注:作品名をクリックすると、各作品の紹介にジャンプします。
なお作品紹介では、結末までのあらすじを記してありますので、未読の方はご注意ください。
作者の没後編まれた作品集。SF作品が収められている。
「キンボウゲ」「ミッシェル」「ちょっとしたこと」は、デビュー前の未発表作品。
「風に哭く」「水面に咲く」には、「フェネラ」のフェネラとアナトリィが脇役として登場している。
[Top]
ESPのラシッドは、アナトリィ・ドニェプロフに連れられて、ある研究所へやってくる。 そこでは、動物と植物両方の性質をもつ植虫類(ズーフィタ)を使って惑星開発を行うズーフィタ計画が進められていた。 羽花と呼ばれる植虫類(ズーフィタ)をESPでコントロールして、開発を行うというのだ。
植虫類(ズーフィタ)というのは、海底にいるウミトサカ、ウミヒノキといったものらしいです。
異母兄妹による禁じられた恋というのは、「紅玉の園にて」やSF小説「最後の者」にも出てくるモチーフ。
この作品を佐藤史生の『金星樹』と比べてみるのも一興。どちらも特殊能力のある植物がでてきますが、
構成と考証がきっちりしている『金星樹』と比べると、この作品はちょっと苦しいかも。
花郁作品は、あらゆる細部にキーとなるモチーフ(今回は、ズーフィタ)をあてはめようとする手法なので、
どうしても構成に負担がかかるようです。
でも花郁さんが描きたかったのは、ストーリーというよりはズーフィタで、ズーフィタ自体はすごく魅力的に描かれているのだから、
これはこれでいいのかも。
ミューテーションで生まれた動物が棲む自然保護地区で、ハンターのジンが拾ったのは、月からやってきた天才少女マリオン。
彼女は望遠鏡で、この地区に自分そっくりの少女の映像が現れるのを見て、真相を確かめにきたのだ。
麒麟の群れの向うの大樹の下に現れたのは、確かにマリオンそっくりの少女だった。
マリオンを父のもとに連れ戻したジンは、マリオンの父の話からマリオンそっくりの少女が
タイムマシンで過去からやってきたマリオンの母の映像だということに気づく。
同じように真相に気づいたマリオンは、母に会うため自然保護地区へと向かう。
だが、母の姿に駆け寄ろうとしたマリオンを麒麟の群れが襲った。
ジンは大樹を銃で倒してマリオンを助ける。
マリオンの母の映像は微笑んで消え、その後再び映像が現れることはなかった。
この作品に出てくる麒麟は、ビールのラベルを見ながら描いたとか。
ジンが事件の真相に気づく部分は、ちょっと苦しいけれど、それは置いておいて(笑)、
昼下がりの草原に精霊が現れ、そこを麒麟の群れが横切っていくというスペクタクルを楽しみましょう。
「秋の時うつり」や、「マルガリテース」もそうなのですが、
花郁作品では、馬の群れというのは、二つの世界を分ける役割を持っているようです。
外傷が全くないのに、身体中の骨が粉々にされるという、奇妙な殺人事件がおこっていた。
ESPステーションから逃げ出した特殊能力者の仕業ではないかと考えたアナトリィ・ドニェプロフ博士はフェネラとともに、
特殊能力研究家のイリヤ・フュズリ博士の館に調査に赴く。
そこで彼らはフュズリ博士と、耳の聞こえないESPの少年ラレインと出会う。
フュズリ博士は、ラレインを逮捕しにきた国際警察の男を殺そうとし、
それを邪魔したフェネラをも殺そうとする。
実は彼はESPであり、本当のフュズリ博士の弟ラレイン・フュズリだった。
クーデターに巻き込まれた際、兄のイリヤは彼の身代わりとなって殺された。
殺人事件はその復讐だったのだ。
アナトリィにすべてを告白して、フュズリ博士は死を選ぶ。
少年ラレインは精神移動で彼のもとへ飛び、運命を共にするのだった。
双子の兄弟の愛と、兄に愛された自分と同じ名前を持つ少年への愛憎という"やおい"な展開。
この作品では、フェネラは、すっかりエスパーとして扱われています。解説で指摘されなければ、
『フェネラ』の登場人物だとは気が付かないかも...。
SFですが、水仙がモチーフになっています。
核戦争の後、各地で冷凍睡眠していた生き残りたちがキンポウゲの野に集まってくるというカラーSF漫画。
戦士となった少年が、ESP排斥のため殺された幼なじみの少女を回想するという、カラー絵物語。
吸血鬼病の男を追ってきたエージェントを吸血鬼だと勘違いしたことから起こる、SFドバタバコメディ。
[Top]
[花に眠れ Top]
最終更新日:2005/05/09