原稿No.199901-03
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なぜ本屋に本がないのかという理由が知りたくて、早川義夫『ぼくは本屋のおやじさん』(晶文社)を借りてくる。「就職しないで生きるには」というシリーズの一冊で、早川書房とは何の関係もない町の本屋さんの話である。本の流通機構についてと本屋の苦労についてはよく判る。結局、流通機構が悪いということらしい。 1982年の本だが、1994年まで版を重ねている。15年前も今も状況はほとんど変わらないでしょう。
参考になるので、一読をお勧めする。でも、私はこの著者が嫌いだ。
言っていることは決して間違ってはいないのだが、語り口がくどくどうじうじうだうだとうっとぉしく、自意識過剰で、読んでいると何となく腹が立ってくる。京極夏彦の作品に出てくる関口が本屋になったといえば想像つくかな?
さて、この著者のどこが嫌いか。
こういうことを書くからです。
特別な理由がなければ、その本を、ニ、三週間や一ヶ月、人より遅く読んだからとて、なんの違いもないのではないのか。
(p.42)
読みたい本を読みたいときに読む為に努力を惜しまない私にケンカ売ってんのか、てめー!?
この文章は、さらにこう続く。
しかし、品揃えがきまっていないことや、注文品が遅いことを、読者の気持ち次第なのだとすりかえてしまうのは、僕の間違いかもしれない。
(p.42)
間違いだよっ!
うまくいかないことを人のせいにし、自分に都合のいいことばかりをならべているような、結局は、自分が悪いのではないということだけを言いたかったふうに、どうも、受けとられがちである。
(p.42)
この本の文章を読んで、そう受け取らない方がおかしい。
確かに本の流通の問題点を指摘しているのだとは思うけど、めそくどめそくどとした文体を読んでいるうちに、結局のところ自意識過剰で他人に頭を下げるのがいやな人間が、愚痴を並べているようにしか思えなくなってくるのである。
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この間有隣堂でもらった『東京創元社文庫解説目録 1998.8』を見ていたら、注文方法に電話、FAX、葉書で申込み、宅配便の代金着払いで受け取る方法が明記されていた。立ちあげる予定のホームページと連動してのことだと思うが、結構なことではある。(結構前から書いてある事を後で発見した。)
本屋に申し込むと、ろくに調べもせず「品切れです」って回答するところもあるからね。(本当に版元品切れの場合もあるみたいだけど)
というような事を書いてあるらしい 鈴木兼也『ただいまこの本品切れです』(ミオシン出版)という本がでた。有隣堂でみかけたのだが、荷物が手いっぱいで買えなかった。どんなコトが書いてあるんでしょうかねぇ。立ち読みした感じでは、私が以前、貶した 早川義夫『ぼくは本屋のおやじさん』(晶文社)よりは、客の気持ちがわかっている本のようではあったが。
ところで、『ぼくは本屋のおやじさん』は、いまだに現役であった。類書が出ないってことなのかしら。やっぱりソノコトに関して本を出すのは、タブーなのか?
私はなぜ本屋に欲しい本がないのか、どうすれば欲しい本が手に入るのかをちゃんと知りたいだけなんだけどね。出版社は、書店になかったら注文してくださいというだけだし、書店の方は、文庫やコミックスの取り寄せは儲からないせいかすっごく厭そうに対応する。新刊は売れなければ約3ヶ月で返本されるとか、町の個人書店は取次から送られてくる本を並べるだけで手いっぱいで何が送られてくるかなんか知っちゃいないとか、そういうことは誰も教えてくれないのよね。
ちゃんと仕組みを教えてくれれば、客だってそれなりに対応するのに。
その結果、ダメな本屋は消えるかもしれないけどね。
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上遠野浩平『ブキーポップ・リターンズ VSイマジネーター Part2』(電撃文庫)、上遠野浩平『ブキーポップ・イン・ザ・ミラー パンドラ』(電撃文庫)、妹尾ゆふ子『風の名前』(プランニングハウス)。 『風の名前』は、待ちに待った本。でも、なんかちょっち背表紙が地味。ベージュの背表紙に朱色の帯というのは、う〜ん……。確かに他のシリーズと区別はつくけどねぇ……。でもジミ。表紙絵には文句ありませんが。
この書店は、一応チェーン店ではあるのだが、本店支店あわせて3つしかない。でもちゃんと売れ線の本は配本されるし、話題の本は目立つように配架されて、とても分かりやすい。本の整理もろくにできていなかった、同じ場所でかつて営業していた書店(←つぶれたらしい)とは大違い。
「立地条件が問題」だの「客が店をつくる」だのいう言葉がやる気と能力のない奴のタワゴトだってのがこれで判る。(立地も客も前と同じだもん。)やっぱり営業努力だと思う。
この店は2003年1月現在も健在です。ショッピングモール内の小さな店舗なのにしっかり棚作りがされた良い店です。
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【安田ママさんの掲示板】での話題をうけて、【ニムさんの日記 1999年8月18日】でもこの話題が。
書店員の方には悪いが、実のところ私は通常の書店員には、ほとんど期待していない。何も考えていないコンビニ店員以下の店員が8割以上だと思っているので、店員に物を尋ねることもしない。ときどき凄い棚のある店を見ると、いい店員さんがいる店だなとは思うけど、そのいい店員さんが表に出ているとは限らないし。(三省堂本店だけは少しはマシだと思っているので、たまに本の置き場所を尋ねたりする。) アルバイト店員は全く役に立たないが、ベテラン店員の中にも客を馬鹿にしくさる奴がいるので、やっぱり当てにはできない。
【安田ママさんの掲示板】を読んで、ちゃんと「考えている」書店員さんもいるということはわかったけれど、いままで書店を利用してきてずいぶんと失望や不快感を味あわされたので、まだまだ書店員への不信感はなくならない。
私と書店員との「対話」はもっぱら棚とポップを通じて行われる。最近で一番感動した棚は、新宿紀伊国屋のミステリの棚である。
私の大嫌いな有隣堂では「本のソムリエ制度」というのを始めたそうである。(そんな制度の前に、棚作りとレジの店員の接客態度をなんとかした方がいいと思うのだが。)
でも、その制度が私の愛する三省堂本店で導入されたとしても、利用する気になるかどうかは、わからない。万が一何かを直接的にお勧めされちゃったりすると、私って反発する方だし。
私が書店/書店員に望むことは、たとえば以下のようなこと。こういう店になら足を伸ばす甲斐がある。売り上げに結びつくかどうかは知らんけど。なんだか図書館に望むことと同じような感じになってしまった気もする。
オンライン書店のおかげで、リアル書店は本の実物を確認する場になってしまった。
もちろん個性的な棚の店であれば嬉しいけどね。
(2003/01/15)
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上記の「書店に望むこと」に、本の注文についての項目がないのは、私がほとんど注文をしないからである。本屋めぐりが趣味なので、欲しい本を探すことを口実にあちこちの本屋をまわっているうちに、見つけてしまうことが多いのだ。そうやって探し回った本を見つけたときは本当に嬉しい。大事に読もうという気にもなる。
注文した本が届くのを待っている間に、他の本屋でその本を見つけてしまうことぐらい悔しいことはないし、本が届くまでに読む気が失せることもありそうだし。それに本屋に注文するためには、正確な書誌情報を把握しておかなければならない。これが面倒。
というわけで、本を注文するのは、あちこち探し回ってみつからなかったときの最後の手段である。
予約金については、まあ仕方がないという気はする。注文して取りに来ない人というのは多いらしいし、注文した本は返品できないので、そういうことがあったら書店が損するだけなのだから。どのみち本がくれば金は払うのだ。前払いでも後払いでも私としては構わない。
(1999.08.20 追記 ニムさんの日記8/19の予約金についての記述は、金額うんぬんではなく、予約金を要求する店員の態度が問題だったらしい。1999年8月19日の日記参照)
問題なのは、発売日前の予約を受け付けてくれないことである。少なくともうちの近所の本屋では、予約限定本以外の予約は受け付けてくれないようだ。地方で配本が遅いから、事前に予約しておこうと思うのに、まったくっ!! もっとも、これは書店が悪いんじゃなくて取次が悪いんだと思うけれど。
最近ではインターネットで注文を出して、書店で本を引き取れるようになっってきて、これはとっても便利である。正確な書誌情報をメモしていかなくてもすむし、わざわざ書店に出かけていくこともない。
セブンイレブンで本を受け取るシステムも話題になっているが、発売日前に予約ができるようなら、それも利用するかもしれない。というより、事前予約ができるならぜひ利用したい。(ローソンの方が近いので、ローソンで受け取れた方が、個人的には嬉しい。(笑))
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【ヒラマド】さんが、あちこち(?)で「どうして読みたい本があるなら図書館を利用しないのか?」と尋ねていらっしゃるようです。私の感覚では、欲しい本があったらまず本屋をさがして図書館のことは念頭にないのがふつーなんですが。むしろ図書館メインで書店を利用しない人の方が珍しく感じたり。
図書館というのは調べ物をする場所だと思っているのがふつーの日本人なのでは。リクエスト制度とか相互貸し出し制度の存在なんか、ほとんど知られていないと思いますよ。だって、司書資格をもっている私でさえ、よく知らなかったもん。
図書館は暗くて、図書館員はいばってて不親切で、小説は難しいものしか置いていなくて、すごく所蔵数も少ないというようなイメージなんじゃないですかね。(←有里が持っているイメージではありません。 私は現在の図書館が明るくてソファが置いてあって、小説や文庫本やマンガもおいてあることを知っています。)
まあ、そーゆーのって、20年前の図書館の姿なんですけどさ。
20年くらい前(というか、バブルの前まで)は、日本では図書館がすべき役割を書店が担っていたんだと思いますね。図書館がお粗末で、出版点数が少なかったから、書店員がスペシャリストでいられたってことだろうと思うんですが。 だから、今でもふつーの人は、図書館も図書館員なんかもアテにしないで、その分、本屋さんをアテにする。現在、書店や書店員に対する風当たりが強いのはそういうことじゃないかと思います。(この項づつく……かなぁ?)
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