妹尾ゆふ子『真世の王』登場人物一覧
ネタバレコメント付き

[妹尾ゆふ子ファンページ] [『真世の王』紹介]

妹尾ゆふ子『真世の王』上下(エニックス EX novels,2002.6,各\950+税)のネタバレ感想コメント付き登場人物一覧です。
力いっぱいネタバレしていますので、『真世の王』未読の方はネタバレなしの登場人物紹介をご覧ください。人物名の後ろのカッコは、その人物が最初に紹介されたページを示します。(上は上巻、下は下巻を表す)

コメント完成。(2002/07/06)

イーファルエスタシアウルバンジェン
ソグヤムクルヤーグフィアラスゾータンシェラザ
カイラグソルシリムレイランドシャイヤ

真世の王 上 黒竜の書 真世の王 上 白竜の書
※上巻【bk1/amazon/eS!】は、手前がウルバン、後ろがエスタシア
※下巻【bk1/amazon/eS!】は、手前がジェン、後ろがイーファル


イーファル

〈銀の声持つ人(ラハナンァル)〉。「干渉する者」。赤ん坊のエスタシアを竜の砦に預け、竜使の孫ジェンを見出してわざのすべてを伝える。

相変わらず何を考えているのか良く分からない「人」でした。でもまあ、神様の一種だから仕方がないのか。
『赤竜の書』のときよりもさらに得体の知れない存在になってますね。読み返した『赤竜の書』のイーファルが妙に人間くさくフレンドリーに見えてしまいましたです。

うさぎ屋本舗のGuestBook for Readersで話題になっていたイーファルに関しての「美しいとか心地よいとかではなく、むしろ正しい」という表現についてですが、善悪ではなくて、just とでもいう意味ですかねぇ。ジクソーパズルのある一片がその部分に対する唯一の「正しい」形であるごとく、過不足なく存在する形というか。

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エスタシア

世界が滅びた後にそれを再生する〈真世の王〉の候補者として生まれ、竜の砦で育てられた北方漆黒領王の姫。イーファルによって封じをかけられ、王城に暮らす。

『赤竜の書』では登場していなかったので、序章に登場したときは「誰、この子?」という感じで、次に出てきたら今度は記憶を封じられていたという不遇なヒロインですが、「目覚め」てからは、本当に健気でした。何度もくじけそうになりながらも「立て、エスタシア」とつぶやいて立ちあがる。ジーンときますねぇ。

彼女が言葉の力で魔物を消滅させようとして、文字を書くんだけれども現実に相反することは書けないっていうところに、なんだかとっても「リアリティ」を感じました。妹尾さんが『チェンジリング』で、エンタテイメントしようとして、どうしても出来なかった状況に似てるなと思いました。

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ウルバン

東方月白領東涯郡東ノ村出身の青年。魔物との戦いで月白領王ソグヤムの命を救う。王都で幼馴染の竜使ジェンと再会して〈王の剣士〉となり、エスタシアと出会う。

『赤竜の書』を読んだときには、まさかこんなにいい男に育つとは思わなかったウルバンくん。いやー、いい男やー。金田榮路さんの描く表紙のウルバンなんてカッコ良すぎてクラクラします。
この物語の中で彼だけが「普通の人」なんですけど、「普通の人」だからこその強さを見せてくれたと思います。

草で作った馬をエスタシアに渡すエピソードとか地下水路でエスアシアに再会して「どうか、おれに機会をください。助かりたいと思ってください」と訴えるシーンとか、萌え〜。

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ジェン

王都の竜使。イーファルとであった際に〈本〉に封印されていた竜を解放し村を焼き滅ぼしてしまった。魔物の総帥・悪夢の王に〈真実の言葉〉を渡さぬために探索を続ける。

ウルバンとソグヤムにくわれて、影が薄くなってしまった感があるのが気の毒。主人公だったはずなのに。

ラグソルの朝議の席で胸の中で考えをめぐらせるジェンの姿が痛々しかったです。権謀術数なんて似合う子じゃなかったのに。

ラストのジェンの選択はつらいものではあるけれど、竜として消えていくよりも人として世界の外で愛する人々のことを語るほうがずっと幸せなことなんでしょう。
とはいえ『赤竜の書』を読み返して〈一本角の山羊の王〉のくだりに来たら胸がいっぱいになってしまいました。

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ソグヤム (上 p.29)

東方月白領の若き領王。古い言葉を使って魔物と戦おうとし、〈本〉に偽りの記述を書きつける。

「おじさん連」のひとりに数えてしまうと、「私は若いんだ」と憮然としそうな東方月白領王のソグヤムですが、若者って感じじゃないですね。妙に老成している。

感想リンク集を見てみても人気ナンバー1のようです。嫌がりながらも己の責任はきっちり果たし、苦境に立っても笑っていられる強さが人気の秘訣? クルヤーグとの主従漫才がとても良かったです。それだけにあのクライマックスが……。

どうか新しい世界ではこの人が王様をやっていますように!

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クルヤーグ (上 p.29)

東方月白領の騎馬隊長。ソグヤムの従兄弟。

ソグヤムと主従漫才やっていると青年みたいな感じがするんですが、白髪なんですよね。結構いい年なのか? それとも若くても白髪なのかしら?

「よく考えろこの馬鹿者が」(上巻 p.295) ってソグヤムを怒鳴りつけるところが好きでした。ああ、いいなぁクルヤーグ様。常に「陛下」と呼びかける相手に向かって、これだもんなぁ。やるときゃやります。ああ、かっこいい。

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フィアラス (上 p.91)

南方若緑領出身の剣士。元〈王の剣士〉であったが出奔し、剣を盗んだ罪で晒し者にされていたが、ジェンとウルバンに救われる。

『赤竜の書』から引き続きの登場。
上巻 p.195のイラストを見たときには、「老けたー。やーい、おじさーん!」などと思ったものですが、ひそかに作者に愛されているせいか、いろいろ美味しい台詞をとってますなぁ。

「滅ぼさぬ努力があっていいと、おれは思う」
「そうだ。あんたの好きな言葉だよ。立て、エスタシア。いずれ地の底に横たわる日がくるとしても、今は立てる。そうだろう?」(下巻 p.199)

いやーん、かっこいいじゃん、おじさーん。(笑)

解せないのは、悪夢の王が『集合』の言葉をいうシーン(下巻 p.316)でその言葉の解説をするのがフィアラスだってことです。なぜそんなに詳しいのだ? 船で旅してくる間にシェラザに古い言葉の特訓をうけたのだろうか。まあ、ジェンとイーファルにくっついていたのだから、一番の事情通には違いないんですが。

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ゾータン (上 p.111)

王都の〈王の剣士〉団の剣士長。北方漆黒領出身。元はエスタシア姫の護衛をつとめていた。

この作品の中で一番気の毒な人かも。
でもエスタシアが思っていたほど、ゾータンは彼女を憎んでいたわけではないと思う。
「あなたが守った姫は、立派に育ったのに!」(下巻 p.251)
どうかウルバンのこの言葉がゾータンの心に届いていますように。

リセットされた世界でこの人が生き残っているかどうかは、微妙なところ。どうもこの人だけ生き返れないような気がしてならないんですけれど。

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カイ (上 p.115)

〈物語り師〉の弟子だったが、物覚えの良さを買われてジェンの助手となる。人前に立つのが苦手。文字の研究に熱心。

可愛かったので、もう少し活躍して欲しかった。竜と一言も交わさぬうちに燃やされちゃうなんて……。
でも大丈夫、きっとジェンがなんとかしてくれますって。

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ラグソル (上 p.115)

王太子。北の砦で守備隊の指揮をとる。

中ポスなのに途中から出てきたせいか影が薄かったような。
傲慢なところはあってもそれなりに有能で魅力もある人(『指輪物語』のポロミアのように!)だったでしょうに、そういうところが描かれなかったのは残念でしたね。

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 (下 p.115)

この世界の王。死んだと思われていたが、悪夢の王に取りつかれて生きていた。

ラスボスその1なので、ネタバレなしの一覧には載せられませんでした。

「王としての責務をまっとうすべく、つねに努力していた。凡庸であることを自覚しているがゆえに名君たり得る者がいるなら、まさにその評価に値する人物だったのだ」(p.127)とジェンに評されている人だっただけに、その最後が哀れでなりません。

気になるのはソグヤムとの関係ですが、この人がソグヤムの実の父親だとすると、王妃以外の女性に生ませた子供を弟に押し付けたのか、弟の妻に手をだしたのか、どっちだ?

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シリム (上 p.338)

若緑領王。あまり人望はないらしい。

どうでもいい人なのに、生き残っているんですよねー。

それはともかく若緑領の人って、どうして剣を集めることに執着するんでしょう?

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シェラザ (上 p.12)

竜の砦の戦士長。

「あの娘によい思い出を与えてくれたことに、感謝する」(下巻 p.186)

こういう言葉が出てきたということは、この人にもきっとそういう「よい思い出」があるんでしょうね。砦で赤ん坊が生まれることもあるのだから、砦の外に恋人がいたとしても不思議はないですし。

女性の「戦士長」ですが、だれもそれを奇異に思っていないところをみると、この世界では女性の剣士というのは珍しくないのかもしれません。なにしろ戦うお姫様が伝説になっちゃう世界だからなぁ。もっとも〈王の剣士〉に女性はいなかったようですが。

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レイランド (上 p.14)

北方漆黒領王の嫡子。エスタシアの弟。

回想シーンでしか出てきませんでしたが、あのエスタシアの弟なんですから、成人したらさぞや名君になったでしょうに……。
いくらジェンでもエスタシアの家族までは面倒見きれないでしょうしねぇ。

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シャイヤ (上 p.112)

〈本〉に伝えられる女剣士。大乱の際に王の守り手のひとりとなり、大敵を討ち果たした。

どうみてもこれは『指輪物語』のエオウェン姫ですよねー。

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背景素材は Free Material --The forest of cat-- からいただきました。


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有里 (alisato@anet.ne.jp)
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更新日:2002/06/17