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本の感想:浅田 次郎

日記から抜粋した本の感想です。

本の感想 目次
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浅田 次郎 『プリズンホテル 1』

表紙:4087473295

浅田 次郎『プリズンホテル 1』

出版者:集英社 集英社文庫
出版年:2001.6
価格 :\552+税
ISBN :4-08-747329-5

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bk1(02040385)

ハードカバー版:
浅田 次郎『プリズンホテル』
(徳間書店 ,1993.2,\1,400+税, ISBN4-19-125083-3)
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解説:

極道小説で売れっ子になった作家・木戸孝之介のたった一人の身内で、ヤクザの大親分でもある叔父の仲蔵が温泉リゾートホテルのオーナーになったという。初めて足を踏み入れたその奥湯元あじさいホテルはなんと任侠団体専用だった。人はそれを「プリズンホテル」と呼ぶ――。集うは、熱血ホテルマン、天才シェフ、心中志願の一家……。

プリズンホテルシリーズの第一作目。
「極道ファンタジー」というのは、この本の帯につけられたうたい文句なんですが、魔法使いを出しさえすれば"ファンタジー"になると思っている"エセファンタジー"よりも、よっぽどちゃんとファンタジーとして機能しています。ちなみに正しいファンタジーの機能は、現実からの逃避と癒しです。 "大人の童話"という言い方もされますが、それよりやっぱり「極道ファンタジー」が正しい名称でしょうね。方向性としては つかこうへい作品に似ていますが、つかの偽悪性をとっぱらっての直球勝負です。それでいて、甘くならない大人の味。

図書館のハードカバーで読みました。図書館での順番待ちの関係上、これを一番最後に読んでしまったのですが、なるべく刊行順に読んだようがよいと思います。作家の心の再生というのは、刊行順に読んだ方がより分かりやすいからです。『プリズンホテル春』で彼の再生のために支払われた代償がどれほど大きいものだったか、この第一作を読んで初めて判りました。

(1997/07/22)

[著者]あさだじろう    :浅田 次郎
[書名]ぷりずんほてる1  :『プリズンホテル 1』

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浅田 次郎 『プリズンホテル 2』

表紙:4087473295

浅田 次郎『プリズンホテル 2』

出版者:集英社 集英社文庫
出版年:2001.7
価格 :\724+税
ISBN :4-08-747339-2

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bk1(02052458)

ハードカバー版:
浅田 次郎『プリズンホテル秋』
(徳間書店 ,1994.8,\1700+税, ISBN4-19-860148-8)
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解説:

ヤクザがオーナーのホテル通称「プリズンホテル」で起こる事件の数々。大物ヤクザの愛人だった往年の名歌手、マザコンの作家とその愛人の連れ子、ヒモのようなマネージャーを殺そうとする売れない歌手、慰安旅行にきた警察官一行と壮行会にやってきたヤクザの一行、などなどが入り乱れての笑いと涙の極道ファンタジー。

一応作家が主人公らしいのですが、今回一番活躍したのは、クラウンホテルからやってきた誠実そのものの支配人でしょう。カタギの人間の職業倫理を受け止めることができたのが、極道の親分だけだったという皮肉。極道ファンタジーはプロフェッショナル達の物語でもあります。

(1997/06/26)

[著者]あさだじろう    :浅田 次郎
[書名]ぷりずんほてる2  :『プリズンホテル 2』

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浅田 次郎 『プリズンホテル 3』

表紙:4087473589

浅田 次郎『プリズンホテル 3』

出版者:集英社 集英社文庫
出版年:2001.9
価格 :\552+税
ISBN :4-08-747358-9

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bk1(02074199)

ハードカバー版:
浅田 次郎『プリズンホテル冬』
(徳間書店 ,1995.9,\1,500+税, ISBN4-19-860349-9)
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解説:

笑いと涙の極道ファンタジーの第三弾。今回のメインキャラクターは、血だまりの海を駆け巡り、数え切れぬほどの人間を生かして殺した"血まみれマリア"(この人は極道じゃなくて、看護婦さん)に患者の苦しみを見るに見かねて安楽死させた医者、山男と少年。

今度の舞台は、冬山。豪華絢爛なドタバタ劇だった秋とは違って、鮮烈な生と死のせめぎあいを描く。予定調和をぶっとばし、冬山にピトンの歌声は響く。

「プリズンホテル秋」でも生きるの死ぬのという話は出てきたんですが、前回よりもっとシビア。読者の方にも問題は向いているのです。
一応主人公なので、うっとぉしい作家も相変わらずでてきます。ホテルの従業員たちは、山登りにハマってます。

(1997.07.02)

[著者]あさだじろう    :浅田 次郎
[書名]ぷりずんほてる3  :『プリズンホテル 3』

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浅田 次郎 『プリズンホテル 4』

表紙:4087473783

浅田 次郎『プリズンホテル 4』

出版者:集英社 集英社文庫
出版年:2001.11
価格 :\686+税
ISBN :4-08-747378-3

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bk1(02098208)

ハードカバー版:
浅田 次郎『プリズンホテル春』
(徳間書店 ,1997.1,\1650+税, ISBN4-19-860630-7)
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解説:

プリンズンホテルシリーズの4冊目にして、最終巻。前の巻のラストで、大決心をしてちょっとばかり境遇の変った作家だが、今回は文学賞の候補となる。賞の発表を馴染みの編集者とともにプリズンホテルで待つことになるが……。

今回ホテルのお客となるのは編集者たち、未来の大女優を夢見る少女とそのステージママ、文学青年崩れの教師(支配人の息子の先生)、50年も刑務所にいた男とその連れなどなどです。例によって例のごとくそれぞれの運命は絡み合い、桜の花の下での出会いと別れと再生が繰り広げられます。

支配人の息子の初恋のエピソードと受賞時の編集者たちのやりとりが面白かったです。特に後者は、作者の経験を踏まえたノンフィクションなんじゃないかと思えるリアルさでした。登場する編集者にはモデルがいるのでしょうか。

桜の下での大団円に……泣きました。

(1997.07.09)

[著者]あさだじろう    :浅田 次郎
[書名]ぷりずんほてる4  :『プリズンホテル 4』

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浅田 次郎 『蒼穹の昴』

表紙:4062074974

浅田 次郎『蒼穹の昴』

出版者:講談社
出版年:1996.4
価格 :\1800+税
ISBN :4-06-207497-4

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bk1(01334733)

浅田 次郎『蒼穹の昴』

出版者:講談社
出版年:1996.4
価格 :\1800+税
ISBN :4-06-208039-7

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解説:

「汝は必ずや西太后の財宝をことごとく手中におさめるであろう…」 中国清朝末期、貧しい農民の少年・春児は、占い師にこう予言され、宦官になろうと決心する…。一方、春児と同郷の進士 梁文秀は、科挙の壮絶な試験をくぐりぬけ、ついに官吏となる。だが、落日の清朝には、領土を分割せんと狙う列強の牙が迫っていた。

読み出したら止まらない、小説を読む悦びを感じさせてくれる大傑作。十二国記の続きが待てない奴はこれを読めっ!
春児、梁文秀をはじめ、ぶっ飛んだ性格の西太后(どのようにぶっとんでいるかは、読んでのお楽しみ)やら宦官たちやらの人物像も魅力的。歴史小説かと思えばファンタジー、ファンタジーかと思えばやっぱり歴史小説。いわゆる歴史小説よりは、キャサリン・ネヴィルの『8 エイト』(文藝春秋社)などに近いんじゃないかという気もする。

春児、梁文秀は架空の人物だが、それぞれモデルがいるようだ。彼らが歴史の表舞台に出てこない前半の方が、想像力を自由にふくらませられたせいか面白い。特に凄まじいまでの科挙の試験の様子や、春児が西太后の側近になるまでのピカレスク小説のような展開は、読んでいて本当にわくわくする。
 後半は、史実の枷をはめられてしまうせいか、トーンダウン。大森望さんが指摘しているように、群像劇になっちゃったのが問題か。

浅田次郎の作品の根底には、必ず母と子のモチーフがあって、だから科挙に合格した進士たちは大声で「お母さん」と泣き、西太后は鬼になる。
後半の新聞記者たちの出てくるくだりなどを読むと、浅田次郎という人は、まだペンの力を信じている(あるいは、「信じたい」)のかなと思う。
続編もあるそうなので、楽しみである。

(1997/09/19)

2002/11/08追記:
で、その続編が『珍妃の井戸』。技巧的だがあざとさが目立ち、好きになれなかった。以後の浅田次郎は「泣かせ」に走ってしまった気がして、なかなか手に取ることができない。

[著者]あさだじろう    :浅田 次郎
[書名]そうきゅうのすばる :『蒼穹の昴』

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浅田 次郎 『珍妃の井戸』

表紙:4062089335

浅田 次郎『珍妃の井戸』

出版者:講談社
出版年:1997.12
価格 :\1600+税
ISBN :4-06-208933-5

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bk1(01477803)

解説:

井戸に落とされて暗殺されたという珍妃の死の真相を日英露独の貴族たちが探っていく。だが、関係者から話を聴いていくうちに、話はどんどん「薮の中」に……。

しかし、これは……うーん。前回とは打って変わったミステリ仕立てで、上手いし、読ませるんだけど、狙いすぎか? 特にラスト数ページは、意図みえみえで白ける。なんでこんなの付けたんだろう?こういう技巧的な話は、あくまでも冷徹に語り終えねば、あざとくなる。作者が酔ってどうする?
『蒼穹の昴』の登場人物たちのその後を知ることができたのはよかったが。

(1998/02/20)

[著者]あさだじろう    :浅田 次郎
[書名]ちんぴのいど    :『珍妃の井戸』

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有里 (Alisato Akemi)
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