更新日: 2005/12/19
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【国際子ども図書館】に行って、『Cobalt』誌のバックナンバーを漁って、コバルト・ノベル大賞の情報を調べたりしているのですが、そのときに拾った小ネタのメモ。
その1 謎のライバル雑誌
87年冬号の編集後記に『Cobalt』誌にライバル誌登場とあります。さて、このライバル誌って何だろう? 角川系が講談社系だと思うんですが。
「小説 雑誌 創刊」でググってみたら、昭和58(1983)年に角川から『小説王』ってのが出てますが、これじゃないだろうし。朝日ソノラマの『グリフォン』は92年創刊だそうですし。
あ、『ドラゴンマガジン』が1988年3月創刊ですね。これかな?
【SF雑誌データベース検索サービス】によれば、『獅子王(朝日ソノラマ)』1985年7月創刊、『小説奇想天外(大陸書房)』1987年12月創刊。奇想天外には新井素子が書いてます。
一番ライバルっぽい『ザ・スニーカー』の創刊は1993年3月。
追記:2003/07/22
メールで小学館の『パレット』ではないかという情報をいただきました。
その2 小説家のコスプレ
87年秋号では、杉本りえ、唯川恵、藤本ひとみ、島村洋子が「乙女ちっく通信」のページで若草物語のコスプレしてます。少女小説家がアイドルだった時代なんですね。
その3 読者大賞
作家が選考委員を務めるコバルト・ノベル大賞のほかに読者を審査員にした読者大賞が作られたのが、創刊7周年目の1989年夏。読者大賞を受賞した作家のほうが、コバルト作家としては人気がでるような気がします。
その4 ファンタジーの興隆
1990年6月号で前田珠子特集。連載ももたない新人作家の特集というのは珍しいかなと。(その前の号が日向章一郎特集なんですが、この人はすでに連載をもつ人気作家でした。)それだけ人気があったということなんでしょう。
翌年の1991年4月号には、ファンタジー競作と銘打って、前田珠子「ジェスの契約」、若木未生「XAZSA」、桑原水菜「ディアドール」が掲載されています。
コバルト・ノベル大賞入選作も、91年上期が水杜明珠「春風変異譚」、91年下期が響野夏菜「月虹のラーナ」、92年上期がゆうきりん「夜の家の魔女」と、ファンタジー目白押し。どうやらこのあたりから、コバルトは異世界ファンタジーに傾いていったようです。
その5 イラスト大賞
ファンタジー作品が増えるのと同時期に、イラスト大賞というものが創設されています。
みずき健、おおや和美、厦門潤らのイラストが文庫の売上に与えた影響に編集部が気がついたからじゃないかと思うんですが。
第1回イラスト大賞の発表は1991年2月号で、大賞受賞者は後藤星。
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昨日、「コバルト調査のこぼれ話」で、『Cobalt』誌のライバル誌ってなんだろうと書いたところ、小学館の『Palette』誌ではないかというメールを何通かいただきました。やっぱり当時読者だった方の記憶が一番頼りになりますね。
今もパレット文庫というのがあるのですが、それの母体になった雑誌のようです。花井愛子や島村洋子、喜多嶋隆も載っていたとか。【国際子ども図書館】の検索で調べてみたところでは、創刊は1989年夏。「ライバル誌」の記事が1987年冬号(多分1987年2月刊行)なので、時期が合わないのが気になりますが、女の子向け雑誌だし、小学館は集英社の親会社に当たるので、わざわざ言及した意味は納得できます。
逐次刊行物としての創刊が1989年夏であっても、それ以前は別の雑誌の増刊として出されていたということも考えらます。国際子ども図書館に所蔵されているようなので、実物を見てみようと思います。
なお、講談社X文庫ティーンズハートは、1987年2月の創刊のようです。どうして1987年になっていきなり少女小説が流行しだしたのか、謎ではあります。ものすごいベストセラーが出たのかなぁ?
バリー・ヒューガート/和爾 桃子訳『八妖伝』(早川書房 ハヤカワ文庫FT 340 ,2003.7,\740+税, ISBN4-15-020340-7)読了。
『鳥姫伝』[→感想]、『霊玉伝』[→感想]につづく、李老師と十牛コンビシリーズ第三弾。残念ながら、シリーズはこれで最後だそうですが。
罪人の公開処刑に立ち会うことになった李老師と十牛。そこへ乱入してきた魑魅の食いかけの死体を紫禁城に届けたことから、謎の鳥かごと八能技士の事件へと巻き込まれる。
派手に血なまぐさい物語が美しい神話的なラストにつながっていくのは、前作、前々作に同じ。毎度のことながら良く読まないと状況がわかりにくい描写が多いのが、つらいなぁ。今回は話がややこしいのに結果が地味だったので、前の2作よりは落ちる気がします。
もっとも、シリーズのファンの人は、李老師と十牛ちゃんに会えたというだけで、満足だと思いますけど。
まだ『鳥姫伝』を読んでいない人は、そちらから読んでください。
中国の伝説には疎いのですが、「嫉妬」の物語は中国の神話というよりギリシャ神話に近いような気がします。ああいう話って、中国の伝説にあるのかなぁ? まあ、「なんちゃって中国ファンタジー」だからなんでもアリなんでしょうけれども。
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ISBN4-15-020340-7 【bk1/amazon/boople/Yahoo!】【blogmap】 【bk1(02343446)】
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7/22の「『Cobalt』誌のライバル誌」に関連して、1987年当時にコバルト文庫やX文庫ティーンズハートを読んでいた方からメールをいただきました。
当時は「少女小説が、本を読む女子中高生の間で、ものすごく流行って」いたのだけれども、レーベルとしてはコバルト文庫しかなくて、その需要に目をつけてX文庫ティーンズハートが創刊されたということのようです。
一般の目を集めるような「ものすごいベストセラーが出た」というよりは、出版人の興味を集める程度に安定してコバルト文庫が売れていたってことなのかもしれません。人気作家だと初版20万部とか50万部とかいう話があちこちに出てくるんですが、公のベストセラーランキングからは外されているらしいので、詳しいことが判らないんですけど。
実際にどれだけ売れていたかという話はともかく、リアルタイムで読者だった人の話はとても面白くて興味深いです。昔の少女漫画のことは語られても、昔の少女小説のことは語られることが少ないですから。
基本的に男性は何かについて語ったり記録に残したりしたがりますが、女性はあんまりそういうことしないみたいですね。それとも私が知らないだけ?
「自分はかつて、この時期こういうものにハマってきました」っつー、俺/オタク・クロニクルは編纂しておいたほうがいいかもだわ。
【土踏まず日記 2003.07.23】
2ちゃんの書き込みにもありましたが、やはり各自がそれぞれの「おたく自分史」を書いた上で、相互に参照しあうことが必要なのかもしれません。
【Fuku Diary: おたくの共通言語:堺三保氏のコメント】
元・少女の人たちも、そういった「自分史」を書いてくれると面白いんだけどなぁと思います。(「読書自分史」を書いている人はたまにいるんだけど、コバルト文庫系はあまりでてこない)
私もそのうち書きます。楽しそうだ。でもそれを書くと年齢がもろにバレてしまうのね。
私が一番知りたいのは『小説ジュニア』をどういう人が読んでいたのかということだったり。
この間から選評を読みながらコバルト・ノベル大賞のリストの入力をしています。
面白かったのが、第17回(1991年上期)と第18回(1991年上期)の選評。どちらの回でも、最終選考に残った作品が「吉本ばななに似ている」という理由で落ちているんです。審査員は、岩館真理子、菊地秀行、高橋源一郎、氷室冴子。菊地秀行が作品を推して、高橋源一郎が却下という感じ。で、菊地秀行が憮然としてます。
吉本ばななに似ているってことは、それはとても「かつてのコバルト」らしい作品だったってことだと思うんですが、「ゆるいコバルト」と評される吉本ばななの登場によって、コバルト・ノベル大賞は「かつてのコバルト」から離れていかざるを得なくなったということですね。
おたく男性にも話題の『マリみて』の今野緒雪は第21回(1993年上期)に「夢の宮〜竜のみた夢〜」で大賞に入選しています。審査員(岩館真理子、菊地秀行、高橋源一郎、氷室冴子)一同大絶賛満場一致の受賞です。しかも読者大賞とのタブル受賞。コバルト・ノベル大賞は96年からは「ノベル大賞」と名前が変ったので、「コバルト・ノベル大賞」「読者大賞」のダブル受賞は、この人が最初で最後。実力のある人は最初から凄いのか。
冲方 丁『カオスレギオン 01 聖双去来篇』(富士見書房 富士見ファンタジア文庫,2003.7,\620+税, ISBN4-8291-1537-8)読了。
長編『カオスレギオン 聖戦魔軍篇』と短編集『カオスレギオン 0』の間に位置する話。昔のジークとドラクロワ(←いつも思うがネーミングセンスはイマイチだ)の関係に萌え。
ノヴィアちゃんが必死でけなげで可愛いです。お笑い成分は前巻よりは薄めだけど、これくらいでちょうどいい。
ライトノベルでファンタジーの体裁なんだけど、なんとなく大昔の少年向け小説みたいな匂いがしますね。「仁義礼智忠信孝悌」なカンジといいますか。
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ISBN4-8291-1537-8 【bk1/amazon/boople/Yahoo!】【blogmap】 【bk1(02345007)】
星野 弘道『インタラクティブの法則 集客力を高める10大マーケティング手法 』
(ソフトバンクパブリッシング ,2002.1,\1600+税, ISBN4-7973-1851-1)読了。
割とまともなネット・マーケティング論。
「視聴者が持っている期待値を上回る選択肢」を用意しなければ、視聴者にそっぽを向かれるとか、納得できる内容。
これを読んだからといって、集客力が高まるとは限らないが、集客に失敗した企業がなぜ失敗したかを理解することはできる。ネットで商売しようとしている人は読むべきだろう。
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ISBN4-7973-1851-1 【bk1/amazon/boople/Yahoo!】【blogmap】 【bk1(02122971)】
B・ストーカー原作/菊地 秀行文/天野 喜孝絵『痛快世界の冒険文学 16 吸血鬼ドラキュラ』(講談社 ,1999.1,\1500+税, ISBN4-06-268016-5)読了。
『吸血鬼ドラキュラ』を菊地秀行がリライト。前半はコッポラ映画で後半は馬車チェイスもある活劇。若妻ミナはモテモテだけど、別にドラキュラの昔の恋人の生まれ変わりというわけじゃない。原作を読んでいないので、どこがどう変えられているかの詳細はわかんないんだけど、大幅に脚色してあるんだろうなということだけはわかる。
『痛快世界の冒険文学』シリーズは、面白げなラインナップではあるのですが、いったいだれをターゲットにしているんだろうと思わないでもない。イマドキのお子様がこんなの読むのか? 子供に買うふりをして、親が読むのだろうか?
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ISBN4-06-268016-5 【bk1/amazon/boople/Yahoo!】【blogmap】 【bk1(01662753)】
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『SFマガジン 2003年7月』に掲載された評論。特集「ぼくたちのリアルフィクション」の一環。
ヤングアダルトとライトノベルについて、これだけきちんとまとめられた評論は商業ベースの活字媒体では多分初めてのことだと思う。(SF系コンベンションや同人誌ではいろいろやっているみたいだけど)
頁数の都合か、「ヤングアダルト」と「ライトノベル」の定義をせずにいきなり固有名詞の羅列に入るあたり、初心者/門外漢向けではないけれど、SF・アニメ・ゲーム・男の子向け小説・女の子向け小説の全般に目配りが利いているのは、流石。
つっこむところはほとんどないです。ライトノベル史のスタンダードになるのにふさわしい内容だと思う。でも、用語説明はもう少しちゃんとやって欲しい。
「新井素子が少女小説レーベルではなくSFの新人賞からデビューしたことが、男性読者を潜在的な少女小説の読者にした」(p.30)
「少女小説系の変遷は、ライトノベルへと向かうそれとは異なる」(p.34)といった示唆も興味深い。後者についてはもっと深く掘り下げて、新書の1冊も出していただきたいところ。
作りかけのまま放ってある[和製ファンタジー関連年表](実は、《講談社X文庫ティーンズハート》の創刊年が間違っていた)を、この「ライトノベル25年史」の年表に合わせて補完修正しようかと思っています。
どこかにメモしたつもりで、どこにも載せていなかったようなので、載せておきます。
スニーカー文庫創刊の先駆けとなったといわれる、1986年夏の角川文庫ファンタジーフェアのラインナップです。
岬兄悟『バックサイド・ハンター!』の帯より。
「どーこがファンタジーや!?」と、力いっぱいツッコミいれたいラインナップ。アルスラーン戦記はファンタジーかも。
最後の『火の鳥 鳳凰編』はアニメ映画のノヴェライズで、これを売りたいがために無理やり「ファンタジーフェア」と銘打ったのかも。
追記:2003/07/27
帯には載っていませんでしたが、富田祐弘『ガル・フォース 赤い悪魔のサンバ』【bk1/amazon/boople/Yahoo!】【blogmap】も1986年8月発行のようです。
帯によるとポスタープレゼントもやっていたようなので、イラスト重視で売り出していたことは間違いないですね。
ネットオークションに出ていた「角川文庫 ファンタジーフェアのイラスト 6枚」の写真から判断すると、文庫本の表紙になった永井豪(『暗黒の序章 マシンガイ竜』)、出渕裕(『大熱血。』)、美樹本晴彦(『T・T過去からの殺し屋』),安彦義和(『叛逆王ユニカ』)、高田明美(『放課後、アイスティ』)、天野喜孝(『アルスラーン戦記』) のイラストが30cm×20cmのポスターになっていたようです。
「ファンタジーフェア」は毎年やっていて、1987年にはSF系同人誌で特集を組まれるくらいにはSFでファンタジーしていたようです。(【草の日々、藁の日々 2000年1月3日】の記述参照。)
1987年、1988年のラインナップは資料がみつからないので、調査続行。
(ブックオフあたりで、帯付きの本がみつかるとそれで解決なんですが……と思ったら、ブックオフって帯を外しちゃう店が多いのね。)
ふと、ベストセラーの部数ってどれくらいなのかという疑問がうかんだので、ググってみた。
ハリポタの4巻は初版で230万部だそうな。
調べていったら、こんなページがありました。ビジネスデータの情報源をまとめて解説した事典の紹介ページ。
【データ&DATA:業界別情報源 30 新聞・出版・放送】
『出版指標年報』を見れば、何がベストセラーかはわかるらしい。部数も載っているのかな。
【加藤秀俊 著作データベース】の【ベストセラーを支えるもの】には、「原田康子の「挽歌」はすでに四十五万部を売りつくしたそうである」という記述がある。
ちなみに「読売新聞」1957年7月5日の記事だそうで。40年以上も前の記事なのに「ベスト・セラー小説は、広告やジャーナリズムによってつくられる」とか「じっさい、何か本を読もうとして本屋に行ってみても、あんまり本が多すぎて、何を買っていいのか判断がつかない。そこで、よく売れている本ならまちがいあるまい、という発行部数をモノサシにした安易な評価法を使うようになってしまう。」とか、今と全然変らないことが書いてあります。
1988年3月の角川文庫 80's 新青春フェアのラインナップ。(久美沙織『SPEAK EASYの魚たち』のカバー見返しより。)
角川文庫青版として出てから、スニーカー文庫に変ったようです。
20冊中、コバルト文庫に書いたことのある作家がなんと14人。コバルトに書いたことがなかった人は竹河聖、越沼初美、新津きよみ、野沢尚、松枝蔵人、藤沢映子の6人だけです。
大塚英志が『キャラクター小説の作り方』(講談社現代新書)【bk1/amazon/boople/Yahoo!】【blogmap】のp.123で書いている「少女小説版スニーカー文庫の企画」というのは、これのことではないかと思います。
こういったジュヴナイル小説を決定的に衰退させたのはスニーカー文庫の登場でした。といってもスニーカー文庫は当初は「スニーカー」といういかにものレーベル名が明らかなように、実は少女小説用のシリーズとして企画されたものでした。いや、もっとはっきり言ってしまえば、集英社のコバルト文庫が売れているみたいだから作家をごっそり引き抜いて類似のシリーズを作っちゃえ、という企画で、しかしこれは失敗しました。
大塚英志『キャラクター小説の作り方』p.123 (講談社現代新書, 2003)
失敗したというのは、売れなかったということなのか、どこかから横槍がはいったのか、はっきりしないけど、多分売れなかったんだと思う。ティーンズハートを読むような子達には大人っぽすぎるし、リアリズムに近い少女小説は読者に飽きられつつあったから。
そして角川がスニーカー文庫を少女小説のシリーズとして立ち上げたものの失敗して、そこに救世主のように現れたのが、第二項で少し説明した「ゲームのような小説」としての『ロードス島戦記』などのファンタジー小説だった、というわけです。
大塚英志『キャラクター小説の作り方』p.124 (講談社現代新書, 2003)
ちなみに水野良『ロードス島戦記 灰色の魔女』【bk1/amazon/boople/Yahoo!】【blogmap】は、1988年4月の刊行です。
小説ではなく、リプレイの登場はもう少し早くて、1986年8月からパソコンゲーム雑誌『月刊コンプティーク』(角川書店刊)誌上で連載されていたようです。最初はオリジナルルールじゃなくて、D&D(R)で遊んでいたんですね。(【日本における D&D(R) の展開】参照)
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スニーカー文庫は、背表紙上部に青のラインのある「角川文庫・青版」というシリーズから誕生したというのですが(【ジュニア文庫博物館】の「ジュニア文庫創刊年表調査」参照)、レーベルが独立したのはいつなのか調査してみました。
ブックオフのスニーカー文庫の棚にいって、実物調査しました。
その結果。
ネット書店を検索してみると、bk1とTRCでスニーカー文庫が最初に出てくるのは1989年8月から。
ちなみにラインナップは、
ファンタジーフェアの一環だったかどうかは不明。
というわけで、「角川スニーカー文庫」の正式な創刊は1989年8月。ただし、その半年前の2月25日から「スニーカー文庫」という名称は使われていたということになります。
「角川文庫・青版」ができた時期については調査続行。
1986年8月発行の『ガル・フォース 赤い悪魔のサンバ』【bk1/amazon/boople/Yahoo!】【blogmap】が、スニーカー文庫に入っているので、そのあたりが最初じゃないかと思うのですが。
【公開講座「現代ファンタジー入門】
講師:井辻朱美
日時:8/30、9/13、9/27 13:00〜15:00 (※Webページでは15:30〜17:30になってます)
場所:朝日カルチャーセンター・横浜
受講料:一般9000円(税別) ※入会金不用
朝日カルチャーセンター・横浜の公開講座。申し込みました。
話題になっていたWeblogのメモ。
ついでにブックマークに溜まっていた他のURLも放出。
考察
資料
Rubyが使えるレンタルサーバー
あとでまとめようと思っているので、メモ。
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郵便局から、公開講座の受講料を入金。
電話またはインターネットで申し込んだ人のところには、案内状が届くのでそれにしたがって入金すると、入金確認後に受講票が送付されるらしい。
その後気合をいれて掃除して洗濯したら、疲れてしまって本の感想書く気力なし。
『マルドゥック・スクランブル』全3巻は、傑作でした。
波津彬子「魔法意匠の庭」の後編が載っている。
月刊だったのをすっかり忘れて、前編が掲載されていた8月号を買い損ねていたことに気づく。
ショックー!! ギルさんが素敵なのになのに……。
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とりこさんから言及(7/27)していただいたほか、メールでも情報をいただきました。
翌年、ガルフォースの続刊やら富野由悠季の小説版ガンダムが出て、当時はてっきりアニメ関係の文庫なのかと思ってました
【トリイカ 2003/7/27】
ああ、なんかすごく大事なことを言われた気が。
スニーカー文庫の前身が「小説」ではなく「アニメ関係の文庫」だと認識されていたことは、「ライトノベル」を考える上でポイントのような気がします。
いただいたメールからは以下のことが判明しました。
「YOUNG SELLERSという無愛想な名前からスニーカー文庫という愛称を考えて、その後に正式にレーベルとして独立させたんでしょうね。」とのことです。
『ロードス島戦記』(リプレイ版?)も『聖エルザクルセイダーズ』も『コンプティーク』誌に掲載されていたようです。『コンプティーク』誌って、ゲーム雑誌なんですよね。ああ、またなにかすごく重要なところをカスっているような気がする。
ソノラマ文庫もコバルト文庫も「小説」から始まっているけれど、スニーカー文庫(とそこから派生した文庫)は、「小説」から始まったんじゃないんですね。
ネットの知人がこんなことを書いていました。少女小説もいわゆるライトノベルも読まない人ですが、鋭いところを突いているかも。
少女小説というと、なんか教養小説の少女版という印象をそこはかとなく感じていたのですが。なんというのかな、そこは入口なんであって、背後には広い深いもっと進んでいける世界があるんじゃないかと。ライトノベルだとそういう印象を受けない。「遊び」という気がする。悪い意味なのか良い意味なのかわからないけど。切り離されちゃってる感じ。
何から切り離されているのかが問題。大塚英志はその「何か」に繋げようと(というかこじつけようと)してるみたいだけど、。
クレジットカードの明細書を見ていたら、宛名のところに見覚えのある正方形の四角いバーコードが記載されていました。角川文庫の背表紙に印刷されているやつです。
そのコードの名称が思い出せず、昔どこかで話題になっているのを見たことがあるぞと「角川文庫 背表紙 模様 コード」をGoogle検索してみたら、読冊日記99年7月29日がヒット。そうです、そうです、これでした。「銀河通信」は調べ物にも有用です。
「QRコード」という名称がわかったので、さらに検索。今はケータイでも読み取れるようになっているんですね。個人でもなにかに応用できそうです。
【『「斎藤環氏に聞く ゲーム脳の恐怖」のGoogleランクを上げよう』運動】
賛同するので、【「斎藤環氏に聞く ゲーム脳の恐怖」】にリンクしておきます。
はてなの日記にも載せておこう。
感想を書くところまで、手が回りません。
荷宮 和子『若者はなぜ怒らなくなったのか 団塊と団塊ジュニアの溝』(中央公論新社 中公新書ラクレ 95 ,2003.7,\740+税, ISBN4-12-150095-4)読了。
団塊の世代とと団塊ジュニアに対して「あんたちが多数派のおかげで私はこんなに損してる」とひたすら喚いている印象。
ときどき良いこともいっているのだが、全体としては底が浅い。こんな風に2項対立でしか物が考えられない人に世代の代表顔をされるのは迷惑だと、「くびれの世代」の私は思う。
この著者の漫画評論を高く評価していたので、こんな本を書いてしまったことに大変失望している。
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ISBN4-12-150095-4 【bk1/amazon/boople/Yahoo!】【blogmap】 【bk1(02342633)】
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林哲矢さんからツッコミが入りました!
86年当時の一中学男子(コンピュータ・ゲーム誌の読者で、SFMを含む小説誌は読んでいなかった)は、ソノラマ、ハヤカワJAの仲間として見てました。アニメ関係の文庫といったら、アニメージュ文庫で、これとははっきりカラーが違うし。
【草の日々、藁の日々 2003年7月29日】
うーん、そうなんですか……。ソノラマ文庫はわかるけど、ハヤカワJAは意外だったり。
でも今のソノラマ文庫やハヤカワJAとスニーカー&電撃系文庫は明らかに違いますよね? それではいったいいつ分かれたんだろう?
個々の作品や作家よりも、角川/富士見路線によるアニメ/ゲーム/小説の享受者層の誕生が重要なのかもだなあ。
【草の日々、藁の日々 2003年7月29日】
やっぱりその辺がポイントでしょうか。
メールでは、「スニーカー文庫」という名称は公募だったはずだという情報をいただきました。
「折り込みで告知、折り込みで発表」だったそうです。
詳しい情報をご存知のかたがいらっしゃいましたら、教えていただけると嬉しいです。
あと、当時の角川ノベルズとの関連もあるのではないかというご指摘でした。
別のメールでは、『コンプティーク』誌の詳しい内容と角川お家騒動の顛末を教えていだきました。
中村うさぎはコンプティークの編集者だったそうです。へぇ。
誰か「思い出のコンプティーク」とかいう俺オタク史ページを作って欲しい。
気長に調べますので、夏休みに実家に帰って昔の雑誌や文庫を発掘して面白いもの発見しましたという方は教えてください。
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冲方 丁『マルドゥック・スクランブル The Third Exhaust―排気』(早川書房 ハヤカワ文庫 JA 730 ,2003.7,\720+税, ISBN4-15-030730-X)読了。
『マルドゥック・スクランブル 圧縮』[→感想]『マルドゥック・スクランブル 燃焼』[→感想]に続く完結編。
2巻目に続くカジノ勝負。今回はブラックジャック。ルールを知らなくてもスリルとサスペンスとカタルシスを十分に堪能できる。
かっこいい女性スピナーのベル・ウィングも再登場。今回の勝負相手のアシュレイとともに場を盛り上げる。
カジノ場面が盛り上がりすぎて、シェルやボイルドとの最後の対決場面の影が薄くなっちゃったけど、まあいいいやね。
マーロウとのカジノ勝負のときに、「依存」(p.46)や「誘導」「束縛(バインド)」といった言葉が出てくるのが興味深い。
――私は、あなたを使いたい。あなたは……あなたがいなくなっても私一人でできることを増やしてくれるから。
それがバロットにとっての最高の有用性だった。ウフコックは、決して人を自分に依存させようとはしない。とこまでも対等に接してくれていた。
(p.50)
この作品は、バロットが「愛」と「依存」との違いを知る物語でもある。カジノでの勝負は単なる心理戦ではなく、バロットにとってのある種の心理的な治療でもあるのだ。
アシュレイとの勝負の結末は感動的だが、私がなにより驚いたのは、アシュレイが読者の前に示してみせたこの物語のもうひとつのモチーフだ。
「まるで●●だ」※ネタバラシにつき伏字
(p.203)
このモチーフを使いたいがために、バロットは声を失ったのか! だから”楽園”はああいう場所なのか!
この作品には『不思議の国のアリス』『鏡の国のアリス』や『美女と野獣』(*女性スピナーの名前が「ベル・ウィング(美しい・翼)」なのはそういう理由。『美女と野獣』のヒロインの名を持つ彼女は、蒸し焼きにされた雛=バロットにその名を継がせるのだ。) といったおとぎ話のモチーフがいくつも登場するけれど、これは気がつかなかった。(*モチーフのからませ方はいささか強引。アシュレイの台詞はちょっとワザとらしい)
このモチーフは単なる装飾ではなく、この作品のテーマにもかかわってくる。
「(愛されなかったときに)殺すか殺されるかしか道はないのか」という問い掛けだ。
「……我々は殺さない。我々は殺されない。我々は殺させない」
ウフコックは、合言葉のようにそれを繰り返した。
「とても難しいことだ……。ただ……挑戦する価値はある。」
(p.333)
その挑戦が完全に成功したとはいえないけれど。
いまのところ、今年度のベスト1。
完結おめでとう。すばらしい作品をありがとう。
[『マルドゥック・スクランブル』感想リンク集1]
[『マルドゥック・スクランブル』感想リンク集2]
[『マルドゥック・スクランブル』感想リンク集3]
ネットでの評判も上々です。リンク集をきっかけにこの作品を手に取ったという方もいて、リンク集を作った甲斐がありました。
作品中に頻出する「有用性」という単語については【土踏まず日記 2003/07/16】のメモが興味深いです。
ところで、アニメ化するんなら『ARMITAGE III』【amazon】のスタッフにやってもらうのがいいんじゃないかと。
脚本は小中大先生だけど、少女好きだから巧くやってくれると思う。
購入ガイド
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有里 (Alisato Akemi)