Aliログ:日誌の抜粋 & Special Topics

日記抜粋:コバルト文庫関連

原稿No.200204-01

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Last Update: 2004-06-27 02:40:54

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日記抜粋:コバルト文庫関連

コバルト文庫の話題を日記から抜粋

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[book] コバルト調査のこぼれ話 (2003/07/21)

国際子ども図書館】に行って、『Cobalt』誌のバックナンバーを漁って、コバルト・ノベル大賞の情報を調べたりしているのですが、そのときに拾った小ネタのメモ。

その1 謎のライバル雑誌

87年冬号の編集後記に『Cobalt』誌にライバル誌登場とあります。さて、このライバル誌って何だろう? 角川系が講談社系だと思うんですが。
「小説 雑誌 創刊」でググってみたら、昭和58(1983)年に角川から『小説王』ってのが出てますが、これじゃないだろうし。朝日ソノラマの『グリフォン』は92年創刊だそうですし。
あ、『ドラゴンマガジン』が1988年3月創刊ですね。これかな?
SF雑誌データベース検索サービス】によれば、『獅子王(朝日ソノラマ)』1985年7月創刊、『小説奇想天外(大陸書房)』1987年12月創刊。奇想天外には新井素子が書いてます。
一番ライバルっぽい『ザ・スニーカー』の創刊は1993年3月。

追記:2003/07/22
メールで小学館の『パレット』ではないかという情報をいただきました。

その2 小説家のコスプレ

87年秋号では、杉本りえ、唯川恵、藤本ひとみ、島村洋子が「乙女ちっく通信」のページで若草物語のコスプレしてます。少女小説家がアイドルだった時代なんですね。

その3 読者大賞

作家が選考委員を務めるコバルト・ノベル大賞のほかに読者を審査員にした読者大賞が作られたのが、創刊7周年目の1989年夏。読者大賞を受賞した作家のほうが、コバルト作家としては人気がでるような気がします。

その4 ファンタジーの興隆

1990年6月号で前田珠子特集。連載ももたない新人作家の特集というのは珍しいかなと。(その前の号が日向章一郎特集なんですが、この人はすでに連載をもつ人気作家でした。)それだけ人気があったということなんでしょう。
翌年の1991年4月号には、ファンタジー競作と銘打って、前田珠子「ジェスの契約」、若木未生「XAZSA」、桑原水菜「ディアドール」が掲載されています。
コバルト・ノベル大賞入選作も、91年上期が水杜明珠「春風変異譚」、91年下期が響野夏菜「月虹のラーナ」、92年上期がゆうきりん「夜の家の魔女」と、ファンタジー目白押し。どうやらこのあたりから、コバルトは異世界ファンタジーに傾いていったようです。

その5 イラスト大賞

ファンタジー作品が増えるのと同時期に、イラスト大賞というものが創設されています。
みずき健、おおや和美、厦門潤らのイラストが文庫の売上に与えた影響に編集部が気がついたからじゃないかと思うんですが。

第1回イラスト大賞の発表は1991年2月号で、大賞受賞者は後藤星。

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[book] コバルト・ノベル大賞と吉本ばなな (2003/07/24)

この間から選評を読みながらコバルト・ノベル大賞のリストの入力をしています。

面白かったのが、第17回(1991年上期)と第18回(1991年上期)の選評。どちらの回でも、最終選考に残った作品が「吉本ばななに似ている」という理由で落ちているんです。審査員は、岩館真理子、菊地秀行、高橋源一郎、氷室冴子。菊地秀行が作品を推して、高橋源一郎が却下という感じ。で、菊地秀行が憮然としてます。

吉本ばななに似ているってことは、それはとても「かつてのコバルト」らしい作品だったってことだと思うんですが、「ゆるいコバルト」と評される吉本ばななの登場によって、コバルト・ノベル大賞は「かつてのコバルト」から離れていかざるを得なくなったということですね。

おたく男性にも話題の『マリみて』の今野緒雪は第21回(1993年上期)に「夢の宮〜竜のみた夢〜」で大賞に入選しています。審査員(岩館真理子、菊地秀行、高橋源一郎、氷室冴子)一同大絶賛満場一致の受賞です。しかも読者大賞とのタブル受賞。コバルト・ノベル大賞は96年からは「ノベル大賞」と名前が変ったので、「コバルト・ノベル大賞」「読者大賞」のダブル受賞は、この人が最初で最後。実力のある人は最初から凄いのか。

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[book] 『Cobalt』誌のライバル誌(2003/07/22)

昨日、「コバルト調査のこぼれ話」で、『Cobalt』誌のライバル誌ってなんだろうと書いたところ、小学館の『Palette』誌ではないかというメールを何通かいただきました。やっぱり当時読者だった方の記憶が一番頼りになりますね。

今もパレット文庫というのがあるのですが、それの母体になった雑誌のようです。花井愛子や島村洋子、喜多嶋隆も載っていたとか。【国際子ども図書館】の検索で調べてみたところでは、創刊は1989年夏。「ライバル誌」の記事が1987年冬号(多分1987年2月刊行)なので、時期が合わないのが気になりますが、女の子向け雑誌だし、小学館は集英社の親会社に当たるので、わざわざ言及した意味は納得できます。
逐次刊行物としての創刊が1989年夏であっても、それ以前は別の雑誌の増刊として出されていたということも考えらます。国際子ども図書館に所蔵されているようなので、実物を見てみようと思います。

なお、講談社X文庫ティーンズハートは、1987年2月の創刊のようです。どうして1987年になっていきなり少女小説が流行しだしたのか、謎ではあります。ものすごいベストセラーが出たのかなぁ?

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[book] 少女小説の読者とオタク・クロニクル(2003/07/24)

7/22の「『Cobalt』誌のライバル誌」に関連して、1987年当時にコバルト文庫やX文庫ティーンズハートを読んでいた方からメールをいただきました。

当時は「少女小説が、本を読む女子中高生の間で、ものすごく流行って」いたのだけれども、レーベルとしてはコバルト文庫しかなくて、その需要に目をつけてX文庫ティーンズハートが創刊されたということのようです。

一般の目を集めるような「ものすごいベストセラーが出た」というよりは、出版人の興味を集める程度に安定してコバルト文庫が売れていたってことなのかもしれません。人気作家だと初版20万部とか50万部とかいう話があちこちに出てくるんですが、公のベストセラーランキングからは外されているらしいので、詳しいことが判らないんですけど。

実際にどれだけ売れていたかという話はともかく、リアルタイムで読者だった人の話はとても面白くて興味深いです。昔の少女漫画のことは語られても、昔の少女小説のことは語られることが少ないですから。
基本的に男性は何かについて語ったり記録に残したりしたがりますが、女性はあんまりそういうことしないみたいですね。それとも私が知らないだけ?

 「自分はかつて、この時期こういうものにハマってきました」っつー、俺/オタク・クロニクルは編纂しておいたほうがいいかもだわ。
土踏まず日記 2003.07.23

2ちゃんの書き込みにもありましたが、やはり各自がそれぞれの「おたく自分史」を書いた上で、相互に参照しあうことが必要なのかもしれません。
Fuku Diary: おたくの共通言語:堺三保氏のコメント】

元・少女の人たちも、そういった「自分史」を書いてくれると面白いんだけどなぁと思います。(「読書自分史」を書いている人はたまにいるんだけど、コバルト文庫系はあまりでてこない)
私もそのうち書きます。楽しそうだ。でもそれを書くと年齢がもろにバレてしまうのね。

私が一番知りたいのは『小説ジュニア』をどういう人が読んでいたのかということだったり。

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