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本の感想:篠田 節子 (2)

日記から抜粋した本の感想です。

本の感想 目次
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篠田 節子 (2)

冊数が多いので、(1)(2)に分けてあります。

bk1で篠田節子を検索】 【bk1:篠田節子

篠田 節子 『妖櫻忌』

表紙:4048732781

篠田 節子『妖櫻忌』

出版者:角川書店 
出版年:2001.11
価格 :\1400+税
ISBN :4-04-873278-1

bk1/amazon/Yahoo!
bk1(02101807)

解説:

焼死した高名な女流作家・大原鳳月をモデルに綴った原稿を編集者・堀口のもとに持ち込んだ、大原の秘書の若桑律子。
律子が書いたというその小説は、次第に大原が書いた文章に似てくる。堀口は、律子が大原の遺作を隠し、自分の名前で世に出そうとしているのではないかと疑うのだが……。

装丁にひかれて本屋で手に取ったら、その後ピンク色の触手が伸びてきて「買いなさ…い…」とささやくような気がしたので、ついに買ってしまいました。
死んだ女流作家をめぐる謎という点では『第四の神話』の補遺という感じですが、編集者のサガ(性ですよ。Sagaじゃなくて)を描いているという点では『聖域』、でも実は『ハルモニア』かも。

主人公の堀口が、売れる作家と売れない作家とを露骨に差別したり、訳知り顔で偏った女性観を披露したりと結構嫌な奴。

大原鳳月は、他人を「食らう」たぐいの女性だったのですよ。それだけで、どういう話か分かる人には分かるかと。男性と女性とでは、恐がるポイントが全然違うかも。

でも、よーく考えたら、これ、幻想ホラーの形をした手の込んだフェミニズム小説だという気がしてきた。主人公がああいう男で、トドメの一撃がああいう形なのはそういうことか。

(2001/12/10)

この作品を巡っては、【幻想的掲示板】で2001年12月18日ごろから、とても興味深いやり取りがあった。
私は野次馬として見学していただけだったが、あまりにも面白すぎる展開に「誰か篠田節子せんせいにご注進しろよ」と思ってしまった。篠田節子なら、絶対あれを読んで面白がったと思う。

皆川博子『妖櫻記』とタイトルが似ているのも狂言回しの編集者が厭な男なのもすべて作者の計算だと私は思うけど。少なくとも「狂言回しの編集者に魅力がない」と批判するのは、すでに篠田節子の手の内で踊っているのと同じこと。だって、これは「女流作家」を描くとみせかけて、出版界という男社会を暗に批判しているフェミニズム小説でもあるのだから。

気になるのはこの作品を担当した編集者が男性か女性かってことなんですが、「エゴイスト」を使っている女性編集者なのではないかという気が……。

(2003/01/07)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]ようおうき     :『妖櫻忌』

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篠田 節子 『寄り道ビアホール』

表紙:4062733617

篠田 節子『寄り道ビアホール』

出版者:講談社 講談社文庫
出版年:2002.2
価格 :\419+税
ISBN :4-06-273361-7

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bk1(02130960)

解説:

エコロでフェミな視点で朝日新聞の家庭欄に殴り込みをかけた(←ウソ)連載「寄り道ビアホール」ほかを収録したエッセイ集。
「妹たちへ」というタイトルでまとめられた日経ウーマンに掲載されたエッセイとあとがき、書き下ろしの「六千部平積み大作戦」が面白かった。

作品も本人もあざやかで潔くてカッコイイ(ように見える)篠田節子でさえ、進路を見失ってじたばたしていた「自分探し女」であったと知るとなんだか勇気づけられる。自分がゾンビのようだと思っていた20代後半の私だったら、さぞや救われた気分になったことだろう。

「手をだせ、男たち」「六千部平積み大作戦」(モデルは多分、鈴木輝一郎)や「赤ちゃんが来た」(モデルは多分、青山智樹)には作者の男友達の作家たちが登場するのだが、そこに描き出された男性たちの姿はものすごくカッコイイ。といっても彼らは気取ってポーズとってるわけではなく、トイレの介護をしていたり、本屋で号泣してたり、赤ちゃんを背負っていたりするんだが。

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]よりみちびあほーる :『寄り道ビアホール』

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篠田 節子 『三日やったらやめられない』

表紙:4344401425

篠田 節子『三日やったらやめられない』

出版者:幻冬舎 幻冬舎文庫
出版年:2001.8
価格 :\571+税
ISBN :4-344-40142-5

bk1/amazon/Yahoo!
bk1(02057592)

解説:

最近読んだ上野 千鶴子のエッセイ集『ミッドナイト・コール』 (朝日文庫)あたりと比べると、凛々しく逞しい感じがする。地に足がついた生活を志向しているという点が男らしい「女の橋本治」というか。学者と小説家の違いなのか、単に篠田節子サンが「漢(オトコ)前」なだけなのかは不明。
小説家生活のあれこれを書いた「三日やったらやめられない」がとても面白い。

(2001/08/23)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]みっかやったらやめら:『三日やったらやめられない』

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篠田 節子 『第4の神話』

表紙:4041959020

篠田 節子『第4の神話』

出版者:角川書店 角川文庫
出版年:2002.12
価格 :\629+税
ISBN :4-04-195902-0

bk1/amazon/Yahoo!
bk1(02264192)

ハードカバー版:
篠田 節子『第4の神話』
(角川書店 ,1999.12,\1600+税, ISBN4-04-873196-3)
bk1/amazon/Yahoo!

解説:

次々とベストセラーを出し、華やかな噂につつまれながら、突然に病に倒れ42歳の若さでこの世を去った美貌の女流作家・夏木柚香。だが、わずか4年後には彼女の名は人々の記憶の中から消えつつあった。
彼女の五回忌に合わせて組んだ特集記事のため取材を始めたフリーライターの小山田万智子の前に現われたのは、従来の「神話」を覆す夏木柚香の姿だった。

亡くなった女流作家をめぐる話としては、恩田陸『木曜組曲』や若竹七海『遺品』がありますが、私が読みたかったのは、こいういう作品です。残された者たちの回想によって、亡くなった女流作家の実像が二転三転して立ち上ってくる話。

芸大声楽科出身で家族美貌と名声に恵まれた女流作家と、夫も子も無く仕事の口さえ失いつつある無名のライターの人生を対比させながら、どこか芸道小説の趣があるのがやっぱり篠田節子。
夏木柚香の闘病写真集を撮った女流写真家とか、ほとんどヒモのような売れない小説家とか、一流出版社をリストラされて三流出版社のエロ本を編集している編集者(この人に対しては、作者の筆はかなり好意的)とか、言動が妙ーにリアルなのは、モデルがいるせいでしょうか。

ハードカバー版の装丁にはしかけがありました。(キング『ミザリー』のハードカバーのあれを狙った感じ)

おすすめでございます。女性には特に。

(2000/06/19)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]だいよんのしんわ  :『第4の神話』

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有里 (Alisato Akemi)
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