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おすすめ本

日記ページなどで取り上げたおすすめ本のリストです。
(2002/05/29)

エレホン堂 Top
[Top] ▲01


おすすめ本 最新/ おすすめ本 その1/ おすすめ本 その2

[Top] ▲02

『アクアリウムの夜』

稲生 平太郎
『アクアリウムの夜』
(角川スニーカー文庫,2002.2,\600+税)
ISBN4-04-427501-7  【bk1/amazon/eS!

[→感想 2002/02/19]

表紙:アクアリウムの夜

春の土曜の昼下がり、ぼくは親友の高橋と一緒に野外劇場で「カメラ・オブスキュラ」という奇妙な見世物を見に行った。そこに映し出された水族館には、あるはずのない地下への階段が存在した。恋人の良子に誘われて試したこっくりさんが告げる――「チカニハイルナタレカヒトリハシヌ」。〈霊界ラジオ〉からは謎めいたメッセージが聴こえる……。

青春オカルトホラーの傑作。登場人物たちに「揺らぎ」がないので、思春期ホラーじゃなくて青春ホラーだと思います。揺らぐのは世界のほうですな。凄いっす。端正といいましょうか、隙がないといいましょうか。
読んでいるときはそれほどでもないのですが、読み終わってから効きます。十代で読んだら間違いなく「呪われる」本だと思いますね。
作者は教訓譚を意図したというのですが、教訓譚どころか危険すぎる本ですってば。こんなの緒方剛志の表紙で出していいのか? 売れちゃったら危険じゃないのか!?
ちなみに連載時の挿絵は楳図かずおだったようです。

[Top] ▲13

『殺人鬼の放課後』

恩田 陸/小林泰三/新津きよみ/乙一
『殺人鬼の放課後 ミステリ・アンソロジー 2』
(角川スニーカー文庫,2002.2,\476+税)
ISBN4-04-426902-5  【bk1/amazon/eS!

[→感想 2002/02/04]

収録作品
●恩田 陸「水晶の夜、翡翠の朝」
●小林泰三「攫われて」
●新津きよみ「還ってきた少女」
●乙一「SEVEN ROOMS」

綾辻行人『殺人鬼』の「放課後」バージョンでしかもパズラーな要素を入れて……というかなり難しい課題のアンソロジーですが、収録作はどれも課題をクリアしてしかもレベルが高い。超お買い得。ただテーマがテーマだけに、スプラッタな描写が苦手な人には辛いかも。
恩田 陸「水晶の夜、翡翠の朝」は、『麦の海に沈む果実』の続編。本編を読んでいないと、背景がわかり難いかも。
圧倒的に良かったのが、乙一「SEVEN ROOMS」。やるせないラストにただ涙。

[Top] ▲24

『モンティニーの狼男爵』

佐藤 亜紀
『モンティニーの狼男爵』
(光文社文庫,2001.10,\476+税)
ISBNISBN4-334-73222-4  【bk1/amazon/eS!

[→感想 2002/02/01]

amazon:『モンティニーの狼男爵』

田舎育ちで人見知りのラウール・ド・モンティーニー男爵は、修道院育ちの娘ドニーズと見合い結婚で結ばれる。男爵はドニーズと会ったときから彼女を自分の魂のように愛し、二人の間には一女一男も生まれるが、長男が幼くして亡くなったときから夫婦の間に隙間風が吹き始める。男爵夫人は美貌のジゴロ・ルナルダンに心奪われ、妻の浮気を察した男爵は嫉妬から狼に変身して夜毎森をさまよう。

登場人物たちがなんともチャーミング。主人公で語り手のモンティーニー男爵はいうまでもなく、神父でありながら放蕩者の男爵の叔父やルナルダンの愛人であるダニエル・ブリザック夫人の魅力的なことといったら。

歴史小説なんて銘打ってありますが、男爵が嫉妬から狼に変身してしまう一種のファンタジーです。晩年の男爵が一人称で語るという体裁を取っていて、どこかR・A・マカヴォイの《ナズュレットの書》(『世界のレンズ』『死者を統べるもの』)を思わせるところがあるので、あの作品が好きだった人には特にオススメ。

[Top] ▲35

『アラビアの夜の種族』

古川 日出男
『アラビアの夜の種族』
(角川書店 ,2001.12,\2,700+税)
ISBN4-04-873334-6  【bk1/amazon/eS!

[→感想 2002/03/07]

 amazon:アラビアの夜の種族

聖遷暦1213年(西暦1798年)、ナポレオンのエジプト侵攻を目前に控えたカイロ。 読むものを狂気に導き、歴史さえも覆す幻の『災厄の書』を作り出さんと、「夜の種族」ズールムッドは語り始める。 語られるのは魔王アーダムと剣士サフィアーン、魔術師ファラーをめぐる迷宮の物語である。

感想は「面白かった!!」の一言に尽きる。あいにくと「特別な関係」に陥るところまではいかなかったけれど、書物を読む歓び楽しみをこれほど味わったのは久々のこと。3千円近いお値段も決して高くない。
表紙やあらすじ紹介からは、ムズカシイ「迷宮的文芸書」を想像されるかもしれませんが、作中作の部分はアラビアン・ナイト化した『風車祭(カジマヤー)』だと思ったほうがいいんじゃないかと。

[Top] ▲46

『少年トレチア』

津原 泰水
『少年トレチア』
(講談社 ,2002.1,\2,000+税)
ISBN4-06-210809-7  【bk1/amazon/eS!

[→感想 2002/04/18]

表紙:少年トレチア

うしろ暗い少年期を隠した学生-楳原崇(うめはらたかし)。ニュータウンを撮り続ける女-佐久間七与(さくまななよ)。夜ごとダウジングする漫画家-蛎崎旺児(かきざきおうじ)。難病とともに生きる邪悪なこども-新宅晟(しんたくあきら)。
彼らが暮らすニュータウンで次々おこる殺人事件。「キジツダ」学帽と白い開襟シャツの謎の少年は囁く。
みんなが云う。悪いのはトレチア。殺したのはトレチア。

高層マンションと宅地とが並ぶ東京都郊外のベッドタウン「緋沼サテライト」を舞台にした恐るべき子供達と魚の話。
どれほど上手くまとめたあらすじでも、この作品の全てを伝えることは難しい。先ずはご一読を。

[Top] ▲57

『真世の王』

妹尾ゆふ子
『真世の王 上 黒竜の書』
(エニックス EX novels,2002.6,\950+税)
ISBN4-7575-0702-X 【bk1/amazon/Yahoo!
『真世の王 下 白竜の書』
(エニックス EX novels,2002.6,\950+税)
ISBN4-7575-0703-8 【bk1/amazon/Yahoo!

[→感想 2002/05/27] [→紹介ページ]

『真世の王 上 黒竜の書』
『真世の王 下 白竜の書』

かつて竜が思うままに飛翔するのみだった宙に、〈銀の声を持つ人(ラハナンァル)〉があらわれ、力ある言葉によって新たな世界を構築した。だが、いまや言葉の網は緩み、力は歪みこぼれ落ちて魔物となり、人々を襲う。世界の滅びは間近に迫っていた。 力ある言葉によって魔物を退けんとする月白領王ソグヤムに付き従う青年ウルバンは、王都でこの世の運命を変えるかもしれないふたりの人物と出会う。 ひとりは、ウルバンの幼馴染であり、〈銀の声持つ人〉イーファルの直弟子にして竜使の青年ジェン。ひとりは、世界が滅んだ後その再生を担う〈真世の王〉の候補として生み出された、漆黒領王家最後の姫エスタシア。

妹尾ゆふ子による本格ファンタジー、渾身の1300枚。
ライトノベルやTVゲーム系ファンタジーにありがちな予定調和な展開をふっとばすハードな物語。
絶望的な状況の中でウルバンとエスタシアの間に芽生える恋未満の感情も読みどころのひとつです。

[Top] ▲68

『鳥姫伝』

バリー・ヒューガート/和爾 桃子訳
『鳥姫伝』
(早川書房 ハヤカワ文庫FT 308,2002.3,\740+税)
ISBN4-15-020308-3 【bk1/amazon/Yahoo!

[→感想 2002/05/24]

amazon:鳥姫伝

唐代中国の小さな村庫福(クーフー)で、子供たちが次々と謎の病に倒れた。村の少年十牛は助けを求めて北京へ赴き、かつて中国全土の学者をしりぞけて科挙に状元(主席)及第したという老賢者李高(リーカオ)と出会う。
90歳を過ぎてなお矍鑠(かくしゃく)、頭脳明晰、ただし性格は「玉にきず」の李高老師の診立てでは、治療法はただひとつ、幻の薬草・大力参(だいりきにん)しかないという。
かくして李高と十牛は、大力参を求めて中国全土を旅することになるが……。

舞台は架空の中国で、中国といえば白髪三千丈、焚書坑儒で、酒池肉林のお国、やることが万事派手で血なまぐさい。 ああ、これは中国風ホラ話だと思って読めばいいのねと思っていると、どんどん「いい話」になっていき、 胸打たれる展開にふと気がつけば、天界と地上とを結ぶ壮大な鳥姫伝説の織物が出来あがっているではないですか。いやぁお見事。

[Top] ▲79

『グラン・ヴァカンス』

飛 浩隆
『グラン・ヴァカンス 廃園の天使 1』
(早川書房 ハヤカワSFシリーズJコレクション,2002.9,\1,600+税)
ISBN4-15-208443-X 【bk1/amazon/Yahoo!

[→感想 2002/09/26] [→感想 2002/10/07]

 amazon:グラン・ヴァカンス

ネットワークのどこかに存在する仮想リゾート〈数値海岸〉の一区画〈夏の区界〉。南欧の港町を模したそこでは、町の住人として設定されたAIたちが人間の訪れが途絶えてからも同じ夏の日を繰り返し過ごしていた。だが千年経ったある日、謎のプログラム〈蜘蛛〉の大群が現われ、街のすべてを―住民も建物も風景さえも―喰らい始めた。
〈夏の区界〉の少女・ジュリーは、「従弟」の少年・ジュールと共に訪れた海岸で〈蜘蛛〉に遭遇し、持っていた硝子体(グラス・アイ)の力を使って難を逃れる。
生き残ったわずかな住人たちは〈鉱泉ホテル〉に立てこもり、絶望的な攻防戦の一夜が始まる……。

鳴き砂の浜辺で繰り広げられる謎の〈蜘蛛〉と少年少女の闘いという始まりは、なんだかジュブナイル・ファンタジーの冒頭のようでもあり、 帯の「グラン・ギニョール」って何のことだろうと思ったのですが――甘かったですね。本当に「グラン・ギニョール」だったのですよ。
〈鉱泉ホテル〉の攻防戦の一夜で明かされる、〈夏の区界〉の真の姿。官能的なまでに高められた五感の描写、そしてAIたちを襲う残酷な運命。 「生きた人間」は一人として登場しないのに、それだかこそ逆に際立つ、「人」の弱さと残酷さ、健気さ。

懐かしのニューウェーブSFの匂いのする物語。

[Top] ▲810

『航路』

コニー・ウィリス/大森 望訳
『航路』上下
(ソニー・マガジンズ ,2002.10,各\1,800)
ISBN4-7897-1933-2 【bk1/amazon/Yahoo!
ISBN4-7897-1934-0 【bk1/amazon/Yahoo!

[→感想 2002/10/08]
[→登場文学作品解説]

 amazon:航路 上
 amazon:航路 下

あらすじは、コニー・ウィリス日本語サイトを参照のこと。

第一部を読んでてずーっと思っていたのは、「誰かこのヒロインの白衣のポケットにチョコレートバーを詰め込んでやれよ」ってことで(いつもひもじい思いをしているなら、非常食料ぐらい自分で確保しとけばいいのに)、第ニ部に入ってからは、「なんでコニー・ウィリスの作品の登場人物っていつもバタバタしてるんだろう。少しは落ちけつっ、じゃなかった落ちつけっ!」だったんですが、そうしたら――。
あーーーーっ、もうっ、いわんこっちゃないっ!
ファンタジーだと思って読んでいたので、そういう展開じゃなくてびっくり。いや、いいんですけど、別にファンタジーじゃなくても。

ほかの人(特にSFの人)の感想を読んで、いかに自分が物語に救いを求めているかということを実感しましたね。 現実世界には救いがないと思うからこそ、フィクションの世界には救いがあって欲しいと思うのです。

[Top] ▲9

『カブキの日』

小林 恭二
『カブキの日』
(新潮社 新潮文庫,2002.7,\552+税)
ISBN4-10-147812-0 【bk1/amazon/Yahoo!

[→感想]

表紙:4101478120

琵琶湖のほとりに「世界座」という巨大な歌舞伎の劇場(ほとんどディズニーランド的規模)があって、主人公の蕪(かぶら)が両親とともにその劇場へ舟でやってくる。今日は「カブキの日」、世界座の顔見世興行の日なのである。世界座では、保守派と改革派の役者の勢力争いが続いていて、なにやら陰謀のにおいもする。蕪は若衆の月彦とともに、そんな世界座の楽屋世界を巡ることになる……。

この装丁だとファンタジーの人は気が付かないんじゃないかと思いますが、 『千と千尋の神隠し』の歌舞伎座バージョンみたいなお話。 日本ファンタジーノベル大賞が好きな人なら絶対ハマるはずですから、ぜひぜひ。

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