Aliログ:日誌の抜粋 & Special Topics

コバルト文庫のイラスト

原稿No.200204-03

[Aliログ][更新情報]

Last Update: 2004-06-27 02:40:54

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コバルト文庫のイラスト

コバルト文庫(集英社文庫コバルトシリーズ)のカバーイラストの変遷について。

1976年創刊時から、萩尾望都、大島弓子、おおやちき、林静一、竹宮恵子などのマンガ家をカバーイラストに起用してはいたが、レーベル全体ではイラストレーターのイラストが多かった。

1984年頃から、久美沙織+めるへんめーかー、藤本ひとみ+谷口亜夢、山浦弘靖+服部あゆみなど、一部の作家がマンガ家とのコラボレーション的なシリーズをはじめるようになる。

1988年からは、おそらくは講談社X文庫ティーンズハートのヒットの影響で、ほとんどの作品の表紙に少女マンガ風イラストが採用される。また、解説目録にイラストレーター名鑑が掲載され、イラストレーターの存在が重要視されるようになる。

1990年には、解説目録がオールカラーとなり、表紙画像ともにイラストレーターの名前も掲載されるようになる。

※表紙画像は、コバルト文庫目録よりスキャンしました。

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1976年創刊時のカバーイラスト

1976年創刊時の集英社文庫コバルトシリーズのカバーイラストは、萩尾望都、大島弓子、おおやちき、林静一などのマンガ家も起用してはいるが、少女マンガ的というよりはイラストレーションに近く、本文の挿絵もない。

新川和江編『愛の詩集』(1976) イラスト/林静一 新川和江編『若き日の詩集』(1976) イラスト/大島弓子 富島健夫『かりそめの恋』(1977) イラスト/おおやちき 富島健夫『おとなは知らない』(1976) イラスト/萩尾望都
富島健夫『制服の胸のここには』(1976) イラスト/牧村慶子 富島健夫『初恋宣言』(1976) イラスト/荒川喜美子 富島健夫『きみが心は』(1976) 富島健夫『秘密はふたりのもの』(1977) イラスト/田中ひでゆき
  • 新川和江編『愛の詩集』(1976) イラスト/林静一
  • 新川和江編『若き日の詩集』(1976) イラスト/大島弓子
  • 富島健夫『かりそめの恋』(1977) イラスト/おおやちき
  • 富島健夫『おとなは知らない』(1976) イラスト/萩尾望都
  • 富島健夫『制服の胸のここには』(1976) イラスト/牧村慶子
  • 富島健夫『初恋宣言』(1976) イラスト/荒川喜美子
  • 富島健夫『きみが心は』(1976)
  • 富島健夫『秘密はふたりのもの』(1977) イラスト/田中ひでゆき

※おおやちきがカバーイラストを描いた作品は、他に佐伯千秋『青い太陽』があるらしい。

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新井素子作品のカバーイラスト

新井素子のコバルトシリーズでの2作目(1981)の竹宮恵子のカバーイラストは衝撃的だった。表紙に惹かれて新井素子を読み始めた人も多かったのではないかと思う。(そして本文イラストが竹宮恵子でなかったことにがっかりした人も多かったはず)
だが、それを機に他の作家のカバーイラストにもマンガ家を起用しようという動きはなかったようだ。

・新井素子『いつか猫になる日まで』1980 イラスト/長尾治 ・新井素子『星へ行く船』1981 イラスト/竹宮恵子    
  • 新井素子『いつか猫になる日まで』(1980) イラスト/長尾治
  • 新井素子『星へ行く船』(1981) イラスト/竹宮恵子    

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久美沙織作品のカバーイラスト

久美沙織作品は、デビューから8作目までは新井苑子、峯村良子らイラストレーターによるカバーイラストだが、9作目の『薔薇の冠 銀の庭』からマンガ家を起用するようになる。
氷室冴子がある対談(*『小説花丸』1号 1991/11 「特別対談 夢枕獏×氷室冴子」)で、「昔、久美沙織さんが、小説を書くときにイラストを描くマンガ家も決めて、プロデューサー的にやりたいって言っていたんだけど」と語っており、これは、編集部の意向というより作者の意向であったようだ。

久美沙織『宿なしミウ』(1981) イラスト/新井苑子 久美沙織『ガラスのスニーカー』(1982) イラスト/峯村良子 久美沙織『ロマンチックをもう一杯』(1983) イラスト/白鳥瑞江 久美沙織『抱いてアンフィニ』(1984) イラスト/新井苑子 久美沙織『薔薇の冠 銀の庭』(1984) イラスト/かがみあきら
久美沙織『丘の家のミッキー』(1984) イラスト/めるへんめーかー 久美沙織『丘の家のミッキー 新装版』(2001) イラスト/竹岡美穂
  • 久美沙織『宿なしミウ』(1981) イラスト/新井苑子
  • 久美沙織『ガラスのスニーカー』(1982) イラスト/峯村良子
  • 久美沙織『ロマンチックをもう一杯』(1983) イラスト/白鳥瑞江
  • 久美沙織『抱いてアンフィニ』(1984) イラスト/新井苑子
  • 久美沙織『薔薇の冠 銀の庭』(1984) イラスト/かがみあきら
  • 久美沙織『丘の家のミッキー』(1984) イラスト/めるへんめーかー
  • 久美沙織『丘の家のミッキー 新装版』(2001) イラスト/竹岡美穂

『ガラスのスニーカー』『抱いてアンフィニ』のカバーは【久美沙織伝説】でも見ることができる。

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氷室冴子作品のカバーイラスト

「コバルトの女王」氷室冴子のデビュー作『白い少女たち』の表紙カバーは、イラストではなく写真だった。
藤田和子、渡辺多恵子、森田じみいといったマンガ家を起用することもあったが、どちらかといえばイラストレーションに近い絵だった。
だが少女マンガイラストでヒットを飛ばした講談社X文庫ティーンズハートの影響か、『冬のディーン 夏のナタリー1』(1988)から少女マンガ的なカバーイラストが増えてくる。
ヒット作『なんて素敵にジャパネスク』シリーズも、1999年から後藤星による少女マンガ風イラストの新装版となった。

氷室冴子『白い少女たち』(1978)                氷室冴子『クララ白書』(1980) イラスト/原田治         氷室冴子『雑居時代』(1982) イラスト/星野かずみ        氷室冴子『シンデレラ迷宮』(1983) イラスト/藤田和子      氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』(1984) イラスト/峯村良子
氷室冴子『なぎさボーイ』(1984) イラスト/渡辺多恵子         氷室冴子『ヤマトタケル』(1986) イラスト/森田じみい         氷室冴子『冬のディーン 夏のナタリー1』(1988) イラスト/藤田和子  氷室冴子『銀の海 金の大地』(1992) イラスト/飯田晴子        氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク 新装版』(1999) イラスト/後藤星
  • 氷室冴子『白い少女たち』(1978)                  
  • 氷室冴子『クララ白書』(1980) イラスト/原田治           
  • 氷室冴子『雑居時代』(1982) イラスト/星野かずみ          
  • 氷室冴子『シンデレラ迷宮』(1983) イラスト/藤田和子        
  • 氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク』(1984) イラスト/峯村良子   
  • 氷室冴子『なぎさボーイ』(1984) イラスト/渡辺多恵子        
  • 氷室冴子『ヤマトタケル』(1986) イラスト/森田じみい        
  • 氷室冴子『冬のディーン 夏のナタリー1』(1988) イラスト/藤田和子 
  • 氷室冴子『銀の海 金の大地』(1992) イラスト/飯田晴子       
  • 氷室冴子『なんて素敵にジャパネスク 新装版』(1999) イラスト/後藤星

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正本ノン作品のカバーイラスト

イラストレーターのイラストから少女マンガのイラストへの変化がもっとも分かりやすいのが、正本ノン作品のカバーイラストだろう。1983年から久保恵子のイラストで17冊も出ていたのに、1988年になるといきなり少女マンガのイラストに変るのである。

正本ノン『吐きだされた煙はため息と同じ長さ』(1979) イラスト/金子優 正本ノン『クレソンサラダをめしあがれ』(1982) イラスト/久保恵子   正本ノン『海岸通り物語』(1984) イラスト/久保恵子          正本ノン『17クラブに投げキッス』(1987) イラスト/久保恵子     正本ノン『渡り廊下でハイヒール』(1988) イラスト/いでまゆみ    
  • 正本ノン『吐きだされた煙はため息と同じ長さ』(1979) イラスト/金子優
  • 正本ノン『クレソンサラダをめしあがれ』(1982) イラスト/久保恵子  
  • 正本ノン『海岸通り物語』(1984) イラスト/久保恵子         
  • 正本ノン『17クラブに投げキッス』(1987) イラスト/久保恵子    
  • 正本ノン『渡り廊下でハイヒール』(1988) イラスト/いでまゆみ    

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