マーロウ
〜『航路』登場文学作品解説〜

目次


マーロウ『フォースタス博士の悲劇』

原典リンク

The Tragical History of Doctor Faustus
The Complete Works of Christopher Marlowe
Doctor FaustusA text 1604

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著者と作品解説

 クリストファー・マーロウ Christopher Marlowe (1564-1593) は、シェイクスピアと同時代人の劇作家・詩人で、当時はシェイクスピアよりも人気があり、シェイクスピア作品にも多大な影響を与えた。キット・マーロウとも呼ばれる。
 『航路』でも触れられているように、居酒屋(兼宿屋)での喧嘩で刺殺された。

 『フォースタス博士』は、いわゆるファウスト伝説をもとにした悲劇。現在残されている作品には、1604年版と1616年版があり、『航路』作品中で引用されているのは、1604年版。
 トロイのヘレンの幻をみる場面の「これが一千隻もの軍船を走らせたあの顔なのか?」という台詞は非常に有名で、映画『恋におちたシェイクスピア』にも登場した。

関連リンク

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『航路』登場部分

「キット」ブライアリー先生が玄関に出てきた。「『フォースタス博士の悲劇』はどこへやった?」といいながらポーチに出てくる。
21章 上巻p.313

【解説】
ブライアリー先生宅から帰ろうとするジョアンナが見たブライアリー先生の言葉。

「姪と会ったことはあったかな?」とブライアリー先生がたずね、返事をする前に、「きっと気に入るよ。キット・マーロウにちなんだ名前だ。『これが一千隻もの軍船を走らせたあの顔なのか?』もっとも彼がこの船を指していたわけではないだろうが。(後略)」
31章 下巻p.41

【解説】
ジョアンナが〈船〉の中で出会ったブライアリー先生の言葉

引用は、『フォースタス博士の悲劇』(1604)のトロイのヘレンの幻影を見る場面から。

Was this the face that launch'd a thousand ships
And burnt the topless towers of Ilium?
Sweet Helen, make me immortal with a kiss.
Doctor Faustus, 1604

「刺殺。すみやかな死にかただが、おそらく彼が想像していたほどすみやかではなかっただろうな。それに想像していたほどおだやかでもなかった。『私のために祈ってくれ』とファウストはいう。『して、どんな物音を聞きつけても、私の所には来ないでほしい、どうしても私は助からないのだからね』。しかし、それがつねに真実とはかぎらない。(後略)」
31章 下巻p.41

【解説】
ジョアンナが〈船〉の中で出会ったブライアリー先生の言葉
引用は、『フォースタス博士の悲劇』(1604)から。

Ay, pray for me, pray for me, and what noise soever
ye hear, come not unto me, for nothing can rescue me.
Doctor Faustus, 1604

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マーロウ『ヘーローとレアンドロス』

原典リンク

Hero and Leander: The First Sestiad

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作品解説

ギリシャ神話のヘーローとレアンドロスの話をモチーフにした詩。
ヘーローとレアンドロスの伝説については、以下のページを参照。
セストスへ来たならば、ヘーローが灯りをかかげた塔を探しておくれ

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『航路』登場部分

「(前略)それに『栄誉は我々の行為によって贖われる。名誉ある行為がなされるまでそれを勝ち取ることはできぬ』。マーロウ自身は栄誉を勝ち取ることができたのか? どうだろうね。いつも時間は思ったより少ない。彼の場合、時間はデットフォードのとある宿屋で尽きた」
31章 下巻p.41

【解説】
ジョアンナが〈船〉の中で出会ったブライアリー先生の言葉

『ヘーローとレアンドロス』の一節らしいが、引用部分を特定できなかった。

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有里 (Alisato Akemi)
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