童謡『森の幼な子』
〜『航路』登場文学作品解説〜

目次


『森の幼な子』

原典リンク

以下のサイトで歌を聴くこともできる。
Max Hunter Folk Song Collection
Babes in the Woods

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作品解説

訳者の大森望氏によれば、「英国生まれの童謡(?)で、米国西海岸でもわりとポピュラーな唄らしいです。」とのこと。

童謡(民謡)ゆえ様々なバージョンがあり、子供が3人のものもある。
『航路』に登場した唄に近いと思われるのは次のバージョン。

VERSE 1
O, don't you remember
A long time ago
Two poor little babes
Their name I don't know
Were strolling away
One bright summer day
An' lost in th woods
I've heard peole say

VERSE 2
An' when it was night
So sad was their plight
Th moon had gone down
An' th stars gave no light
They sobbed an' they cried
An' bitterly cried
Poor babes in th woods
They laid down an' died

VERSE 3
An' when they were dead
Th robbins, so red
Brought strawberry leaves
An' over them spread
An' all th night long
They sang their sad song
Poor babes in th woods
Poor babes in th woods
Babes in the Woods

『航路』に登場した訳詞を原詩にしたがって並べなおしてみると次のようになる。

むかしむかしある村に、
ふたりの子供がおりました
子供の名前はわかりません
晴れた夏の日に連れ去られ
森の中に置き去りに
月は沈み、星明かりもなく
ふたりは涙を流し、ためいきをつき、
声を上げて泣きました
そしてかわいそうなふたりの幼な子は、
じめんに横になって死にました
そしてふたりが死んだとき、
真っ赤な駒鳥やってきて、
いちごの葉っぱをかけました

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『航路』登場部分

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「それプラス、子供はいつだって人間の死に興味を持つものよ。わたしがメイジーぐらいの歳だったころ、『森の幼な子』っていう歌がお気に入りだった。『晴れた夏の日に連れ去られ』て森の中に置き去りにされたふたりの子供の歌。
(中略)
月は沈み、星明かりもなく』」とジョアンナは歌詞を暗唱した。
「『ふたりは涙を流し、ためいきをつき、声を上げて泣きました、そしてかわいそうなふたりの幼な子は、じめんに横になって死にました』。そのあと、鳥たちがやってきて、亡骸を木苺の葉で隠す」
3章 上巻p.53

【解説】
ジョアンナお気に入りの歌

「暗かった」とミセス・ダヴァンポートが一語一語のあいだに間を置きながら語り、うんざりしたジョアンナは気のない口調で「説明していただけますか?」と促し、ブライアリー先生がそれに答えて、「『月は沈み、星明りもなく』」
51章 下巻p.311

【解説】
ジョアンナは〈船〉の中で……

リードを自分のウエストと犬と柱に巻き、ぎゅっと縛った。
「こうすれば、あなたを放さずに済むわ。『ヘスペラス号の難破』みたいに」そういいながら、ここにブライアリー先生がいてくれたらいいのにと思った。「『彼は折れた帆桁から綱を切り、彼女を帆柱に縛りつけた>』」と暗唱したけれど、つぎの行を口にしようとしたとき、出てきたのはべつの引用だった。「『そしてふたりが死んだとき、真っ赤な駒鳥やってきて、いちごの葉っぱをかけました』」
51章 下巻p.312

【解説】
ジョアンナは沈みゆく〈船〉の中で子犬に話し掛ける。

 暗記していたことすべてが一行一行はらはらと離れ落ち、 機会にからんだビデオのテープみたいに黒い水のなかにほどけていく。 「アッシリア人はひつの群れに襲い掛かる狼のようにやってきた」も、「こんな状況ではだれでも自分のことを考えるものだ」も「ヒューストン、問題がおきた」も、「むかしむかしある村に、ふたりの子供がおりました。子供の名前はわかりません」も。 (53章 下巻p.338

【解説】
激しくネタバレにつきノーコメント。

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有里 (Alisato Akemi)
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