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本の感想:赤木 かん子

日記から抜粋した本の感想です。

本の感想 目次
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赤木 かん子

bk1で赤木かん子を検索】 【bk1:赤木かん子

赤木 かん子 『かんこのミニミニヤング・アダルト入門 パート1』

『かんこのミニミニヤング・アダルト入門 パート1』
著者:赤木 かん子

出版者:リブリオ出版
出版年:1997.9
価格 :\1796+税
ISBN :4-89784-559-9

bk1/amazon/Yahoo!
bk1(01462567)

表紙:4897845599

解説:

赤木かん子による、図書館員のための本の紹介シリーズのヤング・アダルト篇その1。ヤング・アダルトっていうのは、児童文学方面からきた用語で、本来は14歳から19歳ぐらいまでの青少年のための本のことだったんですが、今では、「かつては大人の問題であったが今は子供にも降りかかってくる問題」を扱う大人が読んでも面白い「大人向け以外の本」を指すようですね。
今回のテーマは「薄くてY.A」。幼年文学から、ビュジュアル本までいろいろ。
読んでみたい気になったのは、萩尾望都『左手のパズル』(新書館)、サラ・ミッダ『おとなになること』(ほるぷ出版)、ジョージ・マクドナルド『黄金の鍵』(偕成社)などなど。

アレクシン『ひとりぼっちのおるすばん』(国土社)に対する辛辣な批判は目うろこ。でも、この批判は納得できる。トルーマン・カポーティの『クリスマスの思い出』(文藝春秋)が、個人的に好きじゃないのも分かる。
でも、最後のシルヴィア・ウォー『ブルックハースト・グローブの謎の屋敷』(講談社)の項に書いてあることは納得できないですね。この本は、”おたく”で、筆者は読んでいて吐きたくなったんだそうです。でも、そこまで書いておいて、どこが”おたく”なのか、そもそも筆者がいう”おたく”とはどういうことなのか、なぜ”おたく”ではいけないと思うのかが全く書いていない。(例はでてくるけど、例をあげただけでは定義にはならない)
これではだめです。

なぜ良くないと思うかを説明もせずに、否定的なレッテルだけを貼っておしまいというのは、あらゆる差別主義者がやってきたことです。そんなことしちゃだめでしょ?

「吐きたくなる」とまで書いたんだから、そのことについて、きっちり説明しなくちゃだめです。

(1997/11/28)

[著者]あかぎかんこ    :赤木 かん子
[書名]みにみにやんぐあだる:『かんこのミニミニヤング・アダルト入門 パート1』

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赤木 かん子 『かんこのミニミニヤング・アダルト入門 パート2』

赤木 かん子『かんこのミニミニヤング・アダルト入門 パート2』

出版者:リブリオ出版
出版年:1998.9
価格 :\1800+税
ISBN :4-89784-598-X

bk1/amazon/Yahoo!
bk1(01462567)

表紙:489784598X

解説:

これは良いです。パート1では、説明不足な点といささかヒステリックな論調が見られて、読んでてイライラしましたが、パート2では、腕のいい薬剤師のごとく、「性的虐待」「摂食障害」「離婚」「共依存」等々のテーマごとに、病める子どもと大人の抱えた問題とそれに対する薬=本をテキパキと紹介していて、気持ちいいです。
今回は、定番の萩尾望都と山岸凉子の他になんと波津彬子『雨柳堂夢咄』(朝日ソノラマ)と今市子『百鬼夜行抄』(朝日ソノラマ)も「偉大な癒しの物語」として登場。これはびっくり。もちろん、西原理恵子も入ってます。(内田春菊が入っていなかったのは、ちょっと残念。)

図書館で借りましたが、ぜひとも手元に置いておきたいと思いました。
大人のアナタも、常備薬としてぜひ一冊。
(1998.10.20)

2002/11/08追記:
内田春菊をいれていないのは、今となっては慧眼というべきか。だんだんヘンな行動をする人になっちゃったからなぁ、内田春菊。

[著者]あかぎかんこ    :赤木 かん子
[書名]みにみにやんぐあだる:『かんこのミニミニヤング・アダルト入門 パート2』

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赤木 かん子 『かん子のミニミニマンガ入門』

赤木 かん子『かん子のミニミニマンガ入門』

出版者:リブリオ出版
出版年:1995.8
価格 :\1796+税
ISBN :4-89784-443-6

bk1/amazon/Yahoo!

解説:

赤木かん子による、図書館員のためのマンガ論。今は図書館でもマンガを入れるところが多くなりました。で、図書館に入れて欲しい、いれるべきマンガの紹介をしています。『のらくろ』の田河水泡から始まって、手塚治虫、藤子不二雄、石ノ森章太郎、少女マンガでは水野英子から大島弓子、萩尾望都、乙女ちっくを経て、90年代の『ドラゴン・ボール』から川原泉まで、押さえるべき作家は、ほとんど押さえてあります。
子どもの本の視点から見た初心者向けのマンガ論としては、非常にすぐれた本だろうと思います。

ただ、赤木かん子という人は、少女の感性を全くといっていいほど持たず、しかも生きるためにファンタジーをほとんど必要としないタイプの人なのですね。(健全ともいうが、繊細でないともいう。)ですから、ほとんどビョーキの私から見ると、そのコメントにはちょっと違和感を感じることがあります。

(1997.11.28)

[著者]あかぎかんこ    :赤木 かん子
[書名]みにみにまんがにゅう:『かん子のミニミニマンガ入門』

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『こころの傷を読み解くための800冊の本 総解説』

赤木 かん子編『こころの傷を読み解くための800冊の本 総解説』

出版者:自由国民社
出版年:2001.6
価格 :\1900+税
ISBN :4-426-73201-8

bk1/amazon/Yahoo!
bk1(02029569)

表紙:4426732018

解説:

「アダルト・チルドレン(AC)――子ども時代に必要な愛情と安らぎを得られずに育ち、傷ついた心を抱え、癒されぬまま大人になっている人たち」をテーマにしたブックガイド。
「アダルト・チルドレンの理解に役立ち、その理解によって、本人もまわりの人も少し楽になれるように願って」編まれたという。解説は赤木かん子を中心に6人の編集チームによって書かれている。

目次を開くと、アルコール依存、虐待、共依存と、なにやらモノモノしい言葉が並んでいるが、ひるむことなかれ。取り上げられている本の中にはハードでシビアなものや専門書ももちろんあるけれど、モンゴメリ『赤毛のアン』やゼナ・ヘンダーソン『果てしなき旅路』、大友克洋『童夢』、アシモフ『はだかの太陽』、テリー・ホワイト『真夜中の相棒』といった一見「AC」とはあまり関係がなさそうなエンタティメント系の本も多く、解説もくだけた口調で書かれているので読みやすい。

自分が「AC」だという自覚のある人、「AC」かもしれないと思っている人、生きにくさを感じている人にとっては必読書だと思う。「AC」という視点で見ると、一度読んだ漫画やミステリーがまた違った意味を持ち始めて興味深いので、別に自分は「AC」じゃないという人にも一読をお勧めする。

個人的には大友克洋『童夢』の解釈(p.235)と『アラベスク』『エースをねらえ!』の対比(p.134)が目からウロコが落ちるような気がした。特に後者を読んで、私の持っていた『エースをねらえ!』への違和感の正体がはっきりした。あー、すっきり。(ちなみにこの項目を書いたのは赤木かん子ではなく、小迫倫子)

オタクや専業主婦に対する嫌悪感というか侮蔑がかすかに感じられるのと、たまに赤木かん子の記述にカンチガイ(p.182にある『指輪物語』の中のヒーローのガブリエルって誰?)があるのが、少しだけひっかかるのを別にすれば、記述に抑制もきいている。丁寧に作られたよい本だと思う。
(追記:2001/06/17
「ガブリエル」は「ガラドリエル」の誤植(誤記?)だそうです。編集者の方から連絡がありました。)

ただ、一個所だけどうしても違和感を感じる箇所がある。
小迫倫子による山岸凉子『コスモス』の解説である。

====引用開始====
 夫とうまくいかなくなった妻にとって、子どもの病気は実に魅力的な逃げ場なのです。看病をしているかぎり、理想的な母でいられるし、とりあえず、夫のことも自分のことも考えずにすむのですから。となると一番苦しいのは子どもばかり、なのです。
(p.147)
====引用終了====

これだけだったら別に問題はない。『コスモス』という作品というのはそういう話なのだから。だが、その前にこういう注釈がつくとなると話は別。

====引用開始====
 あの山岸凉子のことだから、これもホラー的表現だと思いたい……ですが、実は、これこそ今の日本なのです。喘息やアトピーの子ども、増えているでしょう? 食べ物のせいだけじゃ、私、ないと思います。
(p.147)
====引用終了====

確かに食べ物のせいだけじゃないとは、私も思うけれど、私自身がアレルギー持ちのせいかこの言い方には何かひっかかる。読みようによっては「子どもがアレルギーになるのは母親のせい」と受け取られかねない書き方は、無神経だと思うんだけど。

小迫倫子は「フェミニズムの人」で現在子育て中だそうなので、なにか思い当たる節とか誰かに対して何かを含むところがあるのだろうかと感じてしまうのだった。(*1)

というわけで、この本を切実に必要としていて実用書として使う人は、書いている人間たちもまた「完全」ではないということを念頭におきつつ読むのがよろしいかと。

(2001.05.23)

*1: 私の偏見かもしれないが「フェミニズムの人」は時に自分の中にある問題点さえ他人に転嫁してしまう傾向があるように思える。単に私が遭遇した「フェミニズム思想を振り回す人」がそうだっただけかもしれないけれど。

[著者]あかぎかんこ    :赤木 かん子編
[書名]こころのきずをよみと:『こころの傷を読み解くための800冊の本 総解説』

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有里 (Alisato Akemi)
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