
福武文庫は、<JOY>シリーズと銘打って児童文学の文庫を何冊か出していたのですが、残念ながら企画がポシャッてしまったようです。文庫には向かない作品が多かったからかもしれません。
ちなみに以下のようなものが出てました。
『魔女の丘』は面白かったんですけどねぇ。

福武文庫JOYシリーズ 一覧 (1989.12〜1990.12)

『かっこう時計』 モールズワース, 夏目道子・訳
『魔法の木』 フォークナー, 木島始・訳
『たるの中からうまれた話』 シュトルム, 矢川澄子・訳
『熊とにんげん』 チムニク, 上田真而子・訳
『ヤンと野生の馬』 デンテボルグ, 高橋健二・訳
『卒業の夏』 ペイトン, 久保田輝男・訳
『わたしが妹だったとき/こども』 佐野洋子
『焼けあとの雑草』 ウォルシュ, 澤田洋太郎・訳
『ミッシェルのかわった冒険』 ルネ・ギヨ, 波多野完治・訳
『灰色の谷の秘密』 マスパン, 河盛好蔵・林田遼右・共著
『小さなロバのグリゼラ』 デンネボルク, 高橋健二・訳
『ケストナーの終戦日記』 ケストナー, 高橋健二・訳
『昔ばなしとは何か』 小澤俊夫
『町かどのジム』 エリノア・ファージョン, 松岡享子訳
『魔女の丘』 W.W.カーツ, 金原瑞人・斉藤倫子・共訳
『まぼろしの白馬』 E.グージ, 石井桃子・訳
『カイウスはばかだ』 ウィンターフェルト, 関 楠生・訳
『ジーノのあした』 ブルックナー, 山口四郎・訳
『この湖にボート禁止』 トゥリーズ, 田中明子・訳

[Top]


1997.11.24 (月)

加門七海『東京魔法陣』

加門七海『東京魔法陣』(河出文庫)読了。

『将門魔法陣』『大江戸魔法陣』に続く、シリーズ第3弾。
徳川が江戸を守るために張った魔法陣の謎を解いた加門七海だが、浅草と熊野の関係を探るうち、さらに巨大な魔法陣の存在に気づく。
そして、徳川幕府が滅んだあと、どのように徳川の魔法陣が変形されていったか、そして首都東京がハイテク魔法陣によってどのように守られているかを解く。

ううむ、香港だけでなく、ニッポンにも風水戦争はあったんですねぇ。
この本によれば、山手線、放送局、区役所、郵便局などなども風水的結界を作るポイントであるのだそうです。そういえば、たしかにテレビ局って怪談が多い。それでいったら、怪談が多い学校というのも何か意味がありそうですが。私の通っていた小学校は、江戸時代の投げ込み塚(行き倒れた人を投げ込む井戸)の跡地に建っておりました。

宮部みゆき『パーフェクト・ブルー』

宮部みゆき『パーフェクト・ブルー』(創元推理文庫)読了。


高校野球界のスター選手が殺害され、全身にガソリンをかけられて焼かれるという事件が起こった。元警察犬のマサは、飼い主の探偵事務所の調査員 蓮見加代子とともに事件の真相を追うが…。

宮部みゆきのデビュー作。殺人事件がだんだん社会的な事件と絡んできます。外国物ならいいんですが、日本の作品だとなんだか身につまされて、なんかイヤ。
この人は、最初から親に傷つけられた子供を描いていたんですね。

元警察犬の一人称というユニークな手法と使っていますが、語り手があんまり犬らしくなくて、最後の方など、人間の探偵かと思っちゃいました。
私は犬より猫が好きなので、あまり面白くなかったです。

[Top]


1997.11.25 (火)

 実家からもってきた、岩波文庫などなどを整理。ちゃんと目録作んないと、何を持っていたのか忘れて2冊買ってしまいそうです。現に「コールリッヂ詩集」なんて、2冊あったし。

紀田順一郎+谷口雅雄 監修『ニッポン文庫大全』

紀田順一郎+谷口雅雄 監修『ニッポン文庫大全』(ダイヤモンド社,\3800+税)

紀田順一郎さんとふるほん文庫やさんが監修した、文庫の本。新潮、角川、中公、サンリオSFなどの絶版文庫目録、ふるほん文庫やさんの文庫三昧バックナンバー、エッセイなどなどからなる、文庫の本。エッセイも楽しかったですが、目録部はさらに楽しい。角川の目録には復刊フェアで限定復刊された作品の一覧が載っていないのがちょっと残念。
ふるほん文庫やさんで注文できます。

[Top]


1997.11.26 (水)

 郵便局へいくついでに、『プチフラワー』1月号を買う。次号は波津彬子さんが載るようです。
ジョン・バーンズ『軌道通信』(ハヤカワ文庫SF)読了。面白かったけど、私はカードの方が好みだな。母親の変さが気になるけど…うーん。

ジョン・バーンズ『軌道通信』

ジョン・バーンズ『軌道通信』(ハヤカワ文庫SF)

宇宙船の中で生まれ育った13歳の少女 メルポメネーが、地球の人々に宇宙船での生活を紹介するという体裁で書かれた宇宙学園物。
『The Basic』の連載の「辺境の電脳たち」で紹介されているのを見て、読みたくなりました。大森望さんいわく「バンドやるかわり真面目に学校行ってるマクロス7というか,使徒が攻めてこない第三新東京市というか」

主人公の女の子は宇宙船育ちなので、宇宙船向けの育てられかた(洗脳ともいう)をされています。プライバシーがなくても平気とか、協調を大事にするとか、いろいろと。そこへ地球生れの転校生が「いじめ」を持ち込み、もう一人の転校生の男の子と反発しあいつつ、最後には仲良くなり…などなど、SF的なオカズはあっても、基本は学園物です。(笑)

この中にでてくる「ピラミッド数学」という学科が面白い。クラス全員の点数を底上げしなければ、自分が良い点を取れないというシステムになっていて、だから「みんながいっしょうけんめい協力しあわなくちゃいけないから、ピラミッド数学はとてもたのしい。」(p.104) こういうシステム、取り入れられないものでしょうかね。

[Top]


1997.11.27 (木)

 図書館へ行き、赤木かん子『かんこのミニミニヤング・アダルト入門 パート1』(リブリオ出版)と 『かん子のミニミニマンガ入門』(リブリオ出版)を借りてくる。ついでに、ずっと前にリクエストした、ジョン・クロウリー『リトル、ビッグII』(国書刊行会)がどうなっているか尋ねたところ、「昨日届きました。今、連絡しようとしていたところです。」と言われた。うーん、私は本に呼ばれたのか?

皆川博子「死の泉」(早川書房)と高野史緒の新刊「架空の王国」(中央公論社)、荷宮和子『アダルト・チルドレンと少女漫画』(廣済堂出版)をリクエスト予約。
なんだか私がリクエストをすると図書館(というより図書室)の人がビビるような気がするのは、気のせいか?そんなに変な本をリクエストしてるつもりはないんだけどなぁ。私がリクエストして図書館に入れた京極夏彦なんてひっぱりだこじゃん。

[Top]


1997.11.28 (金)

チュンソフトのバナーキャンペーン

  某所で、チュンソフトのバナーキャンペーンのことを聞き込み、トップページにチュンソフトのバナーを設置。
私はかまいたちの夜を100回以上もやってしまい、以来すっかりチュンソフ党員なのです。

赤木かん子『かん子のミニミニマンガ入門』

赤木かん子『かん子のミニミニマンガ入門』(リブリオ出版)読了。

赤木かん子による、図書館員のためのマンガ論。今は図書館でもマンガを入れるところが多くなりました。で、図書館に入れて欲しい、いれるべきマンガの紹介をしています。『のらくろ』の田河水泡から始まって、手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、少女マンガでは水野英子から大島弓子、萩尾望都、乙女ちっくを経て、90年代の『ドラゴン・ボール』から川原泉まで、押さえるべき作家は、ほとんど押さえてあります。
子どもの本の視点から見た初心者向けのマンガ論としては、非常にすぐれた本だろうと思います。

ただ、赤木かん子という人は、少女の感性を全くといっていいほど持たず、しかも生きるためにファンタジーをほとんど必要としないタイプの人なのですね。(健全ともいうが、繊細でないともいう。)ですから、ほとんどビョーキの私から見ると、そのコメントにはちょっと違和感を感じることがあります。

赤木かん子『かんこのミニミニヤング・アダルト入門 パート1』

赤木かん子『かんこのミニミニヤング・アダルト入門 パート1』(リブリオ出版) 読了。

赤木かん子による、図書館員のための本の紹介シリーズのヤング・アダルト篇その1。ヤング・アダルトっていうのは、児童文学のほうからきた用語で、本来は14歳から19歳ぐらいまでの青少年のための本のことだったんですが、今では、「かつては大人の問題であったが今は子供にも降りかかってくる問題」を扱う大人が読んでも面白い「大人向け以外の本」を指すようですね。
今回のテーマは「薄くてY.A」。幼年文学から、ビュジュアル本までいろいろ。
気になったのは、萩尾望都『左手のパズル』(新書館)、サラ・ミッダ『おとなになること』(ほるぷ出版)、ジョージ・マクドナルド『黄金の鍵』(偕成社)などなど。

アレクシン『ひとりぼっちのおるすばん』(国土社)に対する辛辣な批判は目うろこ。でも、この批判は納得できるんです。トルーマン・カポーティの『クリスマスの思い出』(文藝春秋)が、個人的に好きじゃないのも分かる。
でも、最後のシルヴィア・ウォー『ブルックハースト・グローブの謎の屋敷』(講談社)の項に書いてあることは納得できないですね。この本は、”おたく”で、筆者は読んでいて吐きたくなったんだそうです。でも、そこまで書いておいて、どこが”おたく”なのか、そもそも筆者がいう”おたく”とはどういうことなのか、なぜ”おたく”ではいけないと思うのかが全く書いていない。(例はでてくるけど、例をあげただけでは定義にはならない)
これではだめです。
なぜ良くないと思うかを説明もせずに、否定的なレッテルだけを貼っておしまいというのは、あらゆる差別主義者がやってきたことです。そんなことしちゃだめでしょ?

「吐きたくなる」とまで書いたんだから、そのことについて、きっちり説明しなくちゃだめです。

[Top]


1997.11.29 (土)

ページが黒く見えるって!?

 ブラウザによっては、このページの背景が黒くなってしまって、読むことができないというご指摘を受けたため、背景の変更作業を行っています。
背景に透過GIFを使っているせいでそういうことが起るのかもしれません。透過GIFだと背景色を変えるだけでページのイメージを変えられるので、とっても便利なんですが、そんな落とし穴があったとは…しくしく。
(この件については、「背景画像が黒く見える現象について」をご覧ください。)
というわけで「千代紙つづり」のページも大幅変更しました。

NN1.12では、256色モードで使用すると、背景色あり、背景画像なしの画面が変にアミのかかった画面になったりして、これの対応にも頭をかかえています。ハヤカワ文庫FTの目録のページなどは、透過GIFのダミー画像を背景にして、アミになるのを回避しているんですが、この画面も、ちゃんと表示されているのか心配です。いっそ、全画面背景色は白にしちゃった方がいいのかもしれない。

[Top]


1997.11.30 (日)

『SFマガジン』98年1月号

 『SFマガジン』98年1月号を書店で見つけ、立ち読み。月末だからお金がないのです。
水玉蛍之丞さんのSF者すごろく(タイトルちょっと違うかも)が傑作です。サイバーパンクにたまげて、新しいSFを読むのを止めてしまい、「ビジョルドぐらいは読めるけどねー」とかいっている人物のコマに、思わず自分を見てしまいました。(笑) 最近5年間で読んだハヤカワの青背(本格SFね。どうもユーモアSFやエルリックは白背らしい。)って、今年読んだカードとイアン・マクドナルドぐらいだもんね。あと、『ヴァーチャル・ガール』とエリザベス・ハンド『冬長の祭り』。エリザベス・ハンドなんて、感触は、ほとんどタニス・リー。SFっていうよりファンタジー。

長篇SFベスト10に上がっているやつは、7本ぐらいは読んでいるんですよ。古典ばっかりですからね。『ハイペリオン』は、新しいから未読だけど。
短篇の方には、C.L.ムーアの「シャンブロウ」が挙がっていて嬉しかったな。私はアレで、SFに転びました。でも、C.L.ムーアもSFつーより、幻想小説だよね。

座談会で、ファンタジーよりの作品は読者が意識的にSFベストから除いてしまうというような発言があったようですが、「SFのファンタジー汚染」とかいう人間がいるから、避けたんじゃない?「こんなのはSFじゃない」とかなんとかいう偏狭なSFマニアがいたから、結局SFは作家からも忌避されて、冬の時代になっちゃったんだよねぇ。

[Top]


[Home] [日記目次]

有里 alisato@geocities.co.jp
http://alisato.parfait.ne.jp/diary/

※スタイルシートを使用してます。スタイルシートが有効なブラウザで見ると少し雰囲気が変わります。

最終更新日:2001/09/14