会場の朝陽館本家は、想像していたよりもきれいな(失礼!)本格的な日本旅館。スタッフの
【おおた@粗忽長屋@落研出身】さんが和服姿でお出迎え(←ほとんど番頭さん)してくれました。
【ヒラノマドカ】さんは、旅館についてすぐにお風呂に入ったそうで、「野望達成!」とご機嫌でした。
名札は緑色した総統の顔と各人の名前、Webページの画像が入った、アヤシゲなもの。寝部屋にも総統の顔がアップになったあの魔除けの札が貼ってありました。 (【のだ】さんのところに画像があります。3回目ともなると旅館の人も慣れたでしょうね。)
DASACON4参加の目的は、出版業界裏話を聴くことと、オークションで儲けること(笑)と、 いろいろな人の「本物」にお目にかかることだったんですが、なんとなんとさらに嬉しいことに 【東雅夫】へんしうちょう(本物)にもお目にかかれてしまったのでした。きゃーっ! きゃーっ!
東へんしうちょうは、噂通りの美声で(きゃーっ! きゃーっ!)、しかも全身黒尽くめで
【倉阪鬼一郎】せんせいとお揃い(きゃーっ! きゃーっ!)。
「ペアルックじゃありません」とおっしゃっていましたけど、でもどう見てもお揃いっ!
ちなみにチュチュ様人形を連れた
【米田淳一】さんも黒服、
【大森望】さんもクトゥルー版ピカチュウのついた黒Tシャツでした。
メン・イン・ブラックがいっぱい。
倉阪鬼一郎せんせいは、もちろんミーコちゃんとミミちゃんと一緒。
なお、ミミちゃんは一晩中ニムさんに拉致されていました。
さて、いよいよオープニング。
【u-ki総統】
は病み上がり(実はまだ入院中。外泊許可をもらって出てきたらしい)
なので、挨拶もおとなしめ。基本的には宴会で、あとはWebで話題になっている書店と出版の問題やWeb書評のことを膝突き合わせて語り合おうというのがDASACON4の趣旨らしいです。
そのあと参加者が順番に立って簡単に自己紹介。私の場合、DASACONは初参加であるものの、面識のある人が31人(私が相手を認識できる人数。私が認識されるかどうかは問わない)、電網識のある人が20人(私がハンドルを認識できる人数。私が認識されるかどうかは問わない)、それ以外の人が17人だったので、かなりリラックスしていられました。
私が確認できただけでも書店関係者4人、出版編集関係者5人、文筆業関係者9人(一部重なっています)と全体企画の「出版と書店について」に関係ありそうな参加者のみなさんがたくさんいて、普段聞けない裏話も聞けるに違いないと、わくわくしました。
自己紹介のあと、「DASACON賞」の発表。なんと今回のWeb企画である、大型で長いWeb書評についてのアンケートは 「実は恐ろしいことにDASACON賞の投票も兼ねていた」のだそうで、「参考にしているWeb書評ページ」として多くの得票をあつめた 【安田ママ@銀河通信オンライン】さんと 【タニグチリウイチ@リウイチのホームページ】さんが、 「DASACON賞」を受賞しました。 賞品は「DASACON4」の文字が金押ししてある本皮製のブックカバーでした。(そのうち写真がアップされるはず)
タニグチリウイチさんは倉阪鬼一郎せんせい&ミーコ姫に対抗してか、 ぷちこ(『デジ・キャラット』とかいうアニメのキャラではなかったか? 語尾に「……にょ」だか「……にゅ」だかを付けるらしい)の人形を抱いていました。 (【"裏"日本工業新聞!!】に写真が出てます)
ほとんどのことは【青木みやさんのレポート】に書かれているので、補足的なメモいくつか。
(なお、DASACONスタッフによると、この企画はテープからおこしてdasaのページにあげる予定だそうです。)
レクチャーから
・文芸書の場合、純文学のハードカバーの初版発行部数は2000〜4000部。文庫、新書などを入れて平均しても8000部。 それに対して書店は全国に2万1000店もある。当然全国の書店に本が行き渡ることはない。
・日本はアメリカに比べて本屋が多い。人口比で4倍もの本屋が存在する。
アメリカの場合はマガジン・ショップとブック・ショップが分かれているのに対し、
日本は実態はマガジン・ショップの店がブック・ショップのふりをしているのではないか。
・ジュンク堂ですら本が棚にとどまるのは平均すると1週間。
質疑応答から
Q:オンライン書店はこれからどうなるか?
A:どのオンライン書店も目標は売り上げ100億円。3年のうちに淘汰されるだろう。
最終的にオンライン書店の売り上げで食える人数は30〜40人程度。
Q:オンデマンド本、Web本の将来はどうか? 何がネックとなるのか?
A:オンデマンド本は安くはならないが絶版にもならない。部数が増えても安くならないのがネック。
Web本のネックとなるのは、「読み手にどうやって知らせるか」と「代金の回収」であろう。
・版元と書店との直取引は、書店側の事務手続きがたいへんなこともあって、難しい。
講談社や小学館のような大手出版社との直接取引は、書店側はやりたがっているが、これらの出版社が取次の株主であったりする関係で、実現は難しい。
・昔は、書籍等で再販制度について触れることへのタブー視されていたが、 現在では「再販反対」の言論を弾圧するような真似はまずいであろうという風潮になってきている。
ディーラーズコーナーでタニグチリウイチさんオススメの京大SF研究会の『WORK BOOK67』を購入。 ぷちこが「にゅ〜にゅ〜」いいながら吉村達也の本を斬っていく『ぷちこの目から温泉にゅ〜「吉村達也の本を読む」』が傑作。
【バード中津@ハルキ事務所】さんに、 高瀬彼方『カラミティナイト』の続編と妹尾ゆふ子『NAGA 蛇神の巫』の続編を力いっぱいリクエストしておきました。 「高瀬彼方さんを女性だと思っている人が多いようですが、男性です」とのことでした。
ロンドン旅行帰りの【okko】さんと
しばらくアメリカで暮らしていた【Okawa@風の十二方位】さんから、
ロンドンとアメリカの本屋事情についてを伺う。おふたりがいたところでは、本屋はかなりあったらしい。
口をそろえていうことは「SFとファンタジーの棚が広い!」。客層も老人から若者までいて、要するに普通の客がSFを買っているらしい。
「ル・グィンがアメリカ人はSF読まないっていってたけど、みんな読んでるじゃないかと思った」と大川さん。
「ル・グィンの時代にSF読んでた世代が歳くって老人になったからじゃないですかねぇ」といったら「確かにル・グィンももう歳だし」と……。
オークションに参加していたので、最初のほうしか見ていないのですが……。
【バード中津@ハルキ事務所】さんの提案による企画だそうです。
趣旨としては、以下のようなものではなかったかと推測されます。
ハルキ文庫から「新世紀SF宣言」と銘打って書き下ろしSF系小説を刊行したところ、 本屋のどの棚に置かれるかによって売れ行きに大きな差が出た。 高瀬彼方『カラミティナイト』などのヤングアダルト系の作品は、コバルト文庫と同じ棚に置かれたときに、とても売れた。 いったい読者は、どのようにジャンルを意識しているのであろうか? SFの読者はヤングアダルト系の棚もSFとして認識しているであろうか? そのあたりをリサーチしたい。
私が見ていたときには、u-ki総統が「俺の理想のSFの棚」論をぶちあげてました。
文庫はレーベルで分けないで、角川も新潮も創元もハヤカワもスニーカーもコバルトもいっしょくたにして、
SFっぽいのはSFっぽいのでまとめ、ホラーならホラー、ファンタジーならファンタジーでまとめてもらったほうが買いやすいというような話だったと思います。
その後どのように展開したのかは、オークション企画にいっちゃったから知りません。
私も含めて、読者は割とレーベルを見て買うのが多いようで、
ティム・パワーズなんてハヤカワ文庫FTで出たもんだから、SF者は出たのを知らなくて絶版になってから慌てたとか
いうような話を聞きます。
ハルキ文庫の場合、表紙を見せて展示してあればヤングアダルト読みの女の子たちが手に取るけど、
棚差しになったら発見するのは困難だろうなぁという気がします。
出品者なので、ジャンル分け功罪を途中で抜けて、オークション企画に参加。
オークション品リストに落札希望価格並みの強気の開始価格を出してしまったのを反省して、開始価格をちょっと低めにしましたが、がんがん値段が上がって、出した本人もびっくり。買ってくださった皆様、ありがとうございます。
でもって儲けたお金を
【彩古】さん出品のアンナ・カヴァン『アンナとバズーカ』(サンリオ文庫)に突っ込んで、U-ki総統に競り勝ちました。ごめんなさいね、総統。病み上がりなのに。でも、勝負に情けは禁物だからねぇ。こういうときでないと、カヴァンになんて手が出ませんから。ああ、嬉しい。
それ以外の落札品は、 【山崎晃】さん 出品の『ブルボンの封印』CDブック(\200)と ダーコーヴァ年代記の1巻目『惑星救出計画』とダーコーヴァ同人誌のセット(\500)。 同人誌の絵柄がめちゃ好み。ダーコーヴァは昔読んでいたはずなんですが、すっかり内容を忘れてますね。
【Okawa@風の十二方位】さんは、 「Z会事務局長」としてゼラズニィを褒め称えつつ、自分でがんがん競り落としてました。迫力でした。
【u-ki総統】
は、別の企画の仕切を担当していたので、遅れて登場。
総統「『緑色遺伝子』は?」
溝口「もう落ちちゃいました」
総統「そ、そんな〜〜。それじゃ『レ・コスミコミケ』は?」
溝口「2冊とも落ちちゃいました」
総統「えぇぇえぇぇぇ〜、そ、そんな〜〜」
がっくりしながらも本を競りにかける総統。うわさのu-ki節による内容紹介は、確かに凄かったです。
内容紹介といえば、【mut】さんの『電卓テックくんの推理』(でしたっけ?)の内容紹介もむちゃくちゃ面白かった。 読みたーい! カヴァン落札に賭けてたから競りに加われなかったんですよ。
オークションに参加していたので、最後の30分ぐらいしか参加できませんでした。
とりあえず思い出せたことだけメモ。
Web書評を参考に本を買うか、書店で自分で買うか。
だいたいそこにいた人、半々ぐらいづつでした。私はWeb書評を参考に買うことが多いです。
特に初めて読む作家の本を書店で見て買うというのはほとんどないです。
たまーに、懐具合が暖かくて気持ちが大きくなっているときに、衝動買いをすることもありますけれど。
ネット書店の利用度
圧倒的にbk1利用者多し。でもネット書店を全然使ったことのない人も1/3ぐらいいました。
本の宣伝としてWeb書評は有効か
Web書評からリンクを張っておくと、それを利用して購入する人というのは結構存在するらしいです。
後で検索するのは面倒だということなんでしょう。
Webオーナーの中には、自分の書評が書籍の宣伝と見なされるのを嫌がる人もいるようでした。
献本制度の問題点
書評家の人から、現在の献本制度は無駄が多い。評価したいと思っている本が届かずに守備範囲外の本が届いたり、
本を買ってから献本が届いたりすることもある。メール等を駆使して、効率的に情報を流した方がいい、という意見が。
クロスレビュー
【WEB本の雑誌】でやっているような、クロスレビューというのはどうか?
【読書共同体】はスゴイ。
他のジャンルでもあればいいのにね。
などなどの意見が。
書評サーチエンジン
クロスレビューのリンク集を作るより、サイトを限定してサーチエンジンを作った方が効率的(ただし、かなりの容量をもったハード資源が必要)という意見あり。
ここで時間終了となりました。一部の人は書評サーチエンジンの話題で話を続けたようです。 (どんな話だったのか、できたらレポートしてほしいなり)
引き続き書店の問題点についてとか。
今の出版業界は社会システム(でしたっけか?)として正常に機能していないから再構築すべきだという論に対して、
【ちはら】さんと
【青木みや】さんが反論。
「悪循環を断ちきれ」「そんなの無理」と、話は延々とループ。
その中で、ほとんどの新刊書店には接客マニュアルが存在しない、接客の研修をしないという話や、日本は情報を収集整理分類利用するためのノウハウがない、システムが確立していないなどの話題も。ループしていても、それなりに新しい情報が出てくるのがオフラインでのギロンの良いところですね。
ちなみに不眠の女王・安田ママさんは、日曜日の9時からお仕事があるので、2時半には退出。 ギロン中のちはらさんが「ああーっ、ここで安田ママさんがいれば、もっとフォローしてもらえるのにぃぃっ!」と残念がっていました。
本が洪水のように出版されるけれども読者の手に届かない今の状況と、出版点数を絞って少数精鋭になった場合とどちらが良いかという論点では、出版されるだけましという青木さんと私の意見に対して、存在しないものは欲しくならないのだから出版点数を絞ったほうがよいという意見も。うーん。
というところへ、麻雀から帰ってきたらしい大森望さんが登場し、今は金さえだせばインターネットを通じてなんの労力もなしに本が手に入る良い時代だとパッサリ。
最後には本屋と取次が淘汰されても、出版社と使える書店と以前に出版された本が存在していればノープロブレムという結論になってしまいました。
(なんか大森さんが出てくると、たいていの話は簡単に終わってしまうような。大森さんが話を長引かせたいと思った場合は別だけど)
ほんとはショールームとしての書店が消えると、困るんですけどね。でも、私のようにイナカに住んでいる人間は、実物をみないで本を買うことに慣れないといけないんじゃないかなと思ったり。
あとは次回のワンフェスはないという話(SF大会のときと同じようなギロンが繰り返されていると大森さんの談)とか、 小田光雄だめじゃんとか。オンライン出版の話も出ました。本一冊を電子化するのに、今は15万円かかるとか。 翻訳物の電子化は原作の版権の問題があるので、いろいろ難しいとか。
bk1の問題点について、いろいろ出たんですが、これは別にまとめたほうがいいかな。
ところで今思い出したんですが、 【湯川光之】さんの紙芝居の企画はどうなったんでしょう? 水飴を楽しみにしてたのに。ちゃんと拍子木叩いて人集めしなきゃー。 (追記:御本人からの報告によると睡魔に負けたそうです。んじゃ、また別の機会に)
雑談に飽きた頃はじまったDASACON特製のゲーム
カタカナで終わる本の題名を利用したカルタ。
たとえば「ゴーホーム」「カーター」「ランデブー」「ハイウェイ」「チャーリー」「ロボット」「ダイノサウルス」なんてのが
取り札になっていて、それぞれ読み札は「火星人」「火星の大統領」「宇宙の」「地獄の」「がんばれ」「光の」「さよなら」だったりする。「さよなら」と聞いて、「ジュピター」を探してもだめなのだ。
取り札を見て読み札を想像していると、予想外のものが来たりするのがミソ。「レポート」の読み札は「ハムスターの研究」でした。
5時半に寝部屋へ引っ込むものの、気分がハイになっているせいで寝つけず。 結局2時間ぐらいしか眠れませんでした。
朝8時ごろ大広間にいったら、総統が自分の恋愛話を語っていました。でも寝起きだったんで内容は良く覚えていないです。
オークションの代金を清算しつつ、みんなで大広間を掃除して、エンディングになだれ込む。
DASACON5の予定は未定だけれども開催するのは間違いないらしい。
DSACONページはURLが移動するとのこと。トンガ・ドメインを取得したらしい(正確には
【サイトウマサトク】さん
のところの、トンガ・ドメインをもっているサーバーに間借りすることになったらしい)。新URLは以下の通り。
【http://dasacon.ore.to/】
「ださこん、俺と。」
なんて分かりやすいアドレス!
というわけで、DASACON4は無事終了。スタッフ&ゲスト&参加者のみなさん、お疲れ様&ありがとー。
でもって、会場に残っていた人の約三分の二はそのままルノアールへと流れたのでした。
間違い等ありましたら、メール(alisato@anet.ne.jp)あるいはメールフォーム/掲示板でご連絡ください。
最終更新日:2001/11/09