2000.05.30付けの日記に始まった「BOOK・OFF問題」の話題は、
他サイトへも波及し、出版流通全体を考える話題へとつながっていきました。
このページは、当サイトのその後の日記から関連する話題を抜出してまとめたものです。
といっても限度がありますが。愛だけでは食っていけないから。あんまり貧乏だと気持ち荒むし……。
えー、でもこれは、そういう話じゃなくて、昨日の
「BOOK・OFF問題」について」と
「本好きは本屋を支えているか?」の続き。
その前に昨日書いたことへの反応から。もう大反響ですよ。こんなにメール来たのは「和製ファンタジーのルーツ」以来かも。
最近の本屋をとりまく情勢については、 池田良孝『本屋の法則』(同文書院 ISBN4-8103-7498-X \1400+税別)という本を教えていただきました。チェックせねば。
朝日新聞に「漫画(特に四コマ)の再版部数が落ちてきたのは漫画喫茶やリサイクル系書店の店舗数が増えてきたからではな いか、という記事」が載っていたそうです。実は我が家は朝日新聞なんですが、あんまり目を通さずに積んである状態なので、この記事は記憶にありません。ブックオフが都心に進出している件についても朝日新聞に載っていたはずなんですが、これも掲載日が不明。(新聞記事は、見たときにスクラップしないとだめですね。)詳細をご存知の方、メールください。
BOOK・OFFは新刊書店にとってマイナスばかりではないかもしれないという意見もありました。本をぜんぜん買わない層が安さにつられて本に手を出すことで、裾野が広がって結果として新刊を買う人も増える可能性があるのでは、という指摘。 確かにそれはあり得ることかも。
あと「本好きの人の本代は約2万円/月」というのが相場(?)のようです。
WEB日記では、【麻弥】さんのところ(5/30)と【みのうら】さんのところ(5/30)。
(ほかにもありそうですが、反応が早かったのがこのおふたり)
どちらも趣旨は、「本好きだったら新刊を買おう、買い支えよう」ですね。
結局のところ、それしかないんですよね。愛があるなら新刊を買う。私も愛する作家に関しては(絶版の本以外は)絶対に中古でなんか買いませんが。
(でも、フツーの人は作品は愛しても作家や出版社は愛さないんですよね。――読めればいい)
ところで、問題をひとつ。一刻も早く読みたい大好きな作家の本が新刊書店のどこにもなくて、ブックオフにだけあった場合、
あなたはどうしますか?
多分もっとも「愛ある正しい」行動は、ブックオフで買って読んで、さらに新刊書店で買う。でしょうね。
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おほほ、盛り上がっておりますね。本好きの方々は、この際だからいろいろ言ってくれると嬉しいなり。
ネット書店【bk1】もプレサイトが6月8日には稼動ということなので、そっちの方向にまで話がつながるといいなぁと思っております。
【雪樹】さん、
【青木みや】さんのあたりからリンクを辿ってください。
【The Midnight Folk】掲示板では、海外の本屋事情などが話題に出てます。
いただいたメールから。
ブックオフ関連の新聞記事としては、1999年8月の朝日新聞朝刊の文化欄に記事があるとのことです。
漫画喫茶やリサイクル書店の影響でコミックスの売り上げが落ちて出版社がダメージをうけているのは確かで、
出版社側としては対策として、新刊を購入した読者にのみ、何か付加価値を与えようとする戦略を立てて実行しているとのこと。
そういえば、○○コミックス2冊でオマケがついてくるというようなことをやっていますね。新潮文庫の応募券を集めて送るとオリジナルグッズがもらえるというのも、そういうことなんですかね。
でもって、【四方ラムタ@羊堂本舗】さん、いつも読んでいただいてありがとうございます。(笑)
別に怒っているとかではないです。「ふふふ、ツメが甘いぜっ!(自分もか)」とは思ったけど、結構面白い意見だと思ったので、リンクしました。ツッコミ部分と「BOOK・OFF問題」も関連がありそうなんでくっつけてみましたです。BOOK・OFFの実物は、ぜひとも一度見ておくべきだと思いますよ。
【みのうら】さんには、「そんなことはあり得ません。(中略)まだまだです」っていわれてしまいましたがー、地方にいると出遅れることなんてしょっちゅうです(涙)。配本そのものがなかったりするので、仕方なく都会に出てくと、ブックオフでみつけちゃったり。予約購入ができればいいのですが。
【出版業界ヘッドラインニュース(文化通信)】によるとブックオフは客からの買い入れだけでなく、出版社との直接取引も行うようになったらしいです。
ブックオフ、版元との関係強化図る。単品管理の実験も開始。あのぴかぴか帯付きの本はそういうことであったのか?
(1999-06,1999-06-21,3段,4面)
新刊書店が「営業努力」した結果が、ベストセラーばっかり並べた品揃えってのは、どっか間違っているんじゃないの? というのが私の意見。 【愛・蔵太】さんの 「備忘録2000年4月分 2000年4月14日」の提案の方が正しいのでは、とワタクシ的には思えるんですけどね。
「出版について語るイベントとか」やってほしいなりー。
私の意見としては、
・ブックオフがなくなるのは困る。が、増える過ぎるのはヤバイのでは?
・営業努力で濃い品揃えの新刊書店がなくなるのは困る。いい加減な店は逝ってよし。
・私好みのマニアな出版社がなくなるのは困る。粗製濫造する出版社は逝ってよし。
・再販制度の全面撤廃はヤバイのでは? マニアな部分に打撃が来るのは困る。
・誰かがなんとかしてくれるのや自然淘汰を待つのは趣味じゃないので、自分でできることからやってみる。
というわけで、生き残って欲しい本屋で、生き残ってほしい出版社/作家の本を新刊で買うことを実行するのです。
朝日新聞の記事の掲載日が判明しました。
朝日新聞2000年5月3日付け・文化総合欄
「行動するコミック作家たち・「著作権考える会」設立・2次市場成長に危機感」
その記事の中で「まんだらけ」の古川益蔵社長が「新刊書店のバックナンバーの品ぞろえが悪かったのが、二次市場を生んだそもそもの原因。出版社や書店はお客のニーズを勉強していない」と語っているんですが、 頑張っている店だってあるんですよね。
今日行った新刊書店は、大手スーパーのショッピングモール内にある小規模な店なんですが、今話題になっている漫画(アニメ化されたりベストセラー上位に来る本)は全て、1巻から最新刊まできちんとバックナンバーを揃えて置いてありました。
いや、お見事。そのあおりを食って展示されない本っていうのも、もちろん存在するわけですが、あまりに徹底した品揃えだったので、思わず『妖しのセレス』11巻と12巻を買っちゃいました。隣で夫が「東京のブックオフでなら見つかるかもしれないのにー」などどつぶやいておりましたが、こういう「営業努力」は報われてしかるべきでしょう。
(2000/10/04追記:同じことをやっている書店をずいぶんと見るようになりました。
書店がやっているのではなくて、取次ないしは出版社側がやっていることだったのかもしれません。)
この店は文庫は最新刊しか置いていないのですが、この規模の店には珍しくミステリーの棚と癒し本の棚には力を入れているようです。森青花『BH85』と柴田よしきのSF本(すみませんタイトル長いので失念)が並んでいたり、 宮部みゆきと倉阪鬼一郎の本が並んでいたりするので、なかなか愉快。置いてある本についての新聞広告やら書評やらを壁に張ってあるのも、ワタクシ的にはポイント高し。
というわけで、接客態度や棚作りを含めた書店側の「努力」はちゃんと見てるし、「努力」している店は贔屓にしたいと思ってますからね! >書店員さんたち。
留守にしている間に話はどんどん進んで、今は書籍流通の話題になっているようです。
雪樹さんのページに関連リンク集があります。(とても便利。雪樹さん、ありがとー)
本屋さん関連の話題としては、 【ちはら】さんのところの 【2000/6/6 立ち読みのはなし】 【2000/6/5】とか。掲示板では「私の好きな本屋さん」の話題を募集中のようです。
【森山和道】さんのところにも関連の話題あり。 【00.06.19】、 【00.06.03】、 【00.05.31】(▼「Web現代」。「作家.com」は出版を変えるか。)
作家の営業努力に関して
ところで「売る努力」に関してですが、作家に「売る努力」を要求するのは、ナンカ違うんじゃないのというのが私の意見。作家は作品を書くのが仕事だと思いますけどね。「売れる作品」を書こうとしたり、「営業努力」したりするのは、その作家の自由だけど、すべての作家がそれをすべきだとは思わない。作家自身が「営業活動」するのを「あざとい」とか「見苦しい」とか思う人もいるらしいし。
私自身は、作家がホームページを開いて、著作一覧を載せたり、作品の裏話を書いたり、作品を直販したりするのは歓迎するのですが、読者と直接コンタクトすることの怖さはちゃんと知っていて欲しいと思います。インターネットにペンネームで発言するという行為は、「セルフ・プロモーション」というか自分のイメージを全世界に向けてプロデュースすることだという意識はもっていて欲しいです。(この件については以前にも書きました)
書籍流通について
【愛・蔵太】さんのところで、関連の話題が出てます。
文庫に関しては、「次の月の「今月の新刊」が出るまでは、取次・出版社にも在庫はありません。」というのは、目からウロコが落ちるような情報でありました。そ、そうなのかーっ!
まつもとかなめさん@【Kanameの小部屋 −未読でいっぱい−】によると、「次の月の「今月の新刊」が出るまでは、取次・出版社にも在庫はありません。」というのは、
「新刊を買うために毎週のようにオンライン書店に発注すると、体感的に理解できます(笑)。」とのこと。
「次回に注文するときに品切れ本も一緒に発注……を繰り返すと、2ヶ月ほどしてから入荷率が上が」るそうです。
本は売れなくても返本されて書店から消えるとか、イナカの本屋には発売日から3ヶ月たたないと本が配本されないとか、版元品切れのはずの本(それも初版)がある日突然に棚に出現するとかいった謎の現象は、返本というシステムによるカラクリだというのがようやく分かってきたのですが、そういう書籍流通のしくみって、フツーの人は知っているものなのでしょうか? 知らないと思うんですけどねぇ。だって本屋に日参していた私だって知らなかったんだもの。
そういう出版流通の基礎(「なぜなに本屋さんの仕事」)みたいなページがないかと探しているのですが、なかなか見つかりません。書店・出版業界の人には当たり前すぎる話だからでしょうか。
書店関連いろいろ。
・【bk1】……噂のネット書店のプレ・サイト
・【出版業界ニュース[文化通信]】……出版業界のニュースいろいろ。ためになります。
・【出版流通交差点】……出版流通にかかわるエッセイ。
・【売れる書店はこうだ/本という商品の考え方】
・【犬猫堂の人びと/現場の記憶】
・【一言半 甘辛書店時評】
・【ブックマップ・コム】
・【本屋さんへ行こう!】
・【復刊ドットコム】
あわわ、【絶望書店】さんの「改めて問う!本とは何ぞ?! 7章 」からリンクが……。ひょっとして、絶望書店店主はものすごくー親切な人なのでは……。
やっぱり「ちゃんと分かっている人」というのは、「おまえら馬鹿だ」と怒ったり「そんなの簡単に調べられる(←どこを調べるかは教えてくれない)」といったりしないで、どう調べたらよいかを教えてくれるんですね。ありがたやありがたや。
(「そんなの簡単に調べられる」なんていう人は、実は内容についてもよく分かっていないし、自分で調べ物をしたことがない人ではないかと思います。何かを調べるのって結構大変なのよ)
ともあれ、『出版社と書店はいかにして消えていくか』(小田光雄 パル出版)の書名で検索をやってみましょう。
「ブックオフに一番脅威を感じているのはじつは既存の古書店」というのは、当然の話でございましょ。狭い・きたない・無愛想と三拍子そろってりゃ、客に愛想つかされるのは当たり前。 「ブックオフは本を愛していない」とか非難する前に、「雑本」とか呼んでぐちゃぐちゃに本を積むのやめれ。背表紙向けて並べた本の上にさらに本を積んで、表紙を擦り切れさせた本を半額で売るなんて真似もやめれ。(こーゆー商売をしていた古本屋は潰れていた。ザマミロ。)
なお、この件に対して、古本屋関係者(ですよね?)の
【ふぢー】さんから、
古本屋的には,ほかに名付けようがないからそう言ってるだけのことで,べつに雑本だからどーでもいいと思ってるわけではない
とのご意見をいただきました。うーん、そうなんでしょうか。
別に整理しろとはいわないけど、傷んだ本がさらに傷むような置き方はやめれ、とか思うですね。
・【ブックオフ特設】……ブックオフ関連いろいろ。
・【古本屋さんに行こうよ!--日本の古本一発検索--】……上記のページがあるサイト。
・【本を調べる:古本】
以下は【雪樹さんの掲示板】への
【愛・蔵太】さんのタレコミ。
・【総合政策学レポート・再販売価格維持制度の是非(1998年2月提出レポート) 】
・【出版流通と再販制度】
・【「なぜ著作物再販制度を問題にするのか」 『経済セミナー』1997年9月号】
『出版社と書店はいかにして消えていくか』(小田光雄 パル出版)の書名で検索かけた結果のリンク集を作りました。
長いので、別ファイルです。 どこかで見たようなURLが混じっていると思ったら、【安田ママ】さんの日記でした。さ・す・が。
元の本を読んだわけじゃないのですが、読み比べたところでは 【wad】さんの 【書評】が、一番私の気持ちにはぴったりくるように感じました。たとえば、 「どのような本が「良心的」なのかは非常に難しい問題であり、私はそんなカテゴリーに囚われていること自体に問題の根源があると思う」といったところとか。
ブックオフで吉本隆明の著作が100円で売られているのは嘆くべきことで、吉本ばななが100円なのはオッケーというような考え方って、なんかイヤーンな気がするんですよねぇ、私は。従来型古本屋の「雑本」という呼び方に抵抗があるのと同じく。
本の価値ってのは、人それぞれででしょうに。「私のお宝、あんたにゃクズ本、あんたの良書は私にゃ紙屑」ってこと。それだったら、見た目のきれいさだけで区別するブックオフのほうがずっとマシというか……。
なんか出版流通問題にはあんまり関係ないような気がしますが。
出版流通については、TJさん@bk1がメールマガジン【BOOKchase】で連載していた「書店業界コラム」が詳しいです。 リンクしなきゃなぁと思っていたら、 【青木みや】さんが 【リンク集】(別ファイルになりましたね。Thanks!)を作ってくれました。ラッキー。
【HEY BULLDOG】の出版流通関連の話題。
あちこちのサイトを読んだ限りでは、欲しい本が欲しい人の手に届かないという問題に関しては、 大手取次が悪いとか再販制度が悪いとかいうよりも、システムに馴染まないモノまで無理やりそのシステムで処理しようとしている かららしいです(備忘録2000年6月16日 あたりを参照)。いわゆる「構造的な問題」ってヤツですね。誰が悪いっていったら、そこまで問題を放っておいた関係者全員が悪い。「構造的な問題」というのは、システムを再構築するにせよ部分的に対処するにせよ、ともかくコスト(金/労力)がかかるから、やっかいですねぇ。
読者/消費者としては、システムの再構築なんぞは待っていられませんから、コストをかけてでも自分たちで対処しようとしている人たち(出版社であれ書店であれ)を応援するっきゃなんだろうなぁと思います。応援にはもちろんコストを負担することも含まれているんですけど。あとは、自分の負担するコストが最もリーズナブルになるように知恵を絞って、意見いうところは意見いうと。
それから掲示板でちょっと話題が出たのですが、町の小さな本屋さんが潰れていく件については、私がインターネットでなんかいうような話ではないと思うんですよねぇ。そういう本屋は地域のニーズに応えるような展開をすることで、地域の人に支えてもらうべきでしょとしか言いようがないですね。
それができないんなら、潰れても仕方がないんじゃないか……とも思います。
個人的には、自分の住んでるところの本屋が全滅すると困るので、ご近所でせっせと買ってますけど。
(06/28 追記)
アンケートに答えたところ、【絶望書店】の御主人から、メールでお返事をいただきました。(薔薇の刻印はなかったです)
『出版社と書店はいかにして消えていくか』書評関連リンク集(「いか消えリンク集」と略すと海産物か生物リンク集のようなので、「書消えリンク集」と呼ぶがよろし)へのご意見などなどをいただきました。追加すべきサイトの情報もいただきましたので、確認後リンク集へ追加の予定です。
「無用に混乱するだけ」なので、『出版社と書店はいかにして消えていくか』(小田 光雄, ぱる出版)と
『超激辛爆笑鼎談・「出版」に未来はあるか?』(井家上 隆幸, 星雲社)のの3,4章を「読まずに本の流通について発言することはかなり強く禁止していただきたい。」とのお言葉も頂戴しました。あううう、耳が痛ひ。
『出版社と書店はいかにして消えていくか』書評関連リンク集を更新しました。
いろいろ追加更新されています。
検索かけていたら、
【編書房】というところがヒットしました。
【絶望書店】の御主人からお薦めされた
『超激辛 爆笑鼎談・「出版」に未来はあるか? -中央公論買収の裏側、三一書房ロックアウトの真相-』の版元でした。
発売元は星雲社というところになっているんですが、実際に編集して売っているのは編書房らしいです。
実は『十一月の扉』(高楼方子, リブリオ出版)を企画編集したところだそうで、ワタクシ的好感度は一気にアップ。
(あ、【青月にじむ】さんところにも記述が。)
直接注文すると送料無料で送ってくれるという太っ腹(っていうより背水の陣?)なことをやっています。
あああ、ここを先にみつけていれば、ブックサービスじゃなくて、こっちに注文したのにっ!
『超激辛 爆笑鼎談・「出版」に未来はあるか?』の続編の、
『出版クラッシュ!? ――出版に未来はあるか?2――』(安藤哲也、小田光雄、永江朗著)は、7月下旬出版予定とか。
委託販売のものすごい返品率に泣いているようなので、直接注文してあげようかなぁという気になっているワタクシ。
でもって編書房も参加しているという
【版元ドットコム】。
小さい出版社が集まって、データベースを作り、直接注文もできるようにしようという試み。私としては、データベースだけでなくてテーマ別書名一覧リストみたいなのもあったほうがいいとは思いますけどね。ブックフェア用のリストみたいなやつ。
ブックオフの直営店のスタッフの方から「「BOOK・OFF問題」について」に対しての感想メールをいただきました。少々意味が取り難いところもあるのですが、 「ブックオフとしては、(新刊がないと買取が減るので)むしろ新刊書店にはがんばって欲しい」「リサイクルのどこが悪いの?」 ということらしいです。
ブックオフに関る人としては「企業努力しないでブックオフだけを悪者にするな」といいたいのではと推定します。 『ブックオフと出版業界』( パル出版, \1800+税, ISBN4-89386-796-2)の記述を受けての感想も入っているのかもしれません。
リサイクルは悪いことじゃないですね。リサイクルされる物を作った人に一銭も入らないことを除けば。
でも、そもそも発想が違うからなぁ……。ブックオフってのは、液体の入っているビンだったら中身がロマネ・コンティであろうが醤油であろうがかかわりなく、外側のきれいさだけを問題にして値段をつける「中身入りビン屋」みたいなもんなんですよね。
まさしくリサイクル屋。「酒屋」がそれに対して「おまえらは酒文化を壊している」っていっても多分通じないんじゃないかな。
それに「そんなことで壊される文化って何よ?」っていう気もしますしね、私としては。
(2000/09/28追記:
上記の件については、該当メールの方からさらにお返事をいただいております。
『ブックオフと出版業界』はご存知なかったそうです。
ブックオフの方針について、とても納得のいく説明をしてくださったので、メールの転載許可をお願いしようと思っています。
外側のきれいさを問題にするのは、大切に保管された本に対する「愛情」に間接的に値段をつけさせてもらうからだそうです。
本当は手放したくないけれど諸事情で本を売らなくてはならない「読者」の側からすると、とても嬉しい発想です。
(2000/09/29追記:
転載許可をいただきましたのでこちらにメールを転載しました。
)
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なお、2000.05.30に始まったこの「BOOK・OFF問題」の話題ですが、いろいろ勉強していくうちに、ブックオフが問題というより、新刊書店を含めた出版流通自体に問題があるのだというのが判ってきました。
少なくとも中小出版社が潰れるのは、ブックオフが原因ではないですね。むしろブックオフはそういった出版社の本を特価本として拾って、裁断処分されるのを阻止している面があるような気がします。
ただし、ブックオフなどの新古書店が原因かどうかはわかりませんが、コミックスの売り上げが減っているのは事実のようです(新刊書店の店員や編集者の人の証言あり)。「新古書店でコミックスを買うのは、最新刊以外の本が手に入り難いのが原因」などの批判を受けて、出版社/取次/新刊書店側でも既刊を1冊づつ並べるなどの対応を始めたようです。
(いいことだと思います。こういう風になったのもブックオフの脅威があればこそ?)
街の新刊書店と古本屋にとって、ブックオフの進出が脅威であることは間違いありません。
でも何の努力もせず顧客も大切にしなかったような店が、資本があって営業努力をしているところに負けるのは当然の話だと思います。
個人的には新刊書店とブックオフと専門的古書店には末永く共存していって欲しいです。
ただブックオフの社長が、本を売ることには固執していないみたいなのが一番不安なんですよねぇ。
売るものがなくなったら、ブックオフはさっさと方向を転換するでしょう。あそこにはそれだけの力があると思います。
で、新刊書店もブックオフも専門的古書店もなくなって、ぺんぺん草も生えなくなった荒野に「読者」だけが取り残される図が浮かんでくるんですよねぇ。やだなぁ……。
シロートが何をいっても、どうせなるようにしかならないのだとは思います。
でも船が沈むのは止められなくても、ノウハウがあれば沈む船からお宝を運び出すことは出来るんじゃないかと思うのです。
私が今、出版流通のお勉強をしようと思っているのは、そういういう理由です。
【DASACON4】でもいろいろ情報を得られたらと思います。
で、DASACON4の企画に連動した
【おおたさん@粗忽長屋】さんの【出版・書店関連リンク】。
私は「再販反対」派になっていますけど、全面撤廃はやばいんじゃないのという気もしています。
再販制度/委託制度がなくなったら、先ず最初に打撃をうけるのは、私が好きなマイナーなジャンルの作家さんたちだろうってのは想像できるので。「全面撤廃してしまえぇ!」というのは、どうせ状況は変わらないんだからというところから出たヤケッパチの叫びですね。
「時限再販」というのかな、ある時期を過ぎたら安売りできるようにするのが一番妥当な案かなと思っています。
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