更新日: 2007/08/12
もともと少年画報社の『アワーズライト』で連載されていた作品ですが、掲載誌がなくなったため続きは一迅社に移って『エビアンワンダー REACT』として連載されました。
フレデリカは悪魔と契約し、悪人の魂を狩る「銀符」と呼ばれる存在。彼女の契約の対価は、悪魔によって命を与えられ、今は彼女の従者を務める弟のハウリィ。その負債は重く、フレデリカとハウリィの旅は続く……。
最初のうちは偽悪家のかっこいいお姉さんが出てくる水戸黄門物のヴァリエーションのように見えますが、『REACT 2』に入ってからが素晴らしいのです。
伏線ばりばりなので、必ず『エビアンワンダー 1』から読みましょう。
アルトニア王国の辺境にあるエカリープは、かつて魔の山の火竜と戦った革命の英雄と女傭兵が治める街。その丘には、旅の歌い手マリオンが自らを犠牲にして火竜を封じた「歌う樹」がある。
英雄と女傭兵の息子のDXは、ときおり姿をみせるマリオンに恋をして、彼女を解放する手がかりを求め神竜を奉るバチカン公国へ旅立つ。同行するのはDXの妹で拳法の使い手イオンと忍者の六甲……。
……と、あらすじだけ読むとファンタジーの王道っぽいのですが、読んだ印象はあまり王道っぽくありません。ポップでかなりひねってある感じ。
とりわけひねってあるのが、主人公であるDX(通称です。本名は別にある)のキャラクター。一口でいえば『エヴァンゲリオン』のカオル君。どこまで本気なのか、何を考えているのか良く分からない。よくわからないけれど、ぐるぐる悩んでいたりするし、この人が主人公なのは間違いないんですけれど。
普通はこういうキャラをメインにもってくる場合は読者が感情移入しやすい純真キャラを配置するのが王道だと思うんですが、そのポジションにあるはずの妹のイオンもなんだか違う感じ。このキャラクター配置が斬新。
3巻までで、DXとマリオンと火竜のお話は一段落します。
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4巻からはDXとイオンと六甲が王都のアカデミーに入学するファンタジー学園物になります。
ここから読んでも大丈夫ですが、なにしろ『エビアンワンダー』と同じく伏線がばりばり張ってあるので、最初から読んだほうが吉。
火竜との闘いを終えて、王都のアカデミーに入学することにしたDXとイオン。六甲もDXの護衛として付き従う。
火竜退治の噂と王位継承権をもつDXに対して、取り入ろうとする者あり、反発する者ありと生徒たちの反応はさまざま。果たして三人の学園生活は……。
外周(貧民層)出身の奨学生でひねてるようで侠気のあるフィル、留学生の竜胆とその御付きの女忍者のイツヨさん、貴族で王位継承権をもつおでぶちゃんティティ、DXに反発する商人の息子ライナスとルーディー。個性と魅力のあるキャラがたくさん登場して、これぞ学園物の醍醐味というところ。
キャラクターの個性を「属性」ではなくエピソードで示すというのはドラマの基本なんですが、イマドキの作品では少なくなっていると思います。その点、この作品はエピソードの作り方が非常に巧いです。
おがきちかは構成力に長けた人なので、長編になると伏線が効いてきます。
この手の魔法学園物が好きな人には超おすすめ。