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本の感想:篠田 節子 (1)

日記から抜粋した本の感想です。

本の感想 目次
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篠田 節子 (1)

冊数が多いので、(1)(2)に分けてあります。

bk1で篠田節子を検索】 【bk1:篠田節子

篠田 節子 『カノン』

表紙:4167605023

篠田 節子『カノン』

出版者:文芸春秋 文春文庫
出版年:1999.4
価格 :\552+税
ISBN :4-16-760502-3

bk1/amazon/Yahoo!
bk1(01674118)

解説:

学生時代の恋人が自殺する瞬間まで弾いていたバッハのカノン。そのテープを手にした夜から、音楽教師・瑞穂の周りで怪奇現象が相次ぐ。捨てても捨てても戻ってくるテープ。軋み始める日常。
二十年の歳月を超えて託された彼の死のメッセージとは?

ホラーなんだろうか、これは?テープを捨てても捨てても追ってくる逆回しのバッハのカノンというのは、たしかに恐い。篠田節子の作品には、精神のひ弱なオタクと俗物の男性しか出てこないのだろうか。それに引き換え、女たちはいやらしいほどにたくましい。

(1998.05.15)

SFセミナーでのインタビューで、篠田節子は『ソラリスの陽のもとに』の中の「捨てても捨てても戻ってくる」シーンがとても怖かったと語っている。『カノン』のテープの場面もその影響を受けているのかもしれない。

(2003/01/04)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]かのん       :『カノン』

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篠田 節子 『ハルモニア』

表紙:416760504X

篠田 節子『ハルモニア』

出版者:文芸春秋 文春文庫
出版年:2001.2
価格 :\686+税
ISBN :4-16-760504-X

bk1/amazon/Yahoo!
bk1(01985854)

解説:

脳に障害をもつ由希が奏でる超人的チェロの調べ。指導を頼まれ、施設を訪れた東野はその才能に圧倒される。名演奏を自在に再現してみせる由希に足りないもの、それは「自分の音」だった。彼女の音に魂を吹き込もうとする東野の周りで相次ぐ不可解な事件。

チェリスト版『奇跡の人』
最後が道行きだけど、これは恋愛小説というより、芸道小説なんじゃないかな。

(1999/08/26)

「死んだ天才が憑く」というモチーフは、『櫻妖記』などこの後の篠田節子作品にも出てくる。

(2003/01/04)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]はるもにあ     :『ハルモニア』

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篠田 節子 『神鳥(イビス)』

表紙:4087751678

篠田 節子『神鳥(イビス)』

出版者:集英社 
出版年:1993.8
価格 :\1359+税
ISBN :4-08-775167-8

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bk1(00960591)

文庫版:
篠田 節子『神鳥 イビス』
(集英社 集英社文庫,1996.10,\543+税, ISBN4-08-748531-5)
bk1/amazon/Yahoo!

解説:

美しく恐ろしい「朱鷺飛来図」描き、奇怪な死に方をした明治時代の女流画家・河野珠枝。彼女の生涯を小説にしょうと彼女の足跡を追っていたバイオレンス作家とイラストレーターは、恐怖の世界に迷い込む。

とっても凄かった。目をつぶっても襲ってくるというのがなんとも怖い。
ぶっとぶ後半の展開も凄いが、なにより凄いのは、ヒロインのたくましさだろう。あの執着、あの気力。プラスの方向へ向かっていなければ、ものすごーく怖いことになりそうだ。

ハードカバー版は、表紙と中表紙に仕掛けがあります。読み終わってから、見返してみると、ぞっとしますよ。文庫版も……かなり怖いかも。

(1998/04/29)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]いびす       :『神鳥(イビス)』

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篠田 節子 『アクアリウム』

表紙:4101484112

篠田 節子『アクアリウム』

出版者:新潮社 新潮文庫
出版年:1996.8
価格 :\476+税
ISBN :4-10-148411-2

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bk1(01349772)

解説:

遭難したダイビング仲間を探すため、奥多摩の地底湖に潜った長谷川正人は、迷路のような鐘乳洞で自分の位置を見失う。死を覚悟した正人は、突如現れた「彼女」に導かれ、奇跡的に生還した。正人は「彼女」の姿を求めて再び水底へと向かう。だが、そこで見たものは……。

水族館を舞台にした幻想的な話を期待していたら、全然違った。 秩父の山奥の地底湖で謎 の生命体を発見するという秘境探険物的な話で始まる話だった。 面白いので読み進めていっ たら、環境問題がらみの社会派サスペンスになってしまった。 それはそれなりに面白かったの だが、ずっと秘境探険物のまま進んでいって欲しかった。 脇役の澪って女が実にヤな女だった けど、魚オタクの主人公に対して「気持ち悪い」と叫びたくなる気持ちは判る。

(1998/04/23)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]あくありうむ    :『アクアリウム』

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篠田 節子 『絹の変容』

表紙:4087480631

篠田 節子『絹の変容』

出版者:集英社 集英社文庫
出版年:1993.8
価格 :\390+税
ISBN :4-08-748063-1

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bk1(00959943)

解説:

レーザーディスクのように輝く絹織物に虹色に輝く絹織物を偶然発見しその魅力に憑かれた長谷康貴は、、虹色の不思議な糸を吐く野蚕をみつけだし、バイオ・テクノロジー技術者・有田芳乃の協力で、蚕を繁殖させようとする。事業は成功したように見えたが、蚕の飼育場の周囲では奇怪な出来事が起こっていた……。

バイオパニック物。後半は、アレルギー持ちの私には耐えられないほど怖かったので、飛ばし読み。もう絹の下着なんか着られない。怖くて……(涙)

(1998/05/01)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]きぬのへんよう   :『絹の変容』

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篠田 節子 『聖域』

表紙:4062635798

篠田 節子『聖域』

出版者:講談社 講談社文庫
出版年:1997.8
価格 :\667+税
ISBN :4-06-263579-8

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bk1(01459180)

解説:

一人の文芸編集者が見つけた未完の原稿「聖域」。関わった者を破滅に導くというその原稿を完成させるため、編集者は失踪した小説家を追って東北へと向かう。

途中、妙な新興宗教がらみの社会派サスペンスになってしまうのは、あまり私の好みではないけれど、作中小説の「聖域」や、小説家が語る東北の山頂での幻視シーンが凄いから、まあいいや。何が恐いって、主人公の執念がいちばん恐い。

(1998/04/24)

なんだか篠田節子の作品を読むたびに「主人公の執念がいちばん恐い」とか「ヒロインの執着がこわい」とか書いているような気がします。でも実際、怪奇現象よりも、それをぶっとばすほどの人間たちの執念の方がコワイんですもの。

(2003/01/04)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]せいいき      :『聖域』

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篠田 節子 『ブルー・ハネムーン』

篠田 節子『ブルー・ハネムーン』

出版者:光文社 光文社文庫
出版年:1997.6
価格 :\552+税
ISBN :4-334-72411-6

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bk1(01450968)

解説:

版元(光文社文庫)を見れば内容が想像できるように、女結婚詐欺師とその相棒のおたく青年が陰謀に巻き込まれるユーモア・サスペンス。結婚詐欺師をやっている割に気風と人のいいヒロインの姉小路久美子に、作者の姿を重ねると楽しさ倍増。もっと笑えるのは、ヒロインの相棒で、SF作家志望の修君で、彼がどんなものを書いているかは、以下の引用をご覧ください。

====引用開始====
「二重らせん」と題されたそれは、若い研究者と高名な博士が、新型微生物で汚染された地球を救う話だ。登場人物は男ばかりで、恋愛もアクションもない。DNAがどうしたの、酵素を変換させの、とおよそ意味不明のことが並べてある。
 二、三十ページ読んで、久美子は辟易した。
 いったい、こんなマニアックなものをだれが読むのだろう。修の書くものは、はじめの頃に比べて、どんどん理屈っぽく難解になってきてきる。こんなことでは、今年も一次予選落ちではないか、と心配になる。
「もうちょっと、恋愛が出てくるとか、研究員を魅力的な人にするとかしたら、情感が出てくると思うんだけどな」
 言葉を選んで、忠告する。
「そいういう要素は必要ないから入れないんです」
 修は、 憮然として答えた。
(p.123)
====引用終了====

この修君には、絶対モデルがいるに違いない! と思うんですよ。
この人は、最後に大活躍しますんで、お楽しみに。

(1999/05/01)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]ぶるーはねむーん  :『ブルー・ハネムーン』

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篠田 節子 『レクイエム』

表紙:4167605058

篠田 節子『レクイエム』

出版者:文芸春秋 文春文庫
出版年:2002.4
価格 :\476+税
ISBN :4-16-760505-8

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bk1(02156757)

解説:

社会の抱える問題というテーマに幻想的イメージをプラスした短編が並んでいます。SF成分を求める読者には向かないでしょうが、ファンタジー読みなら結構イケるかも。

「彼岸の風景」
死期の迫った夫を生まれ故郷に連れて帰る妻の話。ヒロインの姿に、去年の夏に旦那さん(夫の元同僚)を病気で亡くした友人(私の元同僚)の姿が重なって、読むのが辛かった。

「ニライカナイ」
失恋自殺をしようとしていた女が押し寄せる鼠と光り輝く船を視て、富と栄誉の人生を駆けのぼり、そして落ちてく話。私はこの話が一番好きです。

「コヨーテは月に落ちる」
コヨーテとともに高層マンションの中をさまよう女の話。篠田節子にはなぜか「結界の外へ出られない」話が多い。ラストは拡散型作家の面目躍如というべきか……。

「帰還兵の休日」
バブル期の栄華から一転した生活を送るマンションの営業マンが橋の下に棲む三人の老女と出会う話。マクベスの三人の魔女か、卒塔婆小町かという感じですが実は……。

「コンクリートの巣」
児童虐待がテーマ。主人公が独身のキャリア女性で、子どものいない女性から見た「母親たち」の姿がよく出ていると思います。ラストが気持ちよかったといったら、怒られるでしょうか?

最後が「レクイエム」。
「そして光へ―」と副題(というのかな)が付いています。新興宗教団体の幹部であった伯父の宗教体験と最後の願いを聞かされた姪がたどり着いた真相は……。重いテーマですが、救いはあります。

 登場人物たちが、マンションの部屋とか家とか、ともかく自分の場所にこだわるのが謎。これって「おたく」の習性?

(1999/05/13)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]れくいえむ     :『レクイエム』

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篠田 節子 『愛逢い月』

表紙:4087487040

篠田 節子『愛逢い月』

出版者:集英社 集英社文庫
出版年:1997.10
価格 :\438+税
ISBN :4-08-748704-0

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bk1(01469072)

解説:

 耽美な恋愛小説集のようなタイトルですが、どっちかっていうと”篠田節子の怖い話”(『泡坂妻夫の怖い話』という本があるのです)というタイトルの方がよいような。
事故で動けなくなった不実な夫を献身的に介護しつづける妻を夫の視点で描いた「柔らかい手」、鶴の恩返しならぬ鳩の復讐の「ピジョン・ブラッド」、献身という言葉を勘違いした女の一生の「内助」など,怖い話が並んでいます。
中では「柔らかい手」が割と好き。悲惨な目にあっても自業自得だとしか思えない酷い主人公なので。

(1999/05/01)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]めであいづき    :『愛逢い月』

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篠田 節子 『弥勒』

表紙:4062732785

篠田 節子『弥勒』

出版者:講談社 講談社文庫
出版年:2001.10
価格 :\914+税
ISBN :4-06-273278-5

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bk1(02084153)

解説:

 ヒマラヤ地方の架空の王国の文化に魅せられた男が、「革命」の起こったその国にうかうかと足を踏み入れ、収容所まがいの「村」に連行されるというお話。革命政府の村では、完全なる平等を目指して僧や知識人を虐殺したり、むちゃくちゃな農法を取り入れてみたり、集団強制結婚をやってみたり、子どもを完璧な兵士に育てたりと、どこかで見たり聞いたりしたことがあるような「政治実験」が繰り広げられていて、不潔で食べ物もなくて病気も蔓延し、人は死んだり殺されたり、もはや人間といえない状態で生きていたりするのだが、それでも第一章で描かれた清潔で豪華な日本の風景よりも、こちらの世界の方がずっと充実して見えるのはなぜだろう。悲惨なのに、突き抜けちゃったような爽快感がある。最後はビルマの竪琴だったり。

SFセミナーで何度も言及されていたが、理由は謎。SF的ガジェットは全然出てこないのに。そりゃ、ルリタニア・テーマ(架空の国を舞台にした冒険物)はSFだっていわれたらSFでしょうが……。

(1999/05/25)

[著者]しのだせつこ    :篠田 節子
[書名]みろく       :『弥勒』

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有里 (Alisto Akemi)
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