コバルト文庫全点リストについて


はじめに

 個人的に作成した、集英社コバルト文庫(集英社文庫コバルトシリーズ)の創刊から2011年12月刊行分までの全点リストです。

 コバルト文庫のようなジュニア向けの文庫は「消費される商品」として扱われ、図書館や古本屋でもきちんと保存されていないことが多いようです。放っておくと実物だけでなく書誌情報まで失われてしまいそうな気がしたので、こんなものを作ってみました。
 全体を通して眺めていくと、ジュニア小説文化の変遷が見えてくるかもしれません。

 資料としては、解説目録を主として使用し、 【日々是好日! 】のコバルト文庫リストおよび 【TRC】での書名「コバルト」の検索結果でのチェックを行いました。
 作家番号は、なるべく実物でのチェックを行うようにしましたが、作家番号内の通番については実物にあたらずに前後関係から算出したものもあります。誤り等がありましたらご指摘ください。


コバルト文庫について

創刊

集英社文庫コバルトシリーズの創刊は昭和51(1976)年5月。(但し、奥付けは昭和51(1976)年6月28日)
創刊時のラインナップは以下の通り。A5版ソフトカバーで出ていたコバルト・ブックスが文庫化された。

(『集英社文庫 コバルトシリーズ ’88解説目録』p.31 Q&Aによる)

名称変更

「集英社文庫コバルトシリーズ」から「コバルト文庫」へ名称が変更されたのは、1990年5月ごろらしい。 (90年の目録の名称は『コバルト文庫解説目録』)
ただし書誌情報では、1990年10月ごろまで「集英社文庫コバルトシリーズ」で登録されている場合がある。

1992年3月には、より若年層向けの「コバルト・ピンキー」シリーズが作られた。

1991年3月には、男の子向けアクション路線のスーパーファンタジー文庫が創刊されている。

雑誌『Cobalt』

 創刊は昭和57(1982)年夏。前身は『小説ジュニア』。最初は季刊誌、1989年夏より隔月刊誌になった。
(2000/09/01追記 創刊が昭和54年になっていましたが誤りです。)

作者番号

創刊から1990年10月(?)までは、文庫の管理は著者名コードで行われていた。
 著者名コードは、刊行順に割り振られた作家番号+英字から構成されていた。

著者名コードの例:
佐藤愛子『たいへんだァ青春』 6-G
氷室冴子『冴子スペシャル ガールフレンズ』 52-AB

現在の作家番号は、作家名の最初の1文字+番号で構成されている。コバルト・ピンキー、スーパーファンタジー文庫とは別採番である。 新作家番号の例:
あ1 赤川次郎
あ2 新井素子

1992年6月までは、背表紙に旧著者名コードと新作家番号とが並記されていた。

ISBN

コバルト文庫のISBNは、1994年10月までは、
 4-08-610xxx-*、4-08-611xxx-*

1994年10月以降は、
 4-08-614xxx-*
(一部作家については、旧ISBNを採用。4-08-614899-4まで使用。)
2001年9月以降は、
 4-08-600xxx-*

ISBN4-08-611899-8 は、倉本由布『海の王 風の姫』、
ISBN4-08-614001-2 は、さいきなおこ『禁断のウィスパー』である。 ISBN4-08-614899-4 は、久美沙織『丘の上のミッキー 4』、
ISBN4-08-600001-6 は、若木未生『冒険者たち Glass heart』である。

2000年4月25日の時点でISBNが一番大きいものは、 ISBN4-08-614721-1 の 金蓮花『月の系譜 凍てゆるむ月の鏡 四』である。

刊行冊数

昭和63(1988)年4月3日の時点で、1049冊が刊行されていた。執筆者数は翻訳者も含めて260人。(『集英社文庫 コバルトシリーズ ’88解説目録』p.31)
この時点でISBNが一番大きいものは、 ISBN4-08-611153-5 の 下川香苗『春いろセレナーデ』である。

ISBNから計算すると、その後、1988年5月から1994年10月までに735冊、2000年4月25日(奥付け上は5月10日)までに さらに721冊、合計2495冊が刊行されたことになる。
2001年5月発売の『Cobalt 2001年6月号』の「雑誌Cobalt100号の歩み」によれば、「この25年間に約2600点の作品を世に送りだし」(p.114)とあるので、おそらく上記計算で正しいと思う。(2002/05/01)


解説目録について

 コバルトの解説目録の背はどれも黄色です。

『集英社文庫 コバルトシリーズ ’86解説目録』
昭和61(1986)年3月10日現在発売中の既刊全点をジャンル別に分類、著者名または編者名の50音順に配列。
全ページ、モノクロ。コバルト作家名鑑と、作家によるエッセイあり。
解説には、旧著者名コードが記されている。
ジャンルは、以下の通り。
「青春ロマン・ラブコメディ」「SF・ミステリー」「エッセイ」「ポエム・占い・写真集」 「アニメノベライズ・コミックス」「青春ドキュメント・ノンフィクション」「スター・テレビ・映画」 「グラフティ・カタログ・その他」「海外翻訳作品」
裏表紙の裏にコバルト・ノベル大賞の募集あり。審査員:赤川次郎・阿木耀子・阿刀田高・眉村卓
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『集英社文庫 コバルトシリーズ ’88解説目録』
昭和63(1988)年4月3日現在発売中の既刊全点を著者名または編者名の50音順に配列。
カラーページに作家名鑑、イラストレーター名鑑、コバルトおもしろQ&Aあり。
「コバルトおもしろQ&A」によれば、創刊は昭和51年5月、昭和63年4月3日までに1049冊発行され、執筆者は翻訳家を含め260人。
解説には、旧著者名コードが記されている。
P.201にコバルト・ノベル大賞の募集あり。審査員:池田理代子・北方謙三・高橋三千綱・夢枕獏
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『コバルト文庫 ’90解説目録』
平成2(1990)年5月3日現在発売中の既刊を著者名または編者名の50音順に配列。
オールカラーで、解説には表紙画像、イラストレーター名、旧著者名コードも記載されている。
単行本のコバルト・セレクションの目録あり。
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『コバルト文庫 ’91解説目録』
平成3(1991)年5月3日現在発売中の既刊を著者名または編者名の50音順に配列。
オールカラーで、解説には表紙画像、イラストレーター名、ISBNも記載されている。
海外翻訳作品も若干掲載されている。(『チョコレート戦争』『ベスト・キッド』『ベスト・キッド2』『アウトサイダー』『誰だハックにいちゃもんつけるのは』『海外版怪奇幻想ファンタジー傑作選』)
単行本のコバルト・セレクションの目録も若干あり。
集英社スーパーファンタジー文庫とファンタジーロマン大賞作品募集の広告あり。
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『コバルト文庫&スーパーファンタジー文庫 ’95解説目録』
平成7(1995)年4月1日現在発売中の既刊を著者名または編者名の50音順に配列。
作家名鑑あり。 コバルト文庫(コバルト・ピンキー、海外翻訳作品、インタービュー集含む)とスーパーファンタジー文庫とに 分けられている。
オールカラーで、解説には表紙画像、イラストレーター名、ISBNも記載されている。
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『コバルト文庫&スーパーファンタジー文庫 ’97解説目録』
平成9(1997)年4月25日現在の既刊を著者名または編者名の50音順に配列。
コバルト文庫とコバルト・ピンキー、スーパーファンタジー文庫とに 分けられている。単行本目録もあり。
オールカラーで、解説には表紙画像、イラストレーター名、書名コードも記載されている。
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『コバルト文庫&スーパーファンタジー文庫 ’98解説目録』
平成10(1998)年4月24日現在の既刊を著者名または編者名の50音順に配列。
解説については97年版におなじ。単行本の広告あり。
ノベル大賞・ロマン大賞の受賞者リストあり。
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『コバルト文庫&スーパーファンタジー文庫 ’99解説目録』
平成11(1999)年4月24日現在の既刊を著者名または編者名の50音順に配列。
解説については97年版におなじ。
ノベル大賞・ロマン大賞の受賞者リストあり。
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『コバルト文庫&スーパーファンタジー文庫 2000年解説目録』
2000年版より横書きになった。オールカラー。
平成12(2000)年4月25日現在の既刊を著者名または編者名の50音順に配列。
レイアウトが変更され、文字数が増えたためか、解説は97年版とは若干変わっている。
ノベル大賞・ロマン大賞の受賞者リストあり。
巻末に書名索引、著者名索引、イラストレーター索引あり。


謝辞

 リスト用の資料収集にあたり、たくさんの方にお世話になりました。みなさまどうもありがとうございました。

資料および情報を提供してくださたみなさま:(50音順)
 生簀さま
 姥姫さま
 川口@「白梅軒」さま
 高橋さま
 眞明さま
 なみおか@「日々是好日!」さま
 ニムさま
 秘密調査員さま

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有里 (Alisato Akemi)
http://alisato.web2.jp/book/cobalt/

更新日:2002/05/05