日記にもどる1999.05.02(日) 午後
★「スペース・オペラ・ルネッサンス」
午後は、大宮信光氏、堺三保氏、森岡弘之氏によるスペース・オペラ談義のはずでしたが、なんだか話が全然かみ合っていなかった感じ。
森岡弘之氏によるスペース・ヒロイック・オペラの定義(主人公ははぐれ者、超光速航法はやっちゃいけない)とか、 アーヴのモデルは、ムアコックのメルニボネ人だとかいう話は面白かったですが。
森岡氏は、作中にロード・ダンセイニの『ペガーナの神々』を引用したりして、結構ファンタジー方面にも造詣が深いご様子。 ふうん、だからファンタジー読みの私でも『星界の紋章』が面白かったのかな?★休息時間
ファンジンコーナーを見て歩いていて、『世界SF全集』のスタージョンとブラウンの巻を発見。 スタージョン「雷鳴と薔薇」が載っているやつですよ〜! ラッキー!
ほくほくしてたら、OKKOさんからお声がかかって、【大森望】さんと三村美衣さんにご挨拶することができました。
真っ赤なジャケットの大森さんはSF者らしい年齢不詳さで、25歳から45歳までのどの年齢にも見える御方でありました。(←いくらなんでもハタチには見えませんでしたけど) 三村美衣さんもやっぱり年齢不詳。SFを読んでいると年を取らないというのは本当なのだと改めて思いましたです。 でもって、大森さんから紹介していただいた水鏡子せんせいは、感動するほど似顔絵そっくりでした(笑)。
席に戻ったら、お給仕犬さんが、私の買ったスタージョンをよだれ垂らして見ていたようです。うふふ、いいでしょ〜。★「『雪風』また未知なる領域へ」
次のプログラムは、牧眞司氏による神林長平氏のインタビュー(というのでしょうか)。
これまで神林氏の作品は2冊ぐらいしか読んだことがなかったのですが、セミナー参加を決めてから『SFマガジン』掲載の<新・雪風>シリーズを読んでおいたし、『戦闘妖精・雪風』にも目を通しておいたので、 なんとか話についていくことができました。やっぱり予習は大切。
神林氏は動きと語り口に非常に特徴のある方でありました。形態模写とかできそう(笑)。「猫はかわいい」というときのとろけそうなお声がなんとも……。セミナーのプログラムブックには、詳細な作品リストがついているのが嬉しかったです。これ、セミナーのホームページに転載してくれるといいなぁ。
★神林長平サイン会
私は参加しませんでしたが、ニムさんや安田ママさんたちはしっかり並んでいました。
私が気になっているのは、ニムさんの前に並んでいた髪の長い眼鏡をかけた女性で、どうも高校時代の後輩に似ている。 勇気を出して、名札を見てくればよかったなぁと今になって思うんですけど、とっさのことでその後輩の名前が思い出せなかったんですよ。(後日別人であることが判明。さらにSFセミナー2000で、このかたがSilverberryさんというお名前であることが判明した。)
★「篠田節子インタビュウ」
SFセミナー’99昼の部の大トリは、篠田節子さん。このインタビューも、とっても楽しみにしていました。
壇上に現れた篠田節子さんは、上品でたおやかで、若い柳の樹のようにほっそりとした美しい方。 し・か・し、いったん口を開くと、この柳の枝があたかも鞭のようにぴしりとぴしり……。 なんせ開口一番「ここって一般の人の集まりなの?」ですものね。芯はチタン入りかも(笑)。 『ブルー・ハネムーン』や『神鳥(イビス)』のヒロインのモデルは、絶対御自分ですね。作家の立場からのホラーとSF、ミステリの違いについての意見が面白かったです。
ホラーは、怖い描写があれば「ホラー」とみなされる、つまり感触においての分類であるのに対して、 SFとミステリの違いは発想の違いである。謎を拡張していく方向で発想するのがSFであり、収束していく方向で考えるのがミステリであると。 篠田さん御自身は、拡張型の発想であるとのこと。(ファンタジー読みの私は、ではファンタジーはどうなんだと考えてしまうわけですが、謎は謎のまま放っておくのがファンタジーかも)
大森望さんを引っ張り出しての謎かけも大笑い。
(5/7付記)
この「篠田節子、大森望を呼び出し事件」は、ほとんどのセミナーレポートで言及されておりました。 SF界で長く語り継がれる伝説となることでしょう。
でもって、このクイズに対する私の回答は「テレポートに失敗した(ウィザードリィの「石の中」ってやつね)」だったんですが、 どうもこれ【喜多哲士】さんとおなじ発想のようであります。小説で一番怖かったのが『ソラリス』という話で、『カノン』や『神鳥(イビス)』の捨てても捨ててももどってくるモノの恐怖のルーツを見た!と思ったり、 子どもの頃読んだSFでは『黒の放射線』が記憶に残っているという話で、どうしていつも話が新興宗教の方向へ転がっていくのかが判るような気がしたり。
聞き手の山岸真氏が言及するの作品が『絹の変容』と『夏の災厄』、『弥勒』に集中していたのは、やはりこれらの作品が一番SF者に受けるという判断からでしょうか。 ホラーやファンタジーファンだったら、『神鳥(イビス)』『聖域』の方が好きだと思うんですけどね。 ちょっと違和感を感じた点でありました。
★夕食
閉会後は、DASACONな人たちでまとまって、昼食をとった店へぞろぞろと。昼のうちにu-kiさんが予約してくれていたのです。 こんどは総勢17人。料理頼むのを仕切ったのはニムさんでした。さすが。
(5/7付記)
夕食の参加者は、多分以下の通り(敬称略)
カナザワ、ニム、安田ママ、お給仕犬、ZERU、ZERUの友人ぴぱ、谷田貝、u-ki、はらいそあき、加藤、溝口、OKKO、有里。 【RIKI】、ジョニィたかはし、森山和道、タニグチリウイチ。(昼食時のメンバーから海法氏が抜けて、【RIKI】氏以下4人が加わった)
タニグチリウイチさんがいらしていたとは気が付きませんでした。もっとも、どの方とも初対面だから紹介されなきゃわかんないんですけど。 帽子かぶっていた人がリウイチさんかな?近くに座っていたOKKOさん、加藤さんと、ハヤカワ文庫FTの話などで盛り上がりました。 FTにおけるロバート・ジョーダンの<時の車輪>は、SFにおける<ペリー・ローダン>やJAの<グィン・サーガ>と同じであるという 私の意見を披露したところ、お二人とも納得。 というわけで、もう背表紙がどうのとか文句つけませんので、しっかり儲けてたまにはマニア向けのファンタジーを出してくださいませ。込山様。
OKKOさんとは、「わたしら、SF者っていうより、やっぱりファンタジー読みだよねぇ」ということで意見の一致をみました。 私は一応SFも読んでいるので、セミナーの話についていくのにも苦労はしないんですが、ああいう濃いSF者の集まりの中にいくと、 スタンスというのか嗜好の違いというかを感じます。でもファンタジー系の集まりにいっても浮くのかも(^_^;)。 (SFファン/マニアについて考えたことは、そのうち日記に書きます)
隣に座っていたニム&安田ママのお二人からは、村上春樹『スプートニクの恋人』を大プッシュされる。でも、村上春樹はねぇ……。でなことをやっているうちに、時間がきて、合宿組はふたき旅館へ。私は泣く泣く水道橋駅で皆さんと別れたのでした。 わたしもお泊りしたかったよぉぉ。
でも昼の部だけでもとっても楽しかったです。★おまけ
SFセミナーでは、いろいろな方にお会いしましたが、パソコン通信のオフ会と違って、Webページから受ける印象と実際にお会いした方の印象が違っている方はほとんどいませんでした。 (若干1名(笑)を除く。びっくりしましたよ>OKKOさん)。 やっぱりページには、管理者の性格やセンス(服装センスも含めて(笑))が反映されますね。
合宿に参加できなかったのは、やはり残念です。「真夏の前のホラーの部屋」と「ネットワークのSF者たち」は、ぜひとも参加したかったなぁ。 (ニム&安田ママのママさんコンビの東編集長評を読んだあとではなおさら……(笑)。私もミーハー?)
By 有里 alisato@anet.ne.jp
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