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本の感想:梨木 香歩

日記から抜粋した本の感想です。

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梨木 香歩

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bk1:梨木香歩

梨木 香歩 『西の魔女が死んだ』

表紙:4101253323

梨木 香歩『西の魔女が死んだ』

出版者:新潮社 新潮文庫
出版年:2001.8
価格 :\400+税
ISBN :4-10-125332-3

bk1/amazon/Yahoo!
bk1(02054957)

ハードカバー版:
梨木 香歩『西の魔女が死んだ』
(小学館 ,1996.4,\1,170+税, ISBN4-09-289610-7)
bk1/amazon/Yahoo!

ハードカバー版:
梨木 香歩『西の魔女が死んだ』
(楡出版 ,1994.04,, ISBN4-931266-16-9)
bk1/amazon/Yahoo!】 絶版

解説:

梨木香歩『西の魔女が死んだ』(小学館)を読了。 学校にいけなくなってしまった少女が、祖母との生活で癒されていく話。おそらく最初の題名は「マイ・サンクチュアリ」ではなかったかと思う。これは、疲れてしまった人が、ひととき心を休め、精神を鍛え、再び世界へ出て行くための「聖域/避難所」の物語なのだ。

最初の50ページで、これは中学生の時の私のための本だと思った。
100ページ読み進めて、中学や高校の図書室に必ず入れて欲しい本だと思った。
どうか必要とする人がこの本に「呼ばれ」ますように!

主人公の祖母は英国人で、家は日本国内にあるのだけれど、生活は英国風。できることなら、作者は舞台を英国にしたかったことだろう。なにしろこの祖母の家は「異界」であり「聖域」なのだから。

「西の魔女」とは、西洋人の魔女の意味。『オズの魔法使い』に出てくる魔女とは直接関係ないが、「西の善き魔女」の意味も含んでいるのだとは思う。 (1998.05.17/1999.07.06)

文庫化されたので、再読した。
登校拒否になってしまった少女まいが、昔ながらのやり方で暮らしている祖母のもとで癒されていく物語。
手業や自然によって心豊かになる生活を認めながらも、主人公のまいは仕事を持つ母(なんと現代的であることか!)の元へと帰っていくのだ。「マイ・サンクチュアリ」――聖域は一時的な避難所であり、人は俗世に戻らねばならないということか。

文庫版は楡出版のものを底本にしたらしく、小学館版とは若干の違いがあるようだ。
(p.179のまいの母親の台詞やp.190の字面など)

同時収録の「渡りの一日」は、まいとまいの友人であるショウコの登場する後日譚。
「西の魔女が死んだ」とは、あまりにもあまりにもあまりにも雰囲気が違うので、続けて読まずに、少なくとも1日置いてから読んだ方がいいと思う。

(2001.09.08)

[著者]なしきかほ     :梨木 香歩
[書名]にしのまじょがしんだ:『西の魔女が死んだ』

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梨木 香歩 『裏庭』

表紙:4101253315

梨木 香歩『裏庭』

出版者:新潮社 新潮文庫
出版年:2001.1
価格 :\590+税
ISBN :4-10-125331-5

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bk1(01968976)

ハードカバー版:
梨木 香歩『裏庭』
(理論社,1996.11,\1,500+税, ISBN4-652-01126-1)
bk1/amazon/Yahoo!

解説:

昔、英国人の別荘として使われていたの洋館・バーンズ屋敷。今では荒れ放題の洋館の庭は、近所の子供たちの秘密の遊び場になっていた。弟を亡くした少女・照美は、おじいちゃんが話してくれた、洋館の秘密の「裏庭」から異世界へと入りこむ……。

噂に違わぬ読み応えのあるファンタジーでした。イギリスの児童文学並みのレベルの作品で、こういう本が日本にも出てきてくれて嬉しい。
テーマは、コミュニケーション不全とアダルト・チルドレン。この本に関する限り、「トラウマ・サヴァイヴァー」っていうより、「アダルト・チルドレン」の方が正確です。主人公の照美は13歳ですが、中学生よりもむしろ母親の世代の人の方が、よく理解できる話だろうと思います。

男性はワカルのかな? 一応お父さんも出てくるけど、ほとんど疎外されてます。

照美が訪ねる三つの国などの寓意ははっきりしています。
「お互いの傷を舐めあう」チェルミラの国なんて、イタイというかなんというか……。
登場人物の一人が、「スナフキン」をもじった「スナフ」いう名前で呼ばれるのでもわかるように、児童文学のコダマがかすかに聞こえます。裏庭の世界の登場人物の名前の付け方は、舟崎克彦かはたまた瀬田貞二かという感じ。

『西の魔女が死んだ』ほどの衝撃はなかったのは、わたしが真性の「アダルト・チルドレン」じゃないからなんでしょう、多分。(祖母が凄みのある人だったので、その子どもである父たちは、完璧に「アダルト・チルドレン」なんですが。私は「アダルト・グランドチルドレン」なんでしょうね。)

(1998.06.19)

2002/11/09追記:
異世界が「書割めいている」という評もあるようだが、私はむしろ作者の意図的なものであると受け取った。

[著者]なしきかほ     :梨木 香歩
[書名]うらにわ      :『裏庭』

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梨木 香歩 『からくりからくさ』

表紙:4101253331

梨木 香歩『からくりからくさ』

出版者:新潮社 新潮文庫
出版年:2002.1
価格 :\590+税
ISBN :4-10-125333-1

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bk1(02114171)

ハードカバー版:
梨木 香歩『からくりからくさ』
(新潮社 ,1999.5,\1,600+税, ISBN4-10-429901-4)
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解説:

祖母が残した「結界が張られているような家」で、野草を食べ、糸を染め、機を織る4人の娘たち。そして家の中心には、りかさんが居る。機織りと人形、からくさと蛇、おんなたちの歴史と娘たちの運命がからまりあって織りあがるひとつの物語。

本屋で「わたしの本」じゃないと感じて買うのをパスして、図書館で借りて読んだ。
好きな人はすごく好きでしょうけど、やっぱり私のための本ではなかったみたい。

あらすじがまとめられない話。
りかさんの話、赤光と能面の話、女と機織りの話、蛇とからくさとクルドの文様の話などが、あれこれ詰め込んであって、しかもそれがだらだらと続くので、小説としては散漫な感じ。唐草文様みたいな話が書きたかったのだとすれば、これはこれで良いのかもしれないが。

気になったのは娘たちの名前。4人の娘たちの名は、蓉子、マーガレット、紀久、そして、与希子。他の3人が花の名(芙蓉、マーガレット、菊)を持つのに、与希子だけが違う。これは一体なんなんだろうと思っていたら、最後になって、ようやく彼女の名前の由来らしいものが出てきた。「よきこときく」の柄である。(これは日本の伝統的な柄。他にも「鎌」と「輪」と「ぬ」を描いた「かまわぬ」柄もある)「与希子(よきこ)」は「斧(よき)」を表わし、「紀久(きく)」の「菊」と対になっているらしい。

『西の魔女が死んだ』『裏庭』で示したように梨木香歩は、登場人物の名前にとてもこだわる。だから多分、娘たちの名は彼女たちの作中での位置と本質を示しているのだ。
与希子は「斧」だ。紀久と対でありながら、植物の名を持たぬ異分子。そしてひょっとしたら、何かを断ち切るもの。マーガレットと紀久は、本当はひとり。西洋の菊と東洋の菊が同じ男を愛したのは、そういうこと。
蓉子については、まだわからない。

(2000/02/15)

[著者]なしきかほ     :梨木 香歩
[書名]からくりからくさ  :『からくりからくさ』

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有里 (Alisto Akemi)
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